
トランプ関税が越境ECに与えるリアルな影響は?EC事業者が今知っておくべき税務のポイントを解説
2025年4月、トランプ前大統領による新たな関税政策が発表され、越境EC事業者の間で大きな波紋を呼んでいます。特に日本からアメリカへの商品販売を行う企業にとっては、「800ドルの壁」や「中国製部材の扱い」など、これまで以上に繊細な対応が求められる状況です。
本記事では、越境EC・海外Webマーケティングの専門家として18年以上にわたり日本企業の海外展開を支援してきた世界へボカン株式会社 代表取締役・徳田祐希氏による寄稿として、越境ECに携わるすべての事業者が押さえておきたい税務上のポイントや、今回のトランプ関税の具体的な影響、そして今後の対応の考え方について分かりやすく解説いただきました。

こんにちは!世界へボカンの徳田です。越境EC・海外Webマーケティングに18年ほど携わっております。ここ最近、2025年4月に発表されたトランプ関税の越境ECに対する影響について聞かれることが多く、最低限知っておくべき越境ECの税務に関するポイントや今回のトランプ関税の影響について解説したいと思います。
日本からアメリカ向けに販売する越境ECの場合
日本からアメリカに対して越境ECで商品販売する場合、考えなければならないポイントは①取引あたりの顧客単価が800ドル(約11万円)を上回るか否か ②日本で作られた製品なのか中国で作られた製品なのかです。
1取引あたりの取引額が800ドル未満の場合
800ドル未満であれば、デミニミス免税という制度があり、免税になるため、トランプ関税の影響も基本的に受けません。
1取引あたりの取引額が800ドル以上の場合
1取引当たりの取引額が800ドル以上の場合はこれから大幅に関税がかかるようになります。
具体的には、もともと改善が5%だった商品は以下のように関税が適用されます。

何か商品を開発してアメリカに販売していくにしても800ドル未満(送料を除く)で取引される物を作っていく必要がありますね。
1取引あたりの製品でも生産国が中国の場合
日本のメーカーが販売していても注意が必要なのが、「日本から発送する場合でも、中国製品や中国製部材を含む商品は課税対象となる可能性がある」という点です。
※現時点で情報がまだ不明確
例:日本からアメリカへ発送する商品が「Made in China」の部材を含んでいた場合、課税されるリスクがあります。
中国からアメリカに販売する場合
中国、香港からアメリカに販売する場合、これまで日本同様に取引額が800ドル未満であればデミニミス制度が適用されていました。
しかし、
- ・国際郵便の場合:2025年5月2日以降、商品価格の30%または1品あたり25ドルの関税(いずれか高い方)2025年6月1日以降、商品価格の30%または1品あたり50ドルの関税(いずれか高い方)
- ・その他の配送方法(例:Fedex、UPS):すべての輸出品に対して通常の関税が適用され、デミニミス制度は廃止。
元々、今回のトランプ関税はSHIENやTEMなどの中国製品がアメリカ国内で流通し、米国製品が米国の消費者に買われなくなってしまうことを防ぐための措置だと言われています。

これまで中国から商品を購入していたアメリカの消費者はこれを機に関税の比較的安い日本製品を買い求める可能性も高まるため、現地の需要を知っておくと良いでしょう。
関税の問題はお客さまからのクレームの原因にも
アメリカの消費者が関税の仕組みを理解しているかというと怪しいものです。ましてや、デミニミス免税の仕組みを理解している人も限られているでしょう。
そのため、800ドル未満の製品を販売していたとしても今回のトランプ関税の影響で他国の製品を越境ECで購入しても大幅な関税が発生するといった印象を持ってしまった人もいるかもしれません。
また、関税がかかると思っていなかった消費者が受け取り時に関税の存在を知り、クレームになってしまう事象は多く発生しています。ここの対処を誤ってしまうと、ブランドへの印象を悪化させてしまったり、TrustPilotやRedditといった外部のレビューサイト、フォーラムで悪評を書かれてしまう可能性があります。
あくまでも私たちのメインの業務は海外Webマーケティングなので、今回の情報をもとに国際税理士の方にご相談の上、方針を決めて頂けますと幸いです。