ネットショップは店舗が必須ではないので事務所を設けず自宅でも開業もできますが、そこで問題になるのが個人情報の公開です。
ネットショップは特定商取引法という法律により、連絡先となる住所や電話番号をサイト上で公開することが義務付けられているのです。
自宅でネットショップを開業する場合、自宅住所を公開しない選択はできるのでしょうか。
この記事では自宅住所を公開せずに済む方法や、非公開にできるサービスを紹介します。
副業でネットショップをやりたいけど、自宅の住所は知られたくないなぁ。
実は自宅の住所を公開せずにネットショップを始める方法がいくつかあります。わかりやすく紹介しますね。
目次
個人のネットショップ・ECサイトでも住所・電話番号の記載は必須
結論からお伝えすると、個人のネットショップであっても基本的には、事業者名(個人なら個人名)や住所、電話番号などの情報を非公開にはできません。
消費者保護を目的にした特定商取引法(特商法)により、インターネット販売などの消費者トラブルが起こりやすい販売においては、事業者の氏名や住所などの情報をサイト上に記載することが定められているのです。
次の章で運営者の情報公開を義務付けている特定商取引法とは何かについて、見ていきましょう。
特定商取引法とは?なぜ公開が必要なの?
特定商取引法は、消費者の利益を守るために作られた法律です。
(実店舗での対面販売に比べ)比較的、消費者トラブルが起こりやすい下記のような取引を対象に、事業者が従うべきルールやクーリング・オフといった消費者を守るためのルールを定めています。
- 【特定商取引法の対象となる取引】
- 1.訪問販売
- 2.通信販売
- 3.電話勧誘販売
- 4.連鎖販売取引
- 5.特定継続的役務提供
- 6.業務提供誘引販売取引
- 7.訪問購入
ネットショップは「2.通信販売」に該当するため、特定商取引法の対象取引になります。
特定商取引法では商取引を行う上でのさまざまなルールがありますが、ネットショップの個人情報にかかわるのは「特定商取引法に基づく表記」を行う、というルールです。
ネットショップを運営するには、「特定商取引法に基づく表記」という項目で住所や電話番号、その他の事項を明記したページをサイト上に作らなければなりません。
この際、営業所が無く自宅でネットショップを運営している個人の場合、自分の名前や住所、電話番号を書かざるを得ないのです。
ではなぜ、そのような運営者情報を掲載しなければならないのかというと、先ほどお伝えしたように消費者を守りトラブルを未然に防ぐためです。
初めてのネットショップでの買い物は、販売者の顔も見えないので「ちゃんとしたお店なのか」と不安になる購入者も多いでしょう。
そのため、販売者の名前や住所、いざとなったら何か連絡できるように電話番号などの連絡先を載せることとされているのです。
ネットショップの運営者情報を載せるのは、消費者が安心して買い物をできるようにするためといえます。
ネットショップ・ECサイトに表示すべき項目
では「特定商取引法に基づく表記」では実際に何を記載すればよいのでしょうか。
下記が主な項目になります。
- ・販売業者
- ・運営統括責任者名
- ・所在地
- ・商品代金以外の必要料金の説明
- ・申込有効期限
- ・不良品の交換や返金について
- ・商品の販売数量(制限など特別な販売条件があるとき)
- ・引渡し時期
- ・支払方法の種類
- ・支払期限(後払いと前払いの場合)
- ・返品が可能な期限
- ・返品時の送料負担について
- ・販売に必要な資格・免許の表示
- ・屋号またはサービス名(ネットショップの名称)
- ・電話番号
- ・連絡先メールアドレス
以上の項目を実際にネットショップに掲載する際は以下のような表示になります。
販売者名 | 株式会社 よむよむ |
運営統括責任者名 | 石井ツクル |
所在地 | 福岡県福岡市中央区〇-〇-〇 |
申込有効期限 | 注文後5日以内に入金が確認できないご注文はキャンセル扱いになります。 |
お支払方法 | 代金引換、銀行振込、クレジットカード決済、後払い決済、PayPay、Amazon Pay |
お支払期限 | 注文より5日以内にお支払いください。 後払いの場合は、商品到着後10日以内にお支払いをお願いします。 |
引渡し時期 | 前払いの場合は入金確認後2営業日で発送します。 そのほかの支払い方法は、注文確認後2営業日以内に発送します。 |
商品代金以外の料金の説明 | 送料(全国一律900円) ※7,000円以上の購入で送料無料です。 |
販売数量 | 1個から |
不良品 | 到着後なるべく早めにご連絡ください。 |
返品期限 | 商品到着から1週間以内といたします。 |
返品送料 | お客様都合の返金は、お客様負担となります。 |
資格 | 福岡県公安委員会 古物商許可 第××××××号 |
サービス名 | ツクルとカラミの公式オンラインショップ |
電話番号 | 092-××××-×××× |
メールアドレス | ××××@××.jp |
こちらはあくまで一例ですので、自身のネットショップに合わせて必要な要素を載せましょう。
特定商取引法に基づく表記やネットショップ運営で知るべき規制と罰則についてさらに詳しく知りたい方は下記の記事をご参照ください。
架空の住所や匿名での運営は可能?
「特定商取引法に基づく表記」により、個人の場合は自身の個人情報をサイト上に掲載しなければならないので、抵抗を感じる人も多いでしょう。
なかには「個人情報を載せるのが怖いから、架空の連絡先を載せたい」と思う人もいるかもしれません。
ですが運営者情報は勝手に省略したり、架空の情報を記載したりすることはできません。
繰り返しになりますが住所や電話番号の公開は消費者保護を目的としているため、連絡が取れる正確な情報の記載が求められます。
もし特定商取引法に違反して表示を行った場合、消費者庁の行政処分の対象(業務改善指示や業務停止など)になることもあるので注意しましょう。
自宅の住所を公開せずにネットショップを運営する2つの方法
ここまで説明してきたように、ネットショップを開業するときは個人であっても事業者の名称(氏名)や住所、電話番号の表記が原則となります。
しかし実は法律に違反せず、自分の個人情報を公開しないでネットショップを運営する方法が以下のように2つあります。
- 方法1:バーチャルオフィスを利用する
- 方法2:個人情報の非公開設定が可能なサービスを利用する
それぞれについて詳しく説明していきます。
バーチャルオフィスを利用する
「仮想の事務所」を意味するバーチャルオフィスとは、その名の通り実際のオフィスを借りるのではなく、オフィスとしての住所や電話番号などをレンタルするサービスをいいます。
貸し出しされた住所や電話番号は自身のネットショップ(ECサイト)の連絡先として記載することが可能なので、自身の家の住所や電話番号を非公開にできるのです。
ただ住所を借りるだけでなく電話や郵便物を転送してもらえ、実際のオフィスのように機能するので一見バーチャルオフィスだとは気づかれないでしょう。
メリット
バーチャルオフィスを利用する場合、次のようなメリットがあります。
- ・事務所を借りるコストを抑えられる
- ・すぐに導入できる
- ・信用度の高い一等地を住所にできる
バーチャルオフィスの料金は比較的低価格で設定されており、安価なプランだと毎月1,000円程度で借りられます。
申し込みから契約までネットで完結するため、すぐに自分のオフィスが持てるでしょう。
実際にオフィスを借りるとなるとさまざまな物件を内見したり、対面で契約手続きをしたりなど時間がかかるうえ、敷金や礼金といった初期コストも必要ですが、バーチャルオフィスは低コスト・短期間で導入可能です。
また、信用力のある有名なエリアや高層オフィスビルを住所にできるのもバーチャルオフィスのメリットです。
もちろん、借りた住所をホームページに掲載できるため、自宅の住所や電話番号を公開せずに済むことが最大の魅力です。
デメリット
一方、バーチャルオフィスには次のようなデメリットもあります。
- ・住所が被ってしまう
- ・業種によっては利用できない
バーチャルオフィスの利用で提供される住所は1人に一つ割り当てられるのではなく、複数の人(個人事業主や企業)で共有します。
そのため人気のある住所は他社と重複しやすく、インターネットで住所検索するとほかの企業名が出てきてしまい、取引先に「なんだか怪しい会社」と思われてしまう可能性もあります。
また、不動産業、建設業、士業、人材派遣業、古物商などの独立した事務所が必要な業種はバーチャルオフィスの住所を利用できないので注意が必要です。
なお、バーチャルオフィスとは何かやかかる費用、メリット・デメリットについて詳しくは下記の記事で解説しています。
住所の非公開設定が可能なネットショップ・ECサイト作成サービスを利用する
自宅の住所を公開せずにネットショップを運営するもう一つの方法は、非公開設定ができるネットショップ・ECサイト作成サービスを利用することです。
たとえば、カラーミーショップのフリープランでネットショップを開設すれば、自分の住所や電話番号の代わりにサービス提供会社(カラーミーショップの場合はGMOペパボ)の連絡先を記載することが可能です。(個人または個人事業主のみ)
これまで消費者庁は消費者保護の目的から、一律で事業者の名称や住所などを表示することを義務付けていました。
ですが個人の場合は個人情報が悪用されるリスクがあることから、2021年、一定の条件を満たせばサービス提供会社の住所や電話番号を代わりに掲載することを認める見解を示したのです。
非公開といっても記載項目を空欄にするのではなく、代わりの住所や電話番号を表示させることで、結果的に個人の住所や電話番号を非公開にできます。
メリット
ネットショップ・ECサイト作成サービスを利用して非公開設定することは、次のようなメリットがあります。
- ・費用をかけずに自宅住所などを非公開にできる
- ・非公開にするための契約や申し込みが要らない
- ・簡単に非公開にできる
方法の一つ目で紹介したバーチャルオフィスの場合、無料ではありません。
もしバーチャルオフィスを利用するとしたら、ネットショップ作成サービスの利用料+バーチャルオフィスの利用料と二重の支払いが必要です。
ですが、非公開設定が可能なネットショップ・ECサイト作成サービスを利用すれば、追加料金がかからずに個人情報を非公開にできます。
また、カラーミーショップの場合であれば、非公開設定の別途申し込み手続きは不要で、下記のようにチェックボックスにチェックをするだけなので、設定はとても簡単です。
デメリット
ネットショップ・ECサイト作成サービスを利用する場合でも、いくつかデメリットはあります。
- ・一部のサービスしか対応していない
- ・個人や個人事業主でないと利用できない
消費者庁の見解では、「一定の条件を満たす」場合に限り非公開を認めています。
つまり、条件を満たさないネットショップ・ECサイト作成サービスの場合は、これまでのように表示が必要ということです。
個人情報の非公開設定は一部のサービスでしか対応が進んでいないため、利用したいサービスが対応していないデメリットもあります。
また、消費者庁は「個人情報が悪用されるリスクを防ぐため」という見解であるため、ネットショップ運営者が法人の場合は、法人の名称や住所、電話番号などの必要事項をサイトに記載しなければなりません。非公開設定はあくまでも個人や個人事業主に限定され、法人は利用できませんので注意しましょう。
自宅の住所を非公開にできるおすすめサービス3選
個人でネットショップ開業する人が自宅の住所を非公開にするには、具体的にどのようなサービスを利用すれば良いのでしょうか。おすすめのサービスを3つ紹介します。
GMOオフィスサポート
GMOオフィスサポートは、GMOインターネットグループの企業が運営するバーチャルオフィスです。
2022年8月時点で、渋谷、新宿、銀座、青山、名古屋のオフィスビルの住所を提供しています。
一般的なバーチャルオフィスは基本料のほかに、住所利用料や郵送料は別に設定されていることも多いですが、GMOオフィスサポートはすべてがコミコミ(月額1,650円~)になっています。
法人登記が必要なければ、シンプルな住所利用のみ(月額990円)も可能です。
手軽にバーチャルオフィスを借りてみたい人に向いています。
NAWABARI
NAWABARIは、東京目黒区に住所を置けるバーチャルオフィスです。
住所の貸し出し、電話の転送、郵便物の受け取りと転送を月額1,628円で利用でき、オプションで登記、電話転送(03番号発着信)、電話代行サービスなどもあります。
貸し出される住所は厳正な審査が行われるため、「借りた住所のせいでトラブルに巻き込まれた」といったこと防げるので安心です。
カラーミーショップ
カラーミーショップは、住所や電話番号の非公開設定に対応したネットショップ作成サービスです。
システムやデザインに関する専門の知識がなくても、デザインテンプレートを選んで誰でも簡単にネットショップを作成できます。
非公開設定が可能なフリープランは月額費用・初期費用が無料で、売れたときにのみ販売手数料が4%+30円(通常6.6%+30円が今なら2023年8月末までお得になるキャンペーンを実施中!詳細はこちら)がかかる仕組みなので、ネットショップの運営と非公開設定が無料で行えます。
そのため「売れるかどうかわからない」という場合でも、低リスクでネットショップを始められます。
なお、カラーミーショップで個人の住所を非公開にするには、次の条件を満たす必要があります。
- ・個人または個人事業主である
- ・本人確認の提出や確認ができている
- ・フリープランを利用している
- ・クレジットカードか銀行振込による決済を利用可能にしている
カラーミーショップにはフリープランだけでなく、機能面等が充実したレギュラープラン、ラージプランなど月額有料プランもあります。
フリープランでスモールスタートし、ショップが大きくなったらプランを変更することも可能なので、お店の成長(規模)に合わせて最適なプランを選択できることがメリットでしょう。
運営ノウハウの公開や開店サポートなど、初心者でも安心な体制が整っていることもカラーミーショップの魅力です。
さらに詳しく知りたい方は、カラーミーショップのサービス資料もご用意しておりますので、ぜひチェックしてみてください。
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まとめ
個人のネットショップ開業は、公開する自宅の住所や電話番号が悪用されるのではないかという不安が付きまといます。
このような不安は、バーチャルオフィスや、個人情報の非公開設定に対応したネットショップ・ECサイト作成サービスを利用することで解消できます。
個人でネットショップを開業したいときは、ぜひ非公開設定が可能なカラーミーショップのフリープランを利用してみてくださいね。
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