ネットショップを開業しようと思って検索すると、「ECサイト」という言葉を使ったサービスサイトや情報サイトがヒットして戸惑うことがあると思います。「ECサイト」の言葉の意味から、サイトの作り方まで、ECサイトの基本を解説します。
友達がネットショップを開きたいっていう話をしてるのに、もう1人の友達が「会社でECサイトの運営担当してるから教える」なんていうんだよ。噛み合ってないよね?
ズバリ、噛み合ってます!これを機会に、なぜツクルくんの友人達が同じ話題で違う単語を使うのかと、肝心のECサイトの仕組みも理解しちゃいましょう!
目次
ECサイトって何?意味やネットショップとの違いは?
ネットショップについて調べていると、こんなことはありませんか?
- ・「ネットショップ」で検索しているのに「ECサイト」についての情報が出てくる
- ・「ECサイト作成」のサービスを探していると「ネットショップ作成」をうたったサービスが出てくる
さらに、クリックした先の記事では「SaaS型」「ASP型」など、「ちょっと待って、そんなことは聞いてない」という言葉がたくさん出てくることもあります。なぜでしょうか?
答えは簡単で、すべて同じ意味で使われているからです。
まずはこちらの図をご覧ください。
ECサイトという言葉の意味は広く、本来はEC(イー・コマース)の名が示すとおり、電子商取引を行うサイトはすべてECサイトです。図のように、ネットオークションも、有料のコンテンツ配信サイトなどもECサイトというわけですね。
ですが、動画配信サイトをECサイトという人はほとんどいませんよね。
つまり、(厳密にいうと異なるものの)実際はECサイトとネットショップという言葉に違いはなく「ECサイト=ネットショップ」の意味であると捉えて良いでしょう。
ECサイトとは何の略?
ちなみにECサイトのECは、Electronic Commerce(エレクトロニック・コマース)の略で、エレクトロニック・コマースは「Eコマース」とも略されます。
つまり、「エレクトロニック・コマース」=「Eコマース」=「EC」と、すべては同じ電子商取引を指す言葉です。
ですが、一般的にECサイトはネットショップと同じ意味とお伝えしたように、Eコマースもネットショップを指す言葉として使われることがほとんどでしょう。
Eコマースについて詳しくは「Eコマースとは?」の記事で紹介していますので、合わせてご覧ください。
ネットショップについて詳しく知りたい方はこちらの記事も参考にしてみてください!
ECサイトは何のために作る?
ECサイトの開業を検討する方は、以下の3つのいずれかではないでしょうか。
- ・実店舗があり、ネットを利用して販路を拡げたい
- ・実店舗はないが、売りたいものがあり販売手段を探している
- ・会社でコーポレートサイトとは別に、ECサイトを立ち上げることになった
いずれの場合でも、ECサイトを作る目的は販売による売上と利益です。
目的が「会社の知名度をあげたい」、「企業ブランディング」、「表現手段として検討している」などであれば、必ずしもカート機能(買い物ができる)は必要ないかもしれません。
ECサイトを作るからには、「どうしたらもっと売れるのか?」を突き詰めていくのが王道です。
利用するだけでコストがかかるサービスもありますので、ECサイトは「お客さまにショッピングをしていただくサイト」という認識がブレないように運営しましょう。
ECサイトの仕組み
ECサイトの仕組みは非常に簡単です。
- 商品の画像をサイトに掲載する
- 決済してもらう
- 商品を配送する
普段、ネットで買い物をするには、写真を見て商品を選び、カートに入れてお金を払い、商品が届くのを待ちますよね。
運営する場合も基本的な段取りは同じで、商品を送る側になるだけです。
ただ、運営する際は商品が売れるように写真の見映えに気を配ったり、利用者の多い決済方法を取り入れたり、どうやって商品を配送するかなどを1つずつ決めていく必要があります。
また、軌道にのってくると、さまざまな管理業務も発生してきます。
在庫管理や伝票管理、仕入れ先との連携や配送トラブルへの対応などです。
それらを楽にするための機能を、ECサイト作成サービスを提供する各社が競って開発しているのですが、そのせいでECサイトを運営するのが複雑に見えているのかもしれません。
機能が何百とある上に、アルファベットだったり、横文字だったりすると気後れしてしまいますよね。
でも実は骨格はとてもシンプルなのがECサイトです。
開業を決めたら、たくさんの機能はおいおい導入を検討するとして、まずは写真を載せて、説明を書いて、注文を待ってみるところまで進めてみましょう。
ECサイトの市場規模はどのくらい?
集客を工夫すれば売れるとはいっても、世の中のEC(電子商取引)の規模はどのくらいか気になるという方もいるのではないでしょうか。
経済産業省より2024年9月に発表された資料によると、2023年の消費者向けEC(BtoC EC)の市場規模(国内)は、約24.8兆円(前年約22.7兆円、前年比9.23%増)で拡大傾向です。
また、同年の企業向けEC(BtoB EC)の市場規模は約465.2兆円(前年比10.7%増)と、消費者向けのECよりも市場が拡大傾向にあります。
経済産業省(令和5年度 電子商取引に関する市場調査)より引用
では物販系分野ごとの市場規模やEC化率も見てみましょう。
物販系分野のBtoC-EC市場規模
2022年 |
2023年 |
|||
分類 |
市場規模 |
EC化率 |
市場規模 |
EC化率 |
食品、飲料、酒類 |
27,505 |
4.16% |
29,299 |
4.29% |
生活家電、AV機器、PC・周辺機器等 |
25,528 |
42.01% |
26,838 |
42.28% |
書籍、映像・音楽ソフト |
18,222 |
52.16% |
18,867 |
53.45% |
化粧品、医薬品 |
9,191 |
8.24% |
9,709 |
8.57% |
生活雑貨、家具、インテリア |
23,541 |
29.59% |
24,721 |
31.54% |
衣類・服装雑貨等 |
25,499 |
21.56% |
26,712 |
22.88% |
自動車、自動二輪車、パーツ等 |
3,183 |
3.98% |
3,223 |
3.64% |
その他 |
7,327 |
1.89% |
7,391 |
1.91% |
合計 |
139,997 |
9.13% |
146,760 |
9.38% |
経済産業省(令和5年度 電子商取引に関する市場調査)より引用
食料品や衣料品など、これまでは手にとって購入する機会の多かった品目でも、EC化が進んでいるのがわかります。
2023年も引き続きEC化率が進んでいることから、この先もEC市場は拡大していくでしょう。
ECサイトのビジネスモデルはさまざま
ECサイトは、インターネット上で商品を購入するネットショップのことであるとお伝えしました。
ですが一口にECサイトといっても、以下のようなビジネスモデルがあります。
- ・BtoC EC
- ・BtoB EC
- ・CtoC EC
- ・D2C
- ・越境EC
- ・卸売EC
- ・メディアEC
- ・オムニチャネル
- ・O2O
では、それぞれのビジネスモデルがどのようなものなのか詳しく見ていきましょう。
BtoC EC
BtoC ECは、私たちが良く利用する一般的なECサイトのことで、企業が消費者向けに展開しているECサイトのことです。
Amazonなどのようにさまざまなショップが出店しているECモール型もあれば、ユニクロや無印良品などの企業が独自に展開して販売している自社ECサイト型もあります。
BtoC ECでも割合として多いのが、モノを販売する物販系の分野です。
先ほどの経済産業省の調査にもあったように、書籍や映像などのソフト、家電やPC周辺機器、雑貨や家具などのEC化率が高い傾向にあります。
BtoB EC
BtoB ECとは、Business to Businessの略からもわかるように、企業が企業向けに展開するECサイトのビジネスモデルをいいます。
企業間では1回の取引額が高額になるため、BtoC ECと比べて市場規模はかなり大きいです。
自社の製品やサービスを取引先に販売する目的で使用されるのが一般的ですが、まれに本店と支店間の受発注を効率化する目的で利用される自社内展開型のECサイトもあります。
BtoBの大きな特徴は、卸販売を行うために取引先の企業のみが商品の閲覧や購入ができるよう、会員制になっていることです。
BtoCのECサイトは、企業でも個人でも誰でも買えるようにオープンになっていますが、BtoBのECサイトでは、一回での大量購入や取引先ごとの価格設定など、独自の機能が必要です。
CtoC EC
CtoC ECは、個人が個人向けに電子商取引を行うビジネスモデルです。
企業が個人間で取引できるプラットフォームを提供し、個人の販売者から手数料を受け取って、サイトの運営費などに充てている仕組みです。
CtoC ECで代表的なのが、個人間で売買ができるメルカリなどのフリマアプリや、個人がハンドメイド作品を販売できるminneなどのハンドメイドマーケットです。
スマートフォン普及が進み、どこからでも手軽に売買ができるようになったことでCtoC ECは近年、存在感を高めています。
D2C
D2Cは、Direct to Consumer の頭文字をとった言葉で、メーカーが仲介業者を通さず直接(ダイレクトに)消費者へ商品を販売するビジネスモデルのことです。
企業から消費者へ販売する形のため、D2CはBtoCの一種といえます。
これまで企業は卸売業者へ商品を卸し、スーパーやコンビニなどの小売店を通して消費者へ届ける手段が主流でしたが、ECの普及により直接販売が可能になったのです。
D2Cを展開するメーカー側のメリットとしては、仲介業者を通さないことによるコスト低減のほか、消費者と直接つながることによるファンの獲得や、顧客データを自社に蓄積させ商品企画へ活かせることなどが挙げられます。
越境EC
越境ECとは国境を越え、海外に向けてEC販売するビジネスモデルのことです。
AmazonやeBayといった海外のECモールに出店する方法のほか、自社で海外向けのECサイトを構築する方法、代行販売業者を通して海外顧客に商品を販売する方法、などがあります。
海外向けの販売に対応することで市場が広がるというメリットが大きいですが、言語への対応や国ごとの規制に従った商品企画や販売など、国内とは異なるさまざまな対応が必要になります。
越境ECを行うなら、まずは各国の市場調査が必須でしょう。
越境ECを始めたい方は「越境ECの始め方」の記事をご確認ください。
卸売EC
卸売ECは、卸売を行っている企業が販売をECで行うBtoB ECの一種です。
メーカーが卸売企業へ商品を卸す際に卸売ECを利用することもありますが、主にはメーカーから商品を仕入れた卸売企業がスーパーや商店などの小売り業者へ、ECサイトを利用して商品を卸すことが多いです。
卸売ECは業務効率化につながるだけでなく、これまで取引のなかった遠方の顧客など、新規顧客の開拓にもなることから、卸売業者によるEC化が増加してきています。
メディアEC
メディアECとは、ECサイトの中に記事コンテンツを掲載し、ECサイトとオウンドメディアが一体となっているサイトです。
ECサイト内の記事コンテンツを読みにきたユーザーが、自然とECサイトにも訪れてくれるので集客に役立つでしょう。
自社オリジナルのコンテンツを作ることで他社との差別化を狙っている企業により、じょじょにメディアECが増えています。
メディアコマースという言葉もありますが、メディアECと同じ意味で使われています。
オムニチャネル
オムニチャネルとは、実店舗やECサイト、SNSなどのあらゆる販売チャネル(販売経路)を使って顧客に対してアプローチすることです。
すでに実店舗で販売を行っている店舗がさらなるユーザー獲得を目指して、自社ネットショップを立ち上げてオンライン上でも商品を販売するケースなどがあります。
ネットショップで注文した商品を、時間のかかる宅配ではなく実店舗での受け取りに対応するなど複数の販売経路を確保しておくことで多様な販売機会を生み出すこともできますし、顧客情報の取得や分析にも役立てられるようになります。
O2O
O2Oは、Online to Offlineの略で、Web広告などオンラインを活用して、オフラインである実店舗に顧客を誘導すること、あるいは実店舗からオンラインに誘導するビジネスモデルをいいます。
オンラインもオフラインも活用することからオムニチャネルと似ていますが、O2Oは意図したチャネルに顧客を誘導するという手法で、オムニチャネルはさまざまな販売チャネルを持つことなので、意味は異なります。
O2Oの場合、新規顧客の獲得やファンの囲い込みなどが主な目的です。
未経験でもECサイトは運営できる?業務内容を解説
ECサイトの運営は未経験でもできるか気になる方も多いですが、もちろん未経験でも問題ありません。各社のECサイト作成サービスでは、オンラインマニュアルが用意されていたり、電話・メールでのサポートを行なってくれたりと、初心者でも安心して開業できる仕組みが用意されているからです。
とはいえ、業務内容が分からないと手をつけにくいと思いますので、ECサイト運営にはどんな業務があるのかご紹介します。
デザインに関する業務
サイトデザインにテンプレートを使用する場合は不要ですが、カスタマイズする場合はHTMLやCSSの知識(習熟度はやりたいことによる)が必要です。
テンプレートの簡単なカスタマイズであれば、Webデザイナーがいなくても調べながらやれるでしょう。
ECサイトのデザインのコツについて詳しくは「売れるECサイトのデザインのコツとは?」の記事を参考にしてみてください。
機能に関する業務
自社ECサイトで機能を開発する場合は、エンジニアやプログラマーが必要になるでしょう。
初心者向けのECサイト作成であれば、機能は選択して追加するだけというものも多いので、専門的な知識は不要です。
ただし、用意された機能をカスタマイズする場合は、お客さまに影響がないよう、エンジニアやプログラマーなどの専門家に任せましょう。
商品に関する業務
商品に関する業務はいくつか存在しますので、それぞれについて簡単に説明します。
マスター管理
商品のIDや在庫品目、単価などを設定し管理する業務です。ロット数の設定や発注リードタイムの設定など、販売サイクルをコントロールします。
「倉庫を圧迫せず、品薄にもならず」という状況が理想なので、扱う商品によっては季節やイベントを計算に入れた調整が重要です。
撮影
商品の画像を撮影し、ECサイト上にアップロードします。
商品の入れ替わりが少ない場合はカメラマンに外注し、常に扱う商品が変わる場合は内製で対応するなど、訴求力と費用のバランスを考慮しましょう。
iPhoneで手軽に商品を撮影したい方は「iPhoneで魅力的に撮影・加工する方法まとめ」の記事をご参考ください。
ライティング
商品の仕様や説明文などを記載します。ECサイトでは検索サイトの検索結果に表示されることが重要です。
キャッチコピーなどの商品の訴求に貢献する部分と、商品の説明文などのSEO対策(検索に表示されるように行う対策)を担う部分は、目的を切り分けて書きましょう。
商品説明を書く際は「売れる商品説明の書き方とは?」の記事を参考にしてみてください。
受注管理に関する業務
受注状況や入金状況、キャンセルが出ていないかなどを確認し対応します。
入金時の不備連絡や、キャンセルに関する問い合わせなども業務に入ってくるので、スピーディーかつ柔軟な対応が求められます。
在庫管理に関する業務
在庫管理とは、単純に在庫の数を把握することではありません。
必要な時に適切な量の在庫をすぐに取り出せるよう、全体を管理することをいいます。
例えば自店(自社)で在庫を持つ場合は、商品の場所が誰でもすぐにわかり、スムーズに配送できるように計画的な在庫配置を行うことも在庫管理の一環です。
ネットショップの在庫管理については、「ネットショップで在庫管理はなぜ重要?」の記事で詳しく説明していますのでご覧ください。
発送業務
商品に不具合がないか、注文の商品と型番などが異なっていないか検品を行い、梱包して発送します。注文と異なった商品を送ってしまうとトラブルになりやすく、また、口コミを記載されることにより他のお客さまにも影響を与えます。しっかり確認することが重要です。
また、梱包の印象はお店の印象を大きく左右します。「壊れなければよい」という考えではなく、お客さまが受け取ったときに不快感のない梱包資材を使いましょう。
なお、どの配送会社を選べばいいのか比較したい方は「宅急便・宅配業者の料金はどこが安い?」の記事をぜひご覧ください。
売上・利益管理業務
予算を作成し、売上・利益計画を立てます。日報、週報などで昨週対比や昨年対比などを確認しながら、在庫の調整や見せ方の見直しなどを行うとよいでしょう。
季節商材の場合は、値引きのタイミングなども重要です。在庫を抱えないために適切なタイミングで判断しましょう。
発注業務
単に売れた分を発注し補うだけでなく、季節や外的な影響を予見して、売れる見込みのある時期には在庫を増やしておくなどの調整を行わないと、売り逃しが発生してしまいます。
また、在庫を抱え過ぎると倉庫の賃料などで余計な経費が増えてしまうなど、利益に直結しやすい業務です。
アクセス解析業務
GoogleアナリティクスやInstagramインサイトなどを使って、お客さまの属性(年齢やお住まいの地域など)や行動(カートまでは行ったが買わずに離脱した など)を分析します。
データを取るだけでなく、そのデータを利用して売上アップの施策を考えたり、商品企画に活かしたりするので、ECサイト分析ともいえるアクセス解析は重要な業務です。
なお、分析したらそれで終わりではなく、売上アップさせるためにはKPIを設定して目標を持ちましょう。
ECサイトにおいてどのようなKPIを設定したら良いのかなどについては「ECサイトの重要なKPIは?」の記事で紹介していますので、まだKPIを明確に定めていない方はチェックしてみてください。
集客・販売促進業務
SNSやブログを使って商品の情報を発信します。
ブランドのストーリーで共感を呼んだり、商品開発秘話でファンづくりをするなど、アプローチの手段はさまざまです。
短期間で成果を出したいなら、各種メディアに広告を出稿して集客を行うのがおすすめです。マーケティングの知識があると効果を出しやすいでしょう。
ECサイトの集客方法については「ネットショップ開設後にまずやるべき集客方法はこの2つ!」の記事で詳しく解説しています。
販売促進に関しては「販促カレンダー」を利用すると予定や施策などが立てやすくなるでしょう。
経理業務
経費の管理や帳簿を作成します。ショップ運営では利益を残すことが重要なので、削減できる無駄な経費はないか(使っていない有料の機能など)常にチェックしましょう。決算前には「棚卸し」と呼ばれる在庫の「データ上の数」と「実数」を突き合わせる作業も監督、または実行します。
個人事業主の場合は、ネットショップの確定申告も必須業務です。
ECサイトの運営業務に関しては「ECサイト運営とは?」の記事で細かく解説していますので、ぜひご覧ください。
ECサイトの事例をジャンル別に紹介
ここからは、ジャンル別に人気のECサイトをご紹介します。
食品系のECサイト事例
まずはEC販売でも人気ジャンルの食品系のECサイトをご紹介します。
服部製糖所
最上質の阿波和三盆糖を使ったお菓子を中心に販売している、製糖所によるネットショップです。
人気商品は、見た目は華やかで美しく、無添加素材にこだわった体にもやさしい花畑のようなおはぎ。
販売開始から1分で売り切れることもあるそうです。
他社には無いオリジナル商品の販売で人気店となった服部製糖所のECサイトについて詳しくは、下記のインタビューをご覧ください。
お米と雑穀の専門店 石川商店
元々はBtoBをメインにしていましたが、顧客の要望を受けてBtoC向けのECサイトをオープンさせたのが、千葉県君津市の石川商店です。
2008年からEC販売を始めてから、ユーザーにとって使いやすく買い物しやすいECサイトを目指してリニューアルを重ね、現在のような人気ショップへと成長させています。
石川商店について詳しくは、こちらのインタビュー記事をご覧ください。
アパレル・ファッション系のECサイト事例
次に、食品と同じく人気ジャンルであるアパレル系のECサイトをご紹介します。
KEY MEMORY
「鎌倉の特別な時間」をコンセプトに日常生活をより快適にするアイテムを展開しているのがファッションブランドのKEY MEMORYさんです。
魅力的な商品作りだけでなく、スタッフが毎週インスタライブを行うなど顧客とのコミュニケーションを大切にすることで、確実にショップのファンを増やしています。
サイト内でスタッフ紹介のページを設けるなど顔の見えるお店作りは、他のショップも取り入れたいポイントでしょう。
KEY MEMORYについて詳しくは、下記のインタビュー記事をご覧ください。
化粧品・美容・コスメ系のECサイト事例
化粧品やコスメ系は、国内からだけでなく海外からの購入も多いジャンルです。
伊勢半本店
筆で塗るタイプの口紅である「紅」を販売するのが、化粧品メーカー伊勢半本店の紅事業部のECサイトです。
特別感のあるギフトとして海外からも人気があるため、日本語と共に英語表記を行ったり、アイテムごとにギフトラッピングの形状を変えたりなど、ECサイトも需要に合わせて工夫がされています。
伊勢半本店について詳しくは、下記のインタビュー記事をご覧ください。
雑貨・家具・日用品などのECサイト事例
実店舗ではなかなか見つけられないような、こだわりの雑貨や日用品を販売するECサイトが人気です。
カタカナ
「日本のカッコイイを集めたお土産屋さん」をコンセプトに東京の自由が丘で実店舗を構えるセレクトショップ「カタカナ」さんは、コロナ禍でECサイトをオープンさせました。
自社サイトでは新着商品やイチオシ商品をECサイトのトップページに載せるなど、訪れたユーザーへさまざまな形でユニークな商品を紹介しています。
鎌倉まめやについて詳しくは、下記のインタビュー記事をご覧ください。
紡ぎ舎
長野県小谷村で日用品と暮らしの道具を扱うネットショップをご夫婦で営む、紡ぎ舎。日本全国にあるものづくりの産地・作り手を実際に訪れ、厳選した商品のみを扱っています。
それぞれの商品ページには、作り手や商品に対する説明がまるで読み物の1ページのように細かく書かれており、実店舗を訪れなくても商品の魅力が十分に伝わってきます。
紡ぎ舎について詳しくは、下記のインタビュー記事をご覧ください。
ECサイトの構築方法は5種類!事業者も紹介
見た目は同じようなECサイトでも、実は主に5種類の構築方法があります。
ここからはそれぞれの特徴や代表的な構築方法の主な事業者を見ていきましょう。
ECモール
ECモールとは、実店舗のショッピングモールのようにさまざまなジャンルのネットショップが出店する総合的なECサイトです。
サイト開設のマニュアルが整っていたり、デザインのフォーマットが統一されていたりするので、ネットショップ初心者でも始めやすいのがメリットです。
また、ECモール自体に集客力があるので、出店直後でも購入されやすいでしょう。
一方、ドメインがECモールのドメインであったり、サイトデザインも自由度が低かったりすることから、ショップのオリジナリティが出しにくくブランディングには向いていません。
また、ECモール独自のポイントやイベント、その他のルールなど多くのことについてモール側に従わなければならないので、自社の好きな方法で自由に運営するのが難しい場合もあります。
Amazon
日本最大のECモールで、Amazonプライム会員はお急ぎ便が無料など、配送の利便性の高さから多くの人に利用されています。
Amazonへ事業者としての出品は1点からでも可能なので、事業規模に合った販売ができるのが特徴です。
ただしECモールの中でも特にサイトデザインの自由度が低く、ショップ名も目立たないのでユーザーはどのショップで買ったか把握できず、リピート購入などはあまり期待できないでしょう。
ASP型(ECサイト作成サービス)
各サービス会社の提供するネットショップ作成用システムを利用して、ECサイトを立ち上げる方法です。
ECモールと異なり、あくまでも自社オリジナルのECサイトができるのがメリットです。
立ち上げに関しても各社が提供しているデザインテンプレートを利用すれば、早くて数時間でECサイトが作成できます。
サイト制作の知識もそこまで必要としないことから、初心者でも利用しやすい方法といえます。
ASP型は月額費用のかかる有料サービスだけでなく、初期費用・月額費用のかからない無料サービスもあるので、「売れるかどうかわからないけれど、ネットショップを始めてみたい」という人も低リスクで始められるでしょう。
ASPについては「ECサイトをASPで構築!」の記事で詳しく紹介していますので、あわせてご覧ください。
カラーミーショップ
カラーミーショップは、GMOペパボ株式会社による国内最大級のASP型サービスです。
事業規模に合わせて選択できる複数の有料プランがあるほか、小規模スタートでも活用しやすい無料プランもあります。
80種類以上のデザインテンプレートの中から好きなものを利用すれば、初心者の方でもオリジナルのネットショップが手軽に作成できます。
また、有料プランであれば電話サポートが受けられるので、「初めてで不安」という方にはサポート体制に定評のあるカラーミーショップだと安心でしょう。
海外販売や卸販売、Instagramショッピング連携など機能を追加したければ、オプションのアプリを利用することで自社が望む機能を持つショップへとカスタマイズできます。
さらに詳しく知りたい方は、カラーミーショップのサービス資料もご用意しておりますので、ぜひチェックしてみてください。
3分でわかるカラーミーショップの資料ダウンロードはこちら >
オープンソース型
オープンソースは全世界へ無償で公開されているソースコードを使って、ECサイトを構築する方法です。有名なオープンソースとしてはWordPressが挙げられます。
システム利用料が無料なので基本的に低コストで始められるものの、ECモールやASP型と比べてデザインや機能面の自由度が高く、より大規模なECサイトが作成できるのが魅力です。
ただし公開されているソースコードを利用して自力で制作するのは、ある程度知識がないと難しいので、初心者にはおすすめできない方法です。
EC-CUBE(イーシーキューブ)
国内大手のオープンソースで、無料で利用できるダウンロード版と有料のクラウド版があります。
英語がベースの海外のオープンソースであるWordPressと異なり、日本発のEC-CUBEは日本語に標準で対応している強みがあります。
ECパッケージ
ECパッケージは、ECサイトに必要な機能がパッケージとしてまとまっているソフトを利用してECサイトを構築する方法で、オープンソースと同程度の規模のECサイトが作れます。
ASP型やオープンソースと比べると導入や運用コストがかかりますが、ASP型よりデザイン性やカスタマイズ性が高く、オープンソースのようにソースコードが公開されていないので、高いセキュリティが特徴です。
ただし、ECパッケージは基本的に買い切り方のため、システムが古くならないよう自社でメンテナンスやアップデートをしなければならず、システムの知識が豊富なスタッフによる運営体制の構築が必要でしょう。
ecbeing
カスタマイズ性が高くセキュリティ面も定評がある、大手企業も多数導入しているECパッケージです。
BtoCやBtoBのほか、越境ECやサブスクECなどに最適なパッケージが複数用意されているのが特徴です。
フルスクラッチ
フルスクラッチは、ゼロから完全オリジナルなECサイトを構築する方法です。
そのため、構築費用は数千万~数億円、制作期間も1年以上かかかるといわれています。
カスタイマイズの自由度がどの方法よりも高く、セキュリティも強化できますが、導入難易度の高さから資金が潤沢な日本でも有数の大企業しか選択できない構築方法でしょう。
もっと詳しくECサイトの作り方を知りたい方は、「ECサイトの作り方・構築方法は?」の記事をチェックしてみてください。
ECサイトに必要な機能ってどんなものがある?
どんな機能があれば、ECサイトとして十分に運営していけるでしょうか。「これは必須」といえるものをピックアップしました。これらの機能は、自力でECサイトを作る場合を除き、「SaaS型」であれ「モール型」であれ、標準的についているものです。
1. ショッピングカート機能 |
商品画像のページで「カートに入れる」を押すと買う予定の商品がカートに入っていく機能です。お客さま目線で、商品をカートに入れた際の挙動などをチェックしてみましょう。 例えば、商品をカートに入れ決済画面に遷移したあと、買い忘れに気づいて「買い物」に戻りたいと思っても、戻る方法がわかりにくいなどは購入体験の質が低下します。カゴ落ち(決済に進んでもらえない)してしまうだけでなく、リピートしてくれない可能性が高まるので、遷移方法の分かりやすさは重要です。 |
2. セキュリティ機能 |
ECサイトは多くの個人情報を扱うので、ECサイトのセキュリティ対策は必須です。どんなに買い物がスムーズでも、個人情報が流出してしまいそうなお店と感じたら、利用したいお客さまは少ないからです。 SSL(暗号化通信)をはじめ、個人情報やカードの不正利用を防ぐ3Dセキュア2.0などの仕組みは各社で積極的に取り入れられていますので、その取り組みがどのようにお客さまに情報として届くかに注目してみましょう。 |
3. 決済サービス機能 |
独自の「決済サービス」を構築しているサービスもあれば、決済代行会社との契約が必要なサービスもあります。ネットショッピングで最も利用率の高いクレジットカードの決済手数料を中心に、そのほかの決済手段を取り入れていきましょう。 導入コストの関係で決済手段を絞る場合には、自店のターゲット層が最も多く使う決済手段が優先となります。 後払いは人気の決済手段ですが、運営資金が十分でない時期に導入すると資金繰りに影響する可能性もあります。お店の成長に合わせて、徐々に決済手段を増やすのも賢いやり方でしょう。 また、Amazon Payなど、個人情報を新たに入力しなくても購入できる「ID決済」を導入することもおすすめです。 >>ID決済のメリットや使い方はこちら |
4. 受注管理システム機能 |
受注管理のシステムは、受注した後の入金状況の確認や、キャンセル処理なども含めて流れるように行えるものが望ましいでしょう。あっちを見て、こっちも見て、という管理画面ではトラブルのもとになってしまいます。 特に、入金後の発送が遅かったり、キャンセル後の連絡がないなどは顧客の心象を損ないます。ECサイトは実店舗に比べても口コミの影響を受けやすいので、受注管理画面の使い勝手にはこだわりましょう。 |
ECサイトを開業したらお客さんは来るの?
ECサイトを開業したとして、お客さまが来てくれるのか、ちゃんと商品が売れるのかというのが一番不安な点ではないでしょうか。
結論としては、「商品に需要があり、集客に力を入れれば、お客さまは来てくれる」ということになります。
どんなに商品が素晴らしいものでも、知られていなければ売れません。実店舗と違って、「通りを歩く人がふと足を止めてくれる」というのは期待できないので、こちらから声を出して注目を集める必要があります。
インターネット上で声を出すというのは、「広告を出す」「SNSやブログで発信する」の2種類です。SNSやブログの配信に特徴があれば、広告費をかけなくても注目が集まることはあります。
ポイントは、「お客さまが探しているもの、求めている答えを出してあげる」ということです。
例えば、お客さまが「小学校 入学 お祝い 贈り物」という検索をする時、このお客さまは何を贈ればいいのかまだアイデアがない、見当がつかない可能性があります。
もしみなさんが、お祝いに最適な商品を扱っていたとしたら、SNSやブログに次のような情報を載せると効果的です。
- ・小学校の入学祝いに最適である理由
- ・最適な贈り主の立場(親類なのか友人なのか)
- ・もらって喜ぶのは誰か(入学した子供か、その親か)
- ・贈り物の金額は適正か(相場を交えて、立場ごとに解説する)
- ・その商品を送るのは無難なのか、ひねりがあるのか など
どんな商材を扱っていても、みなさんはその商材関連の知識が豊富なはずです。
その知識こそお客さまが求めているものなので、惜しまず提供するとお客さまを集めやすくなるでしょう。
なお、ECサイトのお客さまを集める「集客」の方法について知りたい方は、こちらの「ECサイトへの集客方法は?」の記事をご覧ください。
こんな人にECサイトの開業・開設はおすすめ
下記のような課題を抱えている方には、ECサイトの開業をおすすめします。
- ・実店舗の客足が伸びずに苦戦している
- ・売りたい商品はあるが、実店舗を用意する資金がない
- ・地域の顧客は掴んでいるが、全国に向けて販売したい
- ・海外にも販路を拡げたい
ECサイトの良いところは、地域や国の縛りなく、どこまでも販路を開拓していけるところです。また、開業コストは実店舗の比ではないほど抑えられますし、始めたばかりの規模なら1人でも運営可能です。
先の経済産業省の調査結果を見ると、多くの分野でECサイトの市場規模は大きくなっています。そのため、上記の例に当てはまらなくても、まだEC化をしていない事業主の方には、どなたにもおすすめできるという状況です。
特に、物販を行う事業者の方は個人・法人を問わずECサイトの開業を検討する価値があるでしょう。
下の2つの図はコロナ禍における消費行動の変化をグラフ化したものです。
コロナ禍によって、これまでインターネットを使った買い物には興味のなかった層まで、ECは広く浸透しました。ネットスーパーなど、生活必需品の買い物にもECサイトを使う方が増えてきています。
2024年はコロナ前の日常にほぼ戻っていますが、ECサイトに慣れた方の一定数はオンラインで買い物を済ませています。
今後はインターネットを利用した買い物がさらに身近になっていく可能性もあるので、お客さまとの接点を増やすという意味でもECサイトの開業を検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
ECサイトについて、以下の内容を解説しました。
- ・ECサイトの言葉の意味
- ・ECサイトのビジネスモデル
- ・ECサイトの市場規模
- ・ECサイトの業務内容
- ・ECサイトの事例
業務内容などを見て、「1人でできるだろうか」と不安になった個人事業主の方や、「どこから手を付けたらいいのか」と感じた企業担当者の方もいるかもしれません。もちろん、運営する上で難しいことはたくさんありますが、開業するのは簡単です。
まずは簡単なことから積み重ねて、少しずつ「売れるECサイト」にしていくのはいかがでしょうか。すべてが得意な必要はありません。お店の成長に合わせて、自分の苦手を補ってくれる仲間を見つけ、事業を拡大させていきましょう!
ECサイト開業の関連記事としてこちらも見られていますのでぜひチェックしてみてくださいね!
よくある質問
ECサイトという言葉は意味が広く、EC(イー・コマース)の名が示すとおり、オンライン株取引やネットオークションなど、電子商取引を行うサイトはすべてECサイトといえます。その中でも、ネットで商品を販売する業態がネットショップですが、実際はそこまで区別されて使われていません。
詳しくはこちらの章をご確認ください。
ECサイトと一口にいっても、Amazonや楽天のようなモール型や、カラーミーショップなどの無料作成サービスを利用して作るASP型など、ECサイトの種類によって作り方が異なります。
種類ごとのECサイトの作り方についてこちらの章で解説しています。