売上の公式について
ネットショップに携わるすべての人に覚えて欲しいのが「売上の公式」です。
売上は
- ・お店に何人がきて(アクセス数)
- ・購入した人の割合がどれくらいで(転換率)
- ・平均いくらの買い物をしたのか(客単価)
から導き出されます。
つまり、売上を上げるためには、
- ・アクセス数が増える
- ・転換率がアップする
- ・客単価が上がる
のいずれかの状態になればいいのです。
売上の公式を使うときの注意
ただし、この公式には落とし穴があります。
いずれかの要素が上がったとき「他の2つの要素は下がっていない」ことを前提としている点です。
現実には、アクセス数が増えれば転換率は下がる傾向にありますし、転換率が上がればアクセス数や客単価は下がる傾向にあります。たとえば、セールをすると値下げによって転換率は上がるかもしれません。しかし、客単価が下がる傾向になることも容易に想像できます。
売上の公式を構成する「アクセス数・転換率・客単価」はそれぞれが密接に絡み合っているのです。
売上の公式の活用方法
売上の公式はどのように活用すればよいのでしょうか。活用方法をいくつか紹介します。
1. アクセスは増えているのに売上が上がっていない場合
アクセスが増えても売れていない場合、次のようなプロセスをたどってみましょう。
- 転換率と客単価を以前の数値と比較してみる。
- 転換率の悪化が判明。
- ネットショップに問題はないか?
- 最近見られているページを確認する。
- 在庫切れになったまま仕入れていなかった商品が見られている。
- どうやら最近この商品が人気らしい。
- この商品目当てのお客さんが検索エンジン経由で来たものの、在庫切れで購入に至らなかったことがわかった。
- 仕入れることができれば、売上アップの可能性が高い。
- 再入荷に向けて動き出そう!
このように、それぞれの数値を見直すことで、どこに問題があるのかが見えてきます。
2. アクセスは減っているけど売上があがっている場合
この場合も、転換率と客単価を見直すことで好調の要因が明確になります。
- 転換率と客単価を以前の数値と比較してみる。
- 客単価が上がっていることが判明。
- 売れ筋商品が変わってきているのか?
- 最近よく売れている商品を調べる。
- 主力商品だったAよりもBの売れ行きが多くなっていることがわかった。
- サイト内でBの露出を増やせば、もっと売上が上がるかもしれない。
- トップページにバナーを掲載して、商品Bをもっとアピールしよう!
それぞれの要素を指標として定期的にチェックし、「売上を上げるためになにをすべきか」「どんな行動を起こすべきか」を見つけていきましょう。
「アクセス数」は視点を変えて考える
アクセス数を増やす=新規のお客さんを増やすことだと思っていませんか?
転換率という視点を加えてアクセス数を考えると、新規のお客さんを増やすよりも、リピーターを増やす方が大切なことがわかります。通常、定期的に訪れてくれるお客さんの方が、一見のお客さんより転換率が高いからです。
「アクセス数 × 転換率」に注目して、2つのお店を例に考えてみます。
- A:1週間に100人が1回訪れた。
- B:1週間に40人が1回、30人が2回訪れた。
これらはいずれもアクセス数は同じ「100」です。その場合、転換率は A < B となります。
広告費をかけて常に新しいお客さんを集めるより、リピーターを増やす方がコストパフォーマンスが高く、長期的に安定した売上につながります。
販売からファンづくりへ
これまで、売上の公式は
- ・アクセス数を増やすために、キャンペーン広告を出そう。セール情報のメルマガを配信しよう。
- ・転換率を上げるために、サイト構成を変えよう。カゴ落ちを減らそう。LPを用意しよう。
- ・客単価を上げるために、商材を見直そう。○○円以上なら送料無料にしよう。
というように、売上を伸ばす施策を一つの要素に注目して語ることに利用されてきました。新規を呼び込んで、なるべく確実に刈り取り、購入につなげるものです。これらの施策は決して間違っていません。きちんと実施すれば、売上が上がってすぐに成果が出ることも多いでしょう。しかし、中長期で見ると消耗戦になりがちで、そのうち限界が訪れてしまいます。ショップ運営が長続きしないパターンの多くがこれなのです。そのようなパターンに陥らないために、同じ人が定期的に何度も訪れてくれる「ファンを生むショップ作り」を心がけましょう。長期的に安定した売上が立ち、少ない労力でのネットショップ運営ができます。
転換率を上げるためには「ファンづくり」に重点をおくことが大切なのです。