乾物をネット販売するには?必要な許可・届出とネットショップの開業方法を解説
乾物のネットショップを開業したいと考えたとき、まず気になるのが「許可や届出は必要なのか」「どんな手続きを踏めばいいのか」という点ではないでしょうか。
昆布や干し椎茸、切干し大根といった乾物は、常温で長期保存でき、軽量で配送コストを抑えやすいことから、ネット販売との相性がよい食品です。
ただし、同じ「乾燥した食品」でも、包装済み商品をそのまま販売するのか、小分けや自家製造を行うのかによって必要な許可が異なります。さらに、干物やジャーキーのように名前が似ていても別の許可区分に該当する食品もあるため、開業前の確認が欠かせません。
この記事では、乾物の種類ごとの許可区分から、届出・資格の取り方、開業費用の目安、ネットショップの選び方、食品表示や配送のポイントまでを順を追って解説します。
乾物のネット販売を始める前に確認したいこと

乾物とは?代表的な食品の種類
厚生労働省によると、乾物とは、常温で長期保存できるよう原料の水分を大きく減らした食品を指します。代表的なものには以下のような食品が挙げられます。
- ● 海藻類: 昆布、ひじき、のり、わかめ、寒天
- ● きのこ類: 干し椎茸
- ● 野菜類: 切干し大根、かんぴょう
- ● 豆類・大豆加工品: 大豆、小豆、高野豆腐
- ● 穀物加工品: 麩
- ● 魚介加工品: 煮干し、かつお節、干しえび
乾物は食品中の水分が少ないため、カビや細菌が繁殖しにくく、未開封であれば数か月〜1年以上保存できるものも多くあります。この保存性の高さと軽量さは、在庫管理や配送のしやすさにもつながるため、ネット販売に向いている食品といえます。
乾物は商品や加工方法によって許可区分が異なる
乾物は「常温で保存できる乾燥食品」という共通点がありますが、ネットで販売する際に必要な許可や届出は、扱う商品の種類と販売方法によって変わります。
たとえば、メーカーから包装済みの乾物を仕入れてそのまま販売する場合と、仕入れた乾物を小分け・再包装して販売する場合、そして原料から自分で乾燥・加工して販売する場合では、それぞれ求められる手続きが異なります。
加えて、干物やジャーキーなど原料が水産物・畜肉の場合は、乾物とは別の許可区分が適用されます。「乾燥した食品だからすべて同じ手続きでよい」というわけではない点に注意が必要です。
次の章で、販売方法ごとに必要な許可・届出を詳しく確認していきましょう。
干物・ドライフルーツ・干し芋・ジャーキーとの違い
「乾燥した食品」のなかには、乾物と名前や見た目が似ていても許可区分が異なるものがあります。ネット販売を始める前に整理しておきましょう。
干物(アジの開き、しらす干しなど)
干物は魚介類を干して加工した食品ですが、乾物と比べて水分が多く残る半乾燥の水産加工品です。自分で干物を製造して販売する場合は「水産製品製造業」の許可が必要です。
2021年(令和3年)の食品衛生法改正で営業許可業種が再編され、それまで許可が不要だった干物やしらす干しなどの製造も新たに許可の対象に加わりました。
なお、メーカーから仕入れた包装済みの干物をそのまま販売する場合は、この許可は不要です。
ドライフルーツ
ドライフルーツは果物を乾燥させた食品で、乾物の一種です。ただし、砂糖漬けにしたものや油で揚げたものなど、加工方法や添加物の内容によっては別の許可区分に該当する場合があります。
自分で加工して販売する場合は、管轄の保健所に確認しておくと安心です。
干し芋
干し芋はさつまいもを蒸して乾燥させた食品で、乾物よりも水分がやや多く残ります。
自家栽培のさつまいもを自分で乾燥加工する場合は「採取業」に該当し、届出が不要となるケースがあります。一方、仕入れたさつまいもを原料にして製造する場合は「営業」に該当するため、届出や許可が必要です。
ジャーキーなどの干し肉
ビーフジャーキーや鶏ささみジャーキーなどは「乾燥食肉製品」に分類され、乾物とは異なる許可区分です。自分で製造して販売する場合は「食肉製品製造業」の許可が必要になります。
仕入れた包装済み商品をそのまま販売する場合は、この許可は不要です。
このように、同じ「乾燥した食品」でも商品カテゴリによって必要な許可が大きく異なります。自分が販売したい商品がどのカテゴリに該当するかを事前に把握しておくことが大切です。
乾物のネット販売に必要な許可・届出を販売方法別に確認する

乾物のネット販売に必要な手続きは、販売方法によって大きく異なります。ここでは代表的な5つのケースに分けて確認していきます。

包装済みの商品を仕入れてそのまま販売する場合
メーカーや卸から仕入れた包装済みの乾物を、パッケージを開封せずにそのまま販売するケースです。この場合、製造業の営業許可は必要ありません。
食品衛生法では、営業許可の対象外となる食品の販売業には「営業届出」が求められます。届出は管轄の保健所に書類を提出する手続きで、施設の検査や手数料はかかりません。
ただし、常温で長期間保存が可能な包装食品のみを販売する場合は届出も不要とされています。乾物が該当するかどうかは管轄の保健所に確認しておくと確実です。
仕入れた乾物を小分け・再包装する場合
仕入れた乾物を小分けして袋に詰め替え、密封包装して販売する場合は、食品衛生法上の手続きが必要です。
乾燥きのこ類・乾燥豆類・乾燥海藻類・干し芋・焼ふなど多くの乾物は、2023年(令和5年)の施行規則改正で「密封包装食品製造業」の営業許可が不要になり、営業届出で対応できるようになりました。届出は管轄の保健所に書類を提出する手続きで、施設検査や手数料はかかりません。
ただし、かつお節などの節類・削節類については「水産製品製造業」や「食品の小分け業」の営業許可が必要になる場合があります。
自分が扱う商品がどのケースに当たるかは、管轄の保健所に事前に確認しておきましょう。
小分けした商品には自社名義の食品表示ラベルを付ける必要もあるため、表示の準備も併せて進めてください。
仕入れた農産物を自分で乾燥・加工する場合
仕入れた野菜や果物を自分で乾燥させて乾物として販売する場合は、食品の「製造」に該当するため、営業に関する手続きが必要です。
乾燥きのこ類・乾燥豆類・乾燥海藻類・干し芋などを密封包装して販売するケースでは、2023年(令和5年)の施行規則改正により「密封包装食品製造業」の営業許可は不要となり、営業届出で対応できます。
一方、味付けや調味を加えるなど加工の内容によっては別の営業許可が必要になることもあるため、具体的にどの手続きが必要かは管轄の保健所に事前に相談して確認しましょう。
自家栽培した農産物を乾燥して販売する場合
自分で栽培した野菜や果物を乾燥させて販売する場合は、食品衛生法上の「採取業」に該当する可能性があります。採取業は同法の「営業」に含まれないため、営業許可も営業届出も不要です(食品衛生法第4条第7項)。
ただし、採取業として認められるのは乾燥や天日干しなどの簡易な加工に限られます。味付けや調味を加える、他の食材と混合するといった加工を行う場合は採取業の範囲を超え、営業としての許可や届出が必要になります。
加工内容が採取業の範囲に収まるかどうかは、管轄の保健所に確認しておきましょう。
魚の干物・ジャーキーなどを販売する場合
前の章でも触れたとおり、干物やジャーキーは乾物とは異なる許可区分です。自分で製造して販売する場合は、以下の許可が必要になります。
- ● 干物(アジの開き、しらす干し等)の製造: 水産製品製造業の許可
- ● ジャーキー等の乾燥食肉製品の製造: 食肉製品製造業の許可
メーカーから仕入れた包装済み商品をそのまま販売する場合は、いずれも製造業の許可は不要です。
なお、販売方法が複数にまたがる場合や、自分のケースがどれに該当するか判断がつかない場合は、管轄の保健所に事前に相談することをおすすめします。保健所への相談は無料で、電話でも対応してもらえます。
許可・届出が必要な場合の資格と衛生管理

前の章で確認した許可・届出を取得するには、食品衛生責任者の配置やHACCPに沿った衛生管理の準備が必要です。
ここでは、資格の取得方法、営業許可・届出の申請手順、自宅で製造する場合の施設基準、HACCPへの対応について解説します。
食品衛生責任者が必要になるケース
営業許可や営業届出が必要な食品営業を行うには、施設ごとに食品衛生責任者を1名配置しなければなりません。
食品衛生責任者は、都道府県の食品衛生協会が開催する養成講習会を受講することで取得できます。
講習は1日(約6時間)で完了し、受講料は東京都の場合12,000円です。日程は各都道府県の食品衛生協会のホームページで公開されています。自治体によってはeラーニングでの受講に対応しているところもあります。
なお、調理師・栄養士・製菓衛生師などの資格をすでに持っている方は、講習を受けなくても食品衛生責任者になれます。該当する資格の一覧は、各都道府県の食品衛生協会で確認してください。
営業許可・営業届出の手続き
営業許可を取得するには、営業開始前に管轄の保健所へ申請書類を提出し、施設の検査を受けます。検査に合格すると許可証が交付される流れです。
申請手数料は業種や都道府県によって異なりますが、おおむね1万円台から2万円台が目安になります。
営業届出の場合は、保健所に届出書を提出するだけで手続きが完了します。施設検査は不要で、手数料もかかりません。
届出は厚生労働省の「食品衛生申請等システム」からオンラインで提出することもできます。いずれの手続きも、営業を始める前に済ませておく必要があります。
自宅で製造する場合の施設基準
自宅で乾物を製造・小分けして販売する場合は、営業許可の施設基準を満たす必要があります。
施設基準は都道府県ごとに細かな違いがありますが、共通して求められるおもな条件には次のようなものがあります。
- ● 居住スペースと製造スペースが明確に区画されていること
- ● 専用の手洗い設備が設置されていること
- ● 床・壁・天井が清掃しやすい材質であること
- ● 十分な換気設備があること
- ● 食品や器具を衛生的に保管できる設備があること
自宅のキッチンをそのまま製造場所として使うことは基本的にまず認められず、改装やリフォームが必要になるケースが多いため、費用とスペースの確保を含めて早めに保健所へ相談しておくことをおすすめします。
HACCPに沿った衛生管理の計画とチェック表を準備する
2021年(令和3年)6月1日から、原則としてすべての食品等事業者にHACCPに沿った衛生管理が義務づけられています。
乾物のネット販売で営業許可や営業届出を行う場合も、HACCPへの対応が必要です。
小規模な事業者の場合は、厚生労働省が定める「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」で対応できます。これは、業種ごとに用意された手引書に沿って衛生管理計画を作成し、日々の実施状況を記録・保管するという方法です。
手引書は厚生労働省のホームページで無料公開されており、衛生管理計画のひな形やチェック表も含まれています。初めてHACCPに取り組む方でも、手引書の書式をそのまま活用して準備を進められます。
乾物のネットショップの開業にかかる費用

乾物のネットショップの開業費用は、販売方法によって大きく変わります。
仕入れた商品をそのまま販売するケースと、小分けや製造を行うケースに分けて、それぞれの費用目安を確認しましょう。
仕入れ販売に必要な費用
メーカーや卸から仕入れた包装済みの乾物をそのまま販売する場合は、比較的少ない初期費用で始められます。おもな費用項目は以下のとおりです。
| 費用項目 | 目安 |
|---|---|
| 商品の仕入れ | 取扱商品・数量による |
| 包装資材・食品表示ラベル | 商品数・ロットにより変動 |
| 配送料 | 配送方法・件数による |
| 商品撮影 | 自分で撮影:機材・スタイリング用品の購入費 プロに依頼:1万〜数万円程度 |
| 営業届出 | 無料 |
| ネットショップの 開設・運営費用 |
後述 |
仕入れの規模にもよりますが、ネットショップの費用を含めても数万円程度の資金から始めることも可能です。
小分け・製造を行う場合に必要な費用
仕入れた乾物を小分けしたり、自分で乾燥加工して販売したりする場合は、仕入れ販売に比べて初期費用が大きくなります。仕入れ費用や梱包資材に加えて、以下のような費用がかかります。
| 費用項目 | 目安 |
|---|---|
| 食品衛生責任者の 養成講習会受講料 |
約12,000円 (東京都の場合) |
| 営業許可の申請手数料 | 1万円台〜2万円台 (届出のみは無料) |
| 施設の改装・設備費用 (自宅製造の場合) |
内容により数十万円以上 |
| 包装資材・食品表示ラベル の印刷費用 |
仕様・数量による |
| 商品撮影 | 自分で撮影:機材・スタイリング用品の購入費 プロに依頼:1万〜数万円程度 |
| 賞味期限の保存試験 (外部依頼の場合) |
検査項目・機関による |
とくに自宅を製造場所にする場合は、居住スペースとの区画工事や専用設備の導入に数十万円以上かかることがあります。
また、仕入れ・小分け・製造にかかわらず、開業後は毎月のランニングコストも発生します。おもな項目は以下のとおりです。
| 費用項目 | 目安 |
|---|---|
| 仕入れ・原材料の補充 | 販売量に応じて継続的に発生 |
| 包装資材・食品表示ラベル の補充 |
注文数に応じて変動 |
| 配送料 | 配送件数・配送先による |
| ネットショップの 決済手数料 |
売上の数% (サービスにより異なる) |
| 広告・販促費 | SNS広告など (必要に応じて) |
売上が安定するまでの運転資金も見込んで、余裕を持った資金計画を立てておきましょう。
ネットショップの作成・運営にかかる費用
ネットショップの費用は、利用するサービスの種類によって構造が異なります。
大きく分けると、自社ネットショップ作成サービス、ECモール、フリマ・ハンドメイド系サービスの3つがあり、それぞれ初期費用・月額費用・販売手数料のバランスが変わります。
自社ネットショップ作成サービスのなかには、無料で始められるプランもありますが、月額制のサービスと比べて販売手数料が高めに設定されている傾向があります。販売量が増えるほど手数料の差が利益に影響するため、将来的な販売規模も見据えて選ぶことが大切です。
各サービスの特徴や費用の比較は、次の章で詳しく解説します。
乾物販売に適したネットショップ作成サービスの選び方

ネットショップの作成サービスにはさまざまな種類があり、費用の仕組みや使える機能がそれぞれ異なります。
ここでは、乾物販売に適したサービスを選ぶためのポイントを4つの観点から整理します。
自社ネットショップ・ECモール・フリマ系サービスの違い
ネット販売のプラットフォームは、大きく3つのタイプに分けられます。
自社ネットショップは、カラーミーショップなどのネットショップ作成サービスを使って自分専用のネットショップを作る方法です。
ショップのデザインや商品の見せ方を自由に決められるため、ブランドの世界観を表現しやすいのが特徴です。
ECモールは、Amazonや楽天市場などのモール型プラットフォームに出店する方法です。
モール自体に集客力があるため、開業直後からお客さまの目に触れやすいのがメリットです。一方で、出店料や月額費用がかかるケースが多く、同じカテゴリの商品との価格競争が起きやすい面もあります。
フリマ・ハンドメイド系サービスは、minneなどのプラットフォームで販売する方法です。手作りや少量生産の食品との相性がよく、初期費用を抑えて始められます。
ただし、販売手数料がやや高めに設定されていることが多く、販売量が増えると費用負担が大きくなる傾向があります。
乾物のように継続購入が見込める商材では、リピーターとの関係を築きやすい自社ネットショップが向いているケースが多いといえます。
初期費用・月額費用・販売手数料を比較する
ネットショップの費用は、おもに「初期費用」「月額費用」「販売手数料(決済手数料を含む)」の3つで構成されます。サービスの種類ごとに費用構造の傾向を整理しておきましょう。
自社ネットショップ作成サービスには、月額無料で始められるプランと月額有料のプランがあります。月額無料のプランは販売手数料が高めに、月額有料のプランは販売手数料が低めに設定されているのが一般的です。月の売上がある程度まとまってくると、月額有料のプランのほうがトータルの費用を抑えられるケースが多くなります。
たとえばカラーミーショップのレギュラープラン(月額4,950円)では決済手数料が低めに設定されており、販売量が増えるほど手数料の差がトータルコストに効いてきます。事業の成長段階に合わせてプランを選べるため、長期的な費用設計がしやすいサービスです。
ECモールは出店料や月額費用に加えて、売上に応じた手数料がかかるのが一般的です。集客力の高さが魅力ですが、費用構造が複雑になりやすい点も事前に確認しておきましょう。
商品管理・定期購入・ギフト対応などの機能を確認する
乾物のネット販売では、費用だけでなく機能面もサービス選びの重要なポイントです。とくに以下のような機能があるかを確認しておくとよいでしょう。
- ● 定期購入機能: 出汁パックや乾物セットなど、繰り返し購入される商品の定期便に
- ● ギフト対応: のし・ラッピング・メッセージカードなどのオプション設定
- ● 送料の細かな設定: 商品のサイズや重量ごとの送料区分
- ● クーポン・ポイント機能: リピーター獲得に活用できる販促ツールの有無
すべてのサービスにこれらの機能が揃っているわけではないため、自分の販売スタイルに合った機能を備えているかを事前に確認しておきましょう。
初めて開業するならサポート体制も確認する
ネットショップの運営が初めてであれば、サービスのサポート体制も重要な判断材料です。
ショップの開設方法や商品登録、決済・配送の設定など、運営を始めると分からないことが出てきます。電話やメールですぐ相談できる窓口があると、トラブル時にもスムーズに対応できます。
カラーミーショップでは、メールや電話によるサポートで操作方法や設定の疑問に対応しています。さらに、プレミアムプランでは専属のECアドバイザーによる支援を受けることもできます。
定期的なミーティングやアクセス分析レポートを通じて運営上の課題を一緒に解決してもらえるため、開業後の売上づくりまで見据えたサービスといえます。
開業時の設定サポートから将来の運営支援まで段階的にサポートが用意されている点は、初めてネットショップを開設する方にとって安心材料になるでしょう。
乾物のネットショップの開業手順

ここまでの内容を踏まえて、乾物のネットショップを開業するまでの流れを7つのステップで整理します。

ステップ1:販売する商品と販売方法を決める
まず、どの乾物を、どのような形で販売するかを決めます。
昆布・干し椎茸、かつお節などの定番商品を扱うのか、自家製の乾燥野菜やオリジナルのだしパックを開発するのかによって、必要な準備が変わってきます。
あわせて、メーカーから仕入れた商品をそのまま販売するのか、小分け・再包装を行うのか、自分で乾燥加工するのかも決めておきましょう。
販売方法によって許可・届出の要否が変わるため、この段階で方向性を固めておくことが大切です。
ステップ2:許可・届出の要否を確認する
販売する商品と販売方法が決まったら、管轄の保健所に連絡して必要な許可・届出を確認します。
仕入れ販売なら届出のみで済むケースが多い一方、小分けや製造を行う場合は営業届出や営業許可が必要になります。
営業許可が必要な場合は、食品衛生責任者の取得と施設の準備を早めに進めましょう。養成講習会は日程が限られるため、スケジュールに余裕を持って申し込むのがおすすめです。
ステップ3:仕入れ先または製造場所を確保する
仕入れ販売の場合は、安定して商品を供給できる仕入れ先を確保します。
メーカーとの直接取引のほか、食品専門の卸サイトを活用する方法もあります。サンプルを取り寄せて品質や賞味期限の長さを確認したうえで取引を始めるとよいでしょう。
自分で乾燥加工や小分けを行う場合は、施設基準を満たす製造場所が必要です。自宅を改装する方法が一般的ですが、費用がかかるため早めに保健所へ相談しておきましょう。
ステップ4:価格と利益率を計算する
販売価格を決める際は、仕入れ原価だけでなく、包装資材・配送料・ネットショップの決済手数料なども含めたトータルコストをもとに利益率を計算します。
送料の設定も重要なポイントです。一定金額以上で送料無料のラインを設けると、まとめ買いを促しやすくなります。乾物は軽量でコンパクトな商品が多いため、クリックポストやゆうパケットなど比較的安価な配送方法を選べるケースもあります。
ステップ5:包装・食品表示を準備する
商品の包装資材を選び、食品表示ラベルを作成します。
食品表示ラベルには、名称・原材料名・内容量・賞味期限・保存方法・製造者または販売者の情報などを記載する必要があります。
食品表示の詳しいルールは次の章で解説します。包装資材の選定と合わせて、このステップで準備を進めておきましょう。
ステップ6:ネットショップを開設する
ネットショップ作成サービスに登録し、ショップを開設します。
商品写真の撮影・商品説明文の作成・価格設定・決済方法の選択・送料の設定などを行い、ショップページを整えていきます。
カラーミーショップなら、設定で分からないことがあっても電話やメールで相談できるため、一つずつ確認しながら進められます。サポートを活用しながら、商品登録から決済・配送の設定までショップを形にしていきましょう。
ステップ7:特定商取引法に基づく表記や返品条件を整える
ネットショップで商品を販売するには、特定商取引法に基づく表記をショップ上に掲載しなければなりません。
法律上の義務であることに加え、クレジットカードなどの決済サービスを導入する際の審査でも、特商法に基づく表記が正しく掲載されているかが確認されます。
記載が不十分だと審査が通らないこともあるため、決済の申請前に整えておきましょう。
おもな記載事項は以下のとおりです。
- ● 事業者の名称(氏名)と住所
- ● 電話番号
- ● 販売価格と送料
- ● 代金の支払い方法・支払い時期
- ● 商品の引き渡し時期
- ● 返品・交換の条件
食品は衛生上の理由からお客さま都合の返品を受け付けないケースが一般的ですので、返品条件はあらかじめ明確に記載しておきましょう。
また、プライバシーポリシーの掲載も忘れずに準備してください。
乾物の食品表示ラベルや商品ページの準備

乾物を販売するには、商品パッケージに貼る食品表示ラベルと、ネットショップの商品ページの両方を適切に整える必要があります。
それぞれに記載すべき情報と、表現上の注意点を確認しておきましょう。
食品表示ラベルに必要な項目を確認する
包装された加工食品を販売する場合、食品表示法に基づく「一括表示」を商品パッケージに記載しなければなりません。乾物に必要なおもな表示項目は以下のとおりです。
- ● 名称(商品の一般的な名称。商品名・ブランド名ではない)
- ● 原材料名(使用量の多い順に記載)
- ● 添加物(原材料名と明確に区分して記載)
- ● 内容量(g・個数など)
- ● 賞味期限
- ● 保存方法
- ● 製造者または販売者の名称・住所
仕入れた商品をそのまま販売する場合はメーカーが表示を作成していますが、小分けや再包装を行う場合は自分でラベルを作成する必要があります。
消費者庁の「早わかり食品表示ガイド」を参照しながら作成するとよいでしょう。
賞味期限・栄養成分・アレルゲン・原料原産地を正しく表示する
一括表示の中でも、とくに注意が必要な項目をまとめます。
賞味期限は製造者が設定するもので、科学的な根拠に基づいて決める必要があります。
仕入れ品を再包装する場合、もとの賞味期限をそのまま使えないケースがあるため、保健所に相談して確認しましょう。
栄養成分表示は、熱量・たんぱく質・脂質・炭水化物・食塩相当量の5項目を記載します。ただし、消費税の納税義務が免除されている事業者や、おおむね従業員20人以下(商業・サービス業は5人以下)の小規模な事業者は省略できる場合があります。自社のネットショップで消費者に直接販売する場合は省略の対象になりますが、卸売や委託販売では適用されません。
アレルゲン表示では、えび・かに・くるみ・小麦・そば・卵・乳・落花生・カシューナッツの特定原材料9品目を使用している場合は必ず表示しなければなりません。
乾物ではえびやかにを含む製品、小麦を原料とするお麩などが該当しやすい食品です。
原料原産地名は、2022年4月から全加工食品に表示が義務付けられています。使用量が最も多い原材料の産地を記載する必要があるため、仕入れ先に産地情報を確認しておきましょう。
商品ページにも保存方法や賞味期限などを掲載する
ネットショップでは、お客さまが商品を手に取って確認できません。パッケージの食品表示に加え、商品ページにも以下のような情報を掲載すると購入の判断材料になります。
- ● 保存方法と賞味期限の目安
- ● 原材料やアレルゲン情報
- ● 内容量と1袋あたりの使用回数の目安
- ● 戻し方や調理方法の簡単な説明
- ● 商品写真(パッケージ表面・裏面・中身の状態)
とくに戻し方の手順や、どんな料理に使えるのかが分かると、乾物に馴染みのないお客さまでも購入しやすくなります。
健康効果・無添加・国産などの表現に注意する
乾物は保存料を使わない商品も多く、「無添加」「天然素材」といった訴求をしたくなるところです。しかし、食品表示の分野では添加物の不使用に関する表現が厳しく見直されています。
消費者庁は「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」を策定し、「無添加」や「不使用」といった表現が消費者に誤解を与えないよう注意を促しています。
たとえば、もともと添加物を使用しない食品に「無添加」と表示することは、あたかもほかの同種製品には添加物が入っているかのような誤認を招くおそれがあります。
また、「健康によい」「〜に効く」など健康効果をうたう表現は、健康増進法や医薬品医療機器等法に抵触する可能性があります。
「カルシウムが豊富」のように栄養素を強調する場合は、栄養成分の基準値を満たしたうえで栄養機能食品の届出が必要になることもあるため、安易に使わないようにしましょう。
「国産」の表示については、原料原産地表示のルールに従って正確に記載することが大切です。最終加工地が国内であっても、原料が外国産であれば原料の産地を表示する必要があります。
乾物の保管・梱包・配送で押さえたいポイント

乾物は常温保存ができて軽量なものが多く、ネット販売との相性がよい食品です。一方で、保管や梱包の方法を誤ると品質が落ちやすい面もあります。
お客さまに良い状態で届けるために押さえておきたいポイントを整理します。

湿気・酸化・虫・におい移りを防ぐ
乾物の品質を保つうえで、もっとも気をつけたいのが湿気です。乾燥状態が命の商品なので、保管場所の湿度管理が欠かせません。梅雨や夏場はとくに注意が必要です。
酸化も品質を下げる原因になります。かつお節や煮干しなど脂質を含む乾物は、酸化すると風味が落ちやすいため、脱酸素剤を封入するか、窒素充填を行うと劣化を抑えられます。
虫害については、乾燥した穀類や豆類、海苔、干し椎茸などが被害を受けやすい食品です。入荷時の検品を徹底し、保管場所を清潔に保つことが基本的な対策になります。
また、乾物はにおいを吸着しやすい特徴があります。香りの強い商品と一緒に保管しないよう、商品ごとに保管場所を分けるか、密封容器を使うようにしましょう。
賞味期限とロットを管理する
在庫が増えてくると、賞味期限の管理が重要になります。先に仕入れた商品から先に出荷する「先入れ先出し」を徹底し、賞味期限が近い商品が倉庫に残らないようにしましょう。
ロット管理とは、製造日や仕入れ日ごとに商品をまとめて追跡できるようにすることです。万が一、品質に問題が見つかった場合に、対象商品をすばやく特定して対応できます。
エクセルや在庫管理アプリを使って記録しておくと、少量から始める場合でも管理しやすくなります。
商品に合った包装資材を選ぶ
乾物の包装資材を選ぶ際は、防湿性・遮光性・強度の3点がポイントです。
防湿性の高いアルミ蒸着袋やガスバリア袋は、湿気や酸化に弱い乾物に適しています。海苔やかつお節など風味を重視する商品には、脱酸素剤やシリカゲルをあわせて封入するとより効果的です。
透明な袋は中身が見える安心感がある一方、光による劣化が進みやすいというデメリットがあります。商品の特性に合わせて、遮光性のある素材を選ぶか、外箱で光を遮る工夫をするとよいでしょう。
サイズ・重量・壊れやすさに合った配送方法を選ぶ
乾物は軽量でコンパクトな商品が多いため、配送方法を工夫することでコストを抑えやすくなります。おもな配送方法の特徴は以下のとおりです。
| 配送方法 | 特徴 |
|---|---|
| クリックポスト | ポスト投函、追跡あり、小型・軽量の荷物向け |
| ゆうパケット | ポスト投函、追跡あり、厚さ3cmまでの荷物向け |
| 宅配便(ゆうパック等) | 手渡し、追跡・補償あり、大きめの荷物やまとめ買い向け |
軽くて薄い商品(海苔・昆布・乾燥野菜など)はクリックポストやゆうパケットで送れるケースが多く、送料を抑えられます。一方、割れやすい商品(干し椎茸・お麩など)や複数点のまとめ買いには、緩衝材を入れたうえで宅配便を使うほうが安全です。
配送中の破損を防ぐため、商品の特性に合わせて緩衝材やダンボールの厚さを選びましょう。乾物は軽いぶん箱の中で動きやすいので、隙間を埋める梱包材も用意しておくと安心です。
乾物のネットショップの売上を伸ばす工夫

ネットショップを開設しただけでは、すぐに売上が伸びるわけではありません。乾物ならではの強みを活かした販売戦略を取り入れて、リピーターの獲得や客単価の向上につなげましょう。

産地・用途・容量で商品の特徴をつくる
スーパーでも買える定番の乾物をそのまま並べるだけでは、価格競争に巻き込まれてしまいます。
「〇〇産の一等品」「だし専用に厳選」「お試しサイズ」のように、産地・用途・容量で切り口をつくると、ネットショップならではの商品として差別化しやすくなります。
たとえば、昆布であれば「利尻産の天然昆布」と産地を打ち出す方法があります。
用途の面では、だし用・おやつ用・料理の仕上げ用など使い方ごとにラインナップを分けると、お客さまが選びやすくなります。
容量についても、初めてのお客さま向けの少量パックと、リピーター向けのお得な大容量パックを用意しておくと購入のハードルを下げられます。
戻し方やレシピを分かりやすく紹介する
乾物に興味はあっても「戻し方が分からない」「使い道が思いつかない」という理由で購入をためらうお客さまは少なくありません。商品ページやショップのコラムで、戻し方の手順やおすすめレシピを紹介すると、購入の後押しになります。
戻し方は写真や動画を使って手順を見せると伝わりやすくなります。
レシピは手の込んだ料理よりも、普段の食事に取り入れやすい簡単なメニューのほうが反応を得られる傾向があります。「味噌汁にひとつまみ加えるだけ」のような手軽さを伝えることがポイントです。
SNSでレシピや使い方を定期的に発信し、ネットショップへ誘導する流れをつくるのも有効な集客方法です。
セット販売・まとめ買い・定期便を用意する
客単価を上げるには、単品販売に加えてセット商品やまとめ買い割引を用意するのが効果的です。
「だしの基本セット(昆布・かつお節・煮干し)」のようなテーマ性のあるセットは、乾物をこれから使い始めたい方への入り口にもなります。
まとめ買い割引は、日常的に乾物を使うリピーターの定着に役立ちます。「3袋以上で10%オフ」のようなシンプルな条件が分かりやすいでしょう。
定期便は、消費ペースが安定しやすい商品との相性がよい仕組みです。
だしパックや味噌汁の具材セットなど、日常的に使い切るタイプの商品であれば、定期便を検討してみてもよいでしょう。
ギフト需要や業務用需要を取り込む
乾物は日持ちがするため、贈り物として選ばれやすい食品です。
お中元やお歳暮のシーズンに合わせてギフト向けのセットを用意し、のし紙やギフトラッピングに対応すると、単価の高い注文を取り込みやすくなります。
また、飲食店や料理教室など業務用の需要も見込める分野です。業務用向けには大容量パックを用意し、継続的な取引につなげる工夫をするとよいでしょう。
まずはお試し価格で少量から取引を始め、信頼関係を築いてから定期的な注文につなげていく方法が現実的です。
乾物のネットショップ事例

実際に乾物をカラーミーショップで販売しているショップの事例を3つ紹介します。
商材や差別化の方向性が異なる事例を取り上げていますので、自分のショップづくりの参考にしてみてください。
粉末だしで離乳食ニーズを開拓|オリッジ公式ストア
鹿児島県指宿市に拠点を置く老舗鰹節工場のグループ会社が運営する「オリッジ公式ストア」の主力商品は、食塩無添加の粉末だし「イブシギンのしぜんだし」です。
離乳食にも使えるだしとして全国のスーパー・赤ちゃん用品店などに商品を展開し、子育て世代から支持を集めています。
ネットショップの集客ではInstagramを活用し、商品情報だけでなく社内の日常も発信することで親しみやすさを打ち出しています。
送料無料ラインを5,000円から3,000円に引き下げたところ購入者数が大きく増えたとのこと。乾物のように単価が低めの商品では、送料無料ラインの設計が売上に直結することが分かる事例です。
パッケージデザインの刷新で売上成長|江の浦海苔本舗
福岡県みやま市で海苔の製造・販売を行う「江の浦海苔本舗」では、元海苔漁師のショップオーナーが、専門家とのタッグを通じてパッケージデザインを刷新しました。

「都会の食卓に愛着をもって置かれる常備品」というコンセプトのもと、記号的に中身が分かるシンプルなデザインに一新したところ、商品の付加価値が高まり、売上も大幅に伸びたといいます。パッケージが変わったことで営業先での反応も改善し、新たな販路の開拓につながりました。
乾物は見た目の印象が地味になりがちだからこそ、パッケージデザインへの投資が差別化に効く好例です。
レシピ提案と新しい見せ方で麩の魅力を発信|麩の菓 おふや
静岡県三島市の麩メーカーが運営する「麩の菓 おふや(旧:富士箱根湧水おふや)」では、古くから人気のご当地おやつ「さくら棒」のほか、カラフルかつ目新しい商品展開で従来の麩のイメージを覆し、若い顧客層を開拓しています。
商品ページには日常的にすぐ作れるレシピだけを厳選して掲載。麩を使ったことがない方でも「これなら試せそう」と思えるハードルの低さを意識しています。
朝食の卵焼きに加えるといった身近なシーンでの活用例を写真で紹介するなど、「使い方提案」の見せ方が参考になる事例です。
よくある質問

Q1:自家栽培した野菜を乾燥して販売できますか?
自家栽培した野菜を乾燥させて販売すること自体は可能です。
農家が自ら栽培した農産物を乾燥・加工する行為は食品衛生法上「採取業」に分類され、営業許可や営業届出が不要とされるケースがあります。ただし、仕入れた野菜を乾燥加工する場合は採取業には該当せず、営業届出などの手続きが必要です。
いずれの場合も食品表示法に基づくラベル表示は必要になるため、販売を始める前に管轄の保健所へ確認しておくと安心です。
Q2:自宅のキッチンで乾物を製造・袋詰めできますか?
営業許可が必要な業種の場合、施設基準を満たした製造場所が求められるため、一般的な自宅キッチンでは対応が難しいケースがほとんどです。
専用の手洗い設備や十分な換気設備など、保健所が定める基準を満たす必要があります。
自宅を改装して基準を満たす方法もありますが、費用や時間がかかるため、早めに保健所へ相談しておきましょう。なお、仕入れた商品をそのまま販売する場合は製造設備が不要なため、まずは仕入れ販売から始めるのも現実的な方法です。
Q3:干物・ジャーキー・海藻は同じ許可区分ですか?
いずれも「乾燥させた食品」ですが、原材料によって許可区分が異なります。
干物(魚介類の乾燥品)を製造する場合は「水産製品製造業」の営業許可、ジャーキー(食肉の乾燥品)を製造する場合は「食肉製品製造業」の営業許可がそれぞれ必要です。
海藻の乾燥品については、加工の内容によって必要な手続きが変わるため、保健所への確認が欠かせません。「乾物」とひとくくりにせず、原材料ごとに管轄の保健所へ相談することが大切です。
まとめ
乾物のネット販売は、常温で保存・配送できる利点があり、ネットショップとの相性がよい分野です。
販売方法によって必要な許可・届出が変わるため、まずは保健所に相談して自分に必要な手続きを確認するところから始めましょう。
カラーミーショップなら、分からないことを電話やメールで相談しながらショップを開設できます。この記事を参考に、一つずつ準備を進めてみてください。








