年々、市場拡大するEC事業の中でも、規模が大きいのがBtoB ECです。
BtoB ECとは、インターネット上での企業間の売買の取引を指す言葉で、2023年10月に導入が予定されている「インボイス制度」により、さらにBtoB ECが増加することが予測されています。
そこで今回は、BtoB ECとはどのようなものなのか、市場規模やBtoC ECとの違い、BtoB ECサイトを構築する方法などについて解説していきます。
BtoB ECの導入企業が最近急増しているみたいだね。
新型コロナウイルス感染症や働き方改革などの影響で、BtoB ECへとシフトする企業が増えています。これから詳しく説明していきます。
目次
BtoB ECサイトとはどういう意味?
BtoBとは「Business to Business」の略で、「企業間の」という意味です。
ECは「電子商取引」を指すため、BtoB ECとは、インターネット上で企業と企業がモノやサービスを売買することを意味します。
最近では、企業間で行われる卸売のBtoB ECサイトも増えてきています。
紙の書類での発注や電話などのアナログな方法ではなく、インターネットを介すことで、企業間の取引を迅速に処理ができるのが大きな特徴です。
企業は、BtoB ECを導入することでインターネット環境と端末があれば、どこでも受発注業務ができます。
また、新規開拓に関しても自社が直接営業に行かなくても、ネット検索からの流入やWeb広告で新規顧客が獲得できるでしょう。
さらにインターネット上での取引のため、国内だけに留まらず越境ECといったグローバル展開も期待できるなど、BtoB ECは対面での商取引に比べ、より大きなスケールでのビジネスが行えるといえます。
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BtoB ECサイトの種類
一口にBtoB ECといっても、下記のようにいくつか種類があります。
- ・ネット通販型
- ・マーケットプレイス型
- ・自社サイト型
ネット通販型のBtoB ECの代表例としては、「アスクル」や「モノタロウ」が挙げられます。
BtoB ECのパイオニア的存在であり、価格や納期をオープンにした法人向けの通信販売を行うビジネスモデルです。
2つ目のマーケットプレイス型は、複数の卸売業者の商品をインターネット上で出品するというビジネスモデルで、ECモール型ともいえるでしょう。
「スーパーデリバリー」や「NETSEA」が代表例として挙げられます。
マーケットプレイス型はネット通販型とは異なり、従来の企業間の商慣習を取り入れ、卸価格は会員のみ見られる点が特徴でしょう。
ただし、マーケットプレイス型は同じサイトに多数の競合他社の商品が並ぶため、価格競争に巻き込まれ利益が出にくいというデメリットがあります。
そこで、マーケットプレイス型の後に登場したのが、会員制の「自社サイト型」です。
マーケットプレイス型と異なり、自社の商品のみを販売するECサイトです。
このようにBtoB ECサイトも、販売する商品や商品価格の表示方法などはサイトの種類によって異なります。
BtoB ECの市場規模とは
冒頭で、BtoB ECは市場規模が大きいとお伝えしましたが、どれくらいの規模なのでしょうか。
経済産業省が令和4年に公表した「令和3年度電子商取引に関する市場調査報告書」によると、2021年のBtoC EC(企業から個人への販売)の額が20 兆 6,950 億円であるのに対し、同年のBtoB EC市場規模は372 兆 7,073 億円と、BtoC ECの約18倍でした。
このことから、企業間の取引の規模が対個人と比べるといかに大規模なのかがわかります。
また、BtoB EC市場自体も、2020年の334兆9,106億円から11.3%増加しています。
上記のことからBtoB ECの市場の規模はかなり大きく、確実に成長しているため、今後も市場規模は拡大していくことが予想されます。
BtoB EC市場が拡大する理由・背景
経済産業省の資料を基に、BtoB EC市場が拡大しているということをお伝えしました。
では、なぜ上記のようにBtoB EC市場規模が拡大しているのかというと、以下のような理由・背景が考えられます。
- ・「働き方改革」による働き方の見直し
- ・業務効率化を図るためのITインフラの整備
- ・スマホやタブレットなどのデバイス端末の普及
- ・BCP(事業継続計画)策定の推進
2016年に提唱された「働き方改革」は、2019年から「働き方改革関連法」が順次施行され、長時間労働の是正や生産性の向上など、企業は働き方の見直しを求められています。
そのような中、労働時間を短縮する手段のひとつとして、BtoB ECの導入が施策として注目されているのです。
また、ITインフラを整備しWeb上でビジネスに必要なコミュニケーションを図ることでアナログなやり取りを減らし、業務を効率化しようとする企業が続々とBtoB ECを導入し始めています。
さらに、スマホやタブレットなどのデバイス端末の広い普及もBtoB ECの拡大を後押ししました。
加えて、世界情勢もBtoB ECを促進したと考えられます。
新型コロナウイルス感染症拡大やウクライナ情勢などにより、資材調達が困難であったり、原材料費が高騰したりする不確実性の高い現在において、どのように事業を継続していくかをあらかじめ計画するBCPが推進されました。
BCP対策として、時間や場所を問わず受発注でき、データをクラウド上で管理できるBtoB ECが活用されたことも市場規模拡大の一因といえるでしょう。
インボイス制度により導入する企業が急増する可能性も
2023年10月から導入が予定されているインボイス制度とは、正式には「適格請求書等保存方式」といい、消費税額の仕入税額控除を受ける際に必要となる仕組みです。
インボイス制度の導入により、買い手は仕入税額控除の計算で従来とは異なる作業が発生し、売り手は適格請求書発行事業者登録や請求書などの記載ルールへの対応が求められます。
上記のような経理業務の負担軽減に向けて、インボイス制度に対応したBtoB ECプラットフォームを活用する企業が増加することが予測されます。
インボイス制度では、電磁的記録である「電子インボイス」の提供が可能になるといわれており、この仕組みを通じて取引相手とデジタル請求書をオンライン上で交わすことができるでしょう。
BtoB ECサイトとBtoC ECサイトの違いは何?
BtoBとよく比較される言葉にBtoCがあります。
BtoCとはBusiness to Customer(企業と一般消費者との取引)のことです。
ではBtoC ECサイトとBtoB ECサイトとには具体的にどのような違いがあるのか、ポイントごとに違いについて解説していきます。
販売対象の違い
まずBtoB ECサイトとBtoC ECサイトでは、下記のように販売対象が異なります。
- ・BtoB ECサイト:「企業」と「企業」の取引
- ・BtoC ECサイト:「企業」と「一般消費者」の取引
BtoB ECサイトは企業間の取引で、例えば「メーカーと卸問屋」や「卸問屋と小売店」などの取引のことです。
対してBtoC ECサイトは企業と私たちのような一般消費者との取引で、ネットショップで商品を購入するのはBtoC ECに該当します。
必要な機能面の違い
BtoB ECサイトとBtoC ECサイトは販売対象が異なるため、必要となる機能面に違いがあります。
機能面の具体的な違いは、以下のようになっています。
価格の表示方法
BtoC ECサイトは商品価格がオープンになっており、基本的にどの消費者に対しても同じ価格で商品を販売しています。
一方BtoB ECサイト、とくに卸売ECでは大量発注の場合には商品を割安にするなど、取引先ごとに商品の価格設定が異なります。
そのため、BtoB ECサイトでは、取引先ごとに表示する価格を変更する機能が備わっています。
BtoB ECサイトでは、同一の商品をさまざまな価格で販売する方法(一物多価)が可能なのです。
商品の表示方法
BtoC ECサイトでは、事前に会員登録が必要な場合もありますが、サイトに掲載されている商品は、すべて消費者が見て購入することができます。
一方、BtoB ECサイトでは、特定の取引先にのみ販売している商品や、ライセンスを保有している企業を対象に販売している商品、委託されて企業ブランドの商品を生産するOMEなどがあります。
そのようなさまざまな販路に対してBtoB ECサイトでは、取引先ごとに異なる商品の掲載が可能な機能が搭載されています。
決済方法
BtoC ECサイトでは、クレジットカード決済や代引、コンビニ決済などの決済方法が一般的です。
しかし、企業間の取引であるBtoB ECサイトでは商品を先に納品し、請求書などで代金を清算する掛け売りや、銀行振込などの決済方法もよく利用されます。
そこで、BtoB ECサイトでは決済方法も取引先ごとに利用可能かどうかを設定する機能が必要となるのです。
BtoB ECサイトを構築する方法
通常のECサイトとは異なる機能を持たせるBtoB ECサイトを構築する方法には、主に下記の4種類があります。
- ・ASP
- ・オープンソース
- ・パッケージ
- ・フルスクラッチ
そして以下は、それぞれの構築方法の費用や年商の目安を比較した表です。
構築方法 | 初期構築費用 | 月額費用 | カスタマイズの幅 | 年商の目安 |
ASP(ECサイト作成サービス) | 0~数万円 | 0~10万円程度 | △ | 0~1億円程度 |
オープンソース | 0円 | 10万円~ | ○ | 1億~数十億円程度 |
ECパッケージ | 数百万円~ | 10万円~ | ○ | 1億~数十億円程度 |
フルスクラッチ | 数千万円~ | 数十万円~ | ◎ | 数十億円~ |
ここからは、それぞれのECサイトの作り方の特徴やメリット、費用などについて説明していきます。
ASP
ASPとはカラーミーショップのような、インターネット上で提供されているECサイトを構築するためのシステムを利用して、自社サイトを構築する方法です。
ASPは初期費用・月額利用料が無料で、商品が売れた場合にのみ決済手数料が発生する仕組みのサービスが多いので、低コストでBtoB ECサイトを始められます。
また、システムのアップデートやセキュリティ対策はサービス側が行うため、運用面でも負担が少ないのが魅力の1つです。
ただし、オープンソースやパッケージ、フルスクラッチと比較するとデザイン面や機能面での自由度はあまり無いといえます。
オープンソース
世界中に公開されているプログラム(オープンソース)をベースにして、ECサイトを作る方法もあります。
WordPressは有名なオープンソースです。
ソースコードは誰でも無料でダウンロードでき、オプションの拡張機能も利用すれば、機能面も自社の好きなようにカスタマイズできます。
デザイン面もASPに比べれば自由度が高いですが、カスタマーサポートが無かったり、セキュリティ対策を自社で行わなければならなかったりと、プログラミングに関するある程度の知識が無いと構築や運営は難しいでしょう。
ECパッケージ
BtoB ECサイト構築に必要な機能がパッケージ化されており、製品として開発会社が販売しているのがECパッケージです。
開発会社が提供しているパッケージによって内容は異なりますが、業務に必要な機能は基本的にそろっているため、ゼロからECサイトを構築する必要はありません。
ECパッケージなら、オープンソースと同じくらい柔軟にECサイトをカスタマイズすることができます。
ただし、初期構築で数百万円程度はかかるといわれているので、それ相応の年商が見込める規模のサイト向けの構築方法です。
フルスクラッチ
フルスクラッチとはゼロから全くオリジナルのBtoB ECサイトを構築する方法です。
すべてをオーダーメイドで作るため、その他の方法では実現できない機能も、全て実装できるのがメリットです。
ただし、フルスクラッチは作成に数年や数億円など時間と費用がかかるため、たとえばユニクロのような日本でも有数の大企業ではないと採用できない方法でしょう。
自社内にシステムに知見のある人材も必要となるため、現在この方法でBtoB ECサイトを構築する企業は減少傾向にあります。
BtoB ECサイトのメリット・デメリット
これまでECサイトを行っていなかった企業がBtoB ECサイトを行った場合、どのような効果や懸念点が考えられるのでしょうか。
ここからはBtoB ECサイトのメリット・デメリットについて見ていきます。
メリット
BtoB ECサイトのメリットとして、下記のものが挙げられます。
- ・受発注処理など業務負担の軽減
- ・手作業による処理でかかっていた経費の削減
- ・ヒューマンエラーの防止
- ・販路拡大による新規顧客の獲得
受発注処理や請求業務などを今まで電話やFAXで行っていた場合、BtoB ECサイトを導入すれば作業が自動化できるので、担当者の業務負担が減り、人件費の削減も期待できるでしょう。
また、紙やコピー機、書類の保管などが不要になるため、物理的なコストの削減も可能です。
さらに、従来まで人の手で入力して管理していたものがECサイトのシステム上でできるため、ヒューマンエラーが防げる点もメリットです。
その結果、エラーによるトラブル処理で費やしていた作業コストもなくなります。
さらに、従来の方法では営業のために足を運んだり、電話でアポを取ったりする必要がありましたが、BtoB ECサイトを作れば、ネット検索での流入やWeb広告によって営業せずとも新規顧客からの問い合わせが来るでしょう。
デメリット
一方、BtoB ECサイトのデメリットとしては、下記のようなことが挙げられます。
- ・BtoB ECサイト立ち上げのためのコスト発生
- ・取引形態の変更による既存顧客へのフォロー
- ・BtoB ECサイト導入による社内調整
方法によってかかる費用は異なりますが、BtoB ECサイトを構築するためには当然のことながら、導入のコストが発生します。
また、BtoB ECサイトを導入するにあたって、今まで電話やFAX、メールで取引していた既存顧客に対して、サイトの利用方法の説明などフォローが必要となるでしょう。
もし「これまで通りFAXでお願いしたい」といわれてしまったら顧客を説得し、納得してもらうなどの対応が必要です。
システム導入による調整は、もちろん社内でもあります。
サイトを導入・運用する上で、社内の各部署と新たな業務フローを決めたり、現場担当者に使い方を説明したりなど、軌道に乗るまで手間と時間をかけなければならないでしょう。
BtoB ECサイトを選ぶ際のポイント
では、BtoB ECを実際に立ち上げようとなった際、どのようなポイントで構築方法やサービスを選べば良いのでしょうか。
まずポイントとしては、かかる費用です。
先ほどもご紹介したように、ECサイトの構築費用は方法によって大きく異なるので、自社の予算に見合った方法の選定が大切です。
自社の想定年商に合った規模に対応できそうかどうかも、構築方法を選ぶ際に確認しましょう。
また、日本には独特の商習慣が存在し、業界や業種ごとにルールがあるケースも多いため、費用や年商だけでなく、機能面で自社に必要なものが備わっているかも吟味しなければなりません。
自社の業界で適用されるルールが、カスタマイズすればECサイト上で行えるかどうかも、導入の際の重要な確認ポイントです。
自社の基幹システムと連携できるかどうかなど、事前にしっかりと確認しましょう。
カラーミーショップでもBtoB ECサイトの構築が可能!
簡単にネットショップの開業できるカラーミーショップでも、卸販売アプリを導入することにより、BtoB ECサイトを構築することができます。
卸販売アプリを利用すると、取引先ごとに商品の価格設定ができ、1個ずつではなくロットでの販売も可能です。
また、パスワードを渡すことにより取引先を「卸販売専用サイト」に案内でき、アプリで設定した価格で商品の見積もりを出すことができるなど、卸販売に必要な機能を兼ね備えています。
簡単にBtoB ECサイトを作りたい場合は、ぜひカラーミーショップでの構築がおすすめです。
さらに詳しく知りたい方は、カラーミーショップのサービス資料もご用意しておりますので、ぜひチェックしてみてください。
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まとめ
今回は、BtoB ECサイトとはどのようなものなのか詳しく解説しました。
市場規模が拡大傾向にあるBtoB ECは、今後も多くの企業が導入することが予想されます。
BtoB ECサイトは構築方法によって特徴や費用が異なりますが、自社の業界の商慣習と予算に合った方法を選択することが大切です。
この記事を読んでBtoB ECサイトについて理解し、自社のビジネスモデルに合致しそうであれば、ぜひ導入を検討してみましょう。
BtoB ECサイトを構築する際は、国内最大級のASPであるカラーミーショップをぜひご利用ください。
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