ECサイトのカスタマージャーニーとは?構築のメリットや作り方・注意点も紹介!
カスタマージャーニーとは、顧客が商品を知ってから購入するまでの道のりを可視化する手法です。
ECサイトでもカスタマージャーニーを構築することで、顧客目線での課題が明確になり、売上アップにつながる改善策が見つかるでしょう。
この記事では、ECサイトのカスタマージャーニーの基本から構築のメリット、初心者でもできる作り方までわかりやすく解説します。
カスタマージャーニーって言葉は聞いたことあるけど、正直よくわからないんだよね。難しそうだし…。
大丈夫です!カスタマージャーニーは、お客さまの行動を順番に整理するだけのシンプルな考え方なんです。これから、わかりやすく解説していきますね。
目次
カスタマージャーニーとは?

カスタマージャーニーとは、ユーザーが商品を知ってから購入(もしくはリピート)するまでの一連の行動を時系列で整理し、可視化したものです。
具体的には、「どこで商品を知ったのか」「どんな情報を調べたのか」「なぜ購入を決めたのか」といった顧客の行動と心理を段階ごとにまとめていきます。
ECサイトでは、顧客と直接顔を合わせることがないため、どの段階で離脱しているのか、なぜ購入に至らなかったのかが見えにくいものです。
そのためカスタマージャーニーを構築することで、顧客目線でのECサイトの課題が明確になり、どこに改善の手を入れるべきかがわかるようになるでしょう。
ECサイトのカスタマージャーニーを活用するメリット
カスタマージャーニーを構築することは、ECサイトの運営にさまざまなメリットがあります。
ここでは、代表的な3つのメリットを紹介します。
改善すべき課題がわかる
カスタマージャーニーでは、顧客の行動を段階ごとに分解して可視化するため、購入時につまずいてしまうポイントが一目でわかります。
例えば、商品ページへのアクセスは多いのに購入されない場合、「商品情報が少ない」「他のユーザーのレビューがない」など購入前の不安が原因として考えられます。
顧客がつまずく理由を整理することで、「売上が伸びない理由がわからない」といった漠然とした悩みを具体的な課題に変えられるでしょう。
マーケティングのコスト削減につながる
カスタマージャーニーを作成し顧客理解が深まると、効果の低いマーケティング施策に予算を使うことが無くなります。
顧客がどの段階で何を求めているかがわかるため、的外れな広告やキャンペーンを避けられるのです。
顧客について学ぶことでマーケティングの精度が上がり、限られた予算で最大の成果を出せるようになるでしょう。
顧客満足度やCVRの向上が期待できる
カスタマージャーニーで顧客の行動や心理を理解できると、各段階に合った施策を打てるようになります。
比較検討中の顧客には詳しい商品情報を、購入直前の顧客には送料無料キャンペーンを提示するなど、顧客一人ひとりに適したアプローチができるのです。
適切なタイミングで最適なサポートができるため、顧客満足度やECサイトのCVR(購入率)の向上も期待できるでしょう。
一般的なECのカスタマージャーニー(購入までの道のり)は5ステップ

ECサイトのカスタマージャーニーは、一般的に以下の5つのステップに分けられます。

通常、顧客は上記の流れで商品を購入しています。
各ステップの特徴とその時の顧客心理とは?
ここからは、5つのステップの特徴や顧客がどんな心理状態にあるのかなどを詳しくご紹介します。
各段階の特徴を理解することで、自社のECサイトでどんな施策が必要か見えてくるでしょう
ステップ①:認知・興味
最初のステップは、顧客が商品やブランドを知り、関心を持つ段階です。
顧客はSNSの投稿、Web広告、検索結果などを通じて初めて自社の商品やショップに接触します。
この段階の顧客は「こんな商品があるんだ」「面白そう」といった軽い興味を持つ程度で、まだ購入を具体的に考えていません。
そのため、商品の魅力を端的に伝え、興味を持ってもらうことが重要です。
ステップ②:情報収集・比較
興味を持った顧客は、次に商品の詳細情報を調べ始めます。
商品ページで仕様や価格を確認したり、口コミを読んだり、他社商品と比較するのです。
この段階の顧客は「本当に自分に合っているか」「他にもっと良い商品はないか」と慎重に検討しています。
そこで、比較されることを前提に、自社ECでは詳しい説明や魅力的な商品写真、信頼できるレビューなど、閲覧しているユーザーの購買意欲を刺激し、自社に惹き付けるような工夫が必要でしょう。
ステップ③:決定・購入
比較検討を終えた顧客が、いよいよ購入を決断する段階です。
ユーザーはカートに商品を入れ、決済手続きを進めます。
ですが、この段階でも「本当に買っていいのか」「送料が高くないか」といった不安が残っていると、商品をカゴに入れたまま離脱する「カゴ落ち」となることもあります。
カゴ落ちを防ぐには、スムーズな購入フロー、ECサイトで顧客満足度の決済方法の提供、送料や配送日の明示など、顧客の不安を取り除く工夫が求められます。
ステップ④:利用
購入後、顧客は商品を受け取り、実際に使用します。
この段階が、商品やサービスに満足できるかどうか、次のリピート購入につながるかを左右します。
商品自体の品質はもちろん、梱包の丁寧さ、配送の速さ、メッセージカードの同梱など、細かな部分での配慮・気づかいが顧客満足度をアップさせます。
期待を上回る体験を提供できれば、リピーターになる可能性が高まるでしょう。
ステップ⑤:共有・リピート
商品に満足した顧客は、SNSで感想を投稿したり友人に勧めたりと、自発的に情報を共有します。
こうした口コミ(お客様の声)は広告よりも信頼されやすく、新規顧客の獲得につながります。
また、良い体験をした顧客はリピート購入する可能性が高いです。
ですが、その後のフォローがなければ顧客の記憶から薄れてしまいます。
そのためメルマガやECサイトのクーポンの配信など、継続的なコミュニケーションで関係を保ちましょう。
【初心者でもできる】ECサイトのカスタマージャーニーの作り方・流れ

重要性を理解したところで、ここからは初心者でも取り組める3つのステップで、カスタマージャーニーの実際の作り方を解説します。
専門的な知識がなくても順を追って進めれば、自社のECサイトに合ったカスタマージャーニーを作成できるはずです。
1.ペルソナを考える
カスタマージャーニーを作る最初のステップは、ペルソナの設定です。
ペルソナとは、自社の商品を購入する典型的な顧客像のことを指します。
年齢、性別、職業、年収、家族構成といった基本情報に加え、どんな悩みを抱えているか、何を重視して購入を決めるかなど、できるだけ具体的に設定しましょう。
ここできちんとペルソナ設定を行わないと、その後のカスタマージャーニー全体の方向性がずれてしまいます。
既存顧客のデータやアンケート結果を参考にしながら、時間をかけて丁寧に作り込むことが大切です。
2.ECサイトのカスタマージャーニーマップを作成する
ペルソナが決まったら、カスタマージャーニーマップを作成します。
カスタマージャーニーマップとは、先ほど紹介した5つの購入プロセスを横軸に、各ステップでの「顧客の行動」「心理・感情」「接点(タッチポイント)」「課題」などを縦軸に配置した表です。
以下はカスタマージャーニーマップの例です。

ペルソナが各段階でどう行動し、何を考え、どこで商品と接触するのかなどを書き出していきます。
表の左側の「顧客との接点」「ショップの課題」といった部分はあくまで例ですので、自社に合わせてカスタマイズしても大丈夫です。
「カスタマージャーニーマップ」で検索すると、さまざまなテンプレートが見つかります。
作成する際は最初から完璧を目指さず、まずは思いつくことを埋めていきます。
実際の顧客データやアンケート、レビューなどを参考にすると、より精度の高いマップが作れるでしょう。
3.課題を一つに絞って改善する
カスタマージャーニーマップを作ると、複数の課題が浮かび上がってきます。
ですが、すべてを同時に改善しようとすると、時間も予算も人手も足りず、どれも中途半端になってしまいます。
そのため、まずは影響が大きそうな課題を一つに絞り、集中して取り組むことが重要です。
改善後は効果測定を行い、成果が出たら次の課題に移ります。
このサイクルを繰り返すことで、着実にECサイトを改善していけるでしょう。
ステップごとに紹介!カスタマージャーニー改善のヒント
ステップで具体的にどんな施策が有効なのか、改善のヒントを紹介します。
| ステップ | 目的 | 施策の例 |
|---|---|---|
| ①認知・興味 | 商品やブランドを知ってもらう | ・SNSでの情報発信 ・SEO対策で検索上位を狙う ・Web広告の活用 |
| ②情報収集・比較 | 自社商品を選んでもらう | ・商品説明・写真の充実 ・顧客レビューの掲載 ・価格や配送条件をわかりやすく表示 |
| ③決定・購入 | カゴ落ちを減らす | ・購入手順をシンプルに ・複数の決済方法を用意 ・送料無料キャンペーンの実施 |
| ④利用 | 満足度を高める | ・丁寧な梱包 ・迅速な配送 ・使い方ガイドの同梱 |
| ⑤共有・リピート | リピート購入や共有につなげる | ・メールマガジンでの定期連絡 ・リピーター向けクーポン配信 ・SNSでのコミュニケーション |
自社の課題に合わせて、取り組みやすいものから試してみましょう。
自社はECサイトのカスタマージャーニーを作成すべき?

カスタマージャーニーは有効な手法ですが、すべてのショップが今すぐ作成すべきとは限りません。
以下のチェックリストで、自社は作成すべきかどうかを確認してみましょう。
- □ 売上が伸び悩んでいるが、原因がわからない
- □ 施策を実施しても効果が出ない
- □ チーム内で顧客イメージが共有できていない
- □ どこから改善すればいいか、優先順位がつけられない
- □ 顧客がどの段階で離脱しているのかわからない
- □ 商品は良いのに売れない理由がわからない
複数当てはまる場合は、カスタマージャーニーを作成することでショップの課題が明確になるかもしれません。
特に「売上が伸び悩んでいるが、原因がわからない」というショップは、ペルソナの設定も含めて一度作成することをおすすめします。
ECサイトのカスタマージャーニーを構築する際の注意点

カスタマージャーニーを作成する前に、知っておきたいポイントもあります。
ここでは、カスタマージャーニーを構築する時に気をつけたい注意点を紹介します。
自社の思い込みではなく顧客の声を聞く
カスタマージャーニーを作る際、最も注意することは「自社の思い込みで作らない」ことです。
「顧客はきっとこう思っているだろう」という想像だけで作ると、実際の顧客行動とずれてしまい、本当に必要な改善や施策につながりません。
そのため、何の根拠もなく作り始めるのではなく、顧客アンケートやレビュー、問い合わせ内容、アクセス解析データなど、実際の顧客の声やデータに基づいて作成しましょう。
可能であれば、顧客に直接インタビューするのも効果的です。
改善後は必ず効果測定を行う
カスタマージャーニーで見つけた課題に対して施策を実施したら、必ず効果測定を行いましょう。
例えば「商品がわかりにくい」という課題に対して商品ページを充実させたら、直帰率が下がったかどうかを確認する必要があります。
効果測定をしなければその施策が効いたのか、離脱されてしまう別の要因がまだあるのか、わかりません。
改善したいポイントに対応する指標を明確にし、施策の前後で数値を比較することが大切です。
効果が出ていれば次の課題に進み、効果が出ていなければ別の施策を試します。
このPDCAサイクルを回すことで、カスタマージャーニーの精度も高まり、ECサイト全体の改善につながります。
まとめ
カスタマージャーニーは、顧客の行動と心理を段階ごとに整理し、ECサイトの課題を明確にする有効な手法です。
ペルソナを設定しカスタマージャーニーマップを作成することで、どこを改善しなければならないのかが見えてきます。
なお、カスタマージャーニーを作成する際は自社の思い込みで進めるのではなく、顧客の声に基づいて作成し、施策後は必ず効果測定を行うことが重要です。
まずは小さく始めて、少しずつ改善のサイクルを回していくことが成功への近道です。
▼こちらの記事も読まれています▼
よくある質問
顧客の気持ちや行動を理解することで、ECサイトの改善すべき点がわかったり、効率的にマーケティング施策を打てるようになったりします。詳しくはこちらの章をご覧ください。



