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ファッション・アパレルECとは? 仕事内容や市場規模・今後の課題も紹介!

洋服や靴などは、実物を目で見て実際に試着して購入する人も多いですが、ECサイトが充実してきたこともあり試着せずにオンラインショップで購入する人も増えています。

そこで今回はアパレルECの市場規模やトレンド、有名メーカーやECモールの動向など、アパレルEC業界について知っておきたいことをまとめました。

ツクルくん
ツクルくん

アパレルECの勢いが増してるって聞いたけど、ここ最近どう変化してきているんだろう?

カラミちゃん
カラミちゃん

アパレルECの市場規模は2020年には2兆円を超えました。コロナ禍でのEC利用が増えたことにより近年、ECと実店舗の関係も変化しています。

アパレルECとは何?

そもそもECとは英語の「Electronic Commerce」(Eコマース)の頭文字を取った言葉で、日本語では「電子商取引」と訳され、インターネット上で行われる商取引全般を表しています。
ECは本来、オンライン上でのすべての商取引を指すので、ネットショッピング以外の売買のことも表す言葉ですが、実際はEC=ネットショップの意味で使われています。

そしてアパレルとは衣類の中でも特に既製服を表した言葉なので「アパレルEC」とは、オンライン上での衣類の販売や関連するサービスのことを指します。

アパレルECの市場規模は?ファッション業界のEC化率も紹介

アパレル業界もコロナ禍の影響でオンライン販売が増えたといわれていますが、実際はどのように市場規模が推移しているのでしょうか。

以下の表は、経済産業省が毎年行っている「電子商取引に関する市場調査」をもとに作成した表です。
BtoC ECの物販系分野で、「衣類・服装雑貨等」カテゴリの年度ごとの市場規模とEC化率を表しています。

市場規模 EC化率
2022年 2兆5499億円 21.56%
2021年 2兆4279億円 21.15%
2020年 2兆2203億円 19.44%
2019年 1兆9100億円 13.87%
2018年 1兆7728億円 12.96%
2017年 1兆6454億円 11.54%
2016年 1兆5297億円 10.93%
2015年 1兆3839億円 9.04%
2014年 1兆2,822億円 8.11%

2014年~2022年の9年間で、アパレルECの市場規模は2兆円を超え、約2倍になっているだけでなく、EC化率も約2.7倍と、市場規模もEC化率も大きく成長していることがわかります。

ファッション・アパレル業界もコロナ禍によりEC販売が加速

ファッションやアパレル業界も他の業界と同じように、徐々にEC化率が進み市場規模もだんだんと拡大していました。
そこへ新型コロナウイルス感染症の拡大で実店舗の営業自粛や来店客の減少などの影響を受け、アパレル業界のEC化は大きく加速することになります。
実際に上記の表を見ると、2019年から2020年にかけてのEC化率は急に上がっています。

一方で、令和3年度の電子商取引に関する市場調査によると、コロナ禍でのステイホームが続いていた影響か、一世帯あたりのファッションにかける支出はコロナ前の2019年に比べて2021年は約18%も減少しています。

ですが先ほどお伝えしたように、アパレルEC市場自体は拡大していることから、コロナ禍をきっかけにアパレルECを利用する人が増えたといえます。

今後は、実店舗の在庫をネット上で確認できたり、ネット上で注文したものを実店舗で受け取れたり、実店舗とECの両方を活用したアプローチなどがますます増えてくるものと思われます。

ファッション・アパレルECサイトの種類とは?

一口にアパレルのECサイトといっても、詳しく見てみるといくつか種類があります。
ここからは、主な3種類の特徴や違いをご紹介します。

ECモール型

ECモールとは、ショッピングモールのように、1つのサイトにさまざまなショップが存在するタイプのECサイトです。

実店舗のショッピングモールのように独立した店舗ではなく、ECモール内の1テナントとして出店する形がECモール型になります。

多様なジャンルのショップがある「Amazon」や「楽天市場」、ファッション系に特化した「ZOZOTOWN」や「Rakuten Fashion」などがECモールの中でも有名です。

ECモール型の特徴は、利用者が多く集客しやすいことです。
「服は基本的にZOZOTOWNで探す」という人もいるように、ECモールはさまざまなブランドが1ヵ所に集まっているので服を探しやすかったり、独自のポイントや定期的なセールを行っていたりするので、人が集まりやすいといえます。

一方で、他ブランドと値段で比較されやすく、ブランド名を覚えてもらいにくいといったデメリットもあります。

メーカーやブランドによる自社サイト型

自社サイト型は、ECモール内の1ショップではなく、自社オリジナルの販売サイトを独自に立ち上げて、商品やサービスを販売するタイプです。
独自ECサイトのためデザインの自由度が高く、ブランディングをしやすい特徴があります。
代表的なのが、「UNIQLO」や「NIKE」など大手ブランドのオンラインショップです。
それ以外でも、大手のアパレルメーカーは基本的に自社サイトを持っているでしょう。

自社サイト型はECモール型に比べてサイトの機能拡張性が高いので、ECサイトを通じて実店舗の商品の取り置きを申し込める機能や、自社独自のオンライン試着システムを導入するなども可能です。

実店舗を持つブランドでは、実店舗とオンライン両方で商品を販売するなど、複数の販売経路を活用するオムニチャネル化を図ることによって顧客体験を充実させています。

また、大手アパレルメーカーによる自社サイトだけでなく、最近では個人がブランドを立ち上げたり、服を仕入れて販売するセレクトショップを開業したり、実店舗を持たない個人経営通販も増えてきました。
個人経営通販も自社でブランドを立ち上げているので自社サイト型のECサイトです。

サブスクリプション型

月額固定の費用を払えば服をレンタルできるサブスクリプション型のECサイトも、今ではアパレルECの一形態として定着しつつあります。
サブスク型の特徴は買い切り型ではないため、気分やシーズンに合わせてさまざまな服から利用者が好みに合ったものを借りられることです。

有名なサービスには、「airCloset」や「メチャカリ」などがあります。

例えば、airClosetは月額費用を払えば、毎月3~5着程度の服を届けてくれるサービスです。
それぞれのユーザーのファッションタイプ診断を元にプロのスタイリストが服を選定するため、よりに好みに近い服をレンタルできるのが特徴です。
カジュアルからオフィススタイルまで、定価1万円前後の服をレンタルできます。

ファッション・アパレルECの特徴とトレンド

コロナ禍を経て、現在のアパレルECはどのように変化したのでしょうか。それぞれの特徴や内容を見ていきましょう。

オンライン上での接客の充実

実店舗での接客や販売ができなかった時期もあったため、ECサイトやSNSを活用してオンライン接客に取り組むアパレル企業が増えました。

アパレルECでは、1対1で顧客とコミュニケーションを取るオンライン接客が主流でした。
ビデオ通話ツールなどを利用して、服のサイズ感や質感を伝えたり、コーディネートを提案したりなど、実店舗と同じように接客していきます。

行動制限がほとんど無くなった2023年では、1対1のオンライン接客を行う企業がありつつも、ライブ配信で商品を視聴者向けに紹介し、その場で購入できるライブコマースの活用も増えています。

いずれにしろオンラインで対応できるようにすることで、ロケーションに縛られず、さまざまな場所に住む顧客に商品を紹介できることから、オンライン接客は今後も続いていくでしょう。

サステナブルファッションの広がり

「持続可能な」と訳されるサステナブルという言葉は、「今さえ良ければいいという短絡的な考えではなく、今後も地球の自然環境を保ち続けられるような」というような意味を持ちます。

衣類は、製造・販売され消費者のもとに届いた後に廃棄されるまで、各工程で多くの環境負荷が生じています。
大量生産や大量消費が続くと地球環境にさらなる悪影響が生じることとなるため、ファッション業界でも、自然環境に配慮した取り組み(サステナブルファッション)が注目されているのです。

サステナブルファッションとは、毛皮を利用しないアニマルフリーの服、リサイクル素材を使用した服、大量廃棄を誘発させない受注生産の服などを指します。

実際にこれまでの大量生産・大量消費ではなく、サステナブルファッションに取り組む企業も増えてきています。

例えば海外ブランドの「H&M」ではサステナブル素材に焦点を当てた屋外広告、「ユナイテッドアローズ」ではリペアした服の販売、カジュアルファッションの「アダストリア」では適正在庫の徹底と売れ残りのアップサイクルの取り組みなどを行っています。

環境省がサステナブルファッションを推進していることもあり、今後アパレル各社ではサステナブルファッションへの取り組みが当たり前となるかもしれません。

ショールーミングの導入

ショールーミングとは、消費者が実店舗で現物を確認した後、ECサイトで購入することを表す言葉です。
コロナ禍で人々の生活様式が変化したこともあり、在庫を持たずに試着用の見本商品のみを店舗に置くなど、積極的にショールーミングを促すアパレルブランドも見られるようになりました。

ある調査によると5割以上の人が「初めてのブランドは店舗で購入する」と回答したことから、いくらアパレルECが充実したとしても、実店舗では実際に商品を見られるというメリットを感じている人は多いです。

特にアパレル・ファッション商品は身に着けるものであるため、人々が購入に対して慎重になりやすいからでしょう。

OMOやO2OといったECと実店舗をつなげる概念もあるように、ECと実店舗を切り分けるのではなく、実店舗とECを融合させ、顧客にとって利便性の高いショップ作りをしていくことが、今後ますます重要視されます。

ファッション・アパレルECのメリット

ファッション・アパレルECにはさまざまなメリットがあります。ここでは販売側と購入側、それぞれの側面から確認していきましょう。

販売側のメリット

販売店側がファッション・アパレルECを持つ主なメリットは、販売機会が増えることと低コストでの開業が実現することです。

販売機会を逃さない

実店舗のように営業時間に決まりがないECであれば、24時間いつでも商品を販売できます。
ユーザーが買いたいタイミングで購入できるため、販売機会を逃しにくくなるでしょう。

また、実店舗では在庫がないと商品を販売できませんが、ECで予約販売機能を活用すれば、現時点では在庫がなくて買えない顧客も購入が可能になります。
在庫にとらわれず販売がしやすいのも、EC販売のメリットです。

店舗やスタッフを持たずに開業できる

実店舗で洋服を販売するとなると、店舗の賃料や維持費、内装費、店舗で働く従業員に対する給与などさまざまなコストがかかります。

ですが、ECは店舗が必要ないため、店舗やスタッフを用意しなくても開業できます。
また、商品を陳列する必要が無いため、ハンガーラックや商品陳列用の棚といった内装関係のコストも不要です。
初期費用をあまりかけず低コストで始めやすいのも、ファッション・アパレルECのメリットでしょう。

購入側のメリット

商品が探しやすくなったり口コミが利用できたりする点が、アパレルECを利用する購入者側のメリットといえます。

目的の商品を探しやすい

アパレル商品を探すとき、「花柄でひざ丈のスカートが欲しい」「袖なしの白いプリントTシャツが欲しい」など、目的の商品をある程度決めて探すことがあるでしょう。
このような場合、ECサイトで検索をして商品を探すと便利です。
実店舗だと、足を運んだとしてもイメージしていた商品がそもそも売っていない可能性もあります。

このようなニーズに対して、ファッションECモールの「ZOZOTOWN」では、商品画像を分析し、さまざまなブランドから似たようなアイテムを検索できる機能が備わっています。
欲しいアイテムが見つけやすかったり、複数から比較できたりするのは、ファッション・アパレルECを利用するメリットといえるでしょう。

口コミが確認できる

ファッション・アパレルECサイトの商品ページには、ほとんどの場合口コミが掲載されています。
口コミには、フィット感や素材感、透け感、着丈、しわのつきやすさなど実際に着てみないとわからない貴重な情報が載っているでしょう。
実店舗でもショップスタッフから商品の説明をしてもらえますが、基本的におすすめポイントのみしか聞けないことが多いです。
口コミであれば、購入者の率直な意見が聞けるので、商品を買ってみてがっかりした点なども知ることができます。

第三者よる客観的な意見である口コミを確認してから購入できるのも、ECサイトを利用するメリットです。

主なファッション・アパレルECメーカーの売上高

アパレルECが国内でも増えているということがわかりましたが、実際に大手のアパレルブランドはECでどれくらい売り上げているのでしょうか。
国内の主なファッション・アパレルメーカーのECの売上高や、ECにおける取り組みを見ていきましょう。

ユニクロ

  • 1,309億円(2021年9月~2022年8月)
  • ※国内ユニクロ事業のEC売上

ファーストリテイリングは、「ユニクロ」をはじめ、「ジーユー」や「セオリー」といったブランドを国内だけでなく海外でも展開しているアパレル会社です。
国内のユニクロ事業の売上は、他のアパレルブランドと大きな差をつけた上で1位となっています。

ユニクロでは、存在感を増すECと実店舗を融合したサービスの拡充を図っています。
2020年6月には、ディスプレイからユーザーの着こなしを検索できる「着こなし発見アプリ」と連動した売り場が誕生しました。

アプリで購入した商品の店舗での受け渡し、リアルタイムでの在庫状況の表示など、アプリと実店舗を連携させた取り組みを積極的に行っています。

アダストリア

  • 626億円(2022年3月~2023年2月)

アダストリアのEC売上の比率は、626億円と全体売上高の28.7%となっています。

「GLOBAL WORK」や「LOWRYS FARM」などを展開するアダストリアは、1人1人の感性や暮らしを考えた多彩なブランドを展開する会社です。

アダストリアのECサイト「.st(ドットエスティ)」は、アダストリアの30のブランドを集結したサイトで、個々に合ったパーソナライズサービス、スタイリング機能、先行予約機能などを提供しています。
社内インフルエンサーを育成し、アプリ内で掲載するスタッフスタイリングを通じた商品アピールに力を入れています。

ベイクルーズ

  • 510億円(2021年9月~2022年8月)

ベイクルーズは、「IENA」や「JOURNAL STANDARD」などのアパレルブランドをはじめ、飲食店やフィットネス事業も展開している会社です。
オンラインショップの「BAYCREW’S STORE」では同社の展開する複数のアパレルブランドの商品を購入できます。

ベイクルーズが取り組んでいるのがオンライン接客です。
ZOOMアプリを使ってファッションアドバイザーに相談できるサービスで、商品の質感やサイズ感、コーディネートなどを気軽に相談できます。
また、新規顧客獲得のため、自社ECサイトでの販売だけでなく、ECモールへの出店も組み合わせてEC事業を展開しています。

オンワード

  • 447億9,800万円(2022年3月~2023年2月)

オンワードは、国内外に総合アパレル事業などを展開している会社です。
代表的なブランドに「23区」や「自由区」「TOCCA」などがあります。

2009年に自社ブランドを集めた自社ECサイト「ONWARD CROSSET」を開設した同社は、店舗とECの強みを融合する戦略に力を入れてきました。

特に、ユーザーが気になった服をECサイト経由で実店舗へ取り寄せて、試着後に購入できる「クリック&トライ」というOMOサービスにより、売上を伸ばしています。

主なファッション・アパレルECモールの売上高

次にファッション・アパレルECモールでも代表的な「Rakuten Fashion」と「ZOZOTOWN」の最近の売上高や特徴を見ていきましょう。

Rakuten Fashion

  • 約1兆520億円(2022年1月~12月)

2022年のRakuten Fashionは前年比で10%も流通総額が増加し、国内最大級のファッション・アパレルECモールとなっています。

Rakuten Fashionの特徴は、楽天のブランド力により圧倒的な数のブランドが出店していることから商品を比較しやすいこと、楽天ポイントが貯まること(使用も可)です。

最短翌日配送、靴の交換無料、16日以内なら返品可能など、顧客にとって便利なサービスが充実しているのもポイントといえます。

以前はファッションECモールといえばZOZOTOWNの一強でしたが、2022年の流通総額ではRakuten Fashionのほうが上回っています。

ZOZOTOWN

  • 約5,433億円(2022年4月~2023年3月)

ZOZOTOWNの売上高は、前年度(2021年度)より7%アップしています。

ZOZOTOWNは、Amazonなど規模の大きい総合ECモールとのすみ分けをしっかり行いファッション・コスメに特化し、受託販売を行うことでブランド側の販売コストに対する負担を減らしています。

EC上では初回購入を逃さないためのチャット質問ツールの活用や、ユーザーのお気に入り商品を定期的にセール価格で表示するなど、Webならではの接客が充実しているのも特徴でしょう。

ユーザーがコーディネートを投稿できるアプリ「WEAR」も提供しており、「WEAR」に掲載されたアイテムからZOZOTOWNの購入サイトに誘導するアプリと連携した取り組みも行っています。

参考:過去決算資料|ZOZO

ファッション・アパレルECの仕事内容は?

ここまでファッション・アパレルECについてお伝えしてきましたが、実際に始めるとどのような業務が必要になるのか、仕事内容を紹介していきます。

服の仕入れ

メーカーであればすでに自社で製造しているため仕入れ先の確保は必要ありませんが、個人でECサイトと共にアパレルブランドを立ち上げる場合は仕入れ先の確保が必要です。

方法としては、アパレル製品の卸を行っているWebサイトから仕入れる方法、メーカーから直接仕入れる方法、海外から仕入れる方法、製造を委託するOEMを利用する方法などがあります。

仕入れ方について詳しくは「ネットショップ開業の仕入れ方法7つを解説!」の記事をチェックしてみてください。

ECサイト制作

アパレルECの種類でも触れたように、ECサイトの作り方はECモールに出店する方法と自社でECサイトを構築する方法の、2パターンがあります。

ECモールの出店は、出店料などさまざまなランニングコストがかかるものの、ECモールの知名度を活かして集客がしやすいのが特徴です。

自社ECサイトはデザインの自由度が高いためブランドイメージに合ったデザインでブランディングしやすいですが、ブランド自体の知名度が低いと集客に工夫が必要になってきます。

どちらか一方ではなく、ベイクルーズのように自社ブランドを知ってもらうためにもZOZOTOWNなどのECモールに出店しつつ自社のECサイトを構築するというのもおすすめの方法でしょう。

なお、ECサイトの制作業務をさらに具体的にお伝えすると、以下のような業務もあります。

商品説明文の作成

どのようなアイテムなのかを説明する商品説明文は、ファッションの場合「いつの季節におすすめなのか」「着心地はどのような感じか」「素材の特徴」などが必要になってきます。
購入時の決め手になりますので、適切な文量でしっかり商品の魅力を伝えることが大切です。
ベネフィットや注意点、ストーリーなども意識して作成していきましょう。

商品説明文の作り方については「売れる商品説明の書き方とは?」の記事で詳しく解説していますので、ぜひ作る際の参考にしてください。

商品の写真撮影

ECでは実物を手に取れないため、商品写真が売り上げを左右するともいわれていますが、アパレル・ファッションのECでは特に重要です。
ECサイトを訪れた人が欲しいと思えるように、魅力的な商品写真を準備しましょう。

魅力的な写真だけでなく、ユーザーが知りたい情報を伝えるような写真も必要です。
例えば、カラーバリエーションのある服は全色の画像、留め具や生地の質感などディテール部分の画像、明るい場所と暗い場所での色味の違いがわかる画像などが挙げられます。

ECサイトへの集客・販促活動

ECサイトを制作したらサイトへ訪問してもらえるようにするための、集客や販促活動も必要になります。
具体的な方法として、SEO対策やSNS運用、メルマガの配信などがあります。

SEO対策

SEOとは検索エンジン最適化のことで、Googleなどの検索エンジンでユーザーがあるキーワードを検索したときに自社サイトが上位に表示されるようすることです。
SEO対策を行い検索上位に自社サイトが表示されれば多くのユーザーに訪れてもらえるので、集客にコストをかけたくない場合に最適な施策です。

ただし、成果が出るまでに時間がかかるので、短期間で集客できる広告と併用するのが望ましいでしょう。

ECサイトのSEOについては、「ECサイトに必要なSEO対策とは?」の記事で具体的な方法を紹介しています。

SNS運用

InstagramやX(旧Twitter)などのSNSの公式アカウントを開設し、ブランディングや商品宣伝のため情報を発信することも集客につながります。

SNSの運用は基本的に無料で固定ファンがつきやすく、宣伝力もあるなどのメリットがあります。
ファッション・アパレルECの場合は、写真で商品の魅力を訴求できるInstagramを始めるのがおすすめです。

ただしコンセプトも統一せずに好きなことを投稿したり、投稿頻度が低すぎたりするとSNS運用による集客はあまり期待できません。

Instagramのフォロワーを増やすコツは、「Instagramのフォロワーをガツンと増やす」の記事で詳しく紹介しています。

メルマガの配信

メルマガは主に新規顧客ではなく、1度でも購入したことのある顧客に対して行う販促方法です。
ユーザーに対してキャンペーン情報を伝えたり新商品を紹介したりしてECサイトへ誘導し、購入につなげる目的があります。

新規顧客の獲得は、リピーター獲得の何倍ものコストが必要とされているため、コストを抑えて売上を上げるにはリピート客を増やすことが重要で、メルマガはリピート客に有効な手段です。

メリットは、購読者に対して一斉に配信できるためスピーディーにコアなターゲットに情報発信ができること、ユーザーと強いつながりを持てることなどです。

メルマガについて詳しくは、「メルマガとは?」の記事で目的や送り方などを紹介していますのでご覧ください。

カスタマー対応

ユーザーからの問い合わせに対応することをカスタマー対応といいます。

具体的にはユーザーからの質問やクレーム、要望などに対してメールや電話などでの回答や、問い合わせ内容の記録などを行います。

カスタマー対応の良し悪しは、売上や顧客満足度に大きく影響します。
もし何か不備があったときに顧客対応が遅かったりきちんと対応できなかったりすると、そのユーザーは2度と購入してくれなくなるでしょう。

さらに、「こんなひどい顧客対応をされた」とSNSに書かれて炎上してしまうと、ブランド自体の評判が一気に落ちてしまいます。

ブランドのためにもリピートしてもらうためにもカスタマー対応は非常に大切な業務の1つです。

アパレルECの課題と解決方法

アパレルECを運営する上で抱えやすい課題とは何なのでしょうか。解決方法と共にご紹介します。

安価な海外ファッションブランドの進出

トレンドなデザインのアイテムを低価格で販売する「SHEIN」のように、圧倒的な安さを売りにした海外ファッションブランドが日本でも人気を集めています。

安価で気に入った服を購入できるのはユーザーにとってのメリットではありますが、一方でデザインの模倣や労働環境などの問題も取り上げられるようになりました。

このようなファストファッションは、大量生産と大量廃棄の問題を加速させてしまう原因にもなります。
世界的にもサステナブルの考え方が広がりつつある現代において、安さで対抗するのは考えものでしょう。

どうしても消費者は低価格なものに流れてしまう傾向はありますが、低価格帯の商品は利益率も低いです。

持続可能な社会に貢献するためにも、価格帯で勝負するのではなく品質にこだわり、リサイクル素材を使った衣類など、サステナブルを意識した取り組みを通じてファンを増やし売上を作っていくことが大切です。

サイズ感がわかりづらく返品率が高い

実物を確かめられないネットショッピングでの購入は、5~10%程度と実店舗と比べて返品率が高くなりがちですが、アパレルECでは30%程度ともいわれており、特に高くなっています。

アパレルECでは試着ができないため、サイズ感がわかりにくいというのが主な原因として考えられます。

そのため、ユーザーの体形データを元に服の着用イメージ(シルエット)が確認できる「Virtusize」など、ネット上の試着サービス(機能)を提供すれば一定の返品防止に役立つでしょう。

もし試着機能を導入するのが難しい場合、多様な身長や体型のモデルを用意して、掲載写真に身長などの情報を明記するといった方法もあります。

在庫管理が煩雑になりやすい

多くのアイテムを取りそろえ、シーズンごとにアイテムが入れ替わるアパレルECは、もともと在庫管理が複雑化しやすいです。

実店舗、自社ECサイト、ECモール内の自社店舗などいくつもの店舗を運営しているとさらに在庫管理は煩雑になるでしょう。

ですが、適切な在庫管理を行わないと販売機会の損失になったり、顧客が不満を抱く原因となったりしてしまいます。

解決方法としては、在庫を一元管理できるような管理システムを取り入れる、アウトソーシング(外部委託サービス)を利用する、などが挙げられます。

まとめ

コロナ禍でニーズが増えたこと、実店舗よりも商品を探しやすいことなどから、アパレルECの市場規模は年々拡大しており、EC化率も上昇しています。

ですが、アパレル製品は身に着けるものであるため「実店舗で試着したい」というユーザーも多いです。

そのため、アパレルECでは実店舗のメリットも活用して、オンラインとオフラインを併用するOMO戦略が重要になってくるでしょう。

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