
個人でお店を始めてみたいオーナーさんや、会社でECサイト開業の担当になったものの初心者で戸惑っている方向けに、なるべく簡単な言葉を使ってECサイトの作り方を解説します。現状よりも、少し先の目標や数字を意識して読んでいくとやることが明確になります。ぜひ、意識して読んでみてください。

ECサイトの作り方を調べると、作り方だけで何パターンか出てくるよね?そこからさらにサービスの違いを調べるなんて無理。疲れてパソコン閉じちゃうよ。

確かにECサイトの作り方はいくつかあるけど、この記事を読めば消去法ですぐにぴったりの作り方が見つかりますよ!いっぺんにやろうとせず、一つひとつ決めていけば大丈夫!
目次
ECサイトを構築・作成する5つの方法!年商別におすすめサービスも紹介
ECサイト(ネットショップ)を構築・作成するには、下記の5つの方法があります。
1. ECモールECサイト作成サービス(ASP)
2. ECモール
3. オープンソース
4. ECパッケージ
5. フルスクラッチ
そして下の表ではおすすめの作成方法を、年商規模別にまとめました。
年商 | おすすめのECサイト構築方法 |
~100万円程度 | 無料・有料ECサイト作成サービス、ECモール |
100万~1億円程度 | 有料ECサイト作成サービス、ECモール |
1億~数十億円程度 | オープンソース、ECパッケージ |
数十億円~ | フルスクラッチ |
ではここからは、それぞれの方法の特徴とおすすめサービス、メリット・デメリットについて解説していきます。
1.ECサイト作成サービス【年商0円~1億円におすすめ】
カラーミーショップなどの、ECサイト作成サービスを利用して自社ECサイトを構築する方法です。
この後ご紹介するECモールは、あくまでプラットフォームの中に自社のショップを出店しますが、ECサイト作成サービスを利用する場合は、各サービス会社のシステム部分のみ利用して自社のECサイトを構築する仕組みです。
ECサイト作成サービスには、無料で作成できるものから有料のものまであるため、年商がまだ見込めない場合は無料のECサイト作成サービス、年商が100万円以上見込める場合は有料のECサイト作成サービスを利用するとよいでしょう。
無料のECサイト作成サービスには、下記のようなものがあります。
- ・カラーミーショップ(フリープラン)
- ・BASE
- ・Yahoo!ショッピング
- ・STORES
また、有料のサービスには、下記のようなものがあります。
- ・カラーミーショップ(レギュラープラン・ラージプラン)
- ・MakeShop
- ・Shopify
ECサイト作成サービスを利用する場合、カラーミーショップのようにいくつかのプランがあるサービスをおすすめします。
プランが複数あるサービスを選べば、初めは初期費用・月額利用料無料のプランからスモールスタートし、ショップの規模が拡大してきたら有料のプランにプランアップできるので、事業の成長に合わせて最適なプランが選べるでしょう。
ECサイト作成サービスのメリット
ECサイト作成サービスは、ネット上で誰でも簡単にECサイトが作成できる点が大きなメリットです。
また、無料作成サービスを利用すれば、無料でECサイトを開設して売れるまで費用がかからないので低リスクで本格的なECサイトが構築できます。
オープンソースやパッケージ、フルスクラッチには及びませんが、デザインテンプレートをカスタマイズして自社に合ったECサイトを自由に作れる点も魅力でしょう。
自身でサーバーを持つ必要がなく、チャットや電話などでのサポート体制も充実しているので、初心者でも安心して利用できます。
ECサイト作成サービスのデメリット
ECサイト作成サービスではサイトをカスタマイズできますが、自作型ECサイトの中では自由度が低いといえます。
また、外部のシステムを利用してECサイトを作成するため、自社のシステムとの連携が図れない場合があることもデメリットでしょう。
さらに、各社でさまざまな月額プランがあるので、プランの選択を誤ると手数料が高くなり、想定よりも運営コストがかかってしまう可能性も。
カラーミーショップでは月商をもとに最適なプランが診断できるシミュレーターを用意しているので、自社にピッタリのプランが選べます。
2.ECモール【年商数十万~1億円におすすめ】
ECモールとは、その名の通りオンライン上のショッピングモールで、複数のショップや企業が集まるプラットフォームです。
ECモールでは自身のECサイトを持つのではなく、既存のプラットフォームの中に出店する形になります。
そのため独自ドメインを取得し、自社でECサイトを構築する必要はありません。
ECモールで代表的なサービスには、下記のようなものがあります。
- ・Amazon
- ・楽天市場
- ・Yahoo!ショッピング
では、ECモールのメリットやデメリットを見ていきます。
ECモールのメリット
ECモールは、知名度があるため、自作型ECサイトよりも集客力があるのが最大のメリットです。
「Amazonで商品を探そう」という人も多いので、初めて出店する場合でも一定の売上が見込めるでしょう。
また、出店するためのマニュアルが整備されているため、初心者でも比較的簡単に商品を販売することができます。
さらには、それぞれのECモールでメールや電話によるサポートがあるため、ネット販売に不慣れな人でも安心して利用できるでしょう。
既存のシステムを利用するため自作型ECサイトのようにシステム構築の初期費用がかからないのも、大きな魅力の1つです。
ECモールのデメリット
たとえば楽天に出店しているショップは、どのお店も似たようなサイトの作りになっていますよね。
このようにECサイトでは一定のルールがあるので、自作型ECサイトと比較するとデザインや機能面での自由度が低いといえます。
また顧客情報もプラットフォーム側に集積してしまい自社で収集できないので、マーケティング施策を立てにくいこともデメリットでしょう。
さらに、それぞれのサービスによって価格は異なりますが、出店や運営には手数料や月額費用が発生します。事前にどのくらいの手数料がかかるのか確認し、自身の売上見込みに合ったサービスを選択することが大切です。
3.オープンソース【年商1億~数十億円におすすめ】
オープンソースとは、外部に公開(オープン)されているシステム(ソースコード)を使用してECサイトを構築する方法です。
オープンソースは、誰でも無償でサーバーにインストールでき、カスタマイズ性も高いのが特徴です。
代表的なオープンソースとして、下記のようなものがあります。
- ・EC-CUBE
- ・Magento
- ・WordPress
EC-CUBEは日本で開発されたもの、Magentoは越境EC向け、WordPressは拡張機能であるプラグインを使用することでECサイト化できるものです。
オープンソース自体は無償で使用できるため、年商の見込みが少ない人にもおすすめですが、サーバーのレンタル費用などを考慮しておく必要があるでしょう。
オープンソースのメリット
前述の通り、オープンソースは無償で使用できるため、導入費用面ではコストを抑えることができるのが最大のメリットです。
ECサイト作成サービスやECモールと比べて拡張機能が豊富なので、より自社に合ったECサイトを構築できるでしょう。
また、世界中に公開されているプログラムなので、わからないことがあってもサイトや個人ブログ、本などに書かれている豊富なノウハウを参考に解決することができます。
オープンソースのデメリット
低コストでカスタマイズ性が高いオープンソースですが、プログラミングなどの専門知識がないとECサイトを構築することは難しいことが最大のデメリットです。
ECモールやECサイト作成サービスのようにサポート体制がないので、社内にシステムに詳しい人間がいない場合、運用は難しいといえます。
また、公開されているソースを使用するため、プログラムを解析した悪意のある第三者によって攻撃が仕掛けられるなど、セキュリティ面での不安はぬぐえません。
オープンソースを利用する場合、正しいセキュリティ対策が必要不可欠です。
4.ECパッケージ【年商1億~数十億円におすすめ】
ECパッケージとは、ECサイトを構築するのに必要な機能がそろっている製品で、開発会社から購入し、サイトを作成します。
オープンソースとの大きな違いは、オープンソースが無償で使用できるのに対し、ECパッケージは500万円程度の費用がかかることです。
そのため、ある程度のまとまった年商が見込める企業におすすめの方法です。
代表的なECパッケージとして、下記のようなものがあります。
- ・ecbeing
- ・EC-ORANGE
- ・eltexDC
ecbeingは国内トップシェアのパッケージ、EC-ORANGEは大量アクセスにも対応、eltexDCはカスタマイズなしでもすべてのEC業務を行える統合パッケージになっています。
ほかにもさまざまなECパッケージがあるため、まずはサービス内容を比較検討するとよいでしょう。
ECパッケージのメリット
ECパッケージは、商品の在庫管理などの基本的な機能から外部システムとの連携まで、ECサイト構築に必要な機能がパッケージ化されており、必要に応じて柔軟にカスタイズできるのが大きな特徴です。
また、ECパッケージは開発会社がソースコードを公開していないため、オープンソースと比較するとセキュリティ面では安心だといえるでしょう。
さらには、デザイン面でもECモールやECサイト作成サービスと比べるとかなり自由度が高いため、大規模で自社オリジナルのECサイトの構築がしやすいこともメリットです。
ECパッケージのデメリット
ECパッケージは、ECサイト作成サービスやオープンソースと比較すると、初期費用やランニングコストが高いのがデメリットです。
そのため、年商の見込みがない個人や事業規模の小さい企業には見合ってない構築方法といえるでしょう。
また、ECサイトは一度構築したとしても、顧客のニーズやトレンドに合わせて、数年に一度は機能やセキュリティ面でのアップデートが必要になります。
ECサイト作成サービスやECモールの場合はサービス提供側の企業が行ってくれますが、ECパッケージはECサイトの管理もすべて自社で行うスタイルのため、リニューアルやセキュリティ強化などのアップデートを自社側で実行しなければなりません。
自社で独立したECサイトを構築する分、管理や更新も自社内で行わなければならないのがデメリットでしょう。
5.フルスクラッチ【年商が数十億円~におすすめ】
フルスクラッチとは、ゼロベースから自社オリジナルのECサイトをプログラミングして構築する方法です。
国内ECシステムのフラッグシップといわれているユニクロやZOZOTOWNは、ECサイト構築にフルスクラッチを採用している企業として有名です。
フルスクラッチはそなえたい機能などはすべて装備できますが、その分費用と手間がかかるため、資金が潤沢な大企業など採用できる企業が限られています。
そのため、現在ではフルスクラッチでECサイトを構築する事例は減少傾向にあります。
フルスクラッチのメリット
フルスクラッチは、完全オリジナルでシステムを開発するため、ここまでご紹介してきたECサイト構築方法の中で最もデザイン面や機能面でカスタマイズ性が高いです。
また、システムをすべて自社で開発し管理するため、不具合やトラブルが発生した際も迅速な対応ができます。
システムのアップデートも自社が実施したいタイミングで行えるのが魅力でしょう。
フルスクラッチのデメリット
フルスクラッチは独自にシステムを開発するため構築費用は数千万円からで、場合によっては数億円かかることもあり、ランニングコストも高額です。
そのため、数十億円規模の年商が見込めていない場合、フルスクラッチはおすすめしません。
また、フルスクラッチは導入までに年単位の期間がかかるケースもあるため、準備期間をあらかじめ想定してECサイトを構築する必要があるでしょう。
さらにシステムをゼロから作っていくため、自社が望むようなサイトを作ってくれる制作会社や高度な技術力を持った人材の確保も必須です。
ECサイトを構築・作成する際の費用とは?相場を紹介
ECサイトを構築・作成する際の費用は、上記でご紹介した方法によって異なります。
下記の表は、それぞれの方法の費用相場をまとめたものです。
構築方法 | 初期構築費用 | 月額費用 | 販売手数料 |
ECモール | 無料~数万円 | 無料~数万円 | あり |
ECサイト作成サービス(無料) | 0円 | 0円 | あり |
ECサイト作成サービス(有料) | 数千円~数万円 | 数千円~15万円 | サービスによってはあり |
オープンソース | 0円 | 10万円~ | なし |
ECパッケージ | 数百万円~ | 10万円~ | なし |
フルスクラッチ | 数千万円~ | 数十万円~ | なし |
上記の表から、初期の構築費用に関しては、無料のECサイト作成サービスが最もコストを抑えられることがわかります。
そのため、初めてECサイトを構築する場合や年商の見込みがあまりない場合は、無料のECサイト作成サービスの利用がおすすめです。
ただし、サービスの利用自体は無料でも商品が売れると販売手数料が発生することは覚えておきましょう。
オープンソースやECパッケージ、フルスクラッチは、カスタマイズ性が高いのが特徴ですが、初期費用やランニングコストが高いため、一定の年商が見込める場合に視野に入れます。
自社の年商を踏まえた上で、それぞれの方法で発生する費用を試算し、最適な方法を選択することが大切です。
ECサイトの作成方法別に開業までの手順を解説
ECサイト開業・構築までの手順は作り方によって異なります。ECモール・ECサイト作成サービスを利用する場合と、それ以外に大別できますので自店や自社に合った作成方法について手順を確認しておきましょう。
ECモール・ECサイト作成サービスを利用して作成・構築する場合
ECモールの場合はデザインに関する工程がほとんどないなど、多少の違いはありますが、ECモール・ECサイト作成サービスを利用して開業する場合の手順はおおよそ下図のとおりです。
手順1. 登録・作成
まずはサービスを提供している企業のサイトから登録を行います。
ショップの基本情報を記入していくことになりますが、登録後は手順が画面に出て、それを追っていくことになるので迷うことは少ないでしょう。
ECサイト作成サービスの場合、後から変更ができないドメイン名(URLに表示される固有の部分)などは、事前に決めておくとスムーズです。
会社情報、お問い合わせ先などの情報は後から追加・変更できるので、未確定の部分は仮で入れるか、スキップできるようであればしてしまっても構いません。
手順2.デザインの決定(ECサイト作成サービスの場合のみ)
ECサイト作成サービスでは数十種類を超える豊富なテンプレートを用意しているサービスが多いので、強いこだわりがなければテンプレートからデザインを選びましょう。
この際、好みで選んでしまっても問題はないのですが、業種ごとに利用者に認識してもらいやすいデザインがあるので、事例として出ているショップなどを参考にすると売上に繋がりやすくなります。
有料のECサイト作成サービスではデザインのカスタマイズも可能ですが、後からいくらでも変更可能なので、必ずしも開業時に行う必要はありません。
初めてのECであれば、まずは開業することに注力してみてもよいでしょう。
手順3.決済関連の設定
決済手段の種類はECサイト運営で非常に重要です。
多くの利用者が決済方法として希望するクレジットカードを軸に、ターゲットとなる利用者が使いそうな決済手段を取り入れていきましょう。
一方で、ショップのオーナーさんとしては決済手数料も気にしておかなければなりません。決済手数料は商品が売れる度に店舗側で負担する費用です。また、中には月額の利用料金が発生する決済手段もあります。
利用者が少ない決済手段もすべて対応可にしていると、無駄な経費がかかってしまいますよね。最初は手段を絞っておいて、要望に合わせて増やしていくのも賢いやり方です。
サービス側で人気の決済手段をパッケージにしたお得なプランを提供している場合もあるので、数字が細かく比較するのも大変な工程ですが、丁寧に検討を進めましょう。
手順4.配送関連の設定
ECサイトの特徴として、物が売れれば配送が発生するというものがあります。
そこで必須になるのが、お客さまに支払っていただく配送料や、配送会社の選定です。
また、商品がたくさん売れてきたり、最初からある程度の見込みがある場合には、梱包・配送の代行サービスを設定しておく必要があるでしょう。
手順5.商品の登録
商品の画像を載せて、値段や説明文などを登録します。画像の見栄えが悪いと商品はなかなか売れないので、照明や商品を置く台の質感、背景などにもこだわって撮影してください。
複数画像が登録できる場合が多いので、さまざまな角度や、使用した時の感じが分かるものなどバリエーションをつけて登録しましょう。
商品の質に関しては画像だけだとなかなか判別できません。食品であれば食感であったり、衣料品であれば手触りであったり、視覚以外の五感を感じられる説明文を入れるなどしてアピールすると効果的です。
パッケージ・フルスクラッチ・オープンソースを利用して作成・構築する場合
パッケージ・フルスクラッチ・オープンソースを利用してECサイトを構築する場合の手順は、下図のとおりです。
※自社で開発するケースもありますが、ここでは業者に開発を依頼する前提で記載します。
手順1.要件定義
ECサイトにおける要件定義とは、どんな機能が必要で、どのような仕組みを取り入れたいかをまとめ、社内外の関係者が共通の認識で開発を進められるようにすることです。
例えば、数千ある商品を検索する機能をつけたい、自社の配送システムと連携し、出荷状況がリアルタイムに分かるようにしたいなど、「このように動いて欲しい」という内容を書き出します。
その上で、検索はカテゴリごとか、色などの条件でも絞り込みたいのか、といった細かい要望も決めていきます。
開発は要件定義書を元に進めていくので、開発後期になってから追加などが発生しないよう、最初に課題を網羅しておきましょう。
手順2.業者選定
開発を依頼する業者を選定します。要件定義と前後しても構いませんが、要件の大枠だけでも決まっていると「このような機能の開発実績はありますか?」と切り出せてスムーズです。
また、業者にも得意不得意があります。同じECサイトの開発でも、扱う商材によって求められる機能は微妙に異なります。
取り入れたい機能の開発実績がある業者を探し、安定した開発を行ってもらいましょう。
手順3.設計
要件定義書で出した要望を、業者側が設計書にしていく工程です。画面の設計や、機能の設計などが行われ、開発業者からさまざまな確認を求められます。
例えば、項目が足りないことに気付かずOKを出してしまい「その項目に関連する箇所が全く開発されていなかった」ということになると、責任の所在で揉めることになります。
確認を求められたら、しっかりとチェックを行うことが重要です。
手順4.開発
設計書に基づき、業者が開発を行います。
この工程では定期的に業者と打ち合わせの場を設け、進捗具合などを確認します。
できた部分からテストを行うこともあるので、実際に触ってみて要望を満たしているかチェックしましょう。
手順5.テスト
要件定義書、設計書に書かれた通りにシステムが動くかどうかをテストします。
なるべく多くの社員にテストに参加してもらい、動作を確認しましょう。
ECサイトの作り方・構築方法を決める際のポイント
ECサイトの作成・構築方法を決める際には、下記の3つのポイントを押さえる必要があります。
- ・初期費用だけでなく運用コストも考慮する
- ・追加で自社に必要な機能を拡張できるか
- ・セキュリティやサポート体制はしっかりしているか
では、それぞれのポイントについて詳しく見ていきましょう。
初期費用だけでなく運用コストも考慮する
ECサイトを立ち上げる場合、初期コストだけではなくもちろん運用するにもコストもかかります。
月額費用が無料のECサイト作成サービスであっても、商品が売れる度に決済手数料が発生するのでプランによっては割高になってしまう可能性も考えられるでしょう。
そのため、「初期費用が安い」という点にだけ着目するのではなく、利用を検討しているサービスでECサイトを運用していくとすると、どのようなコストが発生するのか事前に確認し、シミュレーションすることが重要です。
追加で自社に必要な機能を拡張できるか
ECサイトを長年運営していくと、顧客のニーズやトレンドに対応するため、新たな機能の追加やデザインの変更が必要になることもあるでしょう。
その際、もし利用しているサービスに柔軟性が無く必要な機能が追加できなかったり、デザインの変更ができなかったりする場合は、サービスの引越しを検討せざるを得なくなります。
そのような事態を防ぐには、将来的に必要となる機能も見据え、追加で必要な機能を拡張できるかどうかチェックしておきましょう。
また、追加で機能を拡張する際に発生する費用もあわせて確認することをおすすめします。
セキュリティやサポート体制はしっかりしているか
ECサイトでは顧客の個人情報を取り扱うため、万全のセキュリティ対策が不可欠です。
悪意のある第三者による攻撃などで情報漏洩があった場合、顧客に甚大な被害が及び、企業の信用が大きく失われてしてしまう可能性もあります。
損害賠償などの訴訟に発展すると多額の費用がかかるケースもあるため、不正アクセスに対応しているかどうかなど、利用を開始する前にそれぞれの構築方法のセキュリティ対策は必ずチェックしましょう。
また、ECサイトを運用していく上で、マニュアルには載っていない問題が発生することもありますので、サポート体制の確認も大切です。
電話でのサポートなのかメールでのサポートなのか、サポートの時間帯や対応までにかかる時間など、実際のサポート内容についてもきちんと調べてから申し込みましょう。
超重要!ECサイトの構築・作成で知っておきたいリスク
ECサイトを構築・作成するうえで知っておきたいリスクの1つが、システムは古くなるということです。
ECモールやECサイト作成サービスを利用する場合、サービス側が常に最新の環境を保つので、ショップオーナーさまがリスクとして気にする必要はありません。
問題が起こるのはパッケージ・フルスクラッチ・オープンソースを利用して構築する場合で、保守・保全をきちんと行わないと、セキュリティの面で弱くなってしまうだけでなく、利用者が使えないECサイトになってしまう危険性もあるのです。
たとえば、皆さんの身近なもので例えるとスマートフォンがあります。
スマートフォンのOSのバージョンが上がった際、アプリが使えなくなったり、不具合が出たりした経験はありませんか?
これはアプリ側で、OSのバージョンアップに対応する調整を行わなかったことが原因で起こります。
ECサイトも同様で、開発したシステムは何もしなければ古くなっていく一方、利用者が使うスマートフォン・ PCのOSやブラウザなどは新しくなっていきます。
これを放置していると、購入する際にエラーが出たり、最悪の場合は表示やアクセスができないといったことも起こらないとは限りません。
開発と保守・保全はセットで考えましょう。
また、人材の確保と人件費のことも計算に入れておく必要があります。
ほかにも、開発を自社で行った場合などは技術者の退職でブラックボックス化してしまい、トラブルに対処できないというケースも起こり得るでしょう。
ノウハウを属人化させない工夫もあわせて行うと安心です。
知っておきたい!ECサイトの構築で申請できる補助金とは
2022年時点では、新型コロナウイルス感染症による影響がまだ続くことを見据え、非対面でのサービスやリモートワークが推進されています。
そこで国や自治体では、ECサイトを含むITツールの導入に対して補助金制度を設けています。
ここからは、ECサイト構築の際に申請できる3つの補助金について解説していきます。
事業再構築補助金
事業再構築補助金とは、「ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応するために中小企業等の事業再構築を支援する」ことを目的としたものです。
ECサイトの構築などだけが対象ではないため、ほかの補助金と比較すると補助額が大きいこと(最大1億円)が特徴といえます。
この補助金の受給対象は、コロナの影響により売上が減少している事業者です。
たとえば、コロナの影響を受けて実店舗だけでは売上が立たなくなり、ECサイトを新たに立ち上げ、事業形態を転換する場合などがこの補助金の受給に該当します。
詳細については、こちらの中小企業庁のサイトで確認してください。
IT導入補助金
IT導入補助金は、「中小企業・小規模事業者等が自社の課題やニーズに合ったITツールを導入する経費を一部補助することで、業務効率化・売上アップをサポートする」ことを目的としたものです。
事業再構築補助金のように事業形態を転換することが要件ではないため、補助額も最大450万円ほどです。
この補助金はコロナ前から実施されていましたが、コロナ後に新たに「低感染リスク型ビジネス枠(特別枠C・D類型)」が設置されました。
この特別枠は、ITの整備によってビジネスを非対面化する場合などに適用され、通常よりも補助率が高いのが特徴です。
補助を受けるためには電子決済を導入するなど要件があるため、詳細についてはこちらで確認してください。
自治体によるIT補助金
国だけではなく、各自治体でそれぞれ独自に実施しているIT補助金もあります。
たとえば東京都中央区では、限度額6万円で「中小企業がオンライン販売から電子決済まで一括して行うサイト構築や利用に必要な経費の一部を補助」というECサイト活用補助金を実施しています。
また、千葉県千葉市では「中小企業がICT環境を構築することにより、働き方改革や生産性の向上、さらに企業価値の向上につなげることを目的」にICT導入を図ることに対しICT活用生産性向上支援事業として上限300万円の補助金制度を設けています。
上記のように、ECサイト構築にあたって活用できるさまざまな補助金があるので、自社の事業拠点となる自治体のホームページを調べてみましょう。
ECサイトの引越し・リニューアルの際の注意点
先ほどお伝えしたように、ECサイトは一度構築して終わりではなくリニューアルや場合によっては引越しが必要になります。
最後に、サイトの引越し・リニューアル時の注意点を2つご紹介していきます。
検索結果(SEO評価)が下がる可能性もある
Googleなどの検索エンジンからユーザーが自然流入(SEO流入)することは、広告などのコストをかけずにサイトに訪れてくれることから、大切にすべき集客ポイントです。
ですがECサイトを引越し・リニューアルした際にURLを変えると、これまでSEO対策で築いてきた評価が下がってしまい、検索順位も下がってしまう可能性もあります。
そのため、新しいURLにした際は、元のURLから自動転送する(リダイレクト)仕組みを整える、もしくは引越し・リニューアル後も同じURLを残しておくことをおすすめします。
トラブルに備えて元に戻せるようにしておく
外部システムと複雑に連携していたり、大規模なECシステムであったりする場合、引越し・リニューアルで予期せぬトラブルが発生することもあります。
実際にリニューアル後に問題が発生し、オンライン販売が長期間ストップしてしまった事例もあります。
そのため、引越し・リニューアル時にはトラブルが発生することも想定し、元のシステムに戻せる体制を整えておくと安心です。
元のシステムに戻せない場合でも、トラブルに備えて事前にシミュレーションしておくことで被害を最小限に抑えることができるでしょう。
まとめ:ECサイト作成・構築サービスの選定は逆算思考で行うのが成功への近道
ECサイトの作り方を選ぶ基準は、費用面、機能面、拡張性、セキュリティ、リスクコントロールなど、多岐にわたることをお伝えしました。
その全てを積み上げ式で考えていくと、どれも一長一短で決められなくなってしまいます。
そんな時は逆算思考でゴールから考えてみましょう。
- 1. 将来的に達成したい年商(10年後〜で考えてみてください)
- 2. (1)を達成するのに必要な機能(業界トップ企業のECサイトなどを参照)
- 3. (2)を導入するのにカスタマイズが必要か
- 4. 大規模なカスタマイズをした場合、セキュリティやリスクをコントロールする体制が築けるか
これらを先に決めてしまい、条件に該当しない構築方法は検討から除いていきます。
将来的な要望を満たす構築方法に絞れたら、その中から現状最も優先度が高い項目(初期費用やランニングコスト、サポート体制など)でサービスを検討すると、絞り込みが楽になるでしょう。
「成長してから必要に応じて都度乗り換える」ということも可能ですが、乗り換え時のコストや労力、利用者の使い勝手を考えるとサービスの切り替えは少ない方がいいでしょう。
少し先の未来を見据えて、しばらくは十分というサービスを選んでおくと、運営に集中できるのでおすすめです。

ECサイト作成・開業の関連記事としてこちらも見られていますのでぜひチェックしてみてくださいね!