食品ECサイトの作り方|開設までの6つの手順と始め方のポイント・注意点
「新しい販路を開拓したい」「店頭以外でも商品を買ってもらえるようにしたい」「贈答用の注文にも応えたい」。そうした理由から食品ECサイトの作り方を調べ始めたものの、営業許可や食品表示、冷蔵・冷凍の配送、サイトの作成と、どこから手を付ければよいか迷っていませんか。
食品のネット販売では、サイトを作る作業に加えて食品ならではの準備が必要で、求められる許可や表示も商品と製造・販売の方法によって異なります。
そこでこの記事では、ASP型ECカート(ネットショップ作成サービスを契約して使う形式)で自社の食品ECサイトを作る手順を、開店までの6ステップに分けて、各段階で確認することとあわせて解説します。
食品ECサイトを作る前に決めておく4つのこと

食品ECサイトを作る前に、商品と製造者、保存・配送の条件、販売方法、採算の4点を整理しておくと、必要な手続きやカートの機能を選びやすくなります。
ここでは、ECカートを契約する前に決めておきたいことを順に見ていきましょう。

何を売り、誰が製造するか
最初に決めるのは、販売する食品と、それを誰が作るかです。自分で作る「自社製造」、できあがった商品を仕入れて売る「仕入れ販売」、製造を外部の工場に委託する「OEM(他社への製造委託)」では、必要な許可や、表示に使う情報の入手先が変わってくるでしょう。
仕入れた商品を小分けしたり、手を加えたりするかどうかも、この段階で整理しておきたい点。小分けや加工が入ると、そのまま売る場合とは別の許可が関わることがあります。
商品の保存条件と配送する温度帯
次に、商品ごとの保存条件を確認します。常温・冷蔵・冷凍のどれで保存するかに加えて、商品に求められる保存温度や期限の長さを把握しておくと、配送方法や送料の設計に進みやすくなるでしょう。
常温品と冷凍品の両方を扱う場合は、温度帯の異なる商品を1回の注文で同時に購入できるようにするかどうかも、この段階で決めておきたい点です。同時購入を受け付ける場合でも、配送は商品の保存条件に応じて便を分けることになるため、この判断は後の受注や送料の設定に関わってきます。
通常販売・ギフト・定期購入などの販売方法
開店時にどの販売方法で始めるかも決めておきましょう。通常の単品販売のほか、のしやメッセージカードを付けるギフト販売、毎月届ける定期購入、季節商品の予約販売といった形が選択肢に入ってくるでしょう。
すべてを最初から導入する必要はありません。販売方法によって必要なカートの機能や、特定商取引法に基づく表記で用意する項目が変わるため、開店時に行うものを先に絞っておくのがおすすめです。
送料や梱包費を含めた1注文あたりの採算
最後に、1注文ごとに利益が残るかを確認します。目安になるのは次の式です。
商品代金+購入者から受け取る送料−商品原価−決済手数料−梱包費−配送費
冷蔵・冷凍の配送費や、保冷材を含む梱包費は、常温品より高くなりやすい項目。送料無料にする場合は、その分を店側で負担することになる点にも注意が必要でしょう。この式は固定費や人件費、廃棄などを含めた最終的な利益ではないため、商品の価格や送料を決めるときの目安として使ってください。
食品ECサイトの作り方|開設までの6ステップ

食品ECサイトは、必要な手続きと情報を確認したうえで、ショップの作成、販売の設定、運用の準備、テストを経て公開します。
全体の流れを先に把握しておくと、自分がいまどの段階にいて、次に何をすればよいかを判断しやすくなるでしょう。
| ステップ | やること | 完了の目安 |
|---|---|---|
| 1 | 営業許可・届出の確認と必要な手続き | 必要な許可の取得・届出を済ませている |
| 2 | 食品表示・販売情報の準備 | ラベルとサイトに必要な情報がそろっている |
| 3 | ショップと商品ページの作成 | ショップの基本情報と商品ページが登録され、表示を確認できる |
| 4 | 決済・配送・送料の設定 | 利用開始の手続きと必要な設定が完了している |
| 5 | 期限・ロット管理と対応手順の準備 | 出荷の判断、記録、問い合わせ対応の方法が決まっている |
| 6 | テストと公開 | 動作・配送を確認し、公開前の条件を満たしている |
この順番は作業を整理するための目安で、許可の手続きを待つ間にショップのデザインや商品ページを作るなど、並行して進められる作業もあります。
次の章から、各ステップで確認することを順に解説します。
ステップ1:営業許可・届出の要否を確認し、必要な手続きを進める

食品販売に必要な許可・届出は、商品と営業内容によって異なります。管轄の保健所に確認し、営業開始までに必要な手続きを済ませておきましょう。ここでは、相談前の整理の仕方と、確認したあとに進める手続きを解説します。
製造・仕入れ・販売の内容を整理して保健所に相談する
食品の営業は、食品衛生法上「営業許可が必要なもの」「営業届出が必要なもの」「どちらも対象外のもの」の3つに分かれます。

どれに当たるかは、食品の種類と、製造・加工・小分け・保管・販売の内容で判断されるため、相談の前に次の点を整理しておくとスムーズです。
- ● 販売する食品の種類と、常温・冷蔵・冷凍のどれで扱うか
- ● 自分で製造・加工・小分けをするか、仕入れたまま売るか
- ● 商品をどこで保管し、どこから発送するか
- ● 既に店舗などで営業許可を持っているか
状況別の入口を表にまとめました。最終的な判断は保健所が行うため、表は相談前の目安として使ってください。
| やりたいこと | 入口の判断 | 相談先 |
|---|---|---|
| 製造・加工済みで、常温で保存できる包装食品を仕入れてそのまま売る | 届出の対象外になる場合がある(生鮮食品、要冷蔵・要冷凍の食品などは別) | 管轄の保健所 |
| 仕入れた食品を小分けして売る | 食品の種類に応じた営業許可または営業届出 | 管轄の保健所 |
| 冷蔵・冷凍の食品を仕入れてそのまま売る | 食品の種類によって営業許可または営業届出 | 管轄の保健所 |
| 菓子や惣菜などを自分で製造して売る | 製造の内容に応じた営業許可(基準を満たす施設が必要) | 管轄の保健所 |
| 外部の工場(OEM)で製造し、自社は販売だけを行う | 工場側の許可の確認と、自社の営業形態の確認 | 工場と自社それぞれの管轄保健所 |
| 海外から自分で輸入して売る | 食品等輸入届出 | 検疫所 |
| 酒類を売る | 販売する地域の範囲に応じた酒類販売業免許 | 所轄の税務署 |
許可業種の一覧や、ジャム・はちみつ・パンといった食品別の考え方は、別記事「ネットショップで食品販売する時に必要な許可や資格・手続き・法律などを解説!」でまとめています。
また、許可がいらない食品の条件は「営業許可のいらない食品とは?具体的な品目や食品販売に関する届出・規制などもまとめて紹介!」で解説しています。
冷凍食品を扱う場合は「冷凍食品を通販するにはどんな許可が必要?製造・販売の許可を得るための条件や注意点も紹介!」、アイスクリームを扱う場合は「アイスクリームをネット販売するには?開業に必要な許可・配送のコツ・ECカート選びを解説」もあわせて参考にしてください。
必要な営業許可を取得し、営業届出などの手続きを済ませる
営業許可が必要と分かったら、要否の確認で終わらせず、申請の手続きへ進みます。おおまかな流れは、保健所への事前相談、施設の図面を添えた申請、施設の確認検査、許可の交付という順になります。
許可には自治体が定める施設基準があるため、家庭用の台所をそのまま使って製造・販売できるとは限りません。設備の工事や物件の契約をする前に、図面を持って相談しておくと手戻りを防ぎやすくなるでしょう。
営業届出の対象であれば、管轄の保健所へ届出を行います。厚生労働省の食品衛生申請等システムを使ってオンラインで届け出ることもできるので、利用方法は保健所の窓口に確認してみてください。
すでに店舗で営業許可を持っている場合も、ネット販売で扱う商品や小分けの有無によっては、現在の許可の範囲で対応できるかの確認が必要です。
食品衛生責任者とHACCPに沿った衛生管理の要否を確認する
営業許可や営業届出の対象となる営業では、原則として施設ごとに食品衛生責任者を置く必要があります。調理師や製菓衛生師などの資格がない場合は、都道府県などが実施する、または都道府県などが適正と認める養成講習会を受講して資格要件を満たすのが基本的な方法です。
営業許可や営業届出の対象となる営業では、あわせてHACCP(ハサップ:原材料の受け入れから出荷までの工程で、危害の要因を管理する衛生管理の手法)に沿った衛生管理も求められます。小規模な事業者であれば、業界団体が作成し厚生労働省が確認した手引書を参考に、「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」を行う形で対応でき、認証や承認を取る必要はありません。
手引書は業種ごとに用意されているので、自社の業種に合うものを確認しましょう。常温で保存できる包装食品の販売のみといった届出対象外の営業では、HACCPに沿った衛生管理の義務はありませんが、一般的な衛生管理は必要です。
輸入食品や酒類を扱う場合は追加の手続きを確認する
海外から食品を自分で輸入して販売する場合は、保健所の手続きとは別に、食品衛生法に基づく食品等輸入届出を検疫所に行う必要があります。届出をしていない食品は販売に使えないため、品目によって必要な書類や検査が変わる点も含めて、初めて輸入するときは検疫所へ事前に相談しておくと安心でしょう。
酒類を販売する場合は、食品衛生の手続きに加えて、酒類販売業免許が必要です。2つ以上の都道府県の消費者に向けてネットで販売するなら通信販売酒類小売業免許が対象で、販売できる酒類の範囲にも条件がある点に注意してください。申請の窓口は所轄の税務署です。
※本記事の制度に関する情報は2026年10月時点のものです。手続きの詳細は、管轄の保健所・検疫所・税務署にご確認ください。
ステップ2:食品表示と販売に必要な情報を用意する

食品ECサイトで用意する表示は、容器包装に付ける食品表示、商品ページで伝える食品情報、通信販売の販売条件の3つに分けて考えます。それぞれ根拠となるルールと、情報の集め方が異なります。
容器包装のラベルに必要な表示事項を確認する
容器包装に入れて販売する加工食品には、食品表示法に基づく食品表示基準で表示事項が定められています。主な項目は次のとおりです。
- ● 名称
- ● 原材料名と添加物
- ● アレルゲン(特定原材料を含む場合)
- ● 内容量
- ● 消費期限または賞味期限
- ● 保存方法
- ● 栄養成分表示(熱量・たんぱく質・脂質・炭水化物・食塩相当量)
- ● 原料原産地名
- ● 食品関連事業者の氏名または名称と住所、製造所などの所在地
このほか、食品の種類ごとに追加の表示事項や、事業者の規模などによる省略の例外があります。自社の食品に当てはまる項目は、消費者庁の食品表示基準とQ&Aで確認してください。
消費者庁によると、アレルゲンのうち表示が義務付けられている特定原材料は、2026年4月1日にカシューナッツが加わり、えび・かに・くるみ・小麦・そば・卵・乳・落花生・カシューナッツの9品目です。追加分には経過措置が設けられていますが、以前の8品目を前提にしたラベルの原稿や、製造委託先の仕様書を使っている場合は、早めに見直しておきましょう。
野菜や果物、精肉、鮮魚といった生鮮食品は、加工食品とは別の表示体系です。同じラベルの型を流用せず、生鮮食品の表示事項を確認してください。
商品ページに載せる食品情報をそろえる
消費者庁によると、食品表示基準の適用範囲は食品の容器包装への表示で、ECサイト上の掲載はその対象外です。
一方で同庁は、2022年6月の「インターネット販売における食品表示の情報提供に関するガイドブック」で、購入前に食品表示に相当する情報を確認できるよう、容器包装の表示事項をできる限り基準に準じた形で掲載することを事業者に推奨しています。法律上の義務ではなく推奨ですが、画面上で食品を選ぶ購入者にとっては大切な判断材料になる情報でしょう。
商品ページには、原材料名、アレルゲン、内容量、保存方法、期限の考え方、製造者または販売者を、画像の中だけでなくテキストでも載せておくと、購入者が確認しやすくなります。期限は「製造日から〇日」といったラベル上の設定期間と、購入者の手元に届く時点で残っている期間は別物です。「お届け時点で賞味期限が〇日以上残る商品をお送りします」のように、届く時点の目安で案内する方法が考えられるでしょう。
仕入れ販売の場合はメーカーや仕入先から、製造委託の場合は委託先の工場から、こうした情報を表示仕様として入手します。ラベルの画像を貼るだけで済ませず、商品登録に使えるテキストとして集めておくと、後の作業がスムーズです。
特定商取引法に基づく表記と返品・解約条件を用意する
ネット販売は特定商取引法の通信販売に当たり、広告に表示する事項が定められています。消費者庁の特定商取引法ガイドによると、販売価格と送料、代金の支払時期と方法、商品の引渡時期、申込みの期間を定める場合はその期間、返品特約(返品の可否・期間・送料の負担)、事業者の氏名または名称・住所・電話番号などが対象です。これらをまとめた「特定商取引法に基づく表記」のページを用意しましょう。
特定商取引法に基づく表記に関してはこちらのページも参考になります。
返品については、お客様都合の返品と、破損や品質不良への対応を分けて書くのが基本。食品だからといって自動的に返品不可になるわけではなく、返品特約の表示がない場合は、商品を受け取った日から8日間は購入者が契約を解除できる決まりです。
お客様都合の返品を受け付けない方針なら、その旨を広告と注文の最終確認画面の両方に明示する必要があります。破損・品質不良の場合の連絡先と対応は、別に案内しておきましょう。
注文の最終確認画面にも、分量、販売価格と送料、支払時期と方法、引渡時期、返品や解約に関する事項を表示する決まりがあります。予約販売などで申込みの期間を定める場合は、その期間も広告と最終確認画面の両方に表示が必要です。
定期購入を行う場合は、定期購入である旨と販売条件を示したうえで、最低購入回数のように2回以上の契約を条件にするならその旨と条件も明示し、最終確認画面でも各回の分量・代金・引渡時期と解約の条件が分かるようにしておきましょう。
※食品表示・特定商取引法に関する情報は2026年10月時点のものです。最新の内容は消費者庁の公式サイトでご確認ください。
ステップ3:ECカートを選び、ショップと商品ページを作る

販売方法に合うECカートを選び、ショップ情報・デザイン・商品情報・案内ページを設定すると、ショップの外観と商品・案内のページが整います。注文を受けるために必要な決済・配送・送料の設定は次のステップで行うため、この章では、サービスを選んだあとに実際に作るものを順に見ていきましょう。
商品・配送・販売方法に必要な機能でECカートを選ぶ
ECカートを選ぶときは、最初の章で整理した商品・配送・販売方法をもとに、「どの店でも必要な設定」と「自分の販売方法で必要になる機能」を分けて確認します。食品ECで確認したい機能には、次のようなものがあります。
- ● 常温・冷蔵・冷凍の商品を扱うための三温度帯への対応
- ● のし・ラッピングなどのギフト対応
- ● 1回の注文で複数の届け先を指定できる機能
- ● おせちや季節商品のための予約販売
- ● 定期購入
- ● 原材料・アレルゲンを載せられる商品ページの項目
- ● 商品ごとの税率設定
機能が「ある」かどうかだけでなく、ほかの機能と同時に使えるか、対応するプランや決済方法に条件があるかまで見ておくと、開店後に設定で行き詰まりにくくなります。
目的別のサービスの特徴や、各機能の詳しい内容は、別記事「食品ECにおすすめのECカートは?必要な7つの機能と目的別おすすめサービスを解説」で整理しています。
ショップ情報とURLを設定し、デザインを整える
サービスを決めたら、アカウントを作成し、ショップの基本情報を登録します。設定するのは、ショップ名、運営者の情報、ショップのURL、デザインテンプレートなど。
URLは、サービスが用意するものをそのまま使う方法と、独自ドメイン(「〇〇.jp」のような自社専用のアドレス)を設定する方法があります。
独自ドメインは店名やブランド名を覚えてもらいやすい一方で、取得先によっては他のサービスでの利用や移管ができない場合もあるため、将来の引き継ぎを重視するなら、取得先の利用・移管の条件を確認したうえで開店時に決めておきたい項目です。
デザインはテンプレートから選び、ロゴや色、トップページの構成を調整します。食品は商品写真の見え方が購入の判断に関わるため、写真を大きく見せられるテンプレートを選び、スマートフォンで表示したときの見え方を確認しておきましょう。
商品の写真・説明・価格・在庫・税率を登録する
商品ページには、写真、商品名、価格、説明文のほか、ステップ2でそろえた食品情報を登録します。内容量、原材料名、アレルゲン、保存方法、賞味期限の目安、製造者または販売者を、説明文や専用の項目に入れておくと、購入前に確認したい情報が1ページで伝わります。
写真は、商品そのものに加えて、内容量が分かる引きの写真や、盛り付け・調理後のイメージがあると、実物を見られない不安を補いやすくなります。
在庫数も商品ごとに登録します。自家製造で注文後に作る商品や、冷凍で発送日が限られる商品は、「ご注文から〇日以内に発送」のような発送予定を商品ページの説明文に書いておくと、購入者が注文前に確認できます。配送希望日の受け付け方といった設定は、次のステップで扱います。
税率も、商品ごとに確認が必要な項目です。国税庁によると、酒類を除く飲食料品の譲渡には軽減税率の8%が適用され、酒類は標準税率の10%です。酒類やギフト用の雑貨を一緒に扱う場合は、商品ごとに税率を分けて設定してください。
なお国税庁は、2027年(令和9年)4月1日から2029年(令和11年)3月31日までの2年間、飲食料品に係る消費税率を1%に引き下げる予定を案内しています。通信販売には一定の経過措置もあるため、開店後も国税庁の案内を確認し、時期が来たらカートの税率設定を見直してください。
※税率に関する情報は2026年10月時点のものです。
配送・支払い・返品・問い合わせの案内ページを作る
購入前に確認される情報を、案内ページとしてまとめます。ステップ2で用意した特定商取引法に基づく表記のほか、配送方法と送料、支払い方法、返品・交換の条件、問い合わせ先を記載した「ご利用ガイド」のようなページを用意するのが基本です。
食品の場合は、冷蔵・冷凍の商品が別便で届くこと、配送日時の指定の可否、のしの対応範囲、賞味期限の目安といった食品ならではの案内も、このページに集めておくと購入者が迷いにくくなります。
ステップ4:決済・配送・送料を設定する

決済・配送・送料は、商品の保存条件と発送の流れに合わせて設定します。ギフトや定期購入の機能は、その販売方法を行う店だけが必要に応じて追加すれば十分でしょう。この章では、設定する項目と、機能を組み合わせるときに確認したい条件を解説します。
発送の流れと機能の併用条件に合う決済方法を設定する
決済方法は、購入者の使いやすさと、自分の発送の流れの両方から選びます。
クレジットカード決済は、購入者の入金操作を待つ必要がないため、発送の準備に早く入りやすい決済方法です。ただし、売上が確定するタイミングは、注文時に確定する方式か、与信枠を確保しておいて発送後などに確定する方式かで異なるため、利用する決済の承認状況と売上処理の方法を確認してから発送する流れにしておきましょう。
銀行振込やコンビニ決済のような前払いは、入金の確認を待ってから発送する流れになるため、賞味期限の短い商品では発送日の見込みをどう案内するかも決めておく必要があります。
クレジットカード決済などは、ECカートの契約とは別に決済代行会社の審査を経て利用を開始します。審査には日数がかかるため、開店日から逆算して早めに申し込んでおくと安心です。
食品ならではの確認点として、受注の分割や定期購入といった機能ごとに、使える決済方法が限られる場合があります。
たとえばカラーミーショップでは、受注区分設定(後述)を使う注文ではAmazon Payなど一部の決済方法が使えず、定期購入機能ではクレジットカード決済がレギュラープラン以上に限られるなど、機能ごとに使える決済方法が決まっています。使いたい機能と決済方法の組み合わせは、設定前にヘルプで確認しておきましょう。
商品の保存条件に合う配送方法と梱包・予冷の手順を決める
配送方法は、商品に必要な保存条件に合わせて選びます。ヤマト運輸のクール宅急便には冷蔵と冷凍の2つのタイプがあり、日本郵便のチルドゆうパックは冷蔵の温度帯で届けるサービスです。
配送会社の温度帯と、食品側に求められる保存条件は別のものなので、たとえば冷凍食品であれば、規格基準で定められた保存温度(マイナス15℃以下)を配送中も保てる方法かを確認してください。
保冷の配送サービスは、荷物を冷やす機能ではなく、冷えた状態を保つ仕組みです。ヤマト運輸と日本郵便のどちらも、差し出す前に商品を十分に冷やしておく「予冷」を求めています。出荷前に商品を規定の温度まで冷やす手順、保冷材の量、液漏れや結露を防ぐ内袋や緩衝材の使い方を、商品ごとに決めておきましょう。
温度帯・配送地域・届け先に応じた送料を設定する
送料は、配送地域やサイズに加えて、食品では温度帯によっても変わります。常温品と冷蔵・冷凍品を別の便で送る場合、送料は便ごとにかかるため、注文がいくつの便に分かれるかを前提に送料の設定を考える必要があります。
カラーミーショップでは、受注区分設定を使うと、常温・冷蔵・冷凍といった三温度帯の商品を同じカートで注文でき、注文が受注区分ごとに別の受注として分割されます。分割された受注にはそれぞれ送料がかかり、届け先は1か所に限られる点に注意してください。
「〇円以上で送料無料」の判定を、カート内で選ばれている配送会社ごとに全商品の注文金額を合算して行う設定も用意されています。一方で、受注区分設定は複数配送機能と併用できないため、どちらを使うかは販売方法に合わせて決めます。
受注区分設定の設定手順や制約の詳細は別記事「三温度帯配送に対応したECサイトを作るには?必要な機能や設定のポイントを解説」で、地域別の送料や商品ごとの送料設定の考え方は「【保存版】カラーミーショップの配送設定ガイド」で解説しています。
必要に応じてギフト・複数配送先・定期購入を設定する
ギフト・複数配送先・定期購入の機能は、その販売方法を行う店だけが設定します。カラーミーショップでは、のし・メッセージカード・ラッピングの項目と料金を追加できる「ギフト設定」、1回の注文で複数の届け先を指定できる「複数配送先設定」、毎月指定した日に注文が入る「定期購入機能」を、機能の利用料なしで使えます(定期購入機能はレギュラープラン以上)。
それぞれに条件があり、たとえば受注区分を設定した商品にはギフト設定を利用できません。複数配送先設定では、代引きは届け先が1か所の場合のみで、Amazon Pay・PayPalを選ぶと複数の届け先を指定できない点に注意が必要でしょう。
定期購入機能は月1回の周期で、定期購入の商品はほかの商品と同時にカートに入れられず、購入者はショップ会員登録が必要です。予約販売機能との併用は動作保証の対象外とされているため、両方を使いたい場合は事前にヘルプで確認してください。
こうした条件は、「三温度帯で売るか、ギフトを扱うか」のような販売全体の二者択一ではなく、商品や注文の単位でどの機能を組み合わせるかの話です。たとえば、冷凍の商品には受注区分を設定し、常温のギフト商品にはギフト設定を使う、といった分け方ができます。開店前に、主力商品の売り方に対してどの機能を有効にするかを決めておきましょう。
※カラーミーショップの機能・利用条件は2026年10月時点の公式ヘルプに基づいています。最新の内容は公式ヘルプをご確認ください。
ステップ5:期限・ロット管理と問い合わせ対応の流れを決める

食品ECでは、販売・出荷の期限の基準、商品と注文を追跡できる記録、問題が起きたときの連絡手順の3つを、公開前に用意しておきます。開店後に慌てて決めるより、注文が少ないうちに流れを固めておく方が負担は小さくて済みます。
賞味期限・消費期限を確認し、販売・出荷の基準を決める
消費者庁によると、傷みやすい食品には安全に食べられる期限として「消費期限」が、比較的日持ちする食品にはおいしく食べられる期限として「賞味期限」が表示されます。どちらも、未開封で表示どおりの方法で保存した場合の期限である点に注意してください。
自家製造の商品は、この期限を事業者自身が根拠をもって設定する必要があります。仕入れ商品であれば、仕入先が設定した期限をもとに手元の在庫を管理する形になるでしょう。
そのうえで、「期限まで残り何日を切ったら販売を止めるか」「お届け時点で何日以上残っている商品を発送するか」という基準をSKU(在庫管理の最小単位。同じ商品でも容量や味が違えば別のSKU)ごとに決めておきます。出荷の順番は、入荷が早いものからではなく、期限が早いものから出す考え方(FEFO)を基本にすると、期限切れによる廃棄を抑えやすくなります。
注文とロットを結びつけ、仕入先と購入者をたどれる記録を用意する
ロットとは、同じ原料や製造日、入荷のタイミングなど、一定の条件でひとまとまりとして管理する商品の単位のことです。製造日ごとに区切るのが分かりやすい一例ですが、同じ日に作った商品でも原料や工程が違えば別のロットとして扱います。
注文からロットをたどれると、問い合わせがあった商品がいつ作られ、どこから仕入れたものかを確認しやすくなるでしょう。逆に、あるロットに問題が見つかったときには、そのロットを誰に送ったかを特定できます。
記録の項目は、商品名、ロット、期限、数量、仕入先、出荷日、注文番号などが考えられます。仕入先がロット番号を付けていればそれを記録し、ない場合は製造日や入荷日に自社の管理番号を組み合わせて、商品のまとまりを区別できるようにしておきましょう。
米や牛肉のように個別の法律がある食品を除けば、記録項目が法律で一律に決まっているわけではないので、自社で必要な項目を選んで構いません。記録の手段は、最初は表計算ソフトで十分でしょう。農林水産省は食品トレーサビリティの手引きで、入荷と出荷について「いつ・どこから(どこへ)・何を・どれだけ」を記録することを基本としています。
破損・温度事故・健康被害の連絡と回収への対応を決める
問い合わせは、箱のへこみや配送の遅れといった配送に関するものと、異臭・解凍・異物・体調不良といった品質や健康に関わるものに分けて、対応を決めておきます。
前者は写真で状況を確認して再送や返金で対応する流れが考えられる一方、後者は該当ロットの出荷を止め、購入者から商品名・期限・ロット・到着日時・保管状況・症状を確認し、同じロットの在庫を分けて保管する、という流れに切り替えます。
健康被害のおそれがある場合は、早い段階で保健所に相談しましょう。厚生労働省によると、食品衛生法に違反する、またはそのおそれがある食品を自主回収する場合と、食品表示法違反のうちアレルゲンや消費期限など安全性に関わる表示の誤りで自主回収する場合は、2021年6月1日から都道府県などへの届出が義務付けられています。回収の判断と届出に備えて、誰が判断し、どこに連絡するかを決めておきましょう。
ステップ6:テスト注文・テスト配送を行い、公開する

公開の前に、購入から決済・受注・発送までの流れと、実際の商品の配送を確認します。必要な手続きと設定がそろっていることをチェックリストで見直してから、ショップを公開しましょう。
スマートフォンで購入からキャンセル・返金までの流れを確認する
パソコンだけでなくスマートフォンからも、自分のショップで実際に注文してみます。
商品を選んでカートに入れ、送料が想定どおりに計算されるか、最終確認画面に分量・価格と送料・支払時期と方法・引渡時期・返品や解約の条件が表示されるか、注文完了のメールが届くかを順に見ていきましょう。申込期間を設ける販売や定期購入を行う場合は、その期間や継続・解約の条件が表示されているかもあわせて確認します。
管理画面側では、注文が受注一覧に反映されるかを確認します。受注区分設定を使う場合は常温と冷凍の商品を同時に注文したときに受注が意図したとおり分かれるか、ギフト設定や複数配送先設定、定期購入機能を導入した場合はそれぞれの購入操作が想定どおりに進むかも、導入した機能に応じて試しておきたいところです。
最後に、その注文をキャンセルしてみましょう。受注をキャンセルしただけでは決済が取り消されない決済方法もあるため、利用する決済方法のキャンセル・返金の手順を事前に確認し、受注と決済の両方で処理の結果を見ておくと、開店後の問い合わせにも落ち着いて対応できます。
実商品を発送し、温度・破損・漏れなどを確認する
実際の商品を、自宅や知人の住所に向けて発送してみます。想定している配送条件に合わせ、予冷の手順、保冷材の量、箱の中での商品の固定、配送日数、到着時の温度や解凍・結露・液漏れ・ラベルの剥がれの有無を確認しましょう。冷蔵・冷凍の商品は、気温の高い時期を想定した条件で試しておくと安心です。
このテスト配送は、梱包や配送の手順を検証するためのものです。1回の発送で商品の安全性や期限の妥当性まで確かめられるわけではないので、期限の設定や衛生管理はステップ1・5で決めた基準に沿って別に管理してください。
開店前チェックリストで確認し、ショップを公開する
ここまでの手続き・表示・設定・運用準備を、一覧で見直します。
| チェックNo. | 確認項目 |
|---|---|
| 1 | 必要な営業許可を取得し、届出などの手続きを済ませた |
| 2 | 食品衛生責任者・衛生管理の必要な準備を済ませた |
| 3 | 容器包装のラベルと商品ページの食品情報を確認した |
| 4 | 特定商取引法に基づく表記と返品・解約条件を掲載した |
| 5 | 商品・価格・在庫・税率・送料の設定を確認した |
| 6 | 注文の最終確認画面に必要な事項が表示されることを確認した |
| 7 | 決済とキャンセル・返金の流れを確認した |
| 8 | 実商品の配送と梱包・予冷の手順を確認した |
| 9 | 期限・ロットと注文を確認できる記録を用意した |
| 10 | 事故・品質不良・健康被害の問い合わせ対応を決めた |
| 11 | 管理画面のパスワードと利用者の権限を整えた |
すべて確認できたら、ショップを公開して受注を始めます。公開直後は注文数を抑えめにして、誤出荷や問い合わせの内容を見ながら設定を調整していくと、無理なく運営を軌道に乗せやすくなります。
開店後の集客は「ネットショップ集客のコツ!9つの集客力アップ方法と難易度も紹介!」で、リピート購入を増やす考え方は「リピート率とは?計算方法やリピーター率との違い・上げる方法と注意点も紹介!」で解説しています。
食品ECサイトの作り方に関するよくある質問
最後に、食品ECサイトを作る過程でよく出てくる疑問のうち、個人での開設、仕入れ販売の許可、温度帯の異なる商品の同時購入、返品の扱いについて補足します。詳しい説明は、本文の該当する章をご覧ください。
食品ECサイトは個人でも作れますか?
個人でも開設できます。ただし、営業許可や届出、食品衛生責任者の要否は、個人か法人かではなく、扱う食品と製造・販売の内容で決まります。特定商取引法に基づく表記も、個人として販売する場合に省略できるものではない点に注意しましょう。ステップ1と2の確認は、個人でも同じように進めてください。
仕入れた食品をそのまま売る場合も営業許可は必要ですか?
食品の種類と営業の内容によります。製造・加工済みで、常温で保存できる包装食品を仕入れてそのまま販売する場合は、営業許可も営業届出も不要とされるケースがあります。一方、生鮮食品や冷蔵・冷凍が必要な食品、小分けをともなう販売は別の扱いになる点に注意してください。自社の商品がどれに当たるかは、管轄の保健所に確認するのが確実です。
冷凍食品と常温食品を1回の注文で受けられますか?
ECカートの機能と設定によります。カラーミーショップでは、受注区分設定を使うと常温・冷蔵・冷凍の商品を同じカートで注文でき、受注が温度帯ごとに分かれて送料も区分ごとにかかります。複数配送先設定との併用はできないなどの条件があるため、詳しくは別記事「三温度帯配送に対応したECサイトを作るには?必要な機能や設定のポイントを解説」をご覧ください。
食品のお客様都合の返品を断ることはできますか?
返品特約として、返品を受け付けない旨と条件を広告と最終確認画面に表示していれば可能です。表示がない場合は、商品の受け取りから8日間は購入者が契約を解除できます。ただし、破損や品質不良への対応は返品特約とは別に用意しておきましょう。
まとめ
最後に、開設までの6つの手順を振り返ります。

食品ECサイトの作り方は、商品・営業内容・保存条件・販売方法を整理するところから始まります。
そのうえで、営業許可や届出の確認と食品表示などの情報の準備を進め、ECカートでショップを作り、決済・配送・送料を設定し、期限・ロット管理と問い合わせ対応の流れを決めて、テストを経て公開する、という順番です。
まずは自社の商品と営業内容を整理し、管轄の保健所への相談から始めてみてください。カラーミーショップの受注区分設定やギフト設定、複数配送先設定、定期購入機能など、食品ECに関わる機能と活用例は、食品ECサイト向けのページでまとめて確認できますのでぜひご覧ください。
