
EC事業を行う上で避けては通れないのが、顧客からのクレーム対応です。
ですが、適切に対応することで顧客との信頼関係を築くチャンスにもなります。
今回は、ネットショップで発生しやすい主なクレームの種類と、その具体的な対応方法、クレームを未然に防ぐための予防策などをご紹介します。

この前、僕のネットショップにクレームが来たんだ。どうしよう…

落ち着いてください。ネットショップのクレームには基本的な対処方法がありますので、ツクルくんに紹介しますね。
ネットショップの主なクレーム・苦情とは?

クレームといっても、ネットショップに入る主なクレームは限られています。
ここでは、ネットショップに多く寄せられる主なクレームの内容や対応・対策をご紹介します。
商品の破損や不良に対するクレーム
ネットショップで購入した商品が配送中に破損したり、製造上の欠陥があったりした場合、購入者からクレームが発生します。
例えば、ガラス製品や陶器など壊れやすい商品は配送時の衝撃で破損するリスクが高く、精密機器などは初期不良が発生するケースがあります。
破損や不良は、配送会社やメーカーが原因の場合もありますが、顧客からすると「ネットショップで購入した」という認識のため、販売側で迅速かつ適切な対応を心がけます。
対応や対策
破損や不良の場合は商品の状況を確認することがポイントです。
写真や動画の提供をお願いすることで、客観的な証拠を確保し状況を正確に把握できます。
その後、顧客にとって最適な解決策を提示します。
返品・交換・返金など複数の選択肢を用意し顧客に選んでもらうことで、下がってしまっている満足度を少しでも高めることができるでしょう。
もし代替品がない場合や返金に時間がかかる場合は、その理由を丁寧に説明し、理解を求めることが重要です。
そして、商品の破損を予防するには、緩衝材の増量や梱包方法の変更、配送会社との連携強化などを検討しましょう。
商品の不良は自社では防ぎきれないため、メーカーに原因究明と改善策を依頼した上で、自社で検品体制を強化し、不良品の出荷を未然に防ぐための対策が必要です。
商品配送の不備に対するクレーム
商品配送の不備とは、注文した商品が予定通りに届かない、あるいは届いた商品に問題がある状況を指します。
配送に関するクレームで多いのは、配送が遅延して商品が指定日に届かないケースです。
これは、配送会社のミスによる遅延だけでなく、台風や地震といった自然災害や年末年始といった繁忙期が理由の場合もあります。
また、誤った商品が届くケースも少なくありません。
倉庫でのピッキングミスや配送伝票の誤記入など、ショップ側のミスが主な原因といえます。
対応や対策
まず、配達の遅延が発生した場合、配送遅延の理由を確認します。
配送会社による遅延であれば顧客に謝罪し、正確な配送日時を伝え、顧客の都合に合わせて確実に配送します。
そして、配送会社との連携を強化して、再発を防ぎます。
災害の影響や繁忙期などによる遅延でクレームを受けないためには、あらかじめネットショップに遅延が発生する可能性についてお知らせするのも有効な方法です。
誤配送が発生した場合、倉庫でのピッキングミスや配送伝票の誤記入など、ショップ側のミスが主な原因であることが多いです。
誤って配送された商品の回収方法を案内し、送料はショップ側負担で正しい商品を再送します。
今後同様の誤配送が起きないためには、出荷前の確認作業の徹底や出荷作業を自動化するシステムなどの導入を検討しましょう。
商品写真と実物の不一致に対するクレーム
ECサイトでありがちなのが、商品写真と実物のイメージが違うというクレームです。
「写真では鮮やかに見えたのに、実物はくすんだ色だった」「写真ではちょうど良いと感じたのに、実物はサイズが小さかった」など、顧客の期待値とのずれが生じやすいポイントです。
店舗とは異なり顧客は商品写真のみを見て購入するため、実物が写真と異なると不満を抱きます。
商品写真と実物の不一致に対するクレームの原因は、撮影時のライティング、画像加工などが影響している可能性があります。
顧客のモニター設定によっても色の見え方が変わるため、実物との差異が生じやすいといえます。
さらに、商品リニューアル時に写真変更を行わないと、実物と注文した商品が違うと思われてしまうでしょう。
対応や対策
イメージの不一致のクレームに対してはまず状況を詳しく確認し、その上で返品や返金対応をするかどうか検討します。
もし商品に問題はなく顧客のイメージ違いによる返品や交換の場合は、ショップ側ではなく顧客が送料を負担する旨などをECサイトの利用規約で定めておくことで、ショップ側の負担を軽減できます。
すべての返品に対応する必要はなく、規約に則って対応することが大切です。
なお、イメージ違いによるクレームを未然に防ぐためには、商品ページであらかじめ以下のような内容を記載しておくことがポイントです。
- ・パッケージデザインは予告なく変更になる場合があること
- ・使用しているモニターによって商品の色味が異なって見える場合があること
またサイズや素材感に関しては、顧客がイメージをつかみやすいように、実際に商品を使っているシーンの写真や動画を掲載するのがおすすめです。
特にアパレル商品の場合、サイズ感は人によって大きく変わるため、さまざまな背丈・体型の人が着用している写真などで詳しく説明することで、顧客のサイズ選びをサポートできます。
スタッフの対応に対するクレーム
クレームの内容としては、主に「電話対応」と「メール対応」に関するものが挙げられます。
電話対応では言葉遣いや説明不足、対応の遅さなどが問題視されやすいです。
例えば、「言葉遣いが失礼」「質問に答えてもらえない」「たらい回しにされた」といったクレームです。
メール対応では、返信の遅延や内容の誤り、テンプレートのような事務的な対応などを顧客の多くは不満に感じます。
例えば、「返信がない」「情報が不足している」「質問に沿った回答でない」といったクレームが挙げられます。
いずれにしろ、問い合わせた多くの顧客が何かしらの問題を抱えて相談しているにも関わらず、誠実な対応をされなかったことで、クレームにつながってしまったといえます。
対応や対策
スタッフの対応に関するクレームは、顧客満足度を大きく左右する重要な要素です。
顧客からの不満や批判には真摯に耳を傾け、迅速かつ適切な対応を心がけます。
そのためまず、顧客からクレームを受けた際には、不快な思いをさせてしまったことを心から謝罪します。
そして事実内容を確認し、今後の対策を行考えましょう。
以下は、スタッフの対応に関するクレームへの具体的な対応策です
- ・言葉遣いや態度に関するクレーム……スタッフ教育の徹底、マニュアルの見直しなど
- ・顧客への説明不足に関するクレーム……説明方法の見直し、情報提供の強化、FAQの作成
- ・顧客への連絡ミスに関するクレーム……連絡体制の確認、ダブルチェック体制の導入など
顧客とのコミュニケーションでは、顧客の意見や要望にしっかりと耳を傾け、共感の姿勢を示すことで、信頼関係を構築することができます。
良好な顧客関係は、クレームの発生を未然に防ぎ、企業イメージの向上にもつながるといえます。
キャンペーンやポイント制度などに対するクレーム
キャンペーンやポイント制度を行うと、想定外のクレームに発展しやすいので注意が必要です。
特に顧客が期待していた特典を受け取れない場合は、クレームが起こりやすいです。
例えば、キャンペーンやポイント制度においては、以下のようなケースでクレームになる可能性があります。
- ・特定商品のみ適用のポイント還元キャンペーンで、顧客が対象外の商品を購入した場合
- ・期間限定のキャンペーンに顧客が気づかず、通常価格で購入した場合
- ・ポイントの有効期限が切れていて、顧客が使用できなかった場合
キャンペーンやポイント制度が複雑だと、よりクレームは多くなるといえます。
対応や対策
対応としてまずは顧客の話を丁寧に聞き、事実関係を確認します。
システム側の履歴を見てもし何かしらの不備があった場合は、誠意を持って謝罪し、状況に応じてポイントの付与や返金など適切な対応を行いましょう。
もし顧客の認識違いの場合、改めて制度やキャンペーンについて、納得してもらえるよう説明します。
顧客の誤認によるクレームを防ぐためには、キャンペーンやポイント制度の内容を明確かつ簡潔にすることが重要です。
ネットショップ上やメルマガでキャンペーン情報を告知する際には、適用条件や期間、対象商品などをわかりやすく記載しましょう。
顧客が誤解しやすい点があれば、FAQなどで補足説明を加えることも有効です。
さらに、キャンペーン期間中は顧客からの問い合わせに迅速かつ丁寧に対応できる体制を、整えておくことも大切です。
顧客がキャンペーンやポイント制度の内容について質問してきた場合は、わかりやすく説明し、誤解を解消するよう努めます。
ネットショップのクレーム対応の基本姿勢

ネットショップのクレームごとに細かい対応は異なりますが、共通している部分もあります。
ここから、ネットショップのクレームに対応する際の基本的な姿勢についてご紹介します。
まずは丁寧に謝罪をする
顧客からのクレームは、たとえそれが勘違いによるものであったとしても、まずは丁寧に謝罪することが重要です。
顧客は商品やサービスに対する問題だけでなく、その対応に不誠実さや不親切さを感じると、さらに不満を募らせてしまう可能性があります。
クレームの内容が顧客の勘違いである場合、すぐに訂正したくなる気持ちはわかります。
ですが、顧客が怒りや不満を抱えている状態で反論すると、火に油を注ぐ結果になりかねません。
クレームの内容はともかく、まずは顧客の感情に寄り添った謝罪の言葉を伝え、落ち着いてもらうことを優先します。
顧客が冷静さを取り戻したら丁寧に事実関係を確認することで、正確に状況を把握できるでしょう。
感情的にならず冷静に確認・説明する
クレーム対応において、感情的になることは最も避けなければなりません。
顧客が感情的な言葉を使ってきたとしても、こちらは冷静さを保ち、丁寧な言葉遣いを心がけます。
ショップ側も冷静さを失って対応してしまうと、顧客がさらに感情的になり、いつまでも話が進みません。
顧客の感情を受け止め、「お怒りなのはごもっともです」「ご不快な思いをさせてしまい、申し訳ございません」といった共感する言葉をかけることは、顧客の気持ちを落ち着かせる効果が期待できます。
また、クレームに対して言い訳をしてしまうと、顧客の気持ちを逆なでしてしまうので絶対にいわないようにしましょう。
感情的にならず冷静な態度で事実を確認し、簡潔に説明を行うのが基本です。
メールなどで対応記録を残す
ネットショップ運営において、クレーム対応の記録を残すことは非常に重要です。
記録がないまま電話対応のみを行うと、その後の事実確認の際などに確証が無いので「言った」「言わない」と主張が食い違い、さらにトラブルが深刻化する可能性があります。
このような事態を避けるため、電話対応後には必ずメールで話した内容を送信するなど、記録として残しましょう。
もしくは、電話を録音するなどのも有効です。
記録を残すことで、後からクレーム内容を確認できるだけでなく、社内で情報を共有し再発防止策を検討する際にも役立ちます。
また、同様のクレームが発生した場合にも、迅速かつ適切な対応が可能になるでしょう。
ネットショップでクレーム対応する際の注意点・NGな行為は?

顧客の中にはカスタマーハラスメントに該当するような、過度な要求や理不尽なクレームをしてくる人もいます。
適切な対応を怠ると、スタッフの精神的負担が増えたり、ショップの評判が低下してしまったりなど、さまざまなデメリットが生じます。
クレーム対応の際に注意すべき点として、まず過剰な要求に屈しないことです。
いわれるがままに応じてしまうと、要求がエスカレートしてしまう可能性もあります。
度を超えた値引きや返金、謝罪の強要には対応できないと伝えます。
顧客の要求が正当な範囲を超えている場合、全てを受け入れる必要はありません。
ショップのルールやポリシーに基づき対応方針を伝えましょう。
なお、自社だけでは解決できない場合は弁護士などに相談するのも1つの方法です。
ネットショップのクレームに対するお詫びメールの例

問い合わせからクレームがあった際、お詫びメールを送ることも多いでしょう。
そこで今回はお詫びメールの書き方の一例もご紹介します。
商品不良のクレームに対するお詫びメールのテンプレート
下記は、商品の不具合に対するクレームがあった際に送るお詫びメールの例です。
お詫びメールでも、基本的に押さえるべき点はクレーム対応と同じです。
まずは誠意のある謝罪を行い、言い訳をせずに事実を伝え、丁寧な言葉遣いを心がけます。
件名:【△△ネットショップ】商品の初期不良のお詫びと対応につきまして
○○様
いつも××ネットショップをご利用いただき、誠にありがとうございます。
担当の●●と申します。
この度はご購入いただいた商品に不備が見つかり、
多大なるご迷惑をおかけしてしまったこと、心よりお詫び申し上げます。
社内で調査を行ったところ、製造工程における品質チェック体制の一部に不備があり、
不良品の流出を防げなかったことが原因として考えられます。
つきましては良品を至急発送させていただきます。
発送する際には、改めてメールにてご連絡差し上げます。
また、大変お手数ではございますが、不良品を下記連絡先まで着払いで返送いただけますようお願いいたします。
今回の件に関するお詫びとして、○○○(具体的な品名やポイント等)を一緒に送らせていただきますので、
差し支えなければお受け取りいただけますと幸いです。
今後このような事態が二度と起こらぬよう、品質管理体制の見直しと改善に全力で取り組んでまいります。
お客様には大変なご不便とご心配をおかけいたしましたこと、重ねてお詫び申し上げます。
もしご不明な点やご要望などございましたら、お問い合わせくださいませ。
※最後に連絡先を明記
その他のお詫びメールのテンプレや、お詫びメールの書き方について詳しくは「ネットショップのお詫びメールの書き方は?」の記事で紹介していますので、あわせてご覧ください。
まとめ
ネットショップのクレームの種類はさまざまあります。
クレームを受けたら迅速な交換・返品、再配送や商品説明の改善、スタッフ教育などクレームに応じて適切な対応や今後の対策を行います。
その際、まずは謝罪しながら顧客の不満に共感し、丁寧な言葉遣いを心がけましょう。
対応内容や顧客とのやり取りは記録し、今後の改善に役立てます。
ただしカスタマーハラスメントに該当する場合は要求に応じすぎる必要はありませんので、毅然とした態度で臨みます。
適切な対応は顧客満足度とショップの信頼性向上に直結するため、クレーム対応はネットショップ運営において重要な業務といえるでしょう。
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