企業や個人がECサイトを作成する際、主な方法は5つあります。
- 1.無料・有料ASP(ECサイト作成サービス)
- 2.ECモール
- 3.オープンソース
- 4.ECパッケージ(クラウドEC)
- 5.フルスクラッチ
これらの方法には長所と短所があるため、自社に合った作り方を選ぶことがベストです。
そこでこの記事では、各手法の特徴と具体的な作成手順を解説します。
ECサイトっていろんな作り方があるんだね。どう違うのかな。
そんなツクルくんのために今回は、ECサイトの主な5つの作り方の特徴やメリット・デメリットなどについて1つずつ解説しますよ。
目次
個人と企業のECサイトの作り方の違い
ECサイトの作り方について「何を重視するのか」が個人と企業では変わってくるので、作り方も異なります。
個人の場合、「売れるかどうかわからない」「ずっと続けるかどうかはまだ決めていない」という方もいるため、できるだけ低コストで始められるサービスが人気です。
また、システムに関する知識が無い人も多いので、初心者でも簡単な操作でECサイトが作れるかどうかもポイントでしょう。
一方、多くの企業では「EC事業を始めるからには、成長させて収益を上げよう」など、個人よりも明確な目標があるため、コストよりも「ECサイトを充実させられるか」に重点を置いていることが多いです。
自社らしいデザインにできるか、機能性はどうなのかや、顧客情報を扱うためセキュリティ面も重視するでしょう。
このように、個人では「コスト(費用)」「作りやすさ」が、企業では「機能やデザイン面の充実」「カスタマイズ性」「セキュリティ」などが重視されます。
実際にECサイトの作り方によって、コストやカスタマイズ性などが異なってきますので、次の章以降で詳しく作り方をご紹介していきます。
ECサイトの5つの作り方
制作の手軽さやカスタマイズ性などの違いにより、ECサイトは主に以下の5つの作り方があります。
- 1.無料・有料ASP(ECサイト作成サービス)
- 2.ECモール
- 3.オープンソース
- 4.ECパッケージ(クラウドEC)
- 5.フルスクラッチ
下に行くほど、ECサイトを作る際の費用が高額になっており、以下はそれぞれの作り方の初期費用と毎月の月額費用の目安です。
構築方法 | 初期構築費用 | 月額費用 |
ECモール | 無料~数万円 | 無料~数万円 |
無料ASP | 0円 | 0円 |
有料ASP | 数千円~数万円 | 数千円~数万円 |
オープンソース | 0円 | 10万円~ |
ECパッケージ(クラウドEC) | 数百万円~ | 10万円~ |
フルスクラッチ | 数千万円~ | 数十万円~ |
さらに、以下は費用面とカスタマイズ性の高低を図で表したものです。
費用面をなんとなく把握したところで、ここからは個人や企業の規模別におすすめの作り方の特徴やメリットとデメリットをご紹介していきます。
個人向けECサイトの作り方
個人がECサイトを作る際は、低コストで手軽にできる方法が人気です。
そして「低コスト」「作りやすさ」の両方を兼ね備えているのが、初心者に優しい無料ASPという方法になります。
ここから、無料ASPの特徴などについてご紹介します。
無料ASPとは
無料ASPとは、ECサイトを手軽に作れるオンラインツールやサービスの一種です。
ECサイト作成サービスといわれることもあります。
「ネットショップが無料で作れる」というCMを見たことがある人も多いのではないでしょうか。
無料ASPは、初期費用と月額利用料は無料で、登録から設定、商品のアップロードにいたるまで、マニュアルに従うだけで簡単にECサイトの構築ができる方法です。
そのため、技術的な知識がない方でも、サービスによっては最短1時間程度でオンライン販売を始められるでしょう。
名前の「無料」に惹かれがちですが、実際には商品が購入されるごとに手数料が発生します。
また、利用料が無料な分、シンプルな機能しかついていないことが多いです。
無料ASPのメリット・デメリット
無料ASPのメリットとデメリットとしては、主に以下のような点が挙げられます。
- 【無料ASPのメリット】
- ・初期費用が抑えられる
- ・簡単な操作でECサイトを作れる
- 【無料ASPのデメリット】
- ・基本的に最低限の機能しかない
- ・カスタマイズ性が低い
- ・利用料は無料だが手数料は高い
無料ASPを選ぶ際の大きな魅力は、何といっても低コストで始められることです。
初期費用やランニングコストをあまり気にすることなく、ECサイトの運営を始めることが可能です。
また、多くの無料ASPでは基本的に個人向けユーザーをターゲットとしているため、直感的に操作できるユーザーインターフェイスが提供されており、技術的な知識がない人でも比較的簡単にサイト管理を行えます。
ただし無料ASPは、商品の登録や販売など基本的な機能は含まれますが、さらに高度な機能やオプションを望む場合は追加料金が発生することが多いです。
また、販売するごとにかかる決済手数料も高めに設定されているため、販売時の手数料が低めに設定されている有料ASPよりも、月商によっては月額費用が高くなる可能性もあります。
事業が拡大し本格的なEC販売を行いたい場合は、有料ASPへ引っ越すことも検討しましょう。
無料ASPはあくまで簡易的なECサイトを運営したい場合に、おすすめの方法です。
小規模企業向けECサイトの作り方
ここでいう小規模企業とは、年商数百万~1億円(月商が数十万~数百万)以下の企業のことです。
小規模企業がECサイトを作る場合、使える予算や利用できる人材、将来的な事業の規模が個人よりも大きくなります。
そこでおすすめなのが、ECモールと有料ASPという作り方です。
利用料金がかかる分、機能面が充実しているので本格的なEC事業を行えます。
ECモールとは
ECモールとは、Amazonや楽天市場のように、さまざまなジャンルの出店者が販売を行えるプラットフォームです。
マニュアルに沿えばシステムに関する知識がなくてもECサイトが作れる点や、多くの顧客がショップへアクセスするチャンスが広がる点がメリットです。
自社サイト型のECサイトと異なり、ECモールは既存のプラットフォーム内に出店するため、ブランドイメージの構築は制限されますが、短期間での集客や販売促進が可能となるため、新規事業者や中小企業に適しています。
ECモールのメリット・デメリット
ECモールのメリットとデメリットとしては、以下の点が上げられます。
- 【ECモールのメリット】
- ・集客力がある
- ・マニュアルが完備されていて作りやすい
- 【ECモールのデメリット】
- ・ブランディングが難しい
- ・モール内での競争が激しい
ECモールの一番のメリットは、多くの人に商品を見てもらえるチャンスがあることです。
大手モールはもともと多くの人が訪れるので、自社で集客しなくても誰かしらショップへ訪れてくれる可能性があります。
またマニュアルが完備されており、販売に必要なシステムも整っているので、知識が無くてもECサイトを作れる点もメリットです。
一方、デメリットとしてはモールで統一されておりデザインの余地が無いので、ユーザーもショップ名を覚えにくく、ブランディングは難しいといえます。
また、モール内独自のルールやキャンペーン(セール)にも従わなければならないので、自由度は高くないでしょう。
さらに、モール内での激しい(価格)競争が起こるため、他社とさまざまな点で差別化しなければなりません。
個人よりも規模感の大きいECサイトは運営できますが、「自社らしいECサイト」を求める場合はあまり向いてない方法です。
有料ASPとは
有料ASPとは、先ほど説明した無料ASPの有料版で、ECサイトを作る際には初期費用や月額利用料が発生します。
無料ASPとの大きな違いは、基本的な機能が充実しており、カスタマイズの幅も広いことです。
そのため、自社のブランドイメージに合わせたデザインや機能をECサイトに取り入れることができます。
さらにカラーミーショップをはじめ、有料ASPの多くは豊富な機能やサポート体制を提供しているため、ECサイト運営におけるさまざまな問題や要望を解決してくれます。
また、販売時の手数料も無料ASPに比べて低くなっています。
企業としてEC事業を本格的に行う場合、無料ASPでは物足りない点が有料ASPでは充実しているでしょう。
有料ASPのメリット・デメリット
有料ASPのメリットとデメリットは次の通りです。
- 【有料ASPのメリット】
- ・機能やサポートが充実している
- ・無料ASPに比べてカスタマイズの幅が広い
- ・販売時の手数料が低め
- 【有料ASPのデメリット】
- ・プラン選択を間違うとコストが高額になる
- ・自社で集客する必要がある
無料ASPの場合は最低限の機能しかありませんが、有料ASPは集客やリピーター対策機能が備わっていたるなど、機能面が充実しています。
また、機能やデザイン面でのサイトのカスタマイズ性が無料ASPと比べて高いので、自社らしい独自性のあるECサイト作りが可能でしょう。
また、サポート体制が充実しており技術的な問題や運営上の相談に迅速に応じてもらえるため、ECサイトをスムーズに運営できます。
販売時の決済手数料も無料ASPに比べて低めに設定されているので、売れるほどコストが上がる無料ASPと比べてコストを抑えやすいです。
例えばカラーミーショップの場合、無料のフリープランのクレジットカード決済では(商品代金の)6.6%+30円ですが、有料のプレミアムプランでは2.99%~と半分ほどになっています。
一方、デメリットとしては、プラン(サービス)の選択を間違うと月額費用が高くなってしまうことです。
自社の目安月商と照らし合わせて、費用が適切かを確認する必要があります。
また、モール内への出店ではなく自社でサイトを作るため、ショップの存在を多くの人に向けて発信する集客が必須です。
ASPについては「ECサイトをASPで構築!」の記事でより詳しく紹介していますので、気になる方はぜひご覧ください。
中・大規模企業向けECサイトの作り方
中・大規模企業とは、ここでは年商が1億円以上の企業のことを指します。
大企業の場合は、ECでの売上が毎月数億、年商としては数十億円になるでしょう。
中・大企業がECサイトの構築を検討する際、重要なのは将来のビジネス拡大にそなえた柔軟性と、ブランディングを可能にするカスタマイズ性です。
また、多くの顧客の情報を取り扱うことから、セキュリティ面も考慮します。
かなり大規模なECサイトになるため、オープンソース、ECパッケージ、フルスクラッチといった方法がおすすめです。
オープンソースとは
オープンソースとは、ソースコード(プログラム)が世界中に公開されているため、誰でも無料で自由に利用や改変などができるシステムのことです。
例えば広く利用されているオープンソースの「WordPress」は柔軟性が高く、さまざまな用途で使用されており、多くのプラグイン(機能拡張システム)やデザインテーマが提供されています。
そのため、利用するユーザーはプログラミングの知識が少なくても、本格的なWebサイトを簡単に作れます。
オープンソースは無料で利用できるものの、カスタマイズの幅も広く、機能性も高いため大規模なECサイトを作る際にも向いているでしょう。
オープンソースのメリット・デメリット
オープンソースのメリットとデメリットは以下のように考えられます。
- 【オープンソースのメリット】
- ・初期費用が安く抑えられる
- ・必要に応じて機能を追加や変更ができる
- ・オープンソースに関する情報が豊富
- 【オープンソースのデメリット】
- ・システムやデザインに関する知識が必要
- ・セキュリティに関する問題が起こることがある
ECサイトを運営するために別途サーバー代やドメイン代などは必要ですが、オープンソースの利用料はかからないため、初期コストを抑えられるでしょう。
また、世界中の人が機能拡張プログラム(プラグイン)を開発しているため、サイトにいろいろな機能を追加でき、カスタマイズ性が高いです。
何か知りたいことがあれば、オープンソースに関する書籍やWebの情報があるので、疑問を解消しやすいともいえます。
一方、自分でオープンソースを利用してECサイトを作る場合、マニュアルがあるわけではないので、システムやデザインに関する最低限の知識は必要になります。
また、オープンソースのシステム構造は誰でも知り得ることから、ハッカーやサイバー犯罪者など、悪意のある第三者から攻撃されやすいといわれています。
オープンソースを利用する際は、セキュリティ対策を行うのはもちろんのこと、問題発生時の対応などを事前によく考えることが大切です。
ECパッケージ(クラウドEC)とは
ECパッケージとは、カート機能や顧客管理機能など、ECサイトを作るために必要な機能がパッケージされたソフトウェアのことです。
そしてECパッケージの機能をクラウド上で提供する場合はクラウドECといいます。
カスタマイズ性が高く自社に必要な機能を盛り込めたり、大規模なサイトにも対応できたりするため、中・大規模企業がECサイトを作る際に選択される方法です。
クラウド上でECに必要な機能を提供するというと有料ASPサービスと似ていますが、クラウドECのほうがASPより柔軟なカスタマイズが可能で、事業の規模やニーズの変化に応じて簡単に拡張できるといえます。
ECパッケージ(クラウドEC)のメリット・デメリット
以下はECパッケージのメリットとデメリットです。
- 【ECパッケージのメリット】
- ・カスタマイズ性が高い
- ・最新のセキュリティ対策が行える(クラウドECの場合)
- 【ECパッケージのデメリット】
- ・初期コストや運営コストが高い
- ・運用や管理が煩雑になりやすい
ECパッケージ(クラウドEC)は、オープンソース同様、ASPよりもカスタマイズ性が高いので、大規模でより自社らしいオリジナルのECサイトを作ることができます。
また、クラウドECの場合はサーバーやソフトウェアの更新作業が自動的に行われるので、最新の機能やセキュリティ対策を常に利用できます。
一方、規模が大きく柔軟性のあるECサイトを作れる分、これまで紹介した作り方に比べると費用が高めです。
初期費用は数百万円~、月額費用も十万円~が目安となっているため、コストが運営を圧迫しないか確認する必要があります。
また、規模が大きく機能が豊富なため運用や管理が複雑になってしまい、場合によっては専門のスタッフが必要になるでしょう。
フルスクラッチとは
フルスクラッチとは、オリジナルのECサイトを1から作る方法です。
既存のテンプレートやフレームワークを使用せず、すべて独自でシステムを構築します。
そのため、カスタマイズの制限は無く、ECサイトで実現したい機能は基本的に何でもかなえられます。
フルスクラッチで開発すれば、EC業界や市場内で競争力のあるユニークなECサイトになるので、ブランドイメージを高める効果も期待できます。
ですが、その代わり開発期間やコストが高くなる傾向があるため、多額の予算と十分な制作期間が無い場合は難しいでしょう。
フルスクラッチのメリット・デメリット
フルスクラッチのメリットとデメリットは、以下の通りです。
- 【フルスクラッチのメリット】
- ・カスタマイズに制限が無く自由度が高い
- ・唯一無二のECサイトが作成できる
- 【フルスクラッチのデメリット】
- ・初期コストがかなり高い
- ・ECサイトの制作期間が長い
- ・専門人材の確保が必要
フルスクラッチでECサイトを作るメリットは、高いカスタマイズ性で他には無いようなECサイトができることです。
完全オリジナルのサイトをゼロから作るため企業独自のニーズに合わせた機能やデザインが可能で、特殊な設定や機能もECサイトで実現できます。
一方、自由に設計できる分、膨大なコストと時間がかかります。
初期費用は数千万円~場合によっては数億円となる可能性もあるでしょう。
ECサイトを作るといっても一大プロジェクトのため、完成までに1年以上はかかると予想されます。
また、専門的な技術を持つ人材が不可欠であるため、人材の確保や育成が必須です。
フルスクラッチはかなりの予算と期間が必要のため、日本国内でも有数の大企業が利用できる方法でしょう。
ECサイトの作り方の手順を方法別に紹介
ECサイトの5つの作り方をご紹介しました。
ここからは、作り方の手順を解説していきます。
細かな違いはありますが、ECモールとASPの作り方、ECパッケージ・オープンソース・フルスクラッチの作り方は、おおよそ同じような手順のため2パターンに分けて説明していきます。
ECモール・ASPを利用して作成・構築する場合の手順
まずは、下記の図がECモールとASPを利用した場合の大まかな作り方の手順です。
- 手順1.登録・作成
- 手順2.デザインの決定(ASPの場合のみ)
- 手順3.決済関連の設定
- 手順4.配送関連の設定
- 手順5.商品の登録
「カラーミーショップ」や「楽天」など、利用するサービスを決めたら申し込み・契約を行います。
ASPやECモールの場合は画面に従って必要事項を入力していけば完了するので、迷うことはあまりないでしょう。
サービスを申し込んだらASPの場合はデザインを作っていきます。
各サービスでは、無料・有料のデザインテンプレートが多数用意されているので、どうしても自分でデザインしたいという場合でなければ、テンプレートの利用がおすすめです。
デザインテンプレートを使えば、訪問者にとって見やすく、操作しやすいサイトが手軽に作れますし、後からカスタマイズすることも可能です。
その後、決済方法を設定します。
クレジットカードなど基本的な方法はもちろん、Amazon Payなどユーザーが住所入力をせずに購入でき決済方法が人気を集めていますので、押さえておきましょう。
ただし、無料ASPの場合は決済方法も限られているので注意が必要です。
次に、配送方法を決めていきます。
サイズや配送方法(常温か冷蔵かなど)によって、各社で配送料金が異なります。
「徹底比較!宅急便・宅配業者の料金はどこが安い?」の記事で配送料金の比較ができますので、ぜひ参考にしてみてください。
いよいよ商品登録です。
商品写真や説明文によって売上は大きく左右されるので、大事なポイントです。
特に商品写真はさまざまな角度から撮影した写真を複数枚載せたり、使用イメージのわかる写真を載せたりして、ユーザーが商品を手に取れなくても、理解できるような写真を心がけましょう。
商品に関する情報が不足していると、ユーザーは購入を諦めてしまいます。
そして商品ページが完成したら、操作に問題が無いか確認のうえ、ショップをオープンさせます。
パッケージ・オープンソース・フルスクラッチを利用して作成・構築する場合の手順
下記は、パッケージ・オープンソース・フルスクラッチを利用してECサイトを作るおおよその手順です。
※自社で開発するケースもありますが、ここでは業者に開発を依頼する前提で記載します。
- 手順1.要件定義
- 手順2.業者選定
- 手順3.設計
- 手順4.開発
- 手順5.テスト
パッケージ・オープンソース・フルスクラッチの場合、ECサイトの自由度が高いので、まずはどのようなサイトを作るのかの要件定義を行います。
ECサイトにおける要件定義とは、どんな機能が必要なのか、技術面はどうするか、サイトデザインの全体コンセプトなどを決めていくことです。
共通の認識を持って開発を進められるよう、関係者同士できちんと要件を定義しておきます。
要件がある程度決まったら、制作を依頼する業者を選定します。
ECサイトの制作会社といっても得意分野や実績が異なりますので、実際に話しながら、自社の制作を安心してお願いできるかどうか確かめましょう。
制作の依頼先が決まったら、業者側が設計を進めていきます。
さまざまなことを尋ねられたりチェックを依頼されたりしますが、細かく対応することが大切です。
きちんと確認を行わないと、後々に「必要な項目の開発が全く行われていなかった」などの問題が発生する可能性があります。
開発の段階に入っても同様です。開発を業者に任せきりにするのではなく、設計書通りになっているかや進捗などを確認することで、完成後のトラブルを未然に防げるでしょう。
完成後はテストを行います。
実際にECサイトの操作を行う現場の担当者にも触ってもらい、何か不都合があれば微修正・調整を行い、完了したらECサイトをオープンしましょう。
ECサイトを作れるようになるにはどれくらいの期間がかかる?
ECサイトを作成する期間は、選択する手法やサイトの規模によって大きく異なります。
以下はECサイトを作る際の一般的な期間の目安です。
ECサイトの構築方法 | 構築期間 |
ECモール | 3時間~ |
無料ASP | 1時間~ |
有料ASP | 1週間~1ヵ月程度 |
オープンソース | 3ヵ月程度 |
ECパッケージ | 3ヵ月~半年程度 |
フルスクラッチ | 1年~数年 |
例えば、無料ASPやECモールを利用した場合、基本的な設定のみであれば数時間で立ち上げることも可能です。
一方で、有料ASPを使用したり、オープンソースやECパッケージで開発を行う場合は、準備やカスタマイズに1週間~数ヵ月はかかるでしょう。
フルスクラッチを使ってゼロからオリジナルのECサイトを作る大規模なプロジェクトでは、1年程度、場合によってはそれ以上かかることもあります。
制作期間はプロジェクトの規模や要件、チームのスキルセットによって変動しますので、上記はあくまで一般的な目安として参考にしましょう。
実際のECサイト運営で重要なポイント
ECサイトを作り終わったら、その後はECサイトを運営していくことになります。
最後に、ECサイトを運営していくうえで重要なポイントをご消化します。
1.集客のためのSEO対策
ECサイトを作っただけでは、誰もその存在を知らないため、ECモール以外の自社サイト型は特に集客が必須です。
集客手段はいくつかありますが、SEO対策は不可欠といえます。
SEO対策として適切なキーワードをサイト全体に配置し、検索エンジンからの訪問者を増やすことにより、サイトへのアクセス数が増加し、売上もアップするでしょう。
現代では多くの人々がインターネットで商品やサービスを検索するため、検索エンジンで自社サイトが上位表示されることは、ECサイトの集客と売上の向上に直結するといえます。
ECサイトのSEO対策について詳しくは「ECサイトに必要なSEO対策は?」の記事でより詳しく説明していますので、ご覧ください。
2.ユーザー体験(UX)の向上
ECサイトを成功させるには、ユーザー体験(UX)の充実も大切です。
UXはユーザーがサイト利用時に感じる全体的な満足度のことで、サイトのわかりやすさや情報へのスムーズなアクセス、購入のしやすさなど多岐にわたります。
これらの要素を改善することで顧客満足度が向上し、その結果リピート購入や高いコンバージョン率へとつながるでしょう。
UXの向上には以下の点が特に重要です。
- ・直感的に操作ができるようなデザインを心がけ、ユーザーが求める情報や商品を簡単に見つけられるようにする
- ・ページを高速で読み込めるよう工夫をして、ユーザーの待ち時間を最小限に抑える
- ・レスポンシブデザインを採用し、どのデバイスからアクセスしても適切にサイトが表示されるようにする
上記のような基本を押さえることで、ユーザーがサイトを快適に利用できる環境が整い、ECサイトの魅力を最大限に引き出すことができます。
3.効率的な在庫管理
効率的な在庫管理を行うことは、不要なコストを抑えつつキャッシュフローを良好に保つために大切です。
もし在庫管理がうまくいっていないと、過剰在庫により管理コストがかさんでしまったり、必要な時に商品が足りずに販売チャンスを逃したりなど、ビジネス全体にマイナスの影響を与えかねません。
さらに適切な在庫量を維持し続けることは、いつでも顧客が求める商品を提供できるということなので、顧客満足度を高めることにもつながります。
効果的な在庫管理では、商品の入荷と出荷の管理をしっかり行い、必要な在庫量をきちんと把握しておくこと、在庫管理システムをうまく活用することがポイントです。
在庫管理について詳しくは、「ネットショップで在庫管理はなぜ重要?」の記事で具体的な方法を紹介していますので、合わせてご覧ください。
4.セキュリティ対策
ECサイト運営には、さまざまなリスクが潜んでいますが、特にセキュリティに関するものは損害が大きいです。
例えば個人情報の漏洩やサイトへの不正アクセスなどが起こってしまったら、ECサイトの信頼性を大きく損ねたことで、ECサイトの運営が継続できなくなる可能性もあります。
賠償をしなければならないケースも出てくるかもしれません。
そのような事態を防ぐため、しっかりとしたセキュリティ対策が必要です。
定期的にシステムのチェックを行い、最新のセキュリティソフトウェアを使用するのはもちろんのこと、顧客データの保護を最優先に考え、データの暗号化やアクセス制御などをしっかり行うことで、安全なECサイト運営を目指します。
5.サイト改修
ECサイト運営では、時代の変化やユーザーのニーズの変動に応じて、サイトの改修(改善)が欠かせません。
改修を行わないと、デザイン面では古めかしい印象をユーザーに与えてしまいますし、機能面のアップデートを行わないと先述したようなセキュリティ面のリスクが高まります。
改修を行う際は、目的をはっきりさせることがポイントです。
ユーザビリティの向上、セキュリティの強化など、目的を決めないと改善ポイントも洗い出せません。
また、何かトラブルがあった時にすぐ元に戻せるようにしておきましょう。
タイミングとしては、できるだけユーザーに影響が少ない時間帯を選び、告知も忘れずに行いましょう。
改修後は改修内容をユーザーに分かりやすく伝えることで、新たに追加された機能や改善された点を理解してもらいやすくなります。
まとめ
ECサイトの作り方は以下のように、主に5種類あります。
- 1.無料・有料ASP(ECサイト作成サービス)
- 2.ECモール
- 3.オープンソース
- 4.ECパッケージ(クラウドEC)
- 5.フルスクラッチ
どの作り方にするのか方法を選ぶ際は、サイト構築にかけられる予算、ランニングコスト、カスタマイズの柔軟性、セキュリティ対策の必要度、どれくらいサポートを受けたいのかなどを総合的に見て検討しましょう。
例えば、無料のサービスは一見安そうに見えても必要機能を追加していった結果、トータルコストが割高になってしまう可能性もあります。
費用だけを見るのではなく、全体的なバランスを見て作り方を選ぶことが大切です。
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