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越境ECで使える補助金とは?主な制度と申請の流れや注意点も紹介!

海外市場への展開を検討している企業にとって、補助金制度の活用は費用を大幅に削減できる手段です。
ですが「そもそも越境EC専用の補助金はあるの?」「どんな制度が使えるの?」と疑問をお持ちの方も多いでしょう。

そこでこの記事では、越境ECで活用できる主な補助金制度や申請の流れ、注意すべきポイントまで、わかりやすく解説します。

ツクルくん
ツクルくん

越境ECって興味はあるんだけど、初期費用が結構かかりそうで心配なんだよね。補助金とか使えるのかな?

カラミちゃん
カラミちゃん

実は越境ECで使える補助金制度がいくつかあるんですよ。申請の流れや注意点も含めて、一緒に詳しく見ていきましょう!

越境EC専用の大規模な補助金・助成金はない?

結論からお伝えすると、全国のEC事業者が利用できるような、越境EC専用の大規模な補助金制度は2025年9月時点ではありません。

ただし、各地方自治体が独自に越境ECや海外進出を支援する補助金制度を設けているほか、食品事業者向けなど特定のジャンルに限定した越境ECの支援制度も存在します。

一方で、越境ECに特化していませんが、『ECサイトの構築やリニューアルで活用できる補助金制度』は複数あり、これらを上手に活用することで海外展開の初期投資を抑えることが可能でしょう。

【全国共通】越境ECで使える主な3つの補助金

ではここからは、国内の事業者であれば申請可能な『ECサイトの構築やリニューアルに活用できる主な補助金制度』を3つご紹介します。
その3つとは以下の補助金です。

  • ・中小企業新規事業進出補助金
  • ・小規模事業者持続化補助金
  • ・ものづくり補助金

それぞれについて概要や要件を見ていきましょう。

1.中小企業新規事業進出補助金(旧 事業再構築補助金)

中小企業新規事業進出補助金は、2025年から新たに開始された制度で、事業再構築補助金の後継として位置付けられています。

中小企業や小規模事業者が、既存事業とは異なる新市場・高付加価値事業へ進出する際の、設備投資や経費を支援する補助金です。

そのため自社が取り組む(越境)EC事業が、「新たな市場・事業への進出」に該当する場合、この制度を活用できるでしょう。
今回は第1回公募概要に沿ってご紹介します。

補助率・補助額

従業員数 補助率 補助金額(特例適用後の最大額)
20人以下 1/2 2,500万円(3,000万円)
21~50人 4,000万円(5,000万円)
51~100人 5,500万円(7,000万円)
101人以上 7,000万円(9,000万円)

補助率は一律1/2となっています。
「給与支給総額を年平均6.0%以上増加させる」などの厳しい条件をクリアする必要がありますが、賃上げ特例を活用すれば最大で9,000万円の補助が受けられます。

対象となる事業者

対象となるのは、以下の事業者です

  • (1)中小企業者
  • (2)「中小企業者等」に含まれる「中小企業者」以外の法人
  • (3)特定事業者の一部
  • (4)対象リース会社

(1)~(4)の事業者は、さらに詳細な資本金・従業員数の条件が設定されており、業種によって基準が異なります。
また、対象事業者であったとして、規定されている「補助対象外事業者」の条件に当てはまってしまった場合は、補助対象外となってしまいます。

さらに、対象事業者であるだけでなく「補助対象事業の要件」を満たすことも必要です。

申請前に公募要領を細かく確認することが重要です。

対象となる経費

対象となる経費は以下です。

  • ・機械装置・システム構築費
  • ・建物費
  • ・運搬費
  • ・技術導入費
  • ・知的財産権等関連経費
  • ・外注費
  • ・専門家経費
  • ・クラウドサービス利用
  • ・広告宣伝・販売促進費

ただし、公募資料によると、「機械装置・システム構築費」「建物費」のいずれかが必ず補助対象経費に含まれていなければならないとあります。

これは、この補助金自体が、中小企業が将来にも通ずる競争力をつけるための支援を行うことが目的であるので、事業資産を作るための「機械装置・システム構築費」「建物費」の支出は必須だと考えるためです。

中小企業新事業進出補助金についてさらにくわしくは、こちらの公募要領をご覧ください。

2.小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者が商工会・商工会議所の支援を受けながら経営計画を策定し、販路開拓や生産性向上に取り組む際の費用を支援する制度です。

他の補助金と比べて申請の流れが比較的シンプルで、地域の商工会・商工会議所がサポートしてくれるため、初めて補助金を使う事業者でも挑戦しやすいのが魅力です。

今回は「商工会議所」による第18版公募条件を元に解説していきます。

申請枠・補助率・補助額

第18版の公募条件によると申請枠は通常枠の1パターンで、補助率や補助額は以下になります。

補助枠 補助率 補助額
通常 1/2 50万円
※最大で200万円の上乗せ

補助率は通常2/3ですが、賃金引上げ特例の赤字事業者については3/4に引き上げられます。
また、インボイス特例と賃金引上げ特例の両方に該当する場合は、最大で200万円の上乗せがあるため、補助額上限は250万円になります。

対象となる事業者

この補助金の対象となるのは、業種に応じて従業員数の基準を満たす小規模事業者です。

業種 常時使用する従業員数
商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く) 5人以下
サービス業のうち宿泊業・娯楽業 20人以下
製造業その他 20人以下

対象となる事業者は、会社(株式会社、合同会社等)、個人事業主、士業法人(弁護士・税理士等)、一定要件を満たした特定非営利活動法人です。
ただし、資本金5億円以上の法人に100%株式を保有されている事業者や、直近3年分の課税所得の年平均額が15億円を超える事業者は対象外となります。

対象となる経費

  • ・機械装置等費
  • ・広報費
  • ・ウェブサイト関連費
  • ・展示会等出展費
  • ・旅費
  • ・新商品開発費
  • ・借料
  • ・委託・外注費

ECサイト構築はウェブサイト関連費での申請になりますが、ウェブサイト関連費のみの申請はできません。
またウェブサイト関連費は補助申請額の1/4(最大50万円)が上限となるので注意しましょう。

小規模事業者持続化補助金について詳しくはこちらの公募要領をご覧ください。

3.ものづくり補助金

ものづくり補助金の正式名称は「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」です。
中小企業の生産性向上に向けた革新的な取り組み(新製品や新サービスの開発、または海外市場の開拓)を行うための設備投資などを支援する制度です。

ものづくり補助金は「グローバル市場開拓枠」が設けられており、海外展開に向けた越境ECシステムの構築費、マーケティング費なども対象とされています。
今回は第21次公募概要の内容をご紹介します。

申請枠・補助率・補助額

申請枠は2つあり、それぞれの枠で補助率や補助額が異なります。

申請枠 補助率 補助上限
製品・サービス高付加価値化枠 中小企業 1/2、小規模企業・小規模持続化事業者 2/3
※再生事業者※32/3
5人以下 750万円
6~20人 1,000万円
21~50人 1,500万円
51人以上 2,500万円
グローバル枠 中小企業 1/2、小規模企業・小規模持続化事業者 2/3 一律3,000万円

対象となる事業者

ものづくり補助金の対象となるのは、以下の事業者です。

  • A) 中小企業者
  • B) 小規模企業者・小規模事業者
  • C) 特定事業者の一部
  • D) 特定非営利活動法人
  • E) 社会福祉法人

ただし、それぞれの事業者に対して資本金や従業員数などの規定があり、該当した場合は対象事業者として補助金を申請できます。

対象となる経費

  • ・機械装置・システム構築費
  • ・運搬費(運搬料や郵送料など)
  • ・技術導入費
  • ・知的財産権等関連経費
  • ・専門家経費
  • ・外注費
  • ・クラウドサービス利用料
  • ・原材料費
  • ・海外旅費
  • ・通訳・翻訳費
  • ・広告宣伝や販売促進費

なお、上記が対象経費となっていますが「海外旅費」「通訳・翻訳費」「広告宣伝や販売促進費」はグローバル枠の場合のみ対象となっているため、注意しましょう。

ものづくり補助金についてさらに詳しくはこちらの公募要領をご覧ください。

2024年以降IT導入補助金はECサイトが対象外

これまで多くの事業者がECサイト構築に活用していたIT導入補助金ですが、2024年以降はECサイトの構築費用が補助対象から除外されるようになりました。

ただし、在庫管理システムや顧客管理システム(CRM)、会計ソフトなど、ECサイト運営にも活用できる周辺システムについては引き続き補助対象となっています。

ECシステムの構築のためではなく、別の形でIT導入補助金を利用するのがおすすめです。

なお、ECサイトの補助金については「ECサイト作成で使える4つの補助金」の記事でも紹介していますので、ぜひご覧ください。

特定のジャンルや地域限定の越境EC補助金・助成金制度

全国共通の補助金とは別に、特定の業界や地域に特化した越境ECの補助金制度も存在します。
れらは対象が限定される分、該当する事業者にとっては非常に使いやすい制度となっています。ここではいくつかご紹介します。

食品産業の輸出向けHACCP等対応施設整備事業

HACCPとは、食品の安全性を確保するための国際的な衛生管理手法のことです。
多くの国で食品輸出の条件としてHACCP認証が求められており、越境ECで食品を販売する際には必須の要件となっています。

そのため農林水産省では、食品事業者が食品の越境EC販売に向けてHACCP認証を取得するために必要な施設や機器の整備費を支援する補助金制度を設けています。

食品の越境ECを検討している事業者にとって、海外展開への重要な第一歩となる支援制度といえます。
くわしくはこちらをご覧ください。

令和7年度富山県オンライン海外販路開拓支援補助金

富山県が独自に実施している地域密着型の越境EC支援制度です。
県内に主な事業所を置く中小企業やNPO法人などの事業者が対象で、補助上限額は50万円となっています。

対象経費は、多言語対応・翻訳費、越境ECサイト構築費、通訳費、バナー広告費、PR動画制作費など幅広いです。

大きな特徴は、資金支援だけでなくジェトロ富山と専門家による手厚い伴走支援が受けられること。
初めて越境ECに取り組む事業者でも安心してスタートできる手厚い補助金制度でしょう。
詳しくはこちらをご覧ください。

堺市グローバル展開促進事業補助金

大阪府堺市が独自に実施している海外展開支援制度です。
市内に本社機能を有する中小企業が対象で、海外への販路開拓や事業展開を支援します。
補助率は対象経費の30%、補助上限額は30万円となっています。

対象事業は4つのカテゴリーに分かれており、越境ECの取組では自社越境ECサイトの構築や越境ECモールへの出展が支援対象となります。
その他、海外展示会出展、オンライン商談やデジタルコンテンツ制作、現地調査や人材確保の取組なども対象です。

詳しくはこちらをご覧ください。

なお、こちらで紹介したような補助金制度は検索サイト「中小機構 J-Net21」で調べられるので、合わせてチェックしてみましょう。

カラーミーショップはEC構築の支援金を用意

ECサイト構築サービスカラーミーショップでは、独自の支援金制度「ECサイト導入支援金」を提供しています。
レギュラープランまたはプレミアムプランとECサイトデザイン制作代行サービスをセットで契約した方に、最大100万円がお得になる支援制度です。

一般的な補助金と異なり、複雑な申請手続きや審査は不要です。
この制度を利用すれば、初期費用と制作費用を大幅に圧縮できるため、初めての越境EC参入や事業拡大に安心して取り組むことができるでしょう。

なお、カラーミーショップは越境EC用のサイトを立ち上げなくても、国内の自社ECで海外に向けて販売ができる「海外販売代行機能」が基本機能として備わっています。

追加料金や手数料は不要で自社で特別な対応も無く海外へ販売できるので、自社サイトを立ち上げて海外に向けても販売したいという方は、ぜひカラーミーショップの「ECサイト導入支援金」を利用してECサイトを構築してみてくださいね。

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越境ECの補助金の主な申請の流れ

ここでは、多くの補助金制度に共通する基本的な申請の流れを大まかにご紹介します。

  1. 公募要領などの確認
  2. 必要書類の準備
  3. 電子申請システムより申請
  4. 審査の実施(書面審査・口頭審査など)
  5. 採択の決定
  6. 交付申請(補助事業開始許可)
  7. 事業の実績報告
  8. 補助金の支払い

このように補助金制度は申請から実際の受給まで多くのステップがあり、特に採択後も交付申請や実績報告などの手続きが必要です。
計画的に準備を進めることで、補助金を効果的に活用した越境EC展開が可能となるでしょう。

越境ECで補助金制度を利用する際の注意点

補助金制度は越境EC展開の強い味方となりますが、利用する際にはいくつかの注意点があります。
採択されるためにも、ぜひ利用前に確認しておきましょう。

申請の準備には時間がかかる

補助金の申請準備は想像以上に時間と労力を要します。
申請に必須の事業計画書の作成には、市場調査や競合分析、収支計画の策定など詳細な検討が必要で、作成に数ヵ月はかかるでしょう。

また、提出が必要な証明書などの各種添付書類の収集や取得にも時間がかかります。
さらに電子申請に必要な「GビズIDアカウント」の取得なども並行して行わなければなりません。

スムーズな申請のために、前もって計画して進めていきましょう。

基本的に事業が完了してから補助金が交付される

補助金制度はまず自社で事業に必要な費用を全額支払い、事業完了後に実績報告を行ってから支給される「後払い」の仕組みです。

このため、事業実施期間中は補助対象経費を自社で立て替える必要があり、十分な資金繰りの計画が欠かせません。
特に大型の補助金制度では数百万円から数千万円の立て替えが発生する可能性があります。

また、実績報告の審査にも数ヵ月程度かかるといわれており、補助金の入金までには、事業完了からそれなりの期間を要することも念頭に置いておきましょう。

年度ごとに要件や補助対象が変わることが多い

補助金制度は年度ごとに制度内容が見直されることが多く、申請を検討していた補助金が突然使えなくなる場合があります。

例えば先ほどお伝えしたように、IT導入補助金は2023年度まではECサイト構築費用が補助対象でしたが、2024年度以降は対象外となりました。

このような制度変更により、事前に立てていた資金計画が大きく変わってしまうリスクがあります。
また、補助上限額や補助率、対象となる事業者の要件なども年度ごとに調整されることが珍しくありません。

前年度に採択された事業者の事例を参考にする際も、最新の公募要領で詳細を必ず確認することが重要です。

まとめ

越境ECで活用できる補助金制度は複数存在しますが、専用の大規模な制度はないため、既存の補助金を上手に活用することが重要です。

中小企業新規事業進出補助金、小規模事業者持続化補助金、ものづくり補助金が主要な選択肢となり、それぞれ対象事業者や補助内容が異なります。

また申請には十分な準備期間が必要なので、計画的に準備をすすめましょう。

なお、カラーミーショップでは独自に「EC構築支援金」という支援金制度を提供しており、ECサイト構築費用が最大で100万円お得になります。
通常の補助金制度ほどの複雑な手続きはないため、ECサイトの構築を検討している方はぜご活用ください。

>>>カラーミーショップの「ECサイト導入支援金」を見てみる

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よくある質問

越境ECで利用できる補助金制度はありますか?

越境EC専用の大規模な補助金制度は2025年9月時点ではありませんが、ECサイト構築で利用できる補助金は主に3つあります。詳しくはこちらの章をご覧ください。