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日本のEC化率は?国内のジャンル別EC化率や世界の状況も解説!

インターネットを使ってネットショッピングすることは、日本でも今や当たり前になってきました。
では実際のところ、日本のEC化はどのくらい進んでいるのでしょうか。
今回はジャンル別のEC化率の特徴や世界との比較など、日本のEC化率について紹介します。

ツクルくん
ツクルくん

コロナ禍でネットショッピングは当たり前になったよね。実際にECは日本でどのくらい普及しているのかな

カラミちゃん
カラミちゃん

商取引におけるECの割合を示しているEC化率を見れば、どれくらい普及しているかわかります。今回はEC化率に注目してみましょう。

EC化率とは何?どういう意味かを解説

そもそもEC化率とは何なのでしょうか。
EC化率とは、対面や電話、インターネットなどすべての商取引において、EC市場(電子商取引市場)が占める割合のことです。

つまりEC化率とは、国内の商取引のうち「ネット上で行われた商取引の割合」を表したものだといえます。

EC化率が高いほど、人々がネットを利用して購入することが多いジャンル(業界)であることがわかります。

【最新】日本国内のBtoC ECのEC化率はどれくらい?15年間の推移

では日本においてBtoC EC(企業の消費者向けのEC)ではどの程度EC化が進んでいるのでしょうか。
経済産業省が毎年公表している「電子商取引実態調査の報告書」をもとに作成したBtoC ECのEC化率の過去15年の推移は次のとおりです。

年度 EC化率(BtoC EC)
2008年 1.79%
2009年 2.08%
2010年 2.46%
2011年 2.83%
2012年 3.11%
2013年 3.67%
2014年 4.37%
2015年 4.75%
2016年 5.43%
2017年 5.79%
2018年 6.22%
2019年 6.76%
2020年 8.08%
2021年 8.78%
2022年 9.13%

BtoC ECのEC化率は過去15年の間にじわじわと伸びてきてはいましたが、特に新型コロナウイルスによる影響が大きかった2020年度は前年度よりも一気にEC化が進んでいます。
直近の2022年度はBtoCE CにおけるEC化率が10%に迫るほどになってきています。

さらにBtoC ECのジャンル別のEC化率も見ていきましょう。

アパレルや食品などBtoC ECの物販系EC化率のジャンル別推移

以下の表も、経済産業省の資料をもとに、物販系BtoC ECのジャンル別のEC化率の推移をまとめたものです。(※表は右にスライドします)

  2013年 2014年 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年 2021年 2022年
食品・飲料等 1.58%
1.89% 2.03% 2.25% 2.41% 2.64% 2.89% 3.31% 3.77% 4.16%
生活家電・PC等 22.67%
24.13% 28.34% 29.93% 30.18% 32.28% 32.75% 37.45% 38.13% 42.01%
書籍・映像ソフト等 16.51%
19.59% 21.79% 24.5% 26.35% 30.8% 34.18% 42.97% 46.2% 52.16%
化粧品・医薬品 3.8%
4.18% 4.48% 5.02% 5.27% 5.8% 6.0% 6.72% 7.52% 8.24%
生活雑貨・家具等 13.17%
15.49% 16.74% 18.66% 20.40% 22.51% 23.32% 26.03% 28.25% 29.59%
衣類・服飾雑貨等 7.47%
8.11% 9.04% 10.93% 11.54% 12.96% 13.87% 19.44% 21.15% 21.56%
自動車・バイク等 1.87%
1.98% 2.51% 2.77% 3.02% 2.76% 2.88% 3.23% 3.86% 3.98%
事務用品・文房具 23.3%
28.12% 28.19% 33.61% 37.38% 40.79% 41.75%
その他 0.48%
0.56% 0.63% 0.75% 0.80% 0.85% 0.92% 1.85% 1.96% 1.89%

物販系ジャンルの中でもEC化率が突出して高いのが、「生活家電・PC等」や「書籍・映像ソフト等」のジャンルです。

生活家電やPC関連、AV機器といった電化製品のEC化率が高いのは、いずれも製品の仕様が明確で、サイト上でもその特徴を理解しやすいのが理由として考えられます。

電化製品のECによる購入が進んだことで、大手家電量販店の中にはショールーミング志向(実店舗で確認した商品をネットで購入するといった行動)を早々に取り入れた戦略を展開しているところも見られました。
また、家電やAV機器は大型で重たいものも多いので、店舗から持ち帰るよりもネットで買って届けてもらったほうがユーザにとって便利であることも、EC購入が多い理由といえます。

書籍・映像ソフト等もEC化率が高いジャンルです。
調査では、書籍とオンラインコンテンツを除く映像ソフト、音楽ソフトを集計しています。
2018年以前は生活家電等よりもEC化率はやや低かったですが、コロナ禍の2019年に生活家電等のEC化率を上回り、2022年にはEC化率が5割を超えました。

EC化が進んだ理由の1つとして、電子出版が拡大していることが考えられます。
特に電子コミック出版が増えており、場所や用途によって紙の書籍と電子書籍を使い分けるといったニーズも生まれています。

一方、ほかのジャンルと比較すると、「食品・飲料等」や「自動車・バイク等」のEC化率はあまり進んでいません。
ECで実物を見ずに買うのではなく、店舗で実際に商品を見てから購入したいというニーズが高いためだと考えられます。

それでも食品・飲料等では、コロナ禍を契機にネットスーパー需要が拡大したこと、子育て世代などで食品宅配サービス需要の増加がしたことなどを理由に、EC化率がじわじわ伸びています。

一方ネットスーパー事業は、他のジャンルより運用コストがかかること、配送方法によっては作業負荷や配達コストがかかることから撤退する事業者も少なくありません。

【最新】日本国内のBtoB ECのEC化率はどれくらい?15年間の推移

以下の表は、BtoC ECと同様に、BtoB ECにおけるEC化率の15年間の推移をまとめたものです。

年度 EC化率(BtoB EC)
2008年 21.2%
2009年 21.5%
2010年 23.7%
2011年 24.3%
2012年 25.7%
2013年 25.9%
2014年 26.5%
2015年 27.3%
2016年 28.3%
2017年 29.6%
2018年 30.2%
2019年 31.7%
2020年 33.5%
2021年 35.6%
2022年 37.5%

BtoB ECのEC化率は15年間で約2倍近くまで延び、2022年のEC化率は37.5%と4割に迫る勢いとなりました。
特に2022年は、さまざまな業種でBtoBの商取引が増えたことにより、BtoB ECの市場規模拡大にもつながったと考えられています。

BtoC ECと比べるとBtoB ECのEC化率が高いのは、EDIシステム(契約書や納品書など商取引に必要な書類をインターネット上でやり取りするシステム)がECサイトと区別されずに含まれているためです。
ですが、BtoB ECに特化されたサービスが続々と登場するなど、BtoB EC市場も確実に拡大しています。

BtoB ECのEC化率のジャンル別推移

以下の表は、引き続き経済産業省の「電子商取引実態調査」の資料を元にBtoB ECのEC化率の推移を業種別にまとめたもとです。(※表は右にスライドします)

大分類 中分類 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年 2021年 2022年
食品・飲料等 建設・不動産業 9.6%
10.1% 10.7% 11.0% 12.0% 13.1% 14.3% 15.2%
製造 食品 49.0% 50.9% 53.6% 55.6% 59.3% 63.3% 67.2% 70.7%
繊維・日用品・化学 36.3%
37.4% 39.2% 40.6% 40.7% 45.7% 47.9% 49.9%
鉄・非鉄金属 31.5% 32.8% 34.6% 35.8% 38.1% 40.5% 42.7% 44.1%
産業関連機器・機密機器 29.5% 30.5% 31.9% 33.1% 35.1% 38.3% 40.7% 42.0%
電気・情報関連機器 48.3% 50.0% 52.4% 53.5% 57.9% 61.1% 64.2% 66.3%
輸送用機器 56.4% 58.4% 61.1% 63.2% 67.0% 70.7% 74.3% 76.7%
情報通信 情報通信 17.0% 17.8% 18.3% 18.8% 19.9% 21.0% 21.8% 22.3%
運輸 運輸 14.5% 15.1% 15.7% 15.9% 16.8% 18.2% 19.2% 20.9%
卸売 卸売 25.4% 26.1% 26.9% 27.7% 28.8% 30.6% 32.3% 34.9%
金融 金融 19.7% 20.2% 20.3% 20.9% 22.0% 22.5% 23.2% 23.8%
サービス 広告・物品賃貸 11.7% 12.3% 12.6% 12.8% 14.0% 14.6% 15.5% 15.9%

※2016年以前は狭義と広義に区分されていますが、2017年以降の数字に近い広義のEC化率を表にしています。

いずれの業種においてもEC化率が伸びていることがわかります。
中でもEC化率が突出しているのが、製造系の「食品」や「輸送用機械」ジャンルです。
食品や輸送機器のジャンルは市場規模の拡大に伴いEC化の動きも加速したことで、EC化率が他のジャンルに比べて伸びてきています。

また、「繊維・日用品・化学」「鉄・非鉄金属」「産業関連機器・機密機器」「電気・情報関連機器」ジャンルも、2015年に比べてEC化率が10%以上アップしています。

BtoB ECを導入することで業務の効率化や販促ツールとして活用できるなどのメリットもあるため、今後もどのジャンルにおいてもEC化率が上がっていくでしょう。

日本のEC化率が進み始めた理由とは

ここまで、BtoC ECやBtoB ECのEC化率について、10年以上の推移を紹介してきました。
いずれもEC化率は右肩上がりで上昇していることがわかります。

日本のEC化率が伸びている理由としてまず、新型コロナウイルスの流行により加速したことが挙げられますが、次のような理由もEC化率が上がっている要因として考えられます。

スマートフォン経由での利用率の上昇

下記は、「令和4年度 電子商取引に関する市場調査報告書」から引用した、スマートフォン経由の物販系BtoC EC市場規模の推移を表したグラフです。

EC化率が伸びている理由の1つに、スマートフォンの保有率が増加し、スマホ経由で利用する人が増えたことが挙げられます。

総務省の「令和4年 通信利用動向調査」によると、スマートフォンの保有割合は世帯で9割、個人でも8割弱とほとんどの人がスマートフォンを持っていることになります。

スマホは手軽で扱いやすく、思い立ったタイミングで商品を探せることから、消費者の商品購入のハードルが低く買いやすいと考えられます。

また、スマホとECの相性が良いのも、ネット購入でスマホが利用される理由です。
パソコン経由だとECサイトから消費者へのアプローチは主にメルマガになりますが、スマホだとアプリのプッシュ通知機能やLINEのショップ公式アカウントなどを使ってリアルタイムで消費者へ通知できます。

企業側が公式アプリの利用を消費者に促したこともあり、ユーザーがよりスマートフォンで購入するようになり、EC化率の上昇につながったのでしょう。

簡単・低コストのECサイト作成ツールの増加

少し前まで「ECサイトの構築は専門知識が必須」「開設するための費用が高額」など、ECサイトを制作するハードルは高めでした。
ですが最近、低コストで手軽にECサイトを作成できるツールやサービスが登場したことで、ECサイトを始めるショップが増えたといわれています。

例えば、カラーミーショップのフリープランでは、月額費用・初期費用が無料で売れたときにのみ手数料がかかる仕組みのため、低リスクでネットショップに挑戦できます。
また、デザインテンプレートを利用することで、デザインなどの専門知識がなくてもECサイトを開設できようになっています。
開設のハードルが下がりECサイトの運営を始める事業者が増えたことも、EC化率上昇に関係しているのでしょう。

BtoB ECはインボイス制度でEC化が加速した可能性も

2023年10月1日よりインボイス制度(正式名称:適格請求書等保存方式)が開始されました。
消費税の仕入税額控除の適用を受けるため、原則として、取引を行った際は事業者登録を行っている販売側から適格請求書を受け取り、保存しなければならないという制度です。

インボイス制度開始により、企業では登録事業者の確認や、登録事業者とそうでない事業者ごとの経理処理など、従来はなかった事務作業が増えました。
EC化によってシステムを通じてインボイス制度に伴う経理処理をできる限り自動化したいという企業が、制度開始に前にEC化を急いだことで、BtoBにおいてEC化率が伸びたのかもしれません。

世界のEC化率の推移とは?

ここまで、日本のBtoC ECやBtoB ECのEC化率を取り上げてきましたが、世界ではどの程度EC化が進んでいるのでしょうか。
以下の表は、世界のBtoC ECのEC化率の推移を示したものです。

年度 世界のEC化率(BtoC EC)
2017年 10.4%
2018年 12.2%
2019年 13.8%
2020年 17.8%
2021年 19.2%
2022年 19.3%
2023年(予想値) 20.2%
2024年(予想値) 21.2%
2025年(予想値) 22.2%
2026年(予想値) 23.3%

2022年の日本のBtoC ECのEC化率9.13%に比べ19.3%と、世界全体のEC化率は進んでいることがわかります。
世界でも日本と同様、新型コロナウイルス感染症の影響があり2019年から2020年にかけてEC化が一気に加速しました。
予想値にはなりますが、今後もEC化は進み2026年には23.3%となるとされています。

EC化率の世界ランキングを紹介

世界全体のEC化率がわかったところで、今度は国別のEC化率をランキング形式で見ていきましょう。
以下のグラフは、世界のEC化率を高い順に並べたものです(令和4年度 電子商取引に関する市場調査報告書より引用)。

国別では、中国のEC化率が突出して高いことがわかります。
令和4年度の電子商取引に関する市場調査報告書によると、中国は世界全体のEC市場の50%以上を占めているそうです。
次の項で説明しますが中国ではさまざまな理由からECによる購入が好まれているため、他の国に比べて圧倒的にEC化率も高いのでしょう。

中国に次いで2位となったのは英国、3位は韓国でいずれもEC化率は3割超えとなりました。
日本のEC化率は12.9%で中国の3分の1以下と、全体のEC化率はあまり進んでいません。

ですが反対の言い方をすると、今後日本のEC市場が大きく拡大する余地があるということです。
EC化が進むことで、日本のEC市場はますます盛り上がっていくでしょう。

中国が高く日本のEC化率が低い理由とは?

なぜ中国は、世界の国々の中でもEC化率が高いのでしょうか。
理由の1つは、キャッシュレス決済(デジタルペイメント)が日本以上に普及していることです。

中国ではモバイル端末が急速に普及したことで、ECに限らず屋台のような実店舗や交通機関など、至るところでキャッシュレス決済が可能になっています。

そもそも中国では偽札が大量に流通しており、店舗に偽札チェッカーを置くほど現金に対する信用度が低いのです。
そのためスマートフォンによるキャッシュレス決済が他の国よりも利用されることになったことで、ECでの購入が当たり前となりEC化率が高くなったと考えられます。

さらに、高速配送やドローン活用などによるインフラの進化、シングルズデイ(独身の日)を中心としたオンラインでの大規模な販促イベントも、中国のEC化率上昇に寄与してきたといわれています。

以上の理由を踏まえると、日本のEC化が遅れている理由の1つとして現金払いが主流であることが挙げられます。
日本ではスリなどの犯罪が少なく、偽札もほとんど作られないことから、現金が一番安心して使える支払い方法だと思う人がまだまだ多くいます。

さらに日本は、コンビニなど近くですぐにものを買えるような環境であること、メーカー・卸売・小売の関係性を維持する商習慣が根付いていてECが介入しづらいことなどが、要因としても考えられています。

まとめ:今後、EC化率はじょじょに上昇していくと予測できる

キャッシュレス決済などが広く普及する中国と比べると日本のEC化率はまだまだ低いです。それでも、少しずつEC化率は上昇してきています。
ニーズの多様化やライフスタイルの変化などもありますので、日本におけるECの利用は今後、徐々に活発化するものと予測されます。

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