越境ECマーケティングとは?主な手法や国内との違いと国別の特徴などを紹介!
海外へ商品を販売する越境ECの市場は、年々拡大し続けています。
ですが単に海外向けネットショップを作るだけでは成功できません。
言語や文化、購買行動の違いを理解し、それぞれの国に合わせたマーケティング戦略が必要になります。
そこでこの記事では、越境ECマーケティングとは何か、どのような手法があるのか、国別の特徴も併せてわかりやすく解説します。
越境ECマーケティングって、なんだか複雑で難しそうなイメージがあるなぁ。国内のECとは全然違うんでしょ?
確かに国内ECとは違う点がたくさんありますが、基本的な考え方を理解すれば決して難しくありませんよ。まずは市場の現状から見ていきましょう!
目次
越境EC市場は引き続き拡大傾向

まずは現時点の越境EC市場を見てみましょう。
2024年において、日本・米国・中国の3か国間における越境ECの市場規模は、いずれの国の間でも増加しました。
「令和6年度 電子商取引に関する市場調査 報告書」によると、中国消費者による日本からの越境EC購入額は2兆6,372億円(前年比8.5%増)、米国消費者からの越境EC購入額は1 兆 5,978 億円(前年比8.0%増)と、昨年に引き続き増加しています。
同資料によると特に中国は、インターネット購買者人口が9億人以上いるとされており、日本の10倍以上です。
海外への販売は難しそうに思えますが、今後も越境EC市場は拡大傾向にあるため、取り組むことでビジネスチャンスが増えるでしょう。
越境ECの主なマーケティング(プロモーション)手法

国内でも使われる基本的なマーケティング手法(プロモーション手法)は同じですが、越境ECでよく使われる代表的な5つのマーケティング手法について紹介します。
コンテンツマーケティング(現地語SEO・記事制作)
コンテンツマーケティングとは、ユーザーにとって価値のある情報を継続的に発信することで、商品やサービスへの関心を高める手法です。
具体的にはブログ記事、比較記事などを通じて、潜在顧客との接点を作り出します。
越境ECにおいては、多言語対応と文化的配慮を備えたSEO戦略が欠かせません。
現地の検索エンジンや検索傾向に最適化されたキーワード設計に加え、ネイティブの言語感覚に合った自然なコンテンツ作成が求められます。
単なる翻訳ではなく、現地ユーザーの検索意図や購買動機に寄り添ったローカライズがポイントといえます。
SNSマーケティング(国ごとのSNS事情を例示)
SNSでのコンテンツ配信、広告出稿、フォロワーとのコミュニケーションを通じて、ブランド認知の向上や売上につなげる手法です。
SNSマーケティングは、越境ECにおいて低コストかつグローバルに訴求できる強力な集客チャネルです。
ただし、各国で主流となっているプラットフォームやユーザーの反応の傾向には大きな違いがあるので、進出国で人気のSNSや効果的なマーケティングでの使われ方をきちんと調べることが重要です。
口コミマーケティング(レビューマーケティング)
口コミマーケティングとは、購入者の商品レビューや評価を活用して信頼性を高め、顧客の購買意欲を促進する手法です。
海外ユーザーにとって日本の商品は「外国の商品」ということで不安が大きいため、自国における実際の購入者による口コミが購買決定に与える影響は国内EC以上に大きいでしょう。
特にアメリカでは、商品レビューが売上に直結しやすいといわれています。
他のマーケティング手法と同様、各国の口コミ文化にローカライズした戦略が成功の鍵でしょう。
なお、口コミについては「お客様の声を載せるメリットとは?」の記事で詳しく紹介していますので、気になる方はチェックしてみてください。
KOLマーケティング(インフルエンサーマーケティング)
KOLマーケティングとは、影響力のある人物(Key Opinion Leader)やインフルエンサーを起用して商品やサービスを宣伝する手法です。
フォロワーとの強い信頼関係を活かして、自然な形で商品を紹介してもらうことで高い宣伝効果が期待できます。
特に中国をはじめとするアジア圏ではKOLマーケティングが盛んで、誰を起用するかによって売上も大きく変わってきます。
そのため越境ECでは、現地の文化や言語に精通した人物の起用が特に重要です。
動画マーケティング
動画マーケティングとは、YouTube、TikTok、Instagram などで動画コンテンツを配信し、商品の魅力を視覚的に伝える手法です。
商品の使用方法やメリットを分かりやすく伝えられるため、言語の壁を超えやすいという越境ECならではのメリットがあります。
動画マーケティングの一環であるライブコマース(ビデオコマース)は、特に東南アジアで急速に浸透しており、若年層の購買に直結する重要な手法となっています。
越境ECマーケティングとは「プロモーションだけ」ではない

「越境ECマーケティング」と聞くと、先ほどのプロモーション施策を思い浮かべる方が多いでしょう。
ですがマーケティングの本来の意味とは「売れる仕組み全体を作ること」です。
商品を知ってもらう認知だけでなく、実際に購入してもらい、リピートして使い続けてもらうまでの一連の流れを整えることがマーケティングです。
特に越境ECでは決済一つをとっても中国とアメリカでは主流が異なり、配送事情や規制も国ごとに大きく変わります。
こうした違いを理解し、「海外ユーザーに選ばれる仕組み」を整えることこそ、越境ECマーケティングといえます。
越境ECマーケティングの全体像(フレームワーク)
海外ユーザーに選ばれるための「仕組みづくり」である越境ECマーケティングは、「1.認知→2.興味→3.検討→4.購入→5.継続」という5つのステップで考えることができます。
下記はそのステップを表した図です。

まず認知段階では、SNSやコンテンツマーケティングで商品の存在を知ってもらいます。
次に興味段階では、商品詳細や使用方法を分かりやすく伝えて関心を高めます。
検討段階では口コミやレビューで購買を後押しし、購入段階では現地の決済方法や配送システムを用意し、安心して購入できる環境を整えます。
最後の継続段階では、アフターサポートやメルマガなどでリピート購入を促進するといった流れが、越境ECマーケティングの全体像です。
各ステップで越境EC特有の工夫が必要になり、例えば認知では現地のSNSプラットフォーム選択、購入では現地の法規制対応、継続では時差を考慮したサポート体制などが重要なポイントとなります。
国内ECとどう違う?越境ECマーケティングの特徴

越境ECマーケティングにおいては、認知から継続まで一貫した工夫が必要と説明しましたが、国内のECマーケティングも流れやフロー自体はあまり変わりません。
では各フェーズでどのような点が日本と違うのでしょうか。
ここでは、越境ECならではの特徴的な違いを3つの観点からご紹介します。
顧客理解の違い:文化・言語・購買行動
国内ECでは顧客の価値観や行動パターンがある程度予測できますが、越境ECでは文化や言語が異なるため、日本との違いを深く理解する必要があります。
例えば国内で成功した商品の訴求ポイントが海外では全く響かない場合もあるため、現地での市場調査が欠かせません。
また、単純な翻訳ではなく現地の文化に合わせた表現への変更や、宗教的なタブーへの配慮も重要です。
購買決定プロセスも国によって異なるため、どの段階で何を重視するかを理解してマーケティング施策を組み立てることがポイントでしょう。
チャネルの違い:検索/SNSの使われ方
検索エンジンについては、各国で主流となるプラットフォームが異なるため、SEO戦略も大きく変わります。
国内のGoogle対策の知識だけでは不十分で、現地の検索エンジンの特性やアルゴリズムの理解が必要な場合があります。
またSNSマーケティングでも、国内で効果的だった投稿内容やタイミングがそのまま通用するとは限りません。
現地で実際に使われているプラットフォームを特定し、そこでのユーザー行動パターンや好まれるコンテンツ形式を調査しましょう。
現地のトレンドを継続的にリサーチし、柔軟に戦略を調整する姿勢が求められます。
オペレーションの違い:決済・物流・法規制
せっかく商品に興味を持ったユーザーが、購入手続きでつまずかないために、越境ECではオペレーション面の整備も欠かせません。
例えば現地で必須の決済方法に対応できていなければ、最後の一歩で顧客を逃してしまいます。
また、配送期間が長すぎたり送料が高すぎたりすると、競合他社に流れてしまう原因となります。
さらに各国の法規制は頻繁に変更されるため、こまめな情報収集と対応が必要です。
もし対応していないと最悪の場合、販売禁止になるリスクもあります。
これらの要素は商品を手にするまでの顧客体験に直結するため、集客施策と同じくらい大切に考えましょう。
国別の越境ECマーケティングの特徴

ここまで、越境ECマーケティングの基本的な考え方について解説してきましたが、実際に取り組む際には国ごとの特徴を理解することが大切です。
ここでは特に日本企業の越境ECが盛んな3つの地域について、それぞれの特徴とマーケティングのポイントをご紹介します。
アメリカ
アメリカのEC市場は中国に次いで世界第2位の規模を誇り、EC利用者数が多い国です。
購入先としてはAmazonが圧倒的な存在感を示しており、Walmartも主要なプラットフォームとして成長しています。
決済方法はクレジットカードとPayPalが中心で、比較的シンプルな構成です。
なお、アメリカの消費者の特徴として、レビュー文化が非常に強く、商品の評価や口コミが売上に直結する傾向があります。
購入前に徹底的に商品を比較検討する習慣があるため、詳細な商品説明や他社との差別化ポイントを明確に伝えることが重要でしょう。
中国
中国は、世界のEC市場の約半分を占めるほど大きなマーケットです。
中国といえば、偽札対策でモバイル決済(特にAlipayとWeChat Pay)が主流で、現金を使わない取引が一般的です。
独自のSNSであるWeChat、Weiboが欠かせない存在で、実際に「令和4年度 電子商取引に関する市場調査 報告書」によると、越境EC利用者の商品の見つけ方はSNS広告が1位となっています。
また、「独身の日」などの大規模ECイベントが特徴で、この期間に年間売上の大部分を稼ぐ企業も多いでしょう。
中国の消費者は商品の品質や安全性を重視する傾向があり、日本製品への信頼度は非常に高いです。
ECマーケティングを成功させれば、自社の大きな売上の柱となるでしょう。
東南アジア(例:タイ・インドネシア)
東南アジア市場では、多くの消費者が初めてのインターネット体験をパソコンではなくスマートフォンで行うため、モバイルファーストの戦略が不可欠です。
主要なECプラットフォームとしてはShopeeやLazadaなど地域特化型のモールが強く、これらを活用することが成功のポイントといえます。
マーケティング面では、ライブコマース(ビデオコマース)が重要であることを把握しましょう。
Googleら3社が発表した「e-Conomy SEA 2024」によると、東南アジアでは、ビデオコマースがEC流通総額の20%を占めており、2022年の約4倍と急速に拡大しています。
特に若年層の購買行動に大きな影響を与えており、TikTokなどを利用したSNSマーケティングも効果的とされています。
成功事例やトレンドも紹介!越境EC有識者インタビュー

よむよむカラーミーではECに関する各種知見を持った有識者へインタビューや対談を行っております。
今回、海外向けWebマーケティングを専門とする「世界へボカン」代表の徳田祐希氏と対談を行いました。
そこで越境ECの最新トレンドや売れるコンセプト作り、そして効果的なコンテンツ戦略など、越境ECを成功させるためのマーケティングの具体的なヒントを伺いました。
越境ECに挑戦する事業者必見の内容となっているので、ぜひチェックしてみてください。
まとめ
越境ECマーケティングは、SNSや広告といったプロモーション活動だけをイメージしがちですが、決済システムや物流、法規制対応まで含めた「売れる仕組み全体」を指します。
そのため「国ごとに違う」ことを深く理解するのが重要です。
国内で効果的だった手法をそのまま海外に適用しても、期待した結果は得られません。
各国の文化、消費者行動、主要なプラットフォーム、決済方法、法規制などを十分に調査し、それぞれの特徴に合わせて総合的な戦略を組み立てましょう。
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よくある質問
コンテンツマーケティングやSNSマーケティングなどがあります。詳しくは、こちらの章をご覧ください。




