売上を伸ばすには新規顧客の開拓も重要ですが、それにも限界があります。
そのため新規顧客獲得にばかり力を入れるのではなく、自社のファンを増やしてリピートしてもらうような施策を行うことも大切です。
その際、顧客のリピート数を把握する指標が「リピート率」です。
今回は、リピート率とはどういったものかやメリット、リピート率を上げるにはどのような方法があるか、改善方法や注意点まで詳しく見ていきます。
リピート率がマーケティングに役立つって聞いたけど、どういうものなのかな?
リピート率は、新規顧客の累積数に対するリピート客の割合です。今回はリピート率について詳しく見ていきますね。
目次
リピート率とはどういう意味?
リピート率とは、新規顧客数に対するリピーターの割合です。
特定の期間のリピート率を見れば、どのくらいの人がリピーターになっているかがわかります。
逆のいい方をすれば、リピート率が低いということは商品やサービスに満足されず、リピート購入されていないということになります。
リピート率の計算方法
リピート率は、以下の計算式により求めることができます。
- リピート率=ある期間のリピート客の数÷ある期間の新規顧客数×100
たとえばある期間のリピート率を知りたい場合、その期間に訪れた新規顧客が200、リピート客が50人だとすると、以下の式になります。
- 50÷200×100=25
この店舗におけるその期間のリピート率は25%となります。
リピーター率との違い
リピート率に似た言葉に、「リピーター率」があります。
リピーター率は、以下の計算式で求められるリピーターの割合です。
- リピーター率=ある期間のリピート客の数÷ある期間の総顧客数×100
「リピーター率」はリピート率と異なり、ある期間における新規顧客数ではなく「総顧客数」でリピート客の数を割ります。
たとえばある期間が1カ月であれば、総顧客数のうち1カ月間のリピート客はどのくらいの割合だったのかを知ることができるのがリピーター率です。
リピート率は新規顧客が対象なので「新規顧客のうち何パーセントがリピートしてくれたのか」がわかり、リピーター率はすべての顧客が対象なので「今月の顧客のうち何パーセントがリピーターなのか」ということがわかります。
リピート率はなぜ大切?注目されている理由
このリピート率は事業を行うためのマーケティングにおいて、以前よりも注目されています。
その理由は何なのでしょうか?詳しく見ていきます。
新規顧客の獲得よりも容易なため
売上を上げ続けるためには毎月新規顧客を獲得することが大切ですが、新規顧客を増やすのはリピート客を増やすよりも何倍ものコストがかかるとされています。
そこで少ないコストで売上を伸ばすには、新規顧客獲得ばかりに力を入れるのではなく、リピート客を増やしたほうが効率的なのです。
リピート客の獲得においては、すでに商品やサービスを利用したことがある顧客に向けたマーケティングになるため、新規顧客獲得ほどの労力やコストをかけずに済みます。
リピート率は新規顧客がどれくらいリピーターになるのかを把握できる数値ですので、リピーター獲得における現状を知るための値として注目されているのです。
少子化による人口減でLTVが注目されているため
リピート率が注目されている2つ目の理由が、少子化による人口の減少、国内市場の縮小です。人口が減少すれば、必然的に新規顧客の獲得自体が以前よりも難しくなります。
そこで、LTV(ライフ・タイム・バリュー)という指標が注目されるようになってきました。
LTVとは日本語で「顧客生涯価値」と訳され、顧客が自社にもたらす生涯の利益をいいます。
新規顧客が望めないので企業は、生涯にわたる1人当たりの顧客単価を上げようとしているのです。
このLTVを上昇させるということは、まずはリピーターになってもらい、その顧客に何度も何度も購入してもらう必要があります。
そのためLTVの上昇には、リピート率の向上が欠かせないのです。
顧客満足度の1つの指標であるため
リピート率が高いということは、リピートして購入してくれる客が多いということです。
リピート購入してくれる客が多いということはつまり顧客が商品やサービス、アフターフォローなどに魅力を感じていたり、商品やサービス、あるいは企業への満足度が高いことがうかがえます。
このように、リピート率は顧客満足度の目安になることから、顧客の満足度を測る指標としても注目されているのです。
ネットショップ・ECサイトでのリピート率の平均はどれくらい?
ここまで、リピート率を把握することの重要性を説明してきましたが、リピート率はおおよそどのくらいであれば良いのでしょうか。
以下では、商品の種類別に平均的なリピート率を目安としてご紹介します。
- ・消耗品(食品や化粧品など)・・・50%程度
- ・旅行サービス・・・45%程度
- ・アパレル(ファッション)・・・35%程度
食品や化粧品などの消耗品と旅行サービスは約2人に1人がリピートしていることから、リピート率が高いことがわかります。
消耗品は定期購入などで定着を図りやすいこと、旅行サービスは基本的に会員登録が必要でリピートされやすいことが理由として考えられるでしょう。
リピート率が低い場合に考えられる理由
先ほど商材ごとのリピート率を取り上げましたが、自社のリピート率が平均よりも低いといったことも珍しくありません。
ではなぜリピート率が低くなってしまうのでしょうか?考えられる2つの原因をご紹介します。
初回購入時に何かしらの不満があった
1つは、初回購入時に顧客が感じた不満によるものです。
価格に対して質が十分でないなど商品やサービス自体への不満のほか、問い合わせた後の連絡の速度、接客の態度など商品提供までの一連の流れへの不満もリピート率低下につながります。
リピートを促す施策やきっかけが無い
商品やサービスに不満がなくても、リピート購入につながらないことがあります。
たとえば商品やサービスに特徴が無く顧客の印象に残らないと、商品の存在自体を忘れられてしまい、リピートとはなりません。
そういった場合でも、初回購入時に次回使えるクーポン券を渡す仕組みなどを作ればリピートにつながるかもしませんが、購入を促す施策が無いと思い出されるきっかけもなく、リピートされる可能性は低くなってしまうのです。
リピート率をアップさせる5つの方法
では、リピート率が低い場合、リピート率アップのためにはどのような施策を打つべきなのでしょうか?
5つの改善方法をお伝えします。
1.会員制を設けてリピート購入を促す
リピート率を向上させる施策の1つが会員制の導入です。
購入代金に応じてポイントを付与する制度は多くの会社で採用されており、導入しやすいといえます。
一方でポイント制は多くのショップで取り入れられているので、差別化を図るためにも顧客にとってより魅力的なものにしていく必要があります。
初回購入時にまとまったポイントを付与したり、蓄積したポイント数に応じてプレゼントを行ったり、顧客がポイントを貯めたいと思えるような工夫をしましょう。
ほかにも、会員ランク制を設けてランク別に特典を設ける方法もあります。
会員ランク制は、もっとお得に買い物をしたいという顧客の購買意欲を上げることで、購入頻度や購入額を高められます。
2.リピート購入用の特典を設ける
人気で品薄な商品の優先的な購入権の配布やリピーター限定の割引の実施など、リピート購入用の特典を設けることで、リピート率を高める施策もあります。
その際、「特別企画」や「初回購入のお客さま限定」など、特別感のある言葉を使って顧客の興味を引くことがポイントです。
また、特典を設けることで顧客は自身が特別待遇を受けたことを好意的にとらえ、自社に愛着を持ってもらえるようになるでしょう。
3.購入後のサポート・フォロー体制を強化する
先ほど、商品やサービスなどに対する不満がある場合だけでなく、顧客の印象に残らないこともリピート率が低い原因になると説明しました。
そこで、顧客に対して自社を印象付けるためにもサポートやアフターフォローに力を入れることが大切です。
サポートやアフターフォローを充実させる方法としては、顧客からの問い合わせに迅速に対応するほか、商品購入後にフォローメールを送る、お礼の手紙を添えるなどの方法が挙げられます。
いずれの方法を取り入れるにしても、販売者側にとって都合の良い手法でコミュニケーションを図るのではなく、顧客のことを第一に考えたサポートやフォロー体制を構築して、顧客とコミュニケーションを取っていくことが重要です。
4.SNSでの発信やDMで顧客との接点を持つ
自社を認知してもらい顧客に印象を残すために有効なのが、SNSやDM(ダイレクトメール)などを利用して、商品やサービスが購入された後も顧客と接点をもつことです。
具体的な方法として、SNSでフォローしてもらい商品やセールに関する情報を定期的に発信する、個人宛てのダイレクトメール(商品案内など)を送って商品やサービスの理解を深めてもらう、などが挙げられます。
ただし、顧客にしつこい印象を抱かれるとリピートされにくくなってしまいますので、DMなどを送る際も全員に同じ内容を送るのではなくターゲットを絞り込み、配信するタイミングも見極めることが大切です。
5.顧客管理ツール(CRM)を導入する
リピート率向上には、CRM(顧客関係管理)ツールの導入も役立ちます。
CRMツールを利用することで顧客の個人情報のほか、購入履歴やクーポンの利用履歴などの情報をまとめて把握できるようになります。
CRMツールには、顧客を一定の集団で区分してメールを配信できる機能もありますので、顧客の状況や属性によって最適なDMの送信や最新情報の配信し、より購入されやすい情報を提供できるでしょう。
個々の状況にあった適切なコミュニケーションを取ることで、リピート購入につなげていくことが可能になります。
CRMについて、詳しくは下記の記事をご覧ください。
リピート率を上げるためのポイント・注意点
リピート率を上げるためにはいくつかのポイントや注意点があります。
まずリピート率向上と合わせて「休眠顧客の防止」を意識することがポイントです。
休眠顧客とは、リピートはしてくれたものの、一定期間購入していない顧客のことをいいます。
セールといったイベントやSNS、DMを通して定期的に顧客とコミュニケーションを図るなどして休眠顧客化せず、リピートし続けてもらえるよう対策を行いましょう。
また、リピート率を上げようとして、他社と価格の面で差別化を図ることは注意が必要です。
値引きは即効性が期待できますが、常に値引きされている状態が続くとブランドイメージが下がり、本来の価格で購入する顧客は減ってしまいます。
価格にばかり重点を置かず、さまざまな施策を取り入れて顧客を囲い込んでいくのが、長期的なリピート率アップのポイントです。
まとめ
売上を伸ばすための新規顧客獲得も重要ですが、さらに重要なのがリピート客の確保です。
少子化が進み人口減によるLTVの重要性などが高まる中、いかにリピート客を増やし購入を継続してもらうかが課題となっています。
リピート客を増やすには、まずはリピート率を適切に把握することから始めていきましょう。
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