オウンドメディアは今や、集客から広報・採用、ブランディングまで、その用途は多岐にわたり多くの会社にとって欠かせない戦略の1つです。
中には、オウンドメディアを利用してマネタイズさせ売り上げを生み出しているケースも存在します。
しかし安易に「自社メディアでもマネタイズを」と、他社の成功を真似しても、期待通りの結果が得られないことが多いのが現実です。
では、どうすればオウンドメディアを上手くマネタイズの手法として活用できるのでしょうか?
この記事では、そもそもオウンドメディアでマネタイズすべきか?やオウンドメディアを収益化する具体的な方法や事例、マネタイズの注意点を取り上げます。
オウンドメディアは無料で読めるイメージがあるけど、マネタイズできるってホント?
マネタイズ自体は可能です。ですが、オウンドメディアのマネタイズには注意点もあります。この記事を読んで、マネタイズする前に本当に行うかどうか考えるきっかけにしてください。
オウンドメディアでマネタイズは可能?
オウンドメディアとは自社の情報を発信するWebサイト(ブログ)なので、マネタイズとは無関係のような印象があります。
ですが、実はオウンドメディアでマネタイズすることは可能です。
ただし、安易にマネタイズを始めてしまうと、結局上手くいかない可能性は十分にあり得ます。
オウンドメディアでマネタイズを始める前に、まずはオウンドメディアのもともとの目的を確認しましょう。
本当にオウンドメディアでマネタイズすべきかよく考える
マネタイズするのかどうかを考える際に、オウンドメディアの本来の目的を思い出してみましょう。
オウンドメディアの目的は、以下のようなものがあります。
- ・自社やブランドの認知拡大
- ・自社やブランドのファン獲得
- ・競合他社との差別化(ブランディング)
- ・人材の採用
- ・広告に頼らないコンテンツによる集客
オウンドメディアは多くの人に自社を知ってもらったり、自社やブランドらしさを表現して他社と差別化したり、自社に合った人を採用するためなどに活用されます。
つまりオウンドメディアは、そもそも運営による収益の獲得(マネタイズ)を目的にしていないことがほとんどです。
そのため、オウンドメディアでマネタイズすることで、もともとのオウンドメディアの目的が果たせなくなってしまう可能性も十分あるのです。
マネタイズすること自体が問題ではないですが、マネタイズによって本来の目的を損なわないか慎重に見極めたうえで、オウンドメディアの収益化を検討していきましょう。
オウンドメディアでマネタイズする3つの方法
オウンドメディアは本来、マネタイズを目的としていることはほとんどありません。
ですが、オウンドメディア本来の目的を果たしたうえで収益化することも可能です。
ここからは主な収益化の方法を見ていきましょう。
1.売上に結び付く成果で間接的にマネタイズする
オウンドメディアにおいて事業の売上に結びつくような成果を上げることは、間接的にマネタイズしているといえます。
具体的に、以下のようなアクションはオウンドメディアでのマネタイズとみなされるでしょう。
購入につなげる
訪れたユーザーが、商品やサービスを購入するよう誘導することはマネタイズにつながります。
例えばとある悩みを抱えているユーザーが気になるような記事を作成し、自然な形で自社の商品やサービスを紹介することで、ユーザーの悩みを解決する流れを作るといったパターンです。
広告のように初めから商品を前面に押し出すのではなく、まずはユーザーの悩みや課題の原因や理由をきちんと解説することで、商品紹介も押しつけがましい印象が無くなります。
問い合わせを増やす
商品やサービスの購入に直結させるのではなく、まずは問い合わせてもらい、その後詳しい商談を行うことで販売や契約につなげることも、間接的なマネタイズです。
BtoB(企業間)での取引は個人による商品購入と違い、担当者だけで意思決定せず、社内で検討してから導入(商品やサービスの契約)となることがほとんどなので、問い合わせ数はオウンドメディアのKPIにもよく設定されます。
情報を取得する
今はまだ自社の商品やサービスに興味を抱いていないユーザーも、定期的にメルマガを送るなどして商品への購買意欲を育てれば、結果的に商品やサービスの販売に結び付けられます。
そのため、オウンドメディアで潜在顧客向けの資料(ホワイトペーパー)のダウンロード時やセミナー申し込みの際などに、社名やメールアドレスといった情報を取得するのも間接的なマネタイズの1つになります。
認知を拡大させる
オウンドメディアのコンテンツを通じて自社や商品の認知拡大をすることも、結果的に収益に貢献します。
理由はシンプルで、自社の商品やサービスを多くの人が知れば知るほど、購入される機会が増えるからです。
コンテンツを配信して認知度を高めることは間接的なマネタイズになるだけでなく、自社のブランド力を強化するなど、さまざまなメリットをもたらすでしょう。
また、オウンドメディアの本来の目的とも合致しているため、ブランドイメージが崩れるリスクも低いといえます。
2.広告で直接収益を得る
オウンドメディアに広告を設置して直接収益を得られれば、マネタイズになります。
ですが、広告のあるオウンドメディアになることで、これまで積み上げてきたメディアイメージが崩れてしまう可能性があるなど、広告の設置は慎重に検討するべきです。
下記でオウンドメディアの広告の候補をご紹介しますので、検討の際の参考にしてください。
インフィード広告
インフィード広告は、コンテンツとコンテンツ間に表示される広告のことです。
Yahoo! JAPANといったポータルサイトの記事一覧(フィード)や、XなどのSNSの投稿と投稿の間に「広告」と書かれたバナーや動画コンテンツが挟まれているのを見た方がある方も多いと思います。
インフィード広告は記事やSNS投稿の間に挟まれており自然に表示されることから、コンテンツをあまり邪魔しないのが特徴です。
いかにも広告のようなインパクトがないので、ユーザーからの嫌悪感も少なくクリック率が高いというメリットがあります。
オウンドメディアに表示しても、メディアの世界観を大きく壊すような広告ではないといえます。
SSP
SSPは、Supply Side Platformの略で、広告を表示する媒体側の広告収益の最大化を目的としたツールです。
自社メディアのユーザー情報に基づき、より収益の大きい広告を自動で選択して配信してくれます。
掲載する広告の選定が自社側で必要ないので、運用の手間が省けるのがメリットです。
ですが別の言い方をすると、選べないので自社メディアにふさわしくない広告が表示される可能性もあります。
アフィリエイト
自社のオウンドメディアで他社の商品やサービスを紹介し、何らかの成果が得られると報酬が支払われる成果報酬型の広告がアフィリエイトです。
何らかの成果とは、広告のクリック、問い合わせ、商品の購入などがあります。
アフィリエイトを始めるには、広告主と媒体先を取りまとめているプロバイダーに登録が必要です。
どの商材を宣伝するか自社で選べますが、報酬の高さに魅かれてオウンドメディアと全く関係ない商材にすると悪目立ちして、ファン離れにつながる可能性もあるので注意しましょう。
記事広告
他社のサービスや商品を記事で紹介する広告で、タイアップ広告ともいわれます。
記事型のため、オウンドメディアの他の読み物のように自然な形で自社オウンドメディアに広告を掲載できます。
オウンドメディアの知名度が高く読者数が多いほど、報酬は高くなる傾向にあります。
1記事を制作する場合と同じ工数がかかるので、単純に広告を掲載するパターンよりも運用コストはかかるでしょう。
3.有料コンテンツを企画して収益を得る
オウンドメディアで有料コンテンツを販売することでも、マネタイズが可能になります。
一番シンプルなコンテンツは、有料記事です。
オウンドメディアではもともと無料で記事を公開しているので、一部を有料記事として販売してもファンになっているユーザーは抵抗なく受け入れてくれる可能性が高いです。
無料では得られない独自のコンテンツの有料配信、月額制の有料メルマガなどで収益化を図れます。
多くの読者を抱えておりコアなファンがいる場合は、有料セミナーや有料イベントの開催なども視野に入れられるでしょう。
ただし、もともと完全無料だったメディアを有料コンテンツのみにしてしまうとファンは離れていってしまいます。
通常の無料コンテンツの発信も並行して行いながら、有料コンテンツを販売するのがおすすめです。
4.オウンドメディアの成功経験で収益化を図る
もし、自社が立ち上げたメディアに人々の興味を引くような成功体験があった場合、その経験自体でマネタイズすることもできるでしょう。
例えば以下のような内容は、オウンドメディア運営に悩んでいる人であれば参考にしたいはずです。
- ・素人集団の立ち上げたメディアが月間100万PVを達成した理由
- ・バズらせるオウンドメディア記事の書き方
もし上記のように他社が参考になるノウハウがあるなら、有料コンテンツとしての販売や有料セミナーの開催などが考えられます。
大きな話題を呼べば書籍化の可能性もあるでしょう。
さらに社内に十分なリソースがあれば、オウンドメディア収益事業としてコンサルを行う独自事業を立ち上げるというのも1つの方法です。
ECサイト運営で収益を得る
認知拡大を目的にオウンドメディアの運営を開始し、一定のPVやファンが獲得できた段階でECサイトを立ち上げて収益化を図る方法もあります。
もともとECサイトを行っていた企業がオウンドメディアを立ち上げるのではなく、その逆のパターンです。
例えば、とあるインターネットサービス事業を展開している企業が自社のサービス普及のためにオウンドメディアを立ち上げたとします。
その後、オウンドメディア自体が人気となったためオウンドメディアに登場するキャラクターグッズや記事を書籍化して販売するためにECサイトを始めるといったパターンです。
オウンドメディアを好きなファンは、関連商品の販売を好意的に捉えてくれる可能性が高いので、自社にとってもユーザーにとってもメリットのあるマネタイズ方法でしょう。
オウンドメディアでマネタイズしている事例
ここからは実際にマネタイズしているオウンドメディアの事例を見ていきましょう。
よむよむカラーミー【間接的なマネタイズ】
今ご覧になっているこのメディア、よむよむカラーミーはECサイト構築サービス「カラーミーショップ」のオウンドメディアです。
自社の事業であるECサイト構築やECサイト運営に関するノウハウや、カラーミーショップで実際にECサイトを運営している方のインタビューなどを掲載しています。
よむよむカラーミーの記事を見たユーザーがカラーミーショップのサービスを契約してくれるなど、事業部の収益につながっているため、間接的なマネタイズをしているメディアです。
北欧暮らしの道具店【メディアECとしてのマネタイズ】
「北欧、暮らしの道具店」さんは、北欧を中心にさまざまな国の雑貨・インテリア・衣料品などを販売するECサイトで、複数のミニコラムを連載しているオウンドメディア運営しています。
スタッフの愛用品やバイヤーさんによる商品エピソードの記事を通じて商品を紹介することで、ユーザーの理解を深めて購入意欲を刺激し、実際の購入へとつなげています。
ECサイトとオウンドメディアを掛け合わせたメディアECとして運営することで、オウンドメディアの収益化に成功している例といえます。
オウンドメディアのマネタイズを成功させるコツと注意点
目的とずれることなくオウンドメディアのマネタイズが可能なら、ぜひチャレンジしてみたいものですよね。
ここから、マネタイズを成功させるためのコツや注意点を3つご紹介します。
CTAを設置する
CTAとは、Call to Action(コールトゥアクション)の略でユーザーに何らかの行動を喚起させることです。
ときどき記事を読んでいる途中で、「資料の無料ダウンロードはこちらから」など、別枠で囲われたお知らせが表示されていることがありますが、それがCTAです。
オウンドメディアでは、問い合わせボタンや資料請求ボタン、会員登録ボタンの設置、購入ページへのリンクをCTAのため設置していることが多いです。
事業へ貢献して間接的に収益を得る場合はCTAを設置するとお問い合わせや商品購入などのコンバージョン(最終的な成果)達成までがスムーズです。
ですが、CTAはむやみやたらに設置すれば良いものではありません。
ユーザーが自然にクリックできる位置を考えて、導入文の最後、まとめ文の最後など適切な場所に適切な数を設置します。
CTAの設置が多いとユーザーは煩わしく感じてしまうので注意しましょう。
収益化と相性の悪いオウンドメディアもある
上記でオウンドメディアの収益化は可能であるとお伝えしましたが、実は相性のよくないオウンドメディアも存在します。
例えば、自社やブランドの認知を目的としたオウンドメディアです。
ハイブランドのオウンドメディアなのにも関わらず、ブランドのカラーにそぐわない奇抜な広告が表示されてしまうと、せっかく訪れてくれたユーザーも幻滅してすぐに立ち去ってしまいます。
また、認知拡大のために有益な記事を作っても広告ばかりで読みづらいと、まるで収益目的のオウンドメディアのように感じ、ユーザーはあまりよくない印象を持ってしまうでしょう。
収益化と相性の悪いオウンドメディアでは、無理に収益化しない決断も必要です。
冒頭でもお伝えしたように、まずはオウンドメディア自体の目的を整理して目的と反していないか確認しましょう。
方法は1つに絞る必要はない
上記でさまざまな収益化ご紹介しましたが、どれか1つの方法に絞らなければならない訳ではありません。
いくつかのマネタイズ方法を組み合わせることで、収益が大きくなるでしょう。
例えば、ファンが多いオウンドメディアなら有料記事の販売に加えて、ECサイトを立ち上げて関連商品を売っても良いでしょう。
ファンであれば、どちらも魅力的に見えます。
ただし、あまりにも盛り込んでしまうと商業的でユーザーに避けられる可能性があります。
不自然にならない範囲で、複数の方法を取り入れましょう。
また、一度に複数の方法を取り入れるのではなく1つ1つ試していき、自社に合った方法を見つけていくのもマネタイズを成功させるためのコツです。
まとめ
オウンドメディアはマネタイズが可能です。
ですがオウンドメディアの本来の目的は、基本的に収益化ではありません。
それでもマネタイズしたいのであれば、オウンドメディアの目的とずれないようにすることが重要です。
マネタイズの方法を知ることはもちろん、そもそもマネタイズが必要なのかどうか十分に検討してからの収益化を始めましょう。
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