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さこっち先生こと、ECコンサルタントの酒匂 雄二さんがショップオーナーさまのお悩みを聞いて、ネットショップの改善点やサイト最適化についてアドバイスをする連載です。
今回は、広島県尾道市の粉末清涼飲料専門店「おのみちマルシェ」さまからのご相談にお答えいただきました。
究極のSEOは指名検索
事前にお送りいただいたご相談からいくつかピックアップして、お答えと診断を行っていきたいと思います。
まずは「現在のオンラインショップは、購入者さんから見て、購買欲に繋がりうる表示や表現になっているか」という質問です。
「おのみちマルシェ」さんは、初めて見る方でも店名から「尾道で何かを売っているお店なのだろう」ということが伝わります。ショップ名の付け方がいいですよね。
WEB上で商売をするにあたり、仕入れた「有名ブランド商材の商品名」や「家具」、「チョコレート」のような一般名称でSEO上位表示を獲得するのは簡単なことではありません。そのブランドや商品が有名で人気な場合、当然のように取扱店舗数も多くなり競争も激化します。
さらに、開店したばかりのお店では、店名で指名検索をしてくださる方はほぼいません。開店して間もないお店は、言わば「山奥の一軒家」で誰も存在を知りませんし、お店にいくまでの道のりも知りません。まずは道案内から始まります
お店にたどり着きやすくするための施策がSEO、SNS、広告です。
「究極のSEOは指名検索」です。店名で指名検索してもらえたら、確実に自分のお店が上位に表示されるはずです。
もし、上位に表示されない場合は、店名のあり方やサイトのタイトルタグなどを見直してみましょう。もしかすると、同じ店名が既に世の中にたくさんあるかもしれません。
新店舗、新商材の名前を考える時は、まずは検索をして同じ名前のものがどれほど存在しているか調べることも大切です。同じ名前の商品やサービス、屋号が存在する場合は命名から再考したほうがいいかもしれません。
私の会社は「ユウキノイン」という名前です。この名は自分で考えた造語で、意味についてはサイトを見ていただければ幸いですが、この社名にした最大の理由は、会社を登記する際に検索したら「WEB上で存在しない名前」だったからです。少なくともGoogleの検索エンジンではヒットしませんでした。
つまり、この社名で検索さえしてもらえれば、確実に上位表示を獲得できます。インターネットで事業・商売をする上で、名前検索で確実にサイトにたどり着ける状態にしておくことはとても大切です。
タイトルとメタディスクリプションは個別で設定
ここまでを踏まえ、おのみちマルシェさんの店名検索をしてみると下記のように出てきます。1位ですね。
現在のお店のソースを拝見しますと、タイトルタグは下記の通りです。
- <title>おのみちマルシェ</title>
タイトルが店名だけなのはもったいないですね。ここに商品名があると検索したときにヒットする可能性が増えます。タイトルは30文字程度がよいとされていますので、一例ですが、下記ようにすると何を販売しているお店なのかがわかりやすくなります。
- <title>おのみちマルシェ|尾道レモネード、しょうが湯、くず湯、粉末飲料を販売</titele>
全てのページを同じタイトルに設定しているサイトがありますが、当然よくありません。店舗概要、お支払い方法、カテゴリページ、それぞれしっかり個別のタイトルを設定してください。
また、おのみちマルシェさんの検索結果に表示される説明文(スニペット)は下記のとおりです。
- おのみちマルシェ … 弊社は昭和23年(1948年)に瀬戸内海に面した温暖な気候の尾道にて産声を上げました。 創業当初は、米菓の「あられ」「おかき」などの製造を主としておりました
通常はメタディスクリプションの箇所に入っている文言が表示されますが、おのみちマルシェさんは現在下記の通り、空欄です。もったいないですね。
- <meta name=”Description” content=”” />
メタディスクリプションが空欄の為、現在表示されている説明文はページ下部のこの部分をGoogleが選択して表示してくれています。
現在空欄のメタディスクリプションに140文字程度でお店の自己紹介を入れることをお勧めします。店名、地域、商材、特徴などを盛り込んでいくこともSEO対策の第一歩となります。タイトル同様、ディスクリプションも個別設定が基本です。
おのみちマルシェさんのサイトにスマホでアクセスすると下記ように表示されます。
テキストしかない状態で、もったいないですね。
ファーストビューに尾道の海やレモン畑となどの景色写真があり、その下に商品写真が並ぶだけでも、お店の印象が随分変わります。
最初に文字だけが飛び込んでくるお店と、その店のロケーションや運営者の写真が表示されるのでは印象がかわります。どんな商品を販売しているのかがわかるお店は滞在時間も購入意欲も変化してくるのではないでしょうか。
タイトルやファーストビュー(ATF)については【第1回】スマホサイトの見せ方を改善!でも触れているので併せてお読みいただければと思います。
ネットショップこそお店の中の見える化を!
続いてのご質問は「インターネットの特性として、年配層よりも若年層の方が利用率は高いと思いますが、主力商品は「しょうが湯」「くずゆ」などのため、メインターゲットは年配層になります。年配層への販売を強化するにはどうすればよいでしょうか」です。
大型ECモールと違い、自社サイトでの最初の購入はどうしても不安がつきものです。それゆえ、店頭で接客する店員の印象が大事なように、ネットショップのお買い物ガイドページに安心感を持たせることも重要ですね。
おのみちマルシェさんの「ご利用案内」のページです。実際のページを見ていきましょう。
必要事項は記載されていますが少し殺風景です。ここに店長さんやスタッフさんのお顔が見えたり、事務所の外観や受注出荷作業の風景が垣間見えることで、安心感に繋がるでしょう。
初回の購入意欲を後押しするために、会員登録時にわずかでもポイントを進呈するのもひとつの手です。またAmazon PayやPayPayなど、普及が進む決済方法を導入することでも買い物がしやすくなるのではないでしょうか。
主力商品の逆引きからの集客を考えてみる
主力商品は「しょうが湯」「くず湯」ということですが、Googleで検索すると「しょうが湯」は約1,880万件、「くず湯」は約834万件と相当のページ数が存在し、上位には大型ショッピングモールが並んでおり、上位表示を狙うのは広告など出稿しないと困難です。
もちろん、しょうが湯やくず湯の検索で上位表示を獲得できるに越したことはありませんが、それ相応の時間も必要でしょう。そこで、その商品を欲しくなるシーンやニーズから逆引きしたコンテンツを用意するのがいいのではないでしょうか?
例えば、風邪のときの栄養補給や、冬場の冷え性改善など、しょうが湯やくず湯を購入する方の動機にフォーカスをしてみるのもひとつですね。
「しょうが湯」であれば、リモートワークも増える昨今、仕事の合間の一息といったシーンへの訴求もできるでしょう。「底冷えする部屋での冷え性対策にもおすすめです」というアプローチをすれば若年層の方にも届きやすくなるかもしれません。血行促進効果、発汗作用など商品の持つ特性をしっかり打ち出し、その効果効能を健康や美容、あらゆる角度から求めているお客様に届けられるようページづくりやコンテンツ作成に注力されることも非常に有用だと感じます。
仮説のひとつにすぎませんが、こうした「かもしれない」を念頭に置いて商品ページづくりなどをしていくとよいのではないでしょうか。直球と変化球という表現をしますが、そもそも「しょうが湯」を欲しい方は「しょうが湯」と検索するし、既に愛飲しているか、知識をお持ちの方である可能性が高いでしょう。ですから健康や美容など、効果効能などの検索流入を獲得し「あ、しょうが湯がいいんだ」「くず湯って飲んだこと無いけど、飲んでみよう」という動機づけができるかもしれないですね。
売りたい商品と売れる商品、来店層と購買層のミスマッチ?
最後にいただいた質問は「売りたい商品と売れる商品が違う、来店層や購買層にミスマッチが起きているのですが、割り切って考え方を分けたほうが良いでしょうか」です。
「売りたい商品」と「売れる商品」が異なる「来店層」と「購買層」にミスマッチが起きているということですが、これも非常に多く寄せられるご質問です。
私の前職の話ですが冠婚葬祭のフォーマルウェアのECサイトを運営しておりました。メインターゲットは新郎新婦のお父さんや結婚式の来賓、学校の校長先生や教頭先生でした。考えてみてください。新郎新婦のお父さんは10人程度の家族婚でも、300人の大規模な結婚式でも2人です。生徒が数人の学校でも何千人のマンモス校でも校長先生は1人です。ターゲットが非常に絞られます。ネット通販参入当時のメインターゲットだった世代は、20年後の今では60~80代になっています。そして当時新郎新婦だった世代は、新郎新婦の親になってくる頃です。冠婚葬祭も年代によっていろいろあります。このように世代を超え、新たにターゲットとなり得るのではないでしょうか。
既に購入してくださっているのが若年層だとしたら、父の日、母の日、敬老の日、お中元、お歳暮などといったギフトシーズンに購入いただき、ご年配の方への認知を拡大するといった施策も取ることができるのではないでしょうか。
そのために、現在はリーズナブルな価格帯の単品商材が多いですが、3,000円、5,000円といったギフトで購入されやすい価格帯のギフト商品の展開をするのも良いでしょう。ギフトボックスにお入れして、熨斗やラッピングのサービス提供することで、購入層にも変化が起こりそうですね。また、お求めやすい価格の商品も多いので、ちょっとした差し入れやお礼にも使える、2~3商品をセットにした1,000円のプチギフトなども作れるのではないでしょうか。
さらに、おのみちマルシェさんは「粉末飲料の専門家」ですから、粉末飲料についてお客様がどんどん質問しやすくなるようなお店づくりができると、ファンも拡がるのではないでしょうか?
オンラインショップもリアルも、最後は人と人ですよね。コロナ禍で人と人の距離感は広がっているかもしれませんが、それを縮められるような心のこもった接客対応はECサイトでもできると思います。
こちらも1回目でご紹介した「はじめまして」「あらためまして」「そういえば」をご参考にいただければと思います。
2回目は、商品名やショップ名のSEO、売れ筋商品や購買層のミスマッチを中心にお話させていただきました。
この記事が少しでもネットショップ運営のお役に立つことができれば幸いです。
それではまた、第3回でお会いしましょう!ありがとうございました。