本を読むことが好きな人であれば、自身で本屋を開業したいと考えている人も多いのではないでしょうか。
デジタル化が進む現在、いわゆる書店は減少傾向にありますが、本屋+カフェ、本屋+ホテルなど新たな形態の本屋が増えてきています。
また、実店舗はハードルが高いと感じるかもしれませんが、ネットショップでコストを抑えて本屋を開業することもできます。
そこで今回は、本屋を開業する方法やメリット、開業する手順や成功するコツなどを詳しく解説していきます。
僕は読書が大好きだから、自分で本屋を開業するのは夢の1つなんだよね。
そんなツクルくんのために、今回は本屋を開業する方法や手順についてわかりやすく説明していきます。
目次
本屋を開業する方法は2パターン
本屋を開業する方法には、下記の2パターンがあります。
- ・実店舗を構えて本屋を開業する
- ・ネットショップ・ECサイトの本屋を開業する
では、それぞれについて見ていきましょう。
実店舗の本屋を開業するパターン
まず最もベーシックなのは実店舗の本屋を開業するというパターンです。
実店舗の本屋といっても、すべてのジャンルの本を販売するのではなく、店舗のコンセプトに合わせてセレクトした本を販売する方法もあります。
2010年代には、「独立系書店」「セレクトショップ」と呼ばれる個性的な本屋が注目を集めました。
たとえば、「Village Vanguard(全国)」や「本屋B&B(東京)」、「Standard book store(大阪)」などです。
このような独立系書店が、本屋を開業したいと思うきっかけとなった人も多いでしょう。
実店舗で本屋を開業するメリット
実店舗では本屋だけでなく、カフェやホテルを併設するなど本屋+αの仕事をすることもでき、やりがいがあるのが大きなメリットです。
本に囲まれてお茶をしたり宿泊したりするのは読書好きにとっては魅力的であり、今話題にもなっている形態です。
また、消費者は中身を見てその場で本を買うことができるので、実店舗に対する顧客満足度も高いでしょう。
さらには、陳列棚に本を並べていると、目的の本以外にもさまざまなものが目に留まるため、購買意欲が刺激され、客単価も上がりやすい傾向にあります。
ただし、書店調査会社のアルメディアによると、2000年には21,654店舗あった書店が2020年5月時点では11,024店舗となっており、この20年間で大幅に減少していることがわかります。
実店舗の本屋には魅力もありますが、インターネットの普及やネットショップの台頭、電子書籍などの影響で厳しい状況にあることは覚えておきましょう。
ネットショップ・ECサイトで本屋を開業するパターン
実店舗を持たず、ネットショップ・ECサイトで本屋を開業する方法もあります。
たとえば、カラーミーショップなどの無料のネットショップ作成サービスを利用することで、誰でも手軽に本屋を開業することができます。
先述の通り、現在はインターネットが広く普及していることから、ネットショップで本屋を開業する人も多いです。
また、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、ネットショップ・ECサイトを利用する消費者が増えていることから、以前よりは本をネットで購入するという行為が一般的になりつつあります。
ネットショップ・ECサイトで本屋を開業するメリット
実店舗で開業する場合は、売上が立たなかったとしても家賃やテナント料などがかかりますが、ネットショップ・ECサイトであればコストを抑えることができます。
たとえば、カラーミーショップのフリープランを利用すれば、初期費用・月額利用料無料でネットショップを立ち上げることができ、本が売れたときのみ決済手数料が発生する仕組みです。
また、実店舗であれば持ち帰るのに重たい本が宅配で届くことから、消費者はマンガ全巻セットなどのまとめ買いもできるため、集客がうまくいけば初心者でもある程度の売上が見込めるでしょう。
さらには、実際に書店へ足を運ぶ必要がなく家で手軽に購入できるため、近くに住んでいる消費者だけでなく、全国の消費者をターゲットにできるのも大きなメリットです。
本屋を開業する際の仕入れ方とは?
本屋を開業するためには、本を仕入れる必要があります。
以前は、日本出版販売(日販)やトーハンなどの大手取次店と契約しなければ本屋の開業は難しいものでした。
しかし、現在では安価で取引してくれる取次店や直接取引してくれる出版社が登場しているため、誰でも本屋を開業しやすくなっています。
ここからは、本屋を開業する際の仕入れ方について、新刊と中古本に分けて解説していきます。
新刊を仕入れる方法
新刊は、本の取次店または出版社から仕入れます。
取次店では、安価に取引してくれる「ことりつぎ」や「ホワイエ」が代表的です。
- ことりつぎ:オンラインで申し込みができ、アプリで仕入れや販売、在庫管理ができる。小さな本屋を対象とした取次店
- ホワイエ:1冊からでも本を仕入れることができ、売れ残りも返品できる新しい形態の取次店
まずは、上記2つの取次店に問い合わせすることをおすすめします。
また、直接取引できる出版社では、「ディスカバー21」や「永岡書店」が有名です。
- ディスカバー社:ビジネス書や自己啓発書などを中心に書籍を発刊し、全国約5,000店舗と直接取引している出版社
- 永岡書店:児童書や実用書を中心に書籍を発刊し、全国約6,500店舗と直接取引している出版社
取次店が仕入れたい本の出版社と取引していない場合は、その出版社に直接問い合わせてみましょう。
取次店と出版社ともに、下記の2種類の仕入れ方法があります。
- 委託販売制:本が売れなかった場合返品が可能
- 買い切り制:返品はできないが委託販売制よりも仕入れ価格が若干安価
出版社の委託販売制においては、最初に仕入れ金額を支払い、売れ残った本を返品する際に返金してもらう方法と、本が売れた場合に支払う方法の2つがあります。
買い切り制では在庫リスクがあるため、本屋開業の初心者には委託販売制がおすすめです。
中古本を仕入れる方法
中古本は、Amazonやブックオフ、メルカリや古書店などから仕入れることができます。
Amazonは創業当初は本に特化したマーケットプレイスであったこともあり、世界各国のさまざまな本が手に入ります。
ブックオフは国内最大級のリユースチェーン店で、書籍在庫数は1億冊を超えています。
さらに、最近は多くの人がフリマアプリを利用していることから、メルカリやラクマなどでも中古本を入手できるでしょう。
また、都道府県の古書組合の組合員になり、加盟している古書店が商品を持ち寄って販売する「古書の市場」で仕入れる方法もあります。
ただし、地域によっては組合に入るために出資金や加入金などで50万円ほど費用がかかるケースもあるため、事前に確認することが大切です。
なお中古本を販売する際には、後ほど説明する「古物商許可」が必須となります。
本屋の開業に資格・許可・手続は必要?
本屋を開業するのに資格が必要かどうかは気になるところですよね。
実は新刊を仕入れて販売するだけであれば、資格などは基本的には必要ありません。
ただし、新刊を売る場合であっても税務署に開業届は提出したほうがよいでしょう。
一方、中古本を販売する場合は、前述の通り古物商許可が必要です。
また、実店舗で本屋にカフェやホテルを併設する場合は、その他の許可も必要になります。
では、開業する際に必要となる許可や手続きについて、詳しく見ていきましょう。
開業届
開業届とは、正式には「個人事業の開業・廃業等届出書」といい、個人が事業を始めるときややめるとき、または事務所を新設・移転するときに税務署へ提出する書類です。
開業届を税務署に提出することによって、「これから事業を始める」という意思表示になるため、事業を始めた日から1カ月以内に所轄の税務署に届け出る必要があります。
開業届の提出が必要なのは事業を営む個人事業主なので、本屋を開業する場合も該当します。
本屋に限らず、事業を営む場合は開業届を出しておいたほうがよいでしょう。
開業届を提出することにより、所得税の優遇措置が受けられる、銀行口座を屋号で開設できるなどのメリットもあります。
開業届の必要書類の書き方や届け出ることのメリットについては下記記事をご覧ください。
古物商許可
古物商とは、古物(中古品)をビジネスとして売買したり、交換したり、有料で貸したりする個人や法人を指します。
新刊ではなく中古本を販売する場合は中古本が「古物」に該当するため、古物商許可を取得する必要があります。
古物とは、古物営業法により定義が決まっており、一度使用されたものや未使用でも、一度取引されたものは古物に該当します。
法律で定められた古物は、下記の13品目です。
- ・美術品類(絵画、彫刻など)
- ・時計、宝飾品類(時計、宝石、貴金属など)
- ・衣類(洋服、着物、ふとんなど)
- ・自動車(本体、タイヤなど本体の一部)
- ・自動二輪車、原動機付自転車(本体、タイヤなど本体の一部)
- ・自転車類(本体、かごなど本体の一部)
- ・写真機類(カメラ、望遠鏡など)
- ・事務機器類(パソコン、コピー機、計算機など)
- ・道具類(家具、楽器、DVD、雑貨など)
- ・皮革、ゴム製品(靴、バッグなど)
- ・書籍(マンガ、雑誌など)
- ・金券類(商品券、航空券、株主優待券など)
古物商許可の申請は、営業所の所在地を管轄する警察署で行います。
申請には、古物商許可申請書や略歴書、住民票、誓約書、市区町村発行の身分証明書など多くの書類が必要です。
申請書類を提出してから、約40日間の審査期間があるため、書類作成の期間も含めて本屋開業までのスケジュールを立てましょう。
飲食店やホテルも併設の場合は別の許可が必要
本屋+αでカフェなどの飲食店やホテルを併設する場合は、その他の許可を取得する必要があります。
たとえば、飲食店であれば「飲食店営業許可」が必要です。
また、カフェですでに製造されたクッキーなどだけを提供する場合は「喫茶店営業許可」を取得します。
また、食品を取り扱う場合は「食品衛生責任者」の資格を持った人が1施設に1人必要です。
ホテルを併設する場合は「旅館業の営業許可・温泉利用許可」を受ける必要がありますが、許可だけでなく同時に定められた営業施設の基準を満たさなければいけません。
各自治体によっても申請内容などは多少異なってくるため、本の販売以外の事業を行う場合は事前に窓口で相談することをおすすめします。
本屋の開業に必要な資金
本屋を開業したいものの、実際に必要な資金はどれくらいなのかが気になりますよね。
開業に必要な資金は、実店舗とネットショップ・ECサイトで大きく異なります。
ここからは、開業時に必要な資金について実店舗とネットショップ・ECサイトに分けて解説していきます。
実店舗の場合
実店舗の本屋を開業する場合にかかる費用の目安は、下記の通りです。
- ・店舗保証金:テナント料の6~10カ月分
- ・内装費用:坪当たり約10万円
- ・書棚・什器備品:坪当たり約10~15万円
- ・店頭サイン(看板):約100万円
- ・空調一式:坪当たり約20万円
- ・事務用品:約10万円
- ・POSレジ:約100万円(買い取り)/約20万円(リース)
上記に加えて、毎月テナント料がかかります。
ショッピングセンターなどに出店する場合には、テナント料以外に共益費(駐車場代など)も発生するでしょう
さらには、本の仕入れ代やブックカバーなどの包装代、地域住民に本屋のオープンをお知らせする宣伝広告費なども必要となります。
本の仕入れ代を抜きにしても、開店までに100~300万円程度かかると予想されます。
ネットショップ・ECサイトの場合
一方、ネットショップ・ECサイトで本屋を開業する場合は、店舗の賃料や本を並べるための棚などは必要ありません。
ネットショップのシステム利用料や本の仕入れ代、発送時の配送・梱包代などは発生しますが、初期費用は実店舗よりもぐっと抑えられます。
PRとしてWeb広告を出稿することもできますが、InstagramやTwitterなどのSNSを活用することで宣伝広告費を抑えることができるでしょう。
さらにネットショップの運営費用を抑えたい場合は、カラーミーショップのフリープランがおすすめです。
初期費用・月額利用料無料でネットショップを作成することができ、発生する費用は本が売れたときの決済手数料6.6%+30円(Amazon Payの場合は6.5%+30円)のみです。
専門チームによるメールサポートや、運営ノウハウについての動画配信などもあるため、初心者でも安心して利用できるでしょう。
本屋を開業するための手順・流れ
本屋を開業するための手順・流れは、下記の通りです。
- 1.本屋のコンセプトや運営スタイルを決める(本屋のみかカフェ併設かなど)
- 2.販売する本を用意する
- 3.出店方法を決める(実店舗かネットか)
- 4.必要な許可があれば申請する
- 5.集客する
それではそれぞれについて見ていきましょう。
1.本屋のコンセプトや出店方法、運営スタイルを決める
まずは本屋のコンセプトを決めます。ある分野に特化した本のみを扱うのか、幅広いラインナップにするのかなどを検討します。
次に、実店舗で販売するのか、ネットショップ・ECサイトで販売するのかを決め、実店舗の場合は本屋のみの営業にするのか、カフェやホテルを併設するのかなど運営スタイルも考えます。
2.販売する本を用意する
決めたコンセプトに合った本を仕入れます。新刊であれば取次店または出版社に問い合わせましょう。
中古本であれば、Amazonやブックオフ、古書店から購入します。
3.必要な許可があれば申請する
開業届や古物商許可、飲食店営業許可や旅館業営業許可・温泉利用許可など本屋開業に当たって必要な許可を申請します。
申請に時間がかかるものもあるため、事前にどれくらいの期間が必要なのか確認し、開業までの準備を進めましょう。
4.集客する
実店舗であれば、地域住民に開店を周知させるためチラシやポスターを配布したり、新聞に折込広告を入れたりします。
チラシなどを配る際に粗品などをつけると喜ばれるでしょう。
この後、詳しくご説明しますが実店舗でもネットショップ・ECサイトでもInstagramやTwitterなどのSNSを利用した集客も非常に効果的です。
本屋を開業して成功するコツ・集客方法
本屋を開業して成功するためには、本のセレクトや業態などで他店と差別化を図ったり、SNSで集客したりすることが大切です。
最後に、開業を成功させるために押さえるべきポイントについてご紹介します。
本のセレクトや業態などで差別化する
本屋開業を成功させるためには、独自のセレクトや業態などで他店と差別化を図ることをおすすめします。
たとえば、東京・下北沢にある「BOOKSHOP TRAVELER」は、日本全国の本屋が書棚を借りて出店しているセレクトショップで、「本屋と旅」をテーマに本と旅をする体験を売りにしています。
また、東京・三軒茶屋にある「Cat’s Meow Books」は、店内にいる猫が店員として接客し、本棚に並ぶのはどこかに猫の描写が出てくる本のみという個性豊かな本屋です。
話題を呼んでいる「文喫」という本屋は東京・六本木と福岡・天神に店舗を持ち、入場するには1,500円支払う必要があります。
店内には約3万冊の本が並べられ、カフェやコンセント完備の閲覧室があるので、1日中本と共に過ごすことができます。
ネットショップ・ECサイトの場合でも、ただ本を売るのではなく、オンラインでワークショップを開催するなど「体験」も提供していくことで付加価値をつけることができ、他店舗と差別化が図れるでしょう。
サイトに本の魅力を紹介する動画やコラムを掲載したり、本に関連のある雑貨などを販売したりすることもおすすめです。
SNSなどで集客する
本屋を開店しても、集客をしなければその存在に気づいてもらうことはできません。
そのためには、InstagramやTwitterなどのSNSを活用することをおすすめします。
Instagramではフィードへの投稿で本を紹介したり、ストーリーズでライブ配信し、消費者とコミュニケーションをとりながら、PRしたりすることができます。
まずは、お店の公式アカウントを作成し、ハッシュタグなどを有効活用しながらフォロワーを増やしましょう。
また、拡散力のあるTwitterは新店舗開業の告知に効果的でしょう。
フォロワーを獲得するには、最初は更新頻度を増やす、画像を含んだツイートでタイムラインに上位表示させるなどの工夫が必要です。
実店舗の場合は「外観」も集客に大きく影響します。
店内がよく見え、どんな本屋かすぐわかるような本屋は入りやすいと感じてもらえるため、集客につながることも考慮して外観をどのようにするか決めましょう。
まとめ
今回は、本屋を開業するための方法について詳しく解説しました。
本屋は大きく分けて実店舗とネットショップ・ECサイトの2つがあります。
実店舗であれば、本屋にカフェやホテルを併設でき、大きなやりがいを感じられるでしょう。
ただし、ある程度まとまった資金が必要となるため、スモールスタートしたい初心者にはネットショップでの開業がおすすめです。
ネットショップで開業する場合は初期費用・月額利用料が無料のカラーミーショップのフリープランを利用することで、運営費用が大幅に抑えられるでしょう。
この記事を参考に、ポイントを押えて本屋の開業を成功させてくださいね。
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