ペット用品のネットショップは競争が激しい業界ですが、他社にはない自社なりの工夫をすれば、人気のお店になれる可能性を秘めています。
この記事ではペット用品のネットショップをこれから開業したい方に向けて、手順や守らなければいけない法律など、基本事項をご紹介します。
カラミちゃんはペットなの?
ペットじゃないですよ。なぜならペット用品のネットショップの開業方法を知ってますし!詳しく教えますね。
目次
ネットショップでペット用品の販売に許可・資格・届出は必要?
ペット用品の販売をネットショップで始める前に、許可や資格、届出が必要なのかどうかについてまずはお伝えします。
おもちゃや首輪などペット用品の販売なら許可は不要
ペット用品といっても「ペットフード」「医薬品」「それ以外」の大きく3つに分かれます。
まず「それ以外」に分類される、首輪やおもちゃ、またたび、ペットフードの器などは許可や資格、届出など何の手続きもせずに販売を行えます。
ですが、主食のフードやおやつサプリメントなどのペットフードを「製造」または「輸入」する場合は、ペットフード安全法により、各地方農政局などに届出を提出しなければなりません。
また届出に加えて、ペットフードを取り扱う事業者(製造・輸入・販売)は帳簿を作成し、過去2年分を保存する必要があります。
ただし、このペットフード安全法が適用されるのは犬・猫のフードに限ります。
また、医薬品を扱う場合はそもそも薬剤師などの資格を所有した上で、動物用医薬品の販売許可やネットでの販売許可を申請しなければならないため、ハードルが高いです。
何も資格がない場合は、おもちゃや食器などペット用品の販売から始めるのが良いでしょう。
ペット用品の仕入れ方法とは?
ペット用品のネットショップを開業するにあたり決めなければならないのは、「どうやって商品を調達すればいいのか」ということです。
ここでは、主な仕入れ方法をご紹介します。
国内の卸販売サイトを利用する
手軽な仕入れ方法は、国内の卸販売サイトを利用することです。
多くのサイトは会員登録をすることで、すぐに仕入れを始めることができます。
有名な仕入れサイトとしては、多彩なジャンルを取り扱っていてペット用品も豊富な「NETSEA」や3,000社以上の企業が商品を卸している「スーパーデリバリー」 などがあります。
どちらも会員登録は無料なので、初心者でも低リスクで始められるでしょう。
海外から輸入する
海外から商品を輸入する場合、日本にはない珍しい商品を仕入れることで、他のショップとの差別化を図りやすいのがメリットです。
一方、不良品が発生した場合の対応は、日本国内での仕入れに比べてハードルが高い場合もあります。
海外から商品を仕入れるには現地へ直接買い付けに行く方法、Amazonや中国のAliExpressなど海外のネットショップから仕入れる方法などがあります。
後者のネットショップを使えば、比較的簡単に海外の商品が仕入れられます。
どの方法で輸入するかは、仕入れたい商品の種類や量、コストなどを考慮して決めるようにしましょう。
ペット用品のイベントや展示会に参加する
業界の関係者が参加する展示会では、実際に商品を手に取って確認したり、メーカー担当者から直接話を聞いたりできるため、商品の仕入れルートの開拓につながります。
特にペット用品業界では、毎年多くの展示会が開催されています。
例えば、国内最大級のペット見本市として有名な「インターペット」では、ペットフード、ペット用品、ペットサービスなど、さまざまなジャンルの企業が出展しており、最新のペット関連商品やサービスに触れることができます。
展示会は商談の場としてだけでなく、他のバイヤーとの情報交換の場としても活用できるでしょう。
OEMを利用して製造する
OEMとは、Original Equipment Manufacturingの略で、自社で企画・開発した製品を、製造経験豊富な他社に委託して製造してもらうことです。
つまりアイデアさえあれば、製造ノウハウがなくてもオリジナルペット用品を形にできます。
OEMのメリットは、自社に工場や設備などが無くても、専門知識や技術を持つメーカーに製造を依頼できるので、設備投資をせずに高品質な商品を製造できることです。
委託先のメーカー探しに時間がかかるかもしれませんが、最適な取引先を見つけられれば、オリジナル商品を展開して他社と差別化が図れるでしょう。
OEMについてさらに詳しくは「OEMとは?」の記事でメリットや委託先の探し方などを紹介していますので、気になる方はチェックしてみてください。
メーカーや作家と直接交渉する
自社のネットショップで取り扱いたい商品が決まっている場合、販売元のメーカーに問い合わせてみましょう。
その際、メーカーに理解してもらうため、ショップ名やコンセプト、サイトの完成イメージ図などできる限りの情報を提供して、商品を販売したい旨を伝えます。
メーカーによっては、卸専門の問い合わせフォームが用意されていることもあります。
また、minneなどの個人作家が販売しているハンドメイドマーケットで気に入った作品があれば、直接作家へ問い合わせてみるのも1つの手です。
ハンドメイド作品のため他社との差別化につながりますが、個人の作家なので定期的な製作が難しく、断られてしまう可能性もあります。
商品の仕入れについてさらに詳しくは「ネットショップ開業の仕入れ方法7つを解説!」の記事をご覧ください。
ペット用品のネットショップの開業方法は2パターン
ECサイトを構築する方法は大きく2パターンに分かれ、作り方ごとに特徴も異なります。
ここでは、それぞれの作り方について詳しくご紹介します。
ECモール内で開業する
ECモールとは楽天市場やAmazonのような、多数のショップが集まっている形態のサイトのことで、ECモール内の1ショップとしてネットショップを始めるのが開業方法の1つです。
ECモールに出店するメリットは、すでに多くのユーザーが利用しているプラットフォームなので、比較的簡単に集客できる点です。
一方ECモールはモール側が定めたさまざまな手数料が発生するため、毎月の手数料の負担が大きくなってしまいがちです。
また、ECモールは基本的に、各モールの独自ルールに従わなければならなかったり、デザインや機能面などのカスタマイズがほとんどできないため、自社らしいブランディングが難しく、他社との差別化がしづらいという側面も持ち合わせています。
自社独自のネットショップで開業する
ECモール内の1店舗としてではなく、自社独自のネットショップを制作して開業するのが2つ目の方法です。
開業後の集客を自力で行わなければなりませんが、ECモールのようなデザインや機能面の制約があまりなく、自由にサイトを運営できるメリットもあります。
近年では、カラーミーショップなど、デザインテンプレートを利用して簡単にネットショップが作成できるサービスが増えており、無料で始めることもできるので、低リスクで自分らしいネットショップを開設したいという方にはおすすめです。
ペット用品のネットショップを開業する手順
ここからはペット用品のネットショップを開業しようとしている方向けに、具体的な手順をご紹介します。
ネットショップが初めての方はまず以下の大まかな手順を把握しましょう。
1.コンセプトやショップ名を考える
ネットショップを開業するにあたり、まずはコンセプトを明確にしましょう。
コンセプトは、 どのようなペット用品を販売するのか、どのような顧客層をターゲットにするのか、顧客にどんな価値を提供するのかなど、他社とは異なる自社の軸となる考え方のことです。
コンセプトを明確にすることは、商品選定やショップのデザインなど、その後の工程を進めていく上でも重要です。
コンセプトが決まったら、それに合ったショップ名を決めましょう。
ショップ名は、顧客に覚えてもらいやすい名前か、同じ名前のショップはないかなど、決める際にポイントがいくつかあります。
ショップ名の付け方について詳しくは「【超大切!】ネットショップの名前の付け方の大事なポイント・コツまとめ」の記事をチェックしてみてください。
2.商品の仕入れ先を探す
仕入れについての章で紹介したように、ペット用品を仕入れるには下記のような方法があります。
- ・国内の卸販売サイトを利用する
- ・海外から輸入する
- ・ペット用品のイベントや展示会に参加する
- ・OEMを利用して製造する
- ・メーカーや作家と直接交渉する
インターネットを使えば、比較的簡単に仕入れることができるでしょう。
また、仕入れ先を決める際は「仕入れ値」「最小ロット」「納期」「支払い方法」といったことも確認しておきます。
3.必要なら販売許可や届出の手続きをする
ペット用品の販売だけであれば届出や許可は必要ありませんが、犬や猫のフードを販売する場合は帳簿の保存が必要です。
また、犬や猫用のペットフードを製造・輸入するには帳簿の保存だけではなく届出の提出が必須です。
さらに、医薬品の販売となると専門的な薬剤師の資格や販売許可などさまざまな手続きが必要です。
自社ではどのような手続きが必要かわからない場合は、管轄となる全国各地の農政局に問い合わせて早めに手続きを進めましょう。
4.ネットショップの開業方法を選ぶ
ペット用品のネットショップを開業するには「ECモール」「自社ECサイト」の2種類があります。
ECモールは集客力が高く、マニュアルに沿ってスムーズにネットショップを始められるのがメリットです。
一方、モール独自のルールに従う必要があり、独自ネットショップに比べて手数料は高めで、自由度は低くなります。
自社独自のネットショップは、独立した一店舗での出店になるため自力で集客しなければなりません。
ですがその分自由度が高く、独自のブランドイメージを構築できる点が魅力です。
どちらの方法が良いかは、一概にはいえません。
どのようなECサイトを構築したいのかによって、どちらの方法が向いているのかは変わってくるからです。
自社の目標や課題やリソースなどを考え、時間をかけて比較し、自社に合った方法を選択することが重要でしょう。
ネットショップの開業方法の選び方については「ネットショップ開業でおすすめはどこがいい?」の記事で具体的に比較して解説していますので、合わせてご覧ください。
5.ネットショップを作成する
ネットショップの開業方法を決めたら、いよいよ作成を行っていきます。
開業方法によって、作成難易度や費用は大きく変わりますが、共通する作業内容もあります。
まず、ショップの顔となるトップページのデザインを設定します。
顧客が最初に目にするページであり、ショップの印象を大きく左右するため、魅力的なデザインにすることが重要です。
各サービスが用意しているデザインテンプレートを使えば、初心者でも印象的なネットショップを作ることができるでしょう。
次に、商品ページの作成です。
顧客が商品を理解し購入しやすいよう、商品写真はなるべく多く載せ、魅力が伝わる説明文を用意しましょう。
また、ECサイトで顧客満足度の高い決済方法や、配送方法の設定なども行っていきます。
制作する際は全てにおいて、「ユーザーが使いやすいかどうか」という視点を持ちながら作業を進めていきましょう。
ネットショップの配送方法の選び方については「ネットショップの配送方法はどれがいい?」の記事で配送会社の各サービスを紹介していますので、参考にしてみてください。
6.オープンしたら集客を行う
ネットショップをオープンしたら、次は集客活動を行いましょう。
実店舗でチラシを配ったり看板を設置したりして来店を促すのと同様に、 ECサイト運営でも、自社のショップを多くの人に知らせ、ユーザーをショップへ呼び込み、商品購入につなげるための集客が必須となります。
ネットショップの集客は、Web広告やSEO対策、SNS運用などが主な方法として挙げられます。
有料と無料の集客方法がありますが、それぞれにメリットやデメリットがあります。
集客施策はショップの規模やターゲット、予算などに合わせて、単独、あるいは組み合わせて活用していくことが大切です。
ペット用品のネットショップ開業を成功させるコツ
競合が多いペット用品のネットショップで成功するためには、ただ開設するのではなく顧客の心をつかみ、売上につなげるための戦略が大切です。
例えばペット用品はペットの年齢、種類によってニーズが大きく異なるため、「小型犬向けのおしゃれな洋服」や「犬・猫用のナチュラルフード専門店」など、より具体的に絞り込むことで、他社との差別化ができます。
また、飼い主は自分のペットに最適な商品を選びたいという思いが強いため、商品情報や商品説明は詳細に記載することもポイントです。
素材やサイズはもちろんのこと、使用シーンやメリット・デメリットなども具体的に伝えることで、顧客は安心して購入できるでしょう。
当たり前のことかもしれませんが、自社しかないサービスを提供し、顧客目線でショップを作り込むことがネットショップで成功するためには重要です。
ペット用品のネットショップを開業して販売する際の注意点
ここでは、ペット用品のネットショップで販売を始める際に知っておきたい注意点をご紹介します。
開業の前に把握しておきましょう。
開業したら開業届を提出する
個人事業を始める際には、開業届(個人事業の開業届出・廃業届出書)を提出する必要があります。
ネットショップであっても、自分で何か事業を始める場合は、届出しなければなりません。
開業届とは、個人事業の開始を税務署に報告する文書です。
届出することで、確定申告時に税制優遇のある青色申告を選択できるようになります。
規定では開業から1ヵ月以内に提出することになっていますが、期限を過ぎても罰則はありません。
また、提出しなかったとしても罰則はありませんが、節税対策にもなるので開業後はできる限り早めに開業届を作成し、提出するのがおすすめです。
開業届について詳しくは「ネットショップに開業届は必須?」の記事をご覧ください。
広告やネットショップ上の表現に注意する
ペット用品を販売する際には、広告表現やネットショップ上での表記に注意する必要があります。
主に、「景品表示法(景表)」「医薬品医療機器等法(薬機法)」「ペットフード安全法」などが関係してきます。
景表法は、商品やサービスの品質や価格について、消費者に誤解を与えるような表示を禁止しています。
例えば、実際よりも商品の品質が優れていると見せかけたり、実際よりも価格が安いと見せかけたりする表現は、景表法違反になる可能性が高いです。
薬機法は、医薬品や医薬部外品、化粧品の広告について、効果効能をうたう際に、承認された効能・効果での表現が求められます。
根拠も無いのに、「ペットの○○を改善する」など効果があるように表現をすることは、薬機法に違反しているといえます。
また、先述したように犬・猫のペットフードの製造・輸入をして販売する際は、成分などについて適切な表示をしなければなりません。
これらの法律に違反した場合は、販売停止や回収、罰金などのペナルティが課せられる可能性があるでしょう。
ペット用品を販売する際には、関係法令をよく理解し、広告表現やネットショップ上での表記を行うようにしましょう。
【事例】ペット用品を販売しているネットショップ
最後に、カラーミーショップでペット用品を販売している人気のネットショップをご紹介します。
デザインや商品の品ぞろえ、コンテンツなど参考にしてみてくださいね。
free stitch
「より豊かな暮らしを愛犬と」をテーマに、シンプルで良質な犬用グッズを販売しているネットショップです。
小型犬~大型犬まで、幅広い犬種に対応できるよう数多くのグッズを取りそろえています。
特徴は何といっても、洗練されたショップのデザイン。
シンプルで高機能な商品デザインとサイトのデザインがマッチし、他社にはない世界観を作り上げています。
DeLoreans
ライター兼編集者と活躍するショップオーナーさんが、自分の理想とする犬用グッズを作ろうと思ったことがきっかけに立ち上がったネットショップです。
ショップのコンセプトには犬やペットに対するご自身の想いがつづられており、思わず共感してしまう飼い主の方も多いでしょう。
飼い主・ペット目線で作られたお散歩バッグ・犬用ベッドなどの商品だけでなく、犬にまつわるノウハウ記事も人気を呼んでいます。
まとめ
ペット用品のネットショップ開業はECモールと自社サイトの2つの方法があり、それぞれに長所短所があります。
成功するには、コンセプトを決め、商品仕入れ、サイト構築、そして効果的な集客まで、1つ1つのステップが大切です。
また、ターゲットを絞り込み、詳細な商品説明を心がけるなど、他店と差別化することも重要です。
ペットフードに関する表示や広告の文言など注意しなければならないこともあるので、きちんと把握した上で開業の準備をすすめましょう。
▼こちらの記事も読まれています▼