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干し芋のネットショップを開業するには?確認すべき許可・届出や費用と始め方を解説

ネット通販でも人気の干し芋を、自分も売ってみたい。
そう考えて干し芋のネットショップ開業を調べ始めると、何から手をつければよいのか、許可や届出が必要なのか、戸惑う方も多いのではないでしょうか。

この記事では、開業のメリットから、確認しておきたい許可・届出、食品表示ラベル、費用の目安、開業手順、売れる商品の作り方や集客のコツまでをまとめて解説します。

干し芋農家がネットショップを開業するメリット


これから干し芋のネット販売を始めたい方には、自分でさつまいもを育てて干し芋づくりに取り組む農家もいれば、さつまいもや干し芋を仕入れて参入を考えている方もいるでしょう。

どちらの場合も、ネットショップは商品の魅力を自分の言葉で伝えながら販売を広げられる場になります。
まずは、ネットショップを持つことでどんな広がりが期待できるのかを整理してみましょう。

メリット1:直売所・道の駅・卸に加えて自社の販売先を持てる

直売所や道の駅、卸への出荷は、集客や陳列を相手先にゆだねる販路です。手軽に出せる一方で、価格の決め方や見せ方には制約が残りやすいといえます。

ネットショップを開設すると、こうした販路に加えて、あるいはこれから販売を始める方にとっては最初の売り場として、自社で運営する販売先を持てます。
住んでいる地域にかかわらず全国のお客さまへ届けられ、注文の受付も時間帯を選びません。商品の価格や説明の見せ方を自分で設計しやすくなる点も、自社販売ならではの強みではないでしょうか。

メリット2:リピーターと直接つながりやすい

卸や直売所を通じた販売では、誰が買ってくれたのかが見えにくく、感想も届きにくいものです。次の購入につなげる働きかけも難しくなりがちでしょう。

ネットショップなら、購入者の情報やレビューを通じてお客さまと直接つながりやすくなります。
商品に同梱するお礼状やメールでの案内、再購入を促す導線を用意すれば、一度きりで終わらせず関係を続けるきっかけをつくりやすくなります。

メリット3:訳あり品・ギフト・予約販売など売り方を広げやすい

ネットショップは、店頭では試しにくい売り方を取り入れやすい場でもあります。たとえば、次のような販売方法が挙げられます。

  • ●形が不揃いな干し芋を「訳あり品」としてまとめて販売する
  • ●化粧箱に詰めた食べ比べセットをギフト向けに用意する
  • ●旬の時期に合わせて予約販売や数量限定販売を行う

規格外の商品を無駄なく売り切ったり、贈答需要を取り込んだりと、収益の柱を増やす工夫を試しやすくなります。具体的な商品の作り方は、記事後半であらためて解説します。

自家栽培の干し芋をネット販売する前に確認したい許可・届出


干し芋のネット販売を始めるうえで、最初に確認しておきたいのが許可や届出の取り扱いです。
大きな分かれ目は、自分で干し芋を製造して売るのか、それとも包装済みの完成品を仕入れて売るのかという点にあります。

ここを取り違えると後から手続きが必要になることもあるため、開業前に整理しておきましょう。

自家栽培のさつまいもで作る場合の考え方

自分の畑で育てたさつまいもを原料に干し芋を製造する農家の場合、厚生労働省の通知では食品衛生法上の「採取業」に該当するとされており、保健所への営業届出は原則として不要と整理されています。

根拠となるのが、厚生労働省の通知「農業及び水産業における食品の採取業の範囲について」の品目別一覧です。この一覧では、干し芋の製造は原則として採取業の範囲外とされていますが、「農家(生産者団体を含む)が自ら生産した農産物を原材料として使用する場合を除く」という備考が付されています。つまり、農家が自家栽培のさつまいもで干し芋を作る場合は採取業として扱われ、営業届出の対象外になります。

ただし、届出が不要であっても、容器包装に入れて販売する場合には食品表示法に基づく表示義務は別途発生します。
また、地域や個別の事情によって取り扱いが異なることもあるため、販売を始める前に管轄の保健所に確認しておくことをおすすめします。

仕入れたさつまいもを使う場合は扱いが変わることがある

他から仕入れた生のさつまいもを使って干し芋に加工する場合は、先の通知の例外にあてはまらず、営業に該当します。
この場合は保健所への営業届出が必要で、あわせて食品衛生責任者の選任も求められます。なお、ここで必要になるのは営業許可ではなく営業届出という点も押さえておきましょう。

一方、すでに包装された完成品の干し芋を仕入れて、そのまま販売するケースでは扱いが変わることがあります。通知の備考では、容器包装に入れられ常温で長期間保存できる食品のみを販売する場合は、届出が不要になることがあると示されています。
OEM(自社ブランドの商品製造を外部工場に委託する仕組み)で作ってもらった完成品を仕入れて売る形も、これに近い考え方になります。

ただし干し芋はカビが出やすく、冷蔵や冷凍での保存を前提とする商品も少なくありません。
常温で長期保存できる設計の完成品かどうかで判断が変わることがあるため、仕入れ先や保健所への確認をおすすめします。

加工所・製造方法・販売形態を変えるときは保健所に確認する

営業届出が必要な場合は、加工する場所や製造工程の情報を届出に記載します。自宅の一般的な台所をそのまま使えないこともあるため、どんな施設で、どのように作るのかが手続きに関わってきます。

開業後も、製造する量を増やす、扱う品目を広げる、加工する場所を新たに設けるなど、製造方法や販売の形態を変えるときには、必要な手続きや衛生管理の内容が変わる場合があります。判断に迷う点は、変更の前に管轄の保健所へ相談しておくと安心です。
地域や個別の状況によって運用が異なることもあるため、自己判断で進めないことが大切でしょう。

食品衛生責任者や衛生管理で確認したいこと

営業届出をして干し芋を製造する場合(仕入れたさつまいもを使う場合など)は、施設ごとに食品衛生責任者を選任する必要があります。
医師や栄養士、調理師などの資格がなくても、各地の食品衛生協会などが開く養成講習を受講すれば取得できます。

講習はおおむね6時間程度で、受講料は自治体によって異なります。たとえば東京都の場合は12,000円(受講料+教材費)が目安です。あわせて、HACCP(ハサップ:食品の衛生管理を計画的に行う国際的な手法)に沿った衛生管理も求められます。
小規模な事業者向けには、内容を簡略化した取り組み方が示されているので、自分の規模に合った進め方を確認しておきましょう。

自家栽培のさつまいもで製造する農家の場合は、法的な届出義務はないとされていますが、衛生管理そのものが不要になるわけではありません。食品を製造・販売する以上、品質管理の仕組みを整えておくことは、お客様からの信頼やトラブル防止の面で欠かせないでしょう。

※ 本記事の制度に関する情報は2026年6月時点のものです。許可・届出の要否は最終的に管轄の保健所の判断によります。最新の取り扱いは厚生労働省・消費者庁の公式情報や、お住まいの地域の保健所でご確認ください。

干し芋をネット販売するために必要な食品表示ラベル


干し芋は食品表示法上の加工食品にあたり、容器包装に入れて販売する場合は、商品にラベルを表示する必要があります。
ネット販売の場でも考え方は同じで、商品ページの説明文とは別に、実際に届ける商品へ表示をつけることが基本です。
ここでは、どんな項目をどう書く必要があるのかを整理します。

干し芋の食品表示に必要な主な項目

干し芋を容器包装に入れて売る場合、ラベルに記載する主な項目には次のようなものがあります。

  • ●名称(干し芋、ほしいも など)
  • ●原材料名(使用していれば添加物も)
  • ●内容量
  • ●賞味期限
  • ●保存方法
  • ●食品関連事業者(表示内容に責任を持つ製造者や販売者など)の氏名・住所
  • ●栄養成分表示
  • ●アレルゲンや原料原産地名(該当する場合)

これらは食品表示法に基づくものです。実際に表示を作る際は、消費者庁の食品表示基準にあたって、自分の商品に必要な項目を確認しておきましょう。

原材料名・原料原産地名・内容量の書き方

原材料名は、使っている原料を重量の多い順に書きます。砂糖や味付けを加えずに作る干し芋なら、原材料はさつまいものみとなる場合が多いでしょう。何かを加えているときは、その原料も記載します。

原料原産地名は、加工食品の原料原産地表示制度にもとづくものです。製品に占める重量の割合が最も高い原材料について、原産地を表示します。
干し芋の場合はさつまいもが対象となり、国産であれば「国産」や都道府県名などで示します。内容量は、グラム数や個数でわかりやすく記載しましょう。

賞味期限・保存方法・栄養成分表示の考え方

期限表示には、賞味期限と消費期限の2種類があります。
品質の劣化が比較的ゆるやかな食品には賞味期限を用いるのが一般的で、干し芋もこれにあたることが多いでしょう。期限は、保存方法とあわせて、製造者が試験や根拠にもとづいて設定します。

栄養成分表示は、容器包装に入れた加工食品では原則として必要です。表示するのは、熱量・たんぱく質・脂質・炭水化物・食塩相当量が基本となります。
具体的な数値は商品ごとに異なるため、成分分析や計算で求める必要があります。なお、小規模な事業者など一定の条件にあてはまる場合は、栄養成分表示を省略できることもあります。

自社製造・委託加工・OEMで表示責任が変わる点に注意する

ラベルには、表示の内容に責任を持つ事業者の氏名と住所を記載します。誰がその責任を負うかは、製造の形態によって変わってきます。

自社で製造する場合は、製造者として自社を表示するのが基本です。委託加工やOEMで作ってもらった商品を売る場合は、販売者としての表示に製造所の情報を組み合わせるなど、書き方が変わることがあります。
どの立場で表示するのかは、仕入れ先や製造を委託する相手と取引の段階で確認し、はっきりさせておくと安心です。

※ 食品表示に関する情報は2026年6月時点のものです。表示の要否や書き方の詳細は、消費者庁の食品表示基準や、お住まいの地域の窓口でご確認ください。

干し芋のネットショップ開業にかかる費用の目安


開業にかかる費用は、自分で製造するのか、仕入れやOEMで完成品をそろえるのかといった事業モデルや、事業の規模によって大きく変わります。

そのため一概に総額を示すのは難しいものの、固定店舗を構える場合に比べると、店舗を持たないネットショップ型は初期費用を抑えやすい傾向にあります。
ここでは、どんな費用がかかるのかを項目ごとに整理しておきましょう。

初期費用でかかるもの

開業の準備段階でかかる主な費用には、次のようなものがあります。

  • ●自分で製造する場合の、加工・乾燥・包装などの設備費
  • ●食品衛生責任者の資格取得費用(製造する場合。受講料は自治体で異なり、東京都は12,000円が目安)
  • ●包装資材やラベルの準備費
  • ●ECプラットフォームの初期費用(0円~)
  • ●独自ドメインの取得費用
  • ●商品写真の撮影やページ作成にかかる費用
  • ●デザインや初期設定を外部に委託する場合の制作・代行費用

自分で製造する場合は乾燥機などの設備費がかさみやすい一方、仕入れやOEMの完成品を売る形なら設備への投資を抑えやすくなります。
また、ショップのデザインや設定を自分で行えば費用を抑えられますが、外部の制作会社などに委託する場合はその分の費用が必要です。
どこにお金をかけるかは、選ぶ事業モデルや進め方次第と言えるでしょう。

毎月かかる運営費用

開業後に継続してかかる費用としては、次のような項目が挙げられます。

  • ●ECプラットフォームの月額利用料(サービスやプランにより異なる)
  • ●決済手数料(売上に応じて発生)
  • ●独自ドメインの更新料
  • ●包装資材の補充費
  • ●広告や販促にかける費用(必要に応じて)

売上が伸びるほど、決済手数料や資材費も増えていきます。毎月の固定費と変動費を分けて把握し、定期的に見直す習慣をつけておくと安心です。

梱包資材・送料・決済手数料も含めて利益を計算する

価格を決めるときに見落としやすいのが、商品そのものの原価以外にかかるコストです。特に干し芋は、傷みを防ぐためにクール便を使う場面が多く、送料が高くなりやすい点に注意が必要でしょう。

利益を考えるうえで、次のコストを売価から差し引いて確認しておきましょう。

  • ●梱包資材費
  • ●送料(特にクール便:詳しくは後半の章で解説)
  • ●決済手数料

送料を商品代に含めるのか、別途請求するのかによっても、見え方や手取りは変わってきます。これらを織り込んだうえで価格を設計すると、販売してもほとんど利益が残らない、といった事態を避けやすくなります。

※ 料金や手数料はサービスや時期によって変わります。最新の金額は、利用するサービスの公式情報でご確認ください。

ネットショップ作成サービス・プラットフォームの選び方


干し芋をどこで売るかは、開業後の運営のしやすさを左右します。
販売の場にはいくつかのタイプがあり、それぞれに向き不向きがあります。食品を扱う前提で、必要な機能やサポートを確認しながら選んでいきましょう。

自社ネットショップ・モール型EC・フリマ系サービスの違い

販売の場は、大きく次のようなタイプに分けて考えられます。

種別 特徴
自社ネットショップ ECサイト構築サービスで自分の店をつくる方法
ザインや見せ方の自由度が高く、ブランドの世界観を作り込みやすい一方、集客は自分で行う必要がある
モール型EC 複数の店が集まる大型のショッピングサイトに出店する方法
集客力に期待できる反面、出店費用・ルール、他店との価格比較が生じやすい
フリマ系サービス 個人間売買を中心としたアプリなどで販売する方法
手軽に出品を始めやすい一方で、継続的な販売やブランドづくりには不向きな面も

大まかな流れは共通していても、前提や運営の仕方が異なるため、目的に合わせて選ぶことが大切です。まずは自社ネットショップから始め、あとからモールを併用するといった進め方もあります。

決済・配送・在庫管理など食品ECに必要な機能を確認する

干し芋のような食品を扱うなら、次のような機能がそろっているかを確認しておきたいところです。

  • ●クレジットカードやコード決済、代引きなど、複数の決済手段に対応しているか
  • ●常温・冷蔵・冷凍といった温度帯に応じた配送方法や送料の設定ができるか
  • ●在庫管理や、旬の時期の数量限定・予約販売に対応できる仕組みがあるか

特に干し芋は、季節によってクール便への切り替えが必要になります。
配送まわりの設定にどこまで柔軟に対応できるかは、見落とさずにチェックしておきましょう。

独自ドメイン・デザイン・ギフト対応のしやすさを見る

独自ドメイン(自分の店だけが使えるインターネット上の住所)を設定すると、自社の店としての信頼感やブランドの印象を高めやすくなります。
ただし、独自ドメインの設定は必須ではありません。取得や維持に費用がかかるサービスもあるため、開業当初はコストを抑えたいという場合は、各サービスが標準で用意しているサブドメインで始め、運営が軌道に乗ってから独自ドメインへ切り替える方法もあります。

独自ドメインの扱いは、サービスによって異なります。たとえばカラーミーショップでは、レギュラープラン以上であれば追加料金なしで独自ドメインを設定できます。
コストとブランドづくりのどちらを優先するかをふまえて、無理のない形を選ぶとよいでしょう。

あわせて、デザインの自由度や、ギフト対応のしやすさも確認しておきましょう。
干し芋は贈り物として選ばれることも多く、のし・ギフトラッピング、メッセージカードなどに対応できると、贈答需要を取り込みやすくなります。

初めてなら相談できるサポート体制を重視する

初めての食品ECでは、表示や配送の設定など、慣れない作業でつまずく場面も出てきます。そんなとき、気軽に相談できるサポートがあると、安心して運営を続けやすくなります。

サポートの手段や手厚さは、サービスによってさまざまです。
たとえばカラーミーョップでは、AIチャットやメール・電話で相談できるほか、上位のプレミアムプランでは専任のECアドバイザーによる支援も利用できます。

料金の安さだけで選ぶのではなく、こうしたサポートの充実度も含めて、自分が無理なく続けられそうなサービスかどうかを見極めるとよいでしょう。

※ プランの料金やサポート内容は2026年6月時点のものです。最新の情報は各サービスの公式サイトでご確認ください。

干し芋のネットショップ開業手順


ここまでの内容をふまえて、構想から販売開始までの流れを6つのステップに分けて整理します。順番に進めて、やるべきことを一つずつクリアしていきましょう。

ステップ1:販売する商品ラインナップを決める

最初に、どのような業態で干し芋を売るのかを考えます。
このとき、自分で製造するのか、仕入れやOEMで完成品をそろえるのかという事業モデルもあわせて検討するのがポイントです。
どちらを選ぶかで、商品ラインナップの決め方が変わってくるためです。

自分で製造する場合は、品種や形状(平干し・丸干し・切り落としなど)、価格帯や容量を比較的自由に設計しやすくなります。
一方、仕入れやOEMを利用する場合は、扱える品種や形状、ロット数が、仕入れ先や委託先の対応できる範囲によって決まります。
まずは相手先がどこまで対応できるかを確認したうえで、商品構成を固めていきましょう。

ステップ2:保健所と食品表示の確認をする

干し芋を製造して販売する場合は、保健所への営業届出と食品衛生責任者の選任が必要になります。届出の要否や進め方は、早い段階で管轄の保健所に相談しておきましょう。
あわせて、原材料名や原料原産地名、期限表示、保存方法、栄養成分表示といった食品表示ラベルの内容も準備します。詳しくは、この記事の前半で解説したとおりです。

ステップ3:パッケージ・写真・商品説明を準備する

商品が決まったら、パッケージやラベルのデザイン、商品写真、説明文を用意します。
干し芋は見た目や食感が伝わりにくい商品でもあるため、品種ごとの甘さや食感、産地のこだわり、おすすめの食べ方などを丁寧に伝える工夫が効いてきます。
写真は、実際の色つやが伝わるように撮影しておきたいところです。

ステップ4:実際にショップを開設する

利用するプラットフォームを選び、ショップを開設します。
独自ドメインを設定し、デザインを整え、用意した写真や説明文をもとに商品を登録していきましょう。最初から作り込みすぎず、まずは販売に最低限必要な商品ページから徐々に整えていくのがおすすめです。

ステップ5:決済・配送・在庫管理を設定する

開設と並行して、決済手段や配送方法、在庫管理の設定を進めます。
干し芋は温度帯に応じてクール便への切り替えが必要になるため、配送ルールは特に丁寧に設定しましょう。ギフト対応や日時指定なども、必要に応じて整えておきます。
公開前にテスト注文を行い、注文から発送までの流れに問題がないかを確認しておくと安心です。

ステップ6:販売開始前にSNSや既存顧客へ告知する

オープン前から、SNSや知人・取引先への告知を始めておくと、公開直後の動き出しがよくなります。
製造の様子や商品へのこだわり、開業準備の模様を少しずつ発信し、関心を持ってもらうきっかけをつくっておきましょう。販売開始後の集客の工夫については、記事の後半であらためて解説します。

干し芋のネットショップで売りやすい商品の作り方


干し芋を扱うショップは多く、定番の商品をただ並べるだけでは埋もれてしまいがちです。後発でもお客さまから選んでもらうために、商品の見せ方や品ぞろえに工夫を加えていきましょう。

平干し・丸干し・切り落としなど形状で選びやすくする

干し芋には、薄く平らに仕上げる平干し、まるごと乾燥させる丸干し、形が不揃いな部分を集めた切り落としなど、いくつかの形状があります。それぞれ食感や食べ方、適した価格帯が異なります。

これらを選択肢として示すと、お客さまが好みや予算に合わせて選びやすくなります。
たとえば、食べごたえのある丸干しや、手に取りやすい価格の切り落としなど、タイプごとの魅力を添えて紹介するとよいでしょう。

品種・産地・熟成方法・食感をわかりやすく伝える

使っている品種や産地は、商品ページで具体的に示しましょう。
品種によって甘さや食感の傾向が異なるため、どの品種を使っているのかが分かると、お客さまが好みに合わせて選びやすくなります。

産地や、低温でじっくり熟成させるといった製法のこだわりも、商品の個性として伝わります。
甘さや食感を言葉で説明するだけでなく、目安となる指標やおすすめの食べ方を添えると、はじめての方にも違いが伝わりやすくなるでしょう。

食べ比べセット・ギフト箱・訳あり品を用意する

単品の販売だけでなく、品ぞろえに幅を持たせると、さまざまな目的のお客さまに対応しやすくなります。次のような商品構成が考えられます。

  • ●複数の品種・形状を少量ずつ詰めた食べ比べセット
  • ●化粧箱に入れた贈答用のギフト商品
  • ●形が不揃いな部分を集めた、手頃な価格の訳あり品

食べ比べセットやギフトは客単価を高めやすく、訳あり品は新しいお客さまがご自宅で試すきっかけになります。このように、用途や価格帯の異なる商品を用意することで、購入の入り口を広げられます。

旬の時期に合わせて予約販売・数量限定販売を活用する

干し芋には原料の収穫期があり、新物が出回る時期には季節感が生まれます。この時期に合わせた予約販売や数量限定の販売は、購入のきっかけや特別感につながりやすい売り方です。

ただし、無理に数量を約束すると、製造や在庫が追いつかなくなることもあります。自分の製造量や仕入れの状況に合わせて、対応できる範囲で取り入れていきましょう。

干し芋のネットショップで配送・保存方法を決めるときの注意点


干し芋は保存状態によって品質が大きく変わりやすい食品です。
ネットショップでは発送からお客さまの手元に届くまでに日数がかかるため、配送方法と保存方法をセットで考えておく必要があります。

常温・冷蔵・冷凍は商品の保存方法に合わせて決める

配送方法を決めるときに最初に確認したいのが、販売する干し芋の保存方法です。
商品パッケージに「常温保存」「要冷蔵」「要冷凍」のいずれを表示するかによって、配送手段が変わります。

干し芋は水分を含んでおり、保存料を使わずに仕上げることが多い食品です。
気温が上がる春から秋にかけては特に品質が変化しやすく、冷蔵または冷凍での配送を基本に考えたほうが安心でしょう。冬場であっても長距離輸送の場合は、到着までの温度変化を見越してクール便を選ぶ事業者も少なくありません。

カビや品質劣化を防ぐため保存方法を明記する

干し芋でもっとも多いトラブルのひとつがカビの発生です。
保存料を使わずに製造されることが多い干し芋は、温度や湿度の管理が行き届かないと短期間でカビが生えてしまうことがあります。

こうしたトラブルを減らすには、商品ページと同梱物の両方で保存方法をはっきり伝えることが大切です。
「届いたらすぐ冷凍庫へ」「開封後は冷蔵保存で〇日以内にお召し上がりください」のように、お客さまの行動レベルで案内しておくと、問い合わせやクレームの予防にもつながりやすくなります。

クール便を使う場合はサイズ・重量・送料に注意する

冷蔵・冷凍で発送する場合は、クール便(冷蔵・冷凍タイプ)を利用するのが基本です。ただし、クール便には通常の宅配便とは異なるサイズや重量の制限があります。

たとえばヤマト運輸のクール宅急便では、1個口あたり120サイズ・15kgが上限とされています。通常の宅急便(200サイズ・30kg)に比べると制限が厳しいため、大量注文やギフトセットでサイズを超える場合は2個口に分ける必要が出てきます。
個口数が増えれば送料もそのぶん加算されるため、商品設計や送料の案内にあらかじめ反映しておきましょう。

複数個購入・ギフト配送・日時指定への対応を決める

干し芋は贈答品としての需要も見込める商品です。ネットショップを開設する前に、次のような配送パターンへの対応方針を決めておくとスムーズでしょう。

  • ●まとめ買い: 1回の注文で複数個を購入した場合の梱包ルール(同梱か個別発送か)
  • ●ギフト配送: 注文者とは別の届け先への発送、のし・メッセージカードの対応可否
  • ●日時指定: お届け日・時間帯の指定を受け付けるかどうか

最初からすべてに対応する必要はありません。
まずは通常配送を整え、注文状況やお客さまの声を見ながら対応範囲を広げていく進め方もあります。

干し芋農家がネットショップで集客・リピート購入を増やすコツ


ネットショップは開設しただけではお客さまに見つけてもらいにくく、集客の工夫が欠かせません。
干し芋のように「生産者の顔」が見えやすい商品は、栽培や製造の過程そのものが発信のネタになります。

ここでは、はじめての方でも取り組みやすい集客とリピート施策を紹介します。

SNSで栽培・製造・発送の様子を発信する

干し芋づくりの工程には、さつまいもの収穫、蒸し上がりの様子、天日干しの風景など、写真や動画で伝えやすい場面が多くあります。
InstagramやX(旧Twitter)でこうした日常を発信すると、商品の背景を知ったうえで購入を検討してもらえるきっかけになりやすいでしょう。

投稿ごとにネットショップのURLを添えておくと、興味を持った方がそのまま商品ページへ訪れる流れをつくれます。発信の頻度は週に1〜2回など、無理のないペースから始めるのがおすすめです。

直売所やイベントでネットショップを案内する

すでに直売所や道の駅、マルシェなどで対面販売をしている場合は、その場でネットショップの存在を伝えることも意識してみましょう。
名刺やショップカードにURLやQRコードを載せておけば、「遠方の知人にも贈りたい」「次はネットで注文したい」というお客さまの受け皿になります。

対面で商品の味を知ってもらえれば、次はネットで注文してもらえる可能性も広がります。
オフラインとオンラインの販路をつなげる意識を持つことが、リピーターづくりの第一歩になるのではないでしょうか。

購入者向けに食べ方・保存方法・再購入導線を用意する

はじめて干し芋を購入した方の中には、おすすめの食べ方や保存のコツを知りたい方もいます。
商品に同梱するリーフレットやメールで、食べ方のアレンジ(トースターで軽くあぶる、バターで炒める、アイスに添える など)や保存方法を案内すると、商品への満足度を高めやすくなります。

あわせて、同梱物やサンクスメールの中に次回購入に使えるクーポンやショップページへの導線を用意しておくと、リピート購入のきっかけにもなるでしょう。

メルマガやLINEで販売開始・再入荷を知らせる

干し芋は旬の時期に生産量が集中しやすく、シーズンを逃すと購入できないこともあります。
メールマガジンやLINE公式アカウントで新物の販売開始や人気商品の再入荷を知らせると、待っていたお客さまにタイミングよく届けられます。

登録を促すタイミングとしては、購入完了ページやサンクスメールに案内を添えるのが自然です。配信の頻度は月に1〜2回程度にとどめ、お客さまの負担にならないよう配慮しましょう。

よくある質問


干し芋のネットショップ開業にあたって、よく寄せられる疑問をまとめました。

Q1:自家栽培のさつまいもで作った干し芋をネット販売するのに届出は必要?

農家が自分で栽培したさつまいもを使って干し芋を製造する場合は、厚生労働省の通知で採取業として扱われており、営業届出は原則として不要です。一方、仕入れたさつまいもを使って製造する場合は営業届出が必要になります。
ただし、届出の要否にかかわらず食品表示義務は別途かかるため、管轄の保健所に事前に相談しておくと安心です。

詳しくは本記事の「許可・届出」に関する記述をご確認ください。

Q2:自宅の台所で作った干し芋を販売してもいい?

自宅の台所をそのまま製造場所として使えるかどうかは、管轄の保健所の判断によります。衛生管理の基準を満たしているかが確認されるため、まずは事前に保健所へ相談してみてください。

自治体によっては、住居とは別の専用の加工スペースを求められることもあります。設備の改修が必要になる場合は、その分の費用も想定しておくとよいでしょう。

Q3:干し芋は常温で発送してもいい?

商品の保存方法が常温保存と表示できる設計であれば、常温発送も選択肢になります。
ただし、干し芋は保存料を使わずに製造されることが多く、気温が高い時期にはカビや品質劣化のリスクが高まります。お客さまの手元に届くまでの品質を保つためにも、冷蔵や冷凍での配送を基本に考えておくと安心です。

Q4:干し芋のネットショップは個人でも開業できる?

個人でも開業できます。法人でなくても、営業届出や食品衛生責任者の取得、食品表示ラベルの準備といった手続きを済ませれば、ネットショップでの販売を始められます。
主要なネットショップ作成サービスは個人事業主にも対応しているため、まずは開業届の提出と、この記事で紹介した届出・表示の準備から進めてみてください。

まとめ

干し芋のネットショップ開業は、許可・届出の確認から食品表示ラベルの作成、プラットフォーム選び、配送方法の整備まで、準備すべきことが多岐にわたります。
とくに、自家栽培か仕入れかで営業届出の要否が変わる点や、届出の有無にかかわらず加工食品としての食品表示が求められる点は、見落としやすいポイントです。

一方で、干し芋は贈答需要や季節性を生かした販売がしやすく、ネットショップとの相性がよい商品でもあります。最初から完璧な体制を整える必要はありません。
まずは保健所への届出と食品表示の準備を済ませ、小さく販売を始めてみるところからスタートしてみてはいかがでしょうか。

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