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ネットショップに開業届は必須?必要書類や書き方と届出することのメリットを紹介!

ネットショップを始めるには、さまざまな準備が必要です。
その準備の1つとして、「開業届」が必要だと耳にしたこともあるのではないでしょうか。

そこで今回は、ネットショップに開業届は必要なのかというところから、開業届を提出するメリット、注意点、手続きの仕方まで解説していきます。

ツクルくん
ツクルくん

事業を始めるなら「開業届」が必要って聞いたことがあるのだけど、ネットショップを始めるのにも必要なのかな?

カラミちゃん
カラミちゃん

正式名称が「個人事業の開業・廃業等届出書」である開業届は、事業を始めるときや事業を畳むときに税務署へ提出する書類です。今回はツクルくんに開業届に関する知識をお伝えします。

開業届とは何?なぜ必要なの?

「開業届」と略されることも多いですが、正式名称は、「個人事業の開業・廃業等届出書」といいます。
個人が事業を始めたとき、事業をやめるとき、または事務所を新設・移転したときなどに、税務署に提出する書類です。

開業届の提出は国に納める税金を管理する税務署に対して、「これから事業を始めますよ」という意思表示になります。
そのため事業を始めた日から1カ月以内に、所轄の税務署(事務所などの住所地を管轄する税務署)に届け出る必要があるのです。

所轄の税務署は国税庁のサイトから調べられます。ご自身がどこの税務署へ提出していいのか、わからない方は参考にしてくださいね。

なお、届出にかかる費用は無料です。

ネットショップでも開業届の提出は必要?

開業届の提出が必要なのは、個人事業主です。

個人事業主とは、自分でお店をもって商品を仕入れて販売しているような人、フリーランスでWebデザインの仕事を企業から請負っている人など、事業を営む個人のことをいいます。

税法によると事業とは、「資産の譲渡を独立してかつ継続的に行うことで対価を得ること」です。
少し難しい表現ですが、たとえばフリマアプリで一時的に不要になったものを売るのではなく、継続的にものを仕入れて販売するような行為が事業に該当します。

ネットショップに話を戻しましょう。
ネットショップは実店舗こそないものの、商品を販売して、その対価として顧客から金銭を受け取ることを目的に開設します。仕組みから考えると、税法上の事業と捉えることができるでしょう。

つまり、個人でネットショップの運営を始めるというのは事業を始めることになるため、開業届が必要になります。
副業であっても、ものを継続的に仕入れて販売する事業に変わりないので、基本的には開業届の提出が必要です。

開業届を提出しないとどうなるの?

先ほど、ネットショップという事業を始める際には、開業届の提出が必要だと説明しました。
ですが実は、開業届を提出しなくても罰則はありません。実際は開業届を提出しなくても、事業を始めることはできます。

それでも開業届の提出が必要なのは、所得税の優遇措置を受けられない、銀行口座を屋号で開設できないなど、提出しないことによるデメリットがあるためです。
(開業届を提出した方が良い理由は後述します。)

個人事業開始申告書との違い

税務署に提出する開業届に似た書類に、「個人事業開始申告書」という書類があります。
開業届も個人事業開始申告書も、どちらも官公庁に提出する書類です。
ただし、提出先が異なります。

個人事業開始申告書は、事務所などの住所地がある都道府県に提出する書類のこと。
開業届が国税である所得税に関わる書類であるのに対して、個人事業開始申告書は地方税である個人事業税に関わる書類です。

個人事業税とは、70の法定業種に該当する(ほとんどの事業が該当します)個人事業主に課せられる税金です。
1年間の事業所得(事業の収入から事業経費を引いた額)が290万円を超えたときに、納税義務が発生します。

個人事業開始申告書を提出しなかったことによる罰則もなく、提出を忘れていても、個人事業税の納税が発生するときは確定申告後に納税通知書が届きます。

税務署に提出する開業届ほど重要性は高くないですが、事業を始めた人は届け出ることとなっているので、なるべく提出することをおすすめします。

東京都の場合は事業を始めてから15日以内が提出期限ですが、提出期限は都道府県ごとに異なるので事前に確認しておきましょう。

開業届を提出する5つのメリット

ここまで開業届について説明してきましたが、なぜ開業届を提出した方が良いのでしょうか。
開業届を提出する5つのメリットから、開業届の必要性を考えてみます。

1.青色申告が利用できる

開業届を提出するメリットの1つは、青色申告を利用できることです。青色申告をすると税金面での優遇など、納税者にとって有利な特典が使えます。

では青色申告とは何か、簡単に見ていきましょう。

1年間の所得を計算して所得税を申告する確定申告には、白色申告と青色申告の2種類があります。
このうち白色申告は誰でも利用できるもので、これといったメリットはありません。

一方、青色申告は白色申告とは違い、一定の条件による事業所得の計算を行う代わりに、所得税の申告者にとって有利になる、さまざまな特典が認められています。

特典の中でも代表的なのが「青色申告特別控除」です。
複式簿記による方法で帳簿への記帳を行い所得を算出することで、最高55万円(電子申告または電子帳簿保存を行う場合は最高65万円)の所得控除が認められます。

所得は所得税の計算の基礎となるもののため、青色申告特別控除によって所得額が少なくなればその分、納めなくてはならない所得税も少なくなるのです。

このような、一定の条件で確定申告することで所得税の負担を軽くできる特典がある青色申告を行うには、開業届を提出することが前提になります。

2.開業していることが証明できる

会社員であれば会社に在籍確認をすることで、会社への所属が確認できます。
それでは、個人事業主はどうでしょうか。

看板を出している店舗でもあれば事業をしていることがわかりますが、ネットショップは店舗がなくても始められます。
専用のスペースを借りなくても自宅で始めることもできるため、「自宅で事業をしています」と客観的に証明するのは難しいです。

そこで役立つのが開業届です。
外からは事業をしているかわかりにくいネットショップ運営でも、官公庁である税務署に提出した開業届があれば、事業を営んでいることが証明できます。

3.小規模企業共済への加入が可能になる

小規模企業共済は、国の中小機構が運営する、個人事業主や小規模企業の経営者のための退職金制度ともいわれる制度です。

毎月積み立てを行う掛金は、事業の廃業後、または退職後に共済金として一括または年金で受け取ることができます。将来の暮らしを保障する制度として有効な制度です。

また、毎月支払う掛金の全額を所得控除できることから、節税効果の高い制度としても知られています。
所得税の負担軽減と退職金の準備を考えるなら、小規模企業共済は前向きに検討したい制度といえるでしょう。

個人事業主が小規模企業共済制度を利用するには、確定申告書の控えの提出が必要です。
事業を開始したばかりで確定申告を行っていないときは、代わりに開業届の控えを提示する必要があります。

4.自身の屋号の口座が開設できる

送金などの銀行取引は個人の名義でも問題ありませんが、個人の取引と事業上の取引が混ざると事業上のキャッシュフロー(お金の流れ)がわかりにくくなります。

そのためプライベートと事業をきっちり分けるには、個人口座とは別に屋号で口座を開設するのがおすすめです。
屋号であれば、外部からも事業用の口座ということがわかるため、信用にもつながります。

ちなみに屋号とは、会社の名前のようなもので、店名など事業用の名称のことをいいます。

屋号で口座を開設するには、事業を行っていることの証明が必要です。
金融機関によって求められる書類は異なりますが、事業を証明するものとして開業届が必要になることも多いため、屋号で口座開設をしたいなら開業届は出しておくのが無難でしょう。

5.クレジットカードや融資、オフィスの契約時に使える

ほかにも、ビジネス用にクレジットカードを作成する場合、金融機関や日本政策金融公庫などから事業の融資を受けたい場合、事業用でオフィスを契約する場合などで開業届の控えの提出が求められることがあります。

開業届を出していればさまざまな場面で活用できますので、ネットショップを始めたら、開業届の提出も忘れずにしておきましょう。

保育園の申請に開業届の控えが必要な場合も

子育てと両立するため、自宅でネットショップを開設する方も増えていますよね。
すると気になるのが保育園への申し込みです。自宅とはいえ、仕事をしているわけですから日中は子どもを保育園へ預けたいところです。

認可保育園では、保育施設の申し込みが定員を超えた場合いくつかの基準をもとに選考が行われますが、保育の必要性の高さも審査基準になります。

保育の必要性とは、保育園に子どもを預けなければならない状況にあるという意味です。
たとえば保護者である両親が仕事をしていて、勤務時間が長いほど、保育の必要性は高くなりますよね。

会社員であれば会社からの書類によって、勤務時間や勤務実態を客観的に証明するのは難しくありません。
ですが個人でネットショップを運営する人は、勤務時間だけでなく、事業を行っていることを客観的に示すことが難しくなります。

そこで事業を行っていることの証明となるのが、開業届です。
申し込みの際に必ずしも提出が求められる書類ではありませんが、自治体によっては働いていることの証明として、開業届の控えの提出が求められることもあります。

個人事業主として開業届を提出する場合の注意点

ネットショップを始めるなら、開業届は提出した方が良いですが注意点もあります。
提出後に慌てないためにも、きちんと把握しておきましょう。

失業保険が受け取れなくなることも

失業保険(雇用保険の失業給付)は、失業中の生活を心配せずに再就職できるよう、失業中の求職活動を支援する目的で給付されるものです。

新しい会社に就職が決まるまでの生活保障を目的とした制度ですので、再就職ではなく事業を開始すると失業保険の対象外になります。

扶養から外れる可能性もある

所得が少ない人や専業主婦(専業主夫)の人は、配偶者の扶養に入ることで別途、健康保険料を負担することなく、健康保険制度を利用できます。

しかし、個人事業主として事業を開始し開業届を提出すると、加入する健康保険組合によっては、扶養から外れなければなりません。

ネットショップを小規模で始めて、初年度はあまり売上が期待できそうにないのであれば、急いで開業届を提出する必要もないでしょう。

開業届を提出する手続きとは?届け出るための3STEP

開業届について理解したら、実際に提出方法についても確認しておきましょう。
開業届の提出には、以下の3つの方法があります。

  • ・税務署の窓口に持参する
  • ・郵送で提出する
  • ・オンライン(e-Tax)で提出する

はじての方は不明な部分も多く、正確に記入できているか不安だと思いますので、税務署の窓口に直接提出するのがおすすめです。
窓口の場合、疑問があればその場で聞けるメリットもあります。

ここでは税務署の窓口に持参して提出する流れで、開業届の手続きについて説明していきます。

STEP1.「個人事業の開業・廃業等届出書」 など必要書類を準備する

まず、指定の書式である「個人事業の開業・廃業等届出書」を用意します。

「個人事業の開業・廃業等届出書」は、税務署の窓口でもらうこともできますし、インターネット上からダウンロードして入手することも可能です。

こちらの国税庁のリンク先からは、個人事業の開業・廃業等届出書(提出用・控用)の書式と書き方の例がダウンロードできます。

STEP2.開業届を記入する

次に、開業届の書き方を項目ごとに解説していきます。
下記は開業届の見本です。

(1)○○税務署長

○○税務署長の部分には、所轄の税務署名を記入します。

(2)提出日

〇年〇月〇日提出の部分は、開業届を提出する日を記入します。

(3)納税地、上記以外の住所地・事業所等

納税地には、住所地(住民票記載の住所)、居所地(住民票とは異なる一時的な住所)、事業所等のいずれかを記入します。

納税地で指定した住所以外に住所地や事業所があるときは、下の「上記以外の住所地・事業所等」に記入します。記入が必要なのは、たとえば納税地を自宅にして、自宅以外に事業所が存在する場合です。

(4)氏名、生年月日、個人番号

事業者の氏名、生年月日、個人番号を記入します。
個人番号はマイナンバーカードのほか、住民票などから確認が可能です。

(5)職業

職業欄には具体的な職業を記入します。
特にこれといった決まりはありませんが、ネットショップ運営ならそのままネットショップ運営でも良いですし、ECサイト運営や小売業などと記載しても良いでしょう。

(6)屋号

屋号は会社名のようなものです。
ネットショップであれば、ショップの名前を屋号にしても良いですね。必ずしも記入しなければならない項目でもないので、空欄で提出しても問題ありません。

(7)届出の区分

「開業」にチェックを入れます。事業を引き継いだ場合に限り、前事業者の氏名と住所を記入します。

(8)所得の種類

ネットショップの開業は事業所得の区分なので、「事業(農業)所得」にチェックを入れます。

(9)開業・廃業等日

ネットショップを開業した日を記入します。

(10)事業等を新増設、移転、廃止した場合、廃業の事由が法人の設立に伴うものである場合

記入不要です。

(11)開業・廃業に伴う届出書の提出の有無

青色申告書を提出するときは「有」、消費税の課税事業者として課税事業者選択届出書を提出するときは「有」にチェックを入れます。

(12)事業の概要

事業の内容について詳しく記入します。
ネットショップなら、インターネット上での商品販売、商品企画、カスタマーサポートなど、できるだけ詳しく書きます。

(13)給与等の支払の状況

家族を雇用する場合、家族以外の人を雇用する場合に、その人数や給与の決め方(月給か日給かなど)、源泉徴収するかどうかを記入します。

(14)その他参考事項

特に記入の必要はありません。

(15)源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書の提出の有無

従業員の源泉徴収を半年に1回にしたい場合、申請書を提出するときに「有」にチェックします。

(16)給与支払を開始する年月日

従業員に給与を支払う場合のみ記入します。

(17)関与税理士

顧問税理士がいれば、名称と住所、電話番号を記入します。

注意:控えとなる開業届も1部準備しよう

開業届は、その提出をすぐに証明できるようにするためにも、控えを保管しておくのがおすすめです。
控え用に2部作成するか、1部を作成してコピーするか、どちらでも問題ありませんので、控え用も用意しておきましょう。

STEP3.開業届を提出して控えに受付印をもらう

提出用と控えの2部を作成したら、税務署の窓口に持っていきます。
開業届を提出したことを証明できるようにするためにも、控え用に受付印をもらうことを忘れないようにしましょう。

開業届のメリットでもご紹介したように、開業届の控えはさまざまな場面で必要になりますので、控えは大切に保管しておきます。

郵送の場合

先ほどお伝えしたように、管轄の税務署に郵送で開業届を提出する方法もあります。

開業届を郵送で提出する場合は、その場で本人確認ができないため、マイナンバーカードの写しが必要です。
マイナンバーカードがない場合は、マイナンバーが確認できる書類(住民票など)と、本人確認書類(運転免許証のコピーなど)の両方を提出します。

控えを返送してもらいたい場合は、開業届の控えのほか返信用封筒と返信用の切手も必要ですので、忘れずに同封しましょう。
返信用の封筒を同封しないと控えを送ってもらえません。

また、税務署に確実に届いたことが確認できるようにするためにも、簡易書留や特定記録郵便、レターパックなどで送付するのがおすすめです。

オンライン(e-Tax)の場合

3番目の方法としてオンライン(e-Tax)でも申請できます。
インターネット環境、マイナンバーカード、ICカードリーダライタ、があればオンライン上でも提出が可能です。

ただし、利用者識別番号の取得など、e-Taxを利用するには事前の準備も必要ですので注意しましょう。
e-Taxでの開業届の作成や提出についての詳細はこちら

開業届の控えを無くしたら再発行できるの?

開業届を提出して控えももらったのに、紛失してしまうことも考えられます。
ですがご安心ください。開業届の控えを無くしたり、うっかり控えに受領印をもらうのを忘れたりしてしまっても、問題ありません。
所轄の税務署で「保有個人情報開示請求書」を提出することで、開業届のコピーをもらうことができます。

ただし申請してその場でもらえるのではなく、再発行には一般的に2週間~1カ月ほどかかるといわれているので注意が必要です。

まとめ

今回は、ネットショップを始めるのに、開業届は提出する必要があるのかについて解説してきました。

扶養などの面で注意しなければならない部分もありますが、ネットショップを始めるなら、基本的には開業届は提出した方が良いでしょう。

開業届の書き方は、記事中で説明していますので、記入する際は参考にしてみてください。
開業届を出して、ネットショップ事業者としてのスタートをきりましょう!

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よくある質問

開業届とは何ですか?

開業届とは正式名称を「個人事業の開業・廃業等届出書」といい、個人が事業を始めたときや事業をやめるとき、または事務所を新設・移転したときなどに税務署に提出する書類です。
「開業届」の提出は税務署に対して、「これから事業を始めますよ」という意思表示になります。
さらに詳しくはこちらの章をご確認ください。

開業届を提出するメリットはありますか?

開業届を提出すると、確定申告の際に最大65万円の所得控除になる青色申告が利用できたり、個人事業主や小規模企業の経営者のための退職金制度ともいわれる「小規模企業共済」への加入が可能になるなどのメリットがあります。そのほかのメリットについても、こちらの章で解説しています。