
【事例付き】米のネット販売に許可は必要?販売方法やポイントと注意点も紹介
お米のネット販売を始めたいけれど、どんな許可が必要なのか、分からない方も多いのではないでしょうか。
実は、年間販売量や販売形態などによって必要な届出や手続きが異なります。
そこでこの記事では、米のネット販売に必要な法的手続きから、成功するための販売方法やポイントまで、事例を交えて詳しく解説します。

お米のネットショップって改めて今、注目されているよね。

もしかしたら今が、お米のネット販売を始めるチャンスかもしれません。詳しく紹介しますね。
目次
ネットで米は自由に販売できる?必要な許可・資格・届出・手続き

お米を”オンラインで販売する”こと自体に特別な許可や申請は不要です。
ですが、お米の販売には許可や申請が必要とされていますので、これから詳しく解説します。
年間で20トン以上の販売は許可が必要
お米の安定的な供給と価格のための法律「主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律(食糧法)」において、年間で20精米トン以上の米を販売する事業者は、届出の提出が義務付けられています。
そのため、20精米トン以上の事業者は、自社の事業所の管轄の地方農政局等へ届出を行いましょう。
もし、お米の販売量が年間で20精米トン未満の場合は、地方農政局への届出は不要です。
ですが、次の項でご紹介しますが、販売量にかかわらず保健所への届出は必ず行わなければなりません。
量によらず販売するには営業届出が必須
お米やそのほかの食品全体に関わる食品衛生法という法律があります。
そして食品衛生法では、お米の販売に関して営業届出の提出を定めています。
先ほどの食糧法とはまた別の法律であるため、販売量に関わらず、お米を販売する際は管轄の保健所もしくはオンラインで営業届出を行いましょう。
なお、営業届出を提出するには、食品衛生責任者の記載が必須です。
そのため、もし食品衛生責任者の資格がなければ、営業届出の前に講習などを受けて資格を取得しましょう。
また、営業届出を行った後も、国際的に取り入れられている衛生管理の方法である「HACCP」に基づいて営業を行うことが義務付けられています。
詳しくは厚生労働省が公表している「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理のための手引書 (小規模なとう精を行う事業者及び米穀を販売する事業者向け)」をご覧ください。
また、HACCPについては「HACCPとは?」の記事で詳しく紹介していますので、合わせてご覧ください。
その他の米のネット販売に関する法律

その他に、お米を販売する上で、把握しておかなければならない法律をご紹介します。
米トレーサビリティ法
米トレーサビリティ法とは、米や米加工品の流通過程を記録・保存し、問題が発生した際に流通ルートを迅速に特定するための法律です。
食品安全を確保し、不適切な商品を市場から取り除くことを目的にしています。
そのため米を販売する事業者は、お米に関して品名、産地、数量といった取引の記録を作成し、保存しなければなりません。
また、取引先の事業者や一般消費者に対して、米やその加工品の産地情報を伝える必要があります。
例えば商品のパッケージなどに「国産」「○○県産」と明記して、情報を伝えます。
食品表示法
食品表示法は、消費者が安全で適正な商品を選べるように、食品に関する情報を正確に表示することを義務付けている法律です。
具体的には、販売する米の袋にラベルを貼るなどして、名称(「玄米」「もち精米」など)、内容量、精米時期などを表示しなければなりません。
ブレンド米の場合は、その旨も表示します。
品質の表示は、先ほどの米トレーサビリティ法もかかわってくるため、必須事項を漏れなく確認して表示するようにしましょう。
食品表示については「早わかり食品表示ガイド」で詳しい具体例が説明されています。
ネットで米を販売するメリット

お米を実店舗ではなく、ネットで販売するとどのようなメリットがあるのか確認していきましょう。
規格外のお米も販売できる
一般的に、お米は生産された後、農協や卸売業者などを通してスーパーといった店舗に届けられます。
そのため、基本的に規格外のお米は出荷されず、市場には出回りません。
ですが、ネット販売の場合は直接消費者に届けられるので、規格外のお米を販売することができます。
規格外品でも味や品質には問題がない場合が多いため、価格を抑えて販売すれば、購入したいと思う消費者も一定数いるでしょう。
生産者は本来廃棄される可能性があるお米を有効活用でき、消費者もお得にお米を購入できるため両者にとってメリットがあるといえます。
自社ブランドを伝えられる
ネット販売では、米の特徴やこだわりを消費者に直接伝えて自社ブランドを確立しやすい点が魅力です。
実店舗では多くの商品が一緒に陳列されるため、差別化が難しく、自社ブランドが認知されにくいといえます。
ですがオンラインでは商品ページを通じて、独自のブランドストーリーや品質へのこだわりを詳しく発信できます。
例えば、生産地の特性や栽培方法、地元ならではの伝統などを強調することで、他の商品との差別化が可能です。
また、パッケージデザインを工夫することで、ブランドイメージをさらに強化できるでしょう。
自由に価格設定できる
お米のネット販売では、価格を自由に決められるのも大きなメリットです。
生産したお米がスーパーなどの実店舗で販売される場合、農協や卸売業者といった流通経路を経るため、生産側が希望する価格で買い取ってもらえないこともあります。
ですが、ネット販売なら直接消費者に販売するため、自由に価格を設定できます。
例えば、無農薬米や地域限定米のような高品質な商品はプレミアム価格を付けて販売しても、納得感をもって消費者に購入してもらえるでしょう。
価格を自分で設定することで利益率もコントロールしやすくなるため、ネット販売は販売者にとって大きなメリットになります。
米のネット販売の方法は3つ

では、ネットでお米を販売するには実際にどのような方法があるのでしょうか。
主な3つの方法をご紹介します。
自社EC
1つ目は、オリジナルの自社ECを立ち上げて販売する方法です。
自社ECサイトの最大の強みは、ショップデザインや機能を思い通りに設計できる点にあります。
ECモールの場合、既定テンプレートを使用しなければならないので、他ショップと似たり寄ったりのデザインになりがちです。
ですが、自社ECサイトならページのTOPに動画を設置するなど、世界観を反映した自社らしいサイトを作成することができます。
自社ECを立ち上げるとなると、費用が高く難しく感じるかもしれませんが、カラーミーショップなどのECサイト構築サービスを利用すれば、初めての方でも手軽に自社ECを作れるでしょう。
カラーミーショップは月額5千円程度から利用でき、デザインテンプレートも豊富です。
また、食品ECに必要な機能を搭載した食品事業者向けプランを提供しているので、EC運営が初心者の方でも、安心して本格的な食品販売事業に取り組むことができる環境が整っています。
気になる方はぜひ、カラーミーショップをチェックしてみてください。
ECモール
ECモールとは、多くのショップが集まったショッピングサイトのことで、日本ではAmazonや楽天市場が有名です。
ECモールは集客力が高く多くの顧客が集まるため、自分で広告を出さなくても一定数の訪問者が期待できるのがメリットです。
また、ECサイトの始め方がマニュアル化されているので、手軽に販売を始めることが可能です。
一方で、出店料やシステム利用料などさまざまな手数料がかかります。
さらに競合店も多いため差別化が必要ですが、デザインの自由度がほとんどないため、価格面での勝負になりやすい点も注意が必要でしょう。
産直販売のプラットフォーム
産直販売のプラットフォームは、消費者と生産者が直接つながる場を提供する場として人気です。
この方法でお米を販売する場合、食品に関心の高い消費者にアプローチできるため、魅力を感じてもらえれば購入につながりやすいといえます。
ですがECモールと同様、同業者が多く集まり競争が激しいため、自社の商品の特徴やストーリーをしっかりアピールする必要があります。
また、手数料が売上の20%ほどと、高めに設定されていることもあるため、事前の確認が大切です。
ネットでの米販売のポイント・コツ

お米をネットで販売する際、どのような点に気を付ければよいのでしょうか。
ポイントやコツをご紹介します。
商品理解が深まる情報を充実させる
ネットでの米販売では、実店舗では伝えきれない詳しい商品情報を提供することが大切です。
例えば産地や品種の特徴、栽培方法、精米時期といった基本情報に加えて、生産者の想いや田んぼの風景写真、甘みや粘りを分かりやすく示した食味チャート、相性のよいおかずレシピ、保存のコツなど、店頭では難しい豊富な情報を掲載するのがおすすめです。
商品に関する理解が深まることで、消費者の購入意欲を刺激できるはずです。
実際に購入された方のレビューと合わせて、実店舗を上回る情報量で商品の魅力をしっかりと伝え、スーパーなどで手軽に買えるお米との差別化を図りましょう。
定期販売を促して売上を安定させる
お米は毎日の食卓に欠かせない商品だからこそ、定期販売の仕組みと相性が良いです。
お米の定期販売をすることで、販売側は「販売計画が立てやすく、安定した収入が得られる」、消費者側は「買い忘れが無くなり、常に新鮮なお米が届く」というメリットが得られます。
ただし、定期購入の申し込みはハードルが高いと感じる消費者が多いため、下記のような工夫をするのがポイントです。
- ・初回割引や送料無料などの特典を用意する
- ・2回目以降も通常購入価格より定期購入価格をお得に設定する
- ・お届け日の変更や一時休止ができる柔軟性を持たせる
- ・いつでも解約できる旨を伝えて、申込のハードルを下げる
さらに、定期購入者限定の特典として季節の野菜やレシピカードを同梱するなど、付加価値を提供することで継続率を高められるでしょう。
顧客データを活用し、購入傾向に合わせパーソナライズされたサービスを展開することも、長期的な顧客関係構築に役立ちます。
ネットショップで米を販売する際の注意点

ネットショップで米を販売する際の注意点として、上記でお伝えした国の法律に加えて、各地方自治体が独自に米の販売に関する条例や指導を定めている場合があることです。
例えば、特定の地域内での販売に限定したルールや、衛生管理に関する追加的な指導などが行われている地域もあるかもしれません。
そのため、事業を開始する地域の自治体のWebサイトを確認したり、管轄の保健所に直接問い合わせたりして、該当する規制がないかを確認することが重要です。
また、個人事業主や法人として米販売の事業を行う場合、税務署への開業届の提出が義務付けられています。
これは米の販売に限らず、事業を開始するすべての人に必要な手続きなので、事業を始めたら1ヵ月以内に開業届を提出しましょう。
ネットショップの開業届については「ネットショップに開業届は必須?」の記事で詳しく解説しています。
【事例】米のネット販売に成功したショップ
石川商店は千葉県君津市で50年以上続く米屋のネットショップです。
訪問者が安心して購入できるよう、サイトには自社の紹介やこだわりを載せ、どのようなショップなのか、分かるようになっています。
また、商品ページは、お米の味わいや特徴、生産者の顔やこだわり、生産過程の写真を載せるだけでなく、おいしいお米の炊き方をテキストや動画で紹介するなど、ネットでも買いやすいよう情報が充実しています。
地域に根付いたお米店としての経験や知識をネットショップに余すとこなく表現した、お米のネット販売の成功事例です。

まとめ
米のネット販売には年間20トン以上なら農政局への届出が必要で、加えて販売量に関わらず保健所への営業届出が必要です。
また、米トレーサビリティ法や食品表示法の遵守も義務付けられていますので、ネット販売を始める前に各法律を把握しておきましょう。
ネットで販売する際は、自社EC、ECモール、産直プラットフォームの3つの販売方法があり、自社らしいサイトを作成したいなら自社ECがおすすめです。
自社ECサイトが構築できるカラーミーショップでは、食品ECに必要な機能がそろった食品事業者専用のECサイト構築プランを提供しています。
初めてECサイトに挑戦する食品事業者の方はぜひ、チェックしてみてください。
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よくある質問
米の販売量によっては農政局への届出が必要で、販売量に関わらず保健所への営業届出が必須です。詳しくはこちらの章をご覧ください。