
【事例付き】お茶のネット販売の始め方は?緑茶や紅茶のネットショップに必要な許可も紹介
ECサイトでの食品販売、いわゆる食品ECが急速に拡大する中、お茶のネット販売も注目を集めています。
緑茶や紅茶、ハーブティーなど、多様なお茶をオンライン販売することで、実店舗では難しい全国・海外への販路拡大や低コストでの事業展開が可能になります。
そこでこの記事では、お茶のネット販売に必要な許可から具体的な始め方、成功のポイントまで詳しく解説します。

ボク、お茶が好きだからお茶のネット販売を始めようと思うんだよね。

いいですね。でも許可や手続きをせずに勝手に始めると、罰則の対象となる場合もあります。これから、お茶のネット販売に必要な許可などを紹介しますね。
目次
お茶をネットで販売するメリット

実店舗で販売することも考えられますが、緑茶や紅茶などのお茶をネットで販売するとどのようなメリットがあるのでしょうか。
主に考えられるのは以下の3点です。
- ・低コストで始められる
- ・海外に向けても販売できる
- ・顧客データを活用しやすい
実店舗の場合、敷金や礼金に加えて内装費、光熱費など多くの初期費用や固定費がかかります。一方、ネットショップであれば、これらの費用を大幅に抑えることが可能です。
カラーミーショップなどのECサイト構築サービスであれば、初期費用や月額使用料が数千円程度なので、実店舗と比べてコストを抑えて事業を始められます。
また、ネットショップは場所の制約を受けません。そのため日本全国だけでなく、海外の顧客にもお茶を販売することが可能です。
日本茶や抹茶などは外国人から人気の食品のため、海外向けネットショップを開業して販売する際、成功しやすいジャンルといえます。
さらに、ネットショップでは、誰がいつ、何を購入したのかといった顧客データの収集が簡単に行えます。
ECサイトを分析し、顧客データを活用することで、ターゲット顧客に合わせた商品開発、効果的なマーケティング施策などを実施できるでしょう。
お茶は常温保存も可能なため、冷蔵や冷凍が必要な他の食品に比べて商品管理がしやすい点もメリットといえます。
お茶のネット販売で必要な許可・資格・届出

お茶のネットショップに限らず、事業主として何かビジネスを行う際は「開業届」を提出することが定められています。
もしこれから事業を始めるという場合は、忘れずに管轄の税務署に提出しましょう。
ネットショップの開業届については「ネットショップに開業届は必須?」の記事をご覧ください。
また開業届に加えて、お茶のネット販売ならではの資格や届出が必要です。
ただし、どのような形で販売するかによって必要な手続きが異なりますので、それぞれのパターンごとに紹介します。
自分でお茶を製造・ブレンドして販売する場合
自分で緑茶や紅茶を作ったり、ブレンドしたりして販売する場合は以下の手続きや資格などが必要です。
- ・「製茶業」の営業を行うための営業届出の提出
- ・食品衛生責任者の資格
- ・HACCPに沿った衛生管理
令和3年に食品衛生法が改正されたことで、お茶の製造やブレンドをして販売する場合は、「製茶業」として営業届出を行うことが義務化されました。
ネット販売であっても届出は必須のため、管轄の保健所へ営業届出を提出するか、オンラインでの申請も可能です。
また、営業届出を行う際には、食品衛生責任者の氏名の記載が必須です。
食品衛生責任者は、調理師や栄養士など特定の資格があれば取得できますが、もし有資格者がいない場合は、講習と試験を受けて取得することもできます。
さらに営業届出後も、国際的に取り入れられている衛生管理の手法である「HACCP」に沿った衛生管理が求められます。
HACCPの概要について知りたい方はぜひ「HACCP(ハサップ)とは?」の記事をご覧ください。
また、厚生労働省が公表している「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理のための手引書(仕上茶・抹茶工場向け)」も参考になります。
購入したお茶を小分けにして販売する場合
自分でお茶を作ったりブレンドしたりせず、小分けにして販売する場合でも、以下のような手続きなどが必要です。
- ・密封包装食品製造業の営業届出の提出
- ・食品衛生責任者の資格
- ・HACCPに沿った衛生管理
営業届出よりも申請や手続きが複雑な手続きとして、営業許可があります。
本来、何かの食品を密封する際は「密封包装食品製造業」という営業許可を取得しなければなりません。
ですがお茶を密封する場合は、営業許可ではなく製茶業と同様の「営業届出」を提出すればよいとされています。(※参照:「密封包装食品製造業の対象食品が令和5年1月19日に変わりました」リーフレット)
さらに、営業届出を行うということは製茶業の時と同様、食品衛生責任者とHACCPによる食品衛生管理が求められるでしょう。
なお、自分でお茶を製造したりブレンドしたりした後に密封して販売する場合でも、厚生労働省によると「すでに代表的な業種を届出ている場合は、追加の届出は不要」とあります。
そのため製茶業の営業届出を行っている方は、密封包装食品製造業の営業届出は不要の可能性が高いです。
どのような営業届を申請すればよいかは、管轄の保健所に確認しましょう。
梱包されているお茶を仕入れて販売する場合
お茶を販売する場合、すでにパッケージ(密封)され、製品化されているお茶を仕入れて販売することもあります。
そのパターンでは、もしかすると営業許可や営業届出が不要の可能性も高いです。
食品衛生法では、営業許可や営業届出制度のほかに「届け出対象外事業」も定めています。
そのような届出も許可も不要な事業の1つとして「常温で長期間保存しても腐敗、 変敗その他品質の劣化による食品衛生上の危害の発生のおそれがない包装食品の販売業」というものがあります。
お茶の場合、一般的に賞味期限は半年~1年程度と長期間で、常温保存が可能とされています。
そのため、もしかするとすでに密封されているお茶をそのまま販売する場合は、営業許可も営業届出も不要かもしれません。
ですが、地方自治体によって判断が異なる場合もあるので、管轄の保健所に許可や届出が不要かどうか必ず確認をしてから販売を始めましょう。
なお、営業許可のいらない食品や営業許可・届出制度について詳しくは「営業許可のいらない食品とは?」の記事をご覧ください。
食品表示法の義務によるラベル貼付なども必要
販売されるすべての食品は、食品表示法により食品の詳細がわかる情報を表示することが義務付けられています。
そのため、商品の名称や保存方法、賞味期限などが書かれたラベルなどをパッケージに貼り付けて表示しなければなりません。
また、緑茶の場合は「個別に原料原産地表示を規定する22食品群」として定められており、国産であるか、国産でなければ原産国名の表示を義務付けられています。
食品表示法に従わないと罰則も設けられているため、必ず指定されている項目の表示を行いましょう。
どのような表示が必要か詳しくは厚生労働省の「早わかり食品表示ガイド」で確認してください。
お茶のネット販売の始め方・手順

ここからは、実際に緑茶や紅茶といったお茶のネット販売の始め方やおおまかな手順をご紹介します。
1.販売するお茶の種類を決めて準備する
お茶のネット販売を始めるにあたり最初に行うべきことは、どのような種類のお茶を販売するのかを決めて、その準備を進めることです。
お茶と一口にいっても、緑茶や紅茶、ハーブティー、フレーバーティー、健康茶など、実に多様な種類が存在します。
基本的にどのお茶も、ネット販売は可能です。
そして、先ほどお伝えしたように、お茶をどのように仕入れて販売するかによって必要な手続きが異なります。
販売するお茶や方法を決めたら、早めに許可取りや手続きを進めていきましょう。
2.ショップ名やコンセプトを考える
ECサイトを立ち上げる際、ショップ名やコンセプトはサイトの方向性を決めるための軸となるものなので、しっかりと設定することが重要です。
明確なコンセプトがあれば、競合サイトとの差別化が図れ、価格競争に巻き込まれにくくなります。
ショップ名は覚えやすく、シンプルでわかりやすいものが理想です。
また、ターゲットとなる顧客層に合った名前を考えることで、訴求力が高まるといえます。
ネットショップの名前の付け方については「ネットショップの名前の付け方の大事なポイント・コツまとめ」の記事を参考にしてください。
また、コンセプトは、「誰に・何を・どのように提供するのか」といったことを明確にするものです。
市場調査や競合分析を行い、自社独自の強みを反映させることで、他社にはない魅力的なコンセプトが作れるでしょう。
コンセプトについて詳しくは「ネットショップのコンセプトの決め方が成功の秘訣!」の記事を合わせてご覧ください。
3.ネット販売の方法を決める
お茶をネットで販売する場合、以下の3つの方法が考えられます。
- ・ECモール
- ・産直モール
- ・自社ECサイト
ECモールとは、楽天市場、Amazonのような、さまざまなショップが並ぶショッピングモールに出店する形式です。
ECモール自体に知名度があるため、集客をしなくてもショップに訪れてもらいやすいといえます。
ですが反対の言い方をすれば、競合がたくさんいるため、差別化が必須で価格競争にも巻き込まれやすいでしょう。
また、野菜や魚などの食品の販売に特化した産直型のECモールで販売するという方法もあります。
取り扱う商品がより絞られているモールのため、ECモールに比べて購入意欲の高い顧客が多いといえます。
一方、知名度は大手ECモールより劣るため、集客力も弱いでしょう。産直モール内での他の生産者との差別化も必須です。
さらに、カラーミーショップなどのECサイト構築サービスを利用して、自社ECを構築してお茶を販売するのもおすすめです。
上記2つのようなモールではないので、価格競争は起こりません。
また、ECモールよりも自由度が高いので、自社らしいデザインでブランディングを行ったり、自社に合った機能を追加してシステムをカスタマイズしたりなど、唯一無二の使い勝手の良いECサイトを作れます。
確かにECモールに比べると集客を自社で行わなければなりませんが、ECサイト構築サービスのカラーミーショップでは、集客に役立つ機能をはじめ、食品ECに最適な機能がそろった食品事業者専用のプランを提供しているため、初心者の方でも安心です。
気になる方はぜひチェックしてみてください。
4.販売用のサイトを作成する
ネット販売の方法を決めたら、販売サイトを作成していきます。
自社ECの場合は多くのサービスがデザインテンプレートを用意しているので、デザインの知識が無くても手軽にショップを作成できます。
そして、ECサイトを作成する上では「商品ページ」が特に重要です。
商品ページは購入者が商品を選ぶ際の決め手となる情報源であり、売上を左右する大切な要素です。
お茶の場合、ただの商品写真ではなく産地や生産者の写真などを掲載することで、顧客が商品を深く理解できるでしょう。
また、食品であるため容量、原材料などの基本情報はもちろん、特徴やこだわりポイント、使用方法なども明記します。
特にお茶の場合は、味や香り、適した飲み方などの情報を具体的に記載すると効果的といえます。
5.開業したら集客を行う
ECサイトは開設しただけでは誰もその存在を知らないため、多くのユーザーに紹介して集客する必要があります。
主な集客方法として、SEO対策やWeb広告の出稿、InstagramなどのSNS運用があります。
特に開業してすぐはショップの認知度が低いため、複数の手法を組み合わせることが重要といえます。
ECサイトの集客については、「ECサイトへの集客方法は?」の記事でさらに詳しく紹介しているのであわせてご覧ください。
お茶のネット販売を成功させるポイント

ネットでの販売は、実店舗とは異なる売り方やメリットがあるので、ネットならではの特徴を生かせば成功につながるといえます。
主なポイントを2点ご紹介します。
ネット販売ならではの付加価値を提供する
お茶はオンラインでなくても、スーパーやコンビニなどで簡単に手に入る商品です。
そのため、ECサイトで購入するからこその付加価値を提供しないと、なかなか購入者が増えません。
ECサイトで購入してもらうには、具体的に以下のような施策が考えられます。
- ・オリジナルのブレンド茶などネット限定商品の販売
- ・商品のストーリーや産地情報を伝える
- ・顧客一人一人に合わせたサービスや商品を提供する
ネット限定のオリジナルブレンド茶や、季節ごとの限定セットを提供することで、ECサイトで購入する動機づけになります。
また、ECサイトでは生産者の想いや産地の情報、製造工程といった商品に関する情報を写真や文章、動画などで詳しく紹介することができます。
販売しているお茶のストーリーや生産者の人となりをユーザーが理解することで、購入につながりやすいでしょう。
さらに、顧客データをもとに、購入者それぞれの好みに合った茶葉の提案や、購入履歴に基づいたおすすめ商品を提示する機能を導入するなど、パーソナライズされた接客を行うことでリピート購入や、顧客満足度の向上につながるといえます。
このような付加価値を提供することで、ネット販売ならではの魅力を最大限に引き出し、安定的な売上が期待できるでしょう。
顧客データを分析して改善を繰り返す
ECサイトでは、アクセス数や購買データなど、さまざまな顧客情報を収集できます。
これらのデータを分析することで、人気商品や顧客層の傾向、サイトの課題点などを把握することが可能です。
例えば、アクセスに関して、 どのページが多く見られているか、離脱が多いページはどこかなどを分析すれば、サイト構成や導線に対する課題が見えてきます。
また、購買データを見れば、どの商品がよく売れているか、リピート購入されている商品は何かなどがわかるので、商品やキャンペーン企画に活かせます。
このように、収集したデータを元に仮説を立て改善策を実行し、その効果を検証するというサイクルを繰り返すことが、ネット販売を成功させるための重要なポイントでしょう。
お茶のネット販売を行う際の注意点

お茶のネット販売を行う上で、気を付けなければならない点もあるため、把握しておきましょう。
お茶の輸入販売は別途許可が必要
上記で紹介した許可や手続きは、あくまで国内で生産されたお茶に関するものなので、お茶を輸入して販売する際はまた別途手続きが必要です。
なぜなら、海外と日本では食品に関する規定が異なるため、日本で規定されている以上の添加物の量が含まれていたり、お茶の葉に病害虫などが付着している可能性があったりするためです。
そこでお茶の輸入に関しては、食品衛生法や場合によっては植物防疫法などにより、審査や検査が行われます。
お茶を輸入する場合は、東京検疫所食品監視課で輸入食品事前相談を行っているので相談してみると良いでしょう。
お茶による効能などについて勝手に表示できない場合も
単なるお茶ではなく、「脂肪の吸収をおだやかにする」など、何らかの機能を兼ね備えたお茶も販売されています。
何らかの機能がある食品は詳しく分類すると「特定保健用食品(トクホ)」「栄養機能食品」「機能性表示食品」の3つに分かれます。
実際にどのような効能や成分なのかによって、3つのどれに該当するか異なりますが、一番厳しいトクホの場合は、国の審査や消費者庁長官の許可を得る必要があります。
そのため、自己判断で勝手にパッケージに表示することは基本的にできません。
また、パッケージへの表示に関しても、食品表示法や景品表示法といった法律で定められているため、消費者に誤解を与えるような表現などをしてしまうと、罰則の対象となる可能性もあります。
何らかの機能を含んだお茶の販売に関しては、関連する制度や法律に従って、着実に販売準備を進めましょう。
【事例】お茶をネットで販売するショップ
すすむ屋茶店は、鹿児島県で100年以上続くお茶の卸問屋から生まれた日本茶専門店。
ネットショップでは、「味わい」「一緒に食べる物」「お茶を飲むシーン」からお茶を検索できるなど、商品を探しやすい工夫をしています。
ギフト商品も充実しており、ネットショップならではの付加価値を提供している人気ショップです。
すすむ屋茶店のインタビューは、こちらからぜひご覧ください。
まとめ
お茶のネット販売は、低コストで始められ、海外展開にも向いている魅力的なビジネスです。
ただし、製茶業や密封包装食品製造業の営業届出、食品衛生責任者の資格取得など、販売形態に応じた適切な手続きを行う必要があります。
また、ネット販売を始めるには、ECモール、産直モール、自社ECなど選択肢がいくつかありますが、自社らしいECサイトを作成してブランディングするなら、カラーミーショップをはじめとするEC構築サービスで自社ECを作成するのがおすすめです。
カラーミーショップなら、食品ECに必要な機能がそろった食品事業者向けのECサイト構築プランがあるので、初めてネットでの食品販売を始める方はぜひご検討ください。
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よくある質問
はい。ネット販売自体に許可は不要ですが、お茶の販売をするに当たり営業届出の提出などが必要です。詳しくはこちらの章をご覧ください。