
ECサイトにブランディングは必要?成果につながる考え方と成功事例・実践5ステップ
ECサイトの運営が軌道に乗るかどうか。そのカギを握っている要素の一つが「ブランディング」です。
とはいえ、「ブランドをつくるなんて大企業の話では?」と思っていた方もいるかもしれません。
実は、予算や規模に関係なく、どんなECサイトでも“自分たちらしさ”を伝える工夫はできます。
それをうまく形にできれば、ファンは自然と増え、価格に頼らず売上をつくることも可能です。
この記事では、ブランディングの基本から、低コストで始められる具体策、さらには失敗しやすいポイントまでを丁寧にご紹介していきます。

ECにブランディングってそもそも必要なの?売上につながるのか。

ECサイトの売り上げをあげるためにはブランディングは重要ですよ!
目次
ECサイトにブランディングは必要?重要な理由も解説

ECサイトにブランディングはなぜ重要なのでしょうか?まず基本的なお話とその理由を解説していきます。
ブランディングとマーケティングの違い
「ブランディング」と「マーケティング」。言葉としてはよく聞くものの、実際のところ何がどう違うのか、はっきり答えられる人は少ないかもしれません。
ざっくり言えば、マーケティングは“どう売るか”を考える活動。キャンペーン設計や広告運用、SEO対策など、購入までの導線を整える手段です。
一方で、ブランディングは“なぜ選ばれるか”を育てる活動。商品そのものだけでなく、ストーリーや世界観、接客の姿勢まで含めて、顧客の記憶に残る印象をつくっていきます。
「なんとなく好き」「ここで買うと安心できる」と感じてもらえるブランドには、たいていブランディングがしっかり根付いています。
目の前の売上をつくるのがマーケティングだとしたら、長く選ばれ続けるための土台を整えるのがブランディング。どちらも欠かせない要素で、うまく組み合わせることが成長には必要です。
なぜ今、ECサイトでもブランディングが重要なのか
少し前なら、広告を出せばある程度は売れました。SEOを強化すればアクセスが増え、コンバージョンにつながることも多かったはずです。
しかし、現在はそう簡単にいきません。どの市場も競合が多く、似たような商品や価格帯が並ぶ中で、ただ機能やスペックを並べるだけでは差がつきにくくなっています。
そこで力を発揮するのがブランディングです。
たとえば、同じシャツでも、誰がどんな思いで作ったのか、どう着れば自分らしく見えるのか、そんな“背景”があるだけで、商品に温度が生まれます。
その温度が伝わったとき、顧客は価格ではなく「人」や「想い」で選ぶようになります。しかも、一度好意を持ってくれた人は、また戻ってきてくれます。自分の好きなブランドとして応援してくれるようになるのです。
売る仕組みを整えるのと同じくらい、選ばれる理由を育てること。その重要性が、今のEC運営ではますます高まってきています。
ブランディングがECサイトにもたらす3つのメリット

ブランディングを実践することによって、ECサイトにはどのような具体的なメリットがあるのでしょうか?3つのメリットを解説していきます。
価格競争から脱却し、利益率を守れる
ECサイトを運営していると、どうしても価格競争に巻き込まれがちです。
競合が値下げをすれば、こちらも追随しないと売れなくなる。結果的に、利益率はどんどん下がっていきます。
しかし、ブランディングがしっかりしていると話は変わってきます。
たとえば、同じ価格帯の商品が並んでいても、「このブランドの商品なら安心して買える」と思ってもらえれば、多少価格が高くても選ばれるケースは少なくありません。
ブランドに対する信頼や共感があれば、「安いから」ではなく「ここで買いたいから」という気持ちが働きます。
そこに価値が生まれることで、無理に価格を下げなくても売上を確保できるようになっていくのです。
つまり、ブランディングは価格競争を避け、利益を守るための大事な土台でもあります。
指名買いを生むことで売上が安定する
「このブランドの、あのアイテムが欲しい」
そう言ってもらえるようになると、売上は格段に安定してきます。
商品を探す際、顧客がまずブランド名を検索してくれるようになると、競合との比較が起きにくくなります。
指名検索が増えれば広告費やSEO施策への依存度も下がり、販促コストの削減にもつながっていきます。
また、指名買いされるブランドは、顧客の中に“イメージ”がしっかり根付いていることが多いです。
イメージがあるから記憶にも残るし、再訪してもらえる確率も高くなります。
新規の顧客だけでなく、既存のファンに何度も選んでもらえる。そんな循環が生まれるのも、ブランドが育っているECサイトの特徴です。
ファン化・リピート購入によるLTV向上
一度買って終わりではなく、何度も商品を選んでくれる顧客が増えること。
それがLTV(顧客生涯価値)を高め、長期的な売上の安定につながっていきます。
そのためには、単に「いい商品を届ける」だけでは足りません。
ブランドのストーリーや世界観に共感してもらい、「また買いたい」「誰かに紹介したい」と思ってもらえることが大切です。
たとえば、商品のパッケージに温かみのある一言が添えられていたり、ブランドの裏側がSNSで丁寧に発信されていたり。
そんな小さな工夫が、購買後の満足感を生み出し、次の購入へとつながります。
長く応援してくれるファンが増えること。
それは、ブランディングによって得られる最も大きな成果のひとつかもしれません。
ECサイトのブランディングを実践する5ステップ

ブランディングと聞くと、センスや感覚の話だと思われがちです。
でも、実際には“順を追って組み立てていく”もの。やみくもに進めるのではなく、必要な順番を踏んでいけば、方向性は自然と定まってきます。
ここでは、ECサイトのブランディングを実践するうえでの基本ステップを5つに分けてご紹介します。
STEP1:ターゲット設定と市場分析
最初に必要なのは、「誰に、何を届けるのか」を明確にすることです。
ターゲットがぼんやりしていると、発信する内容も商品開発の方向性もぶれてしまいます。
年齢や性別、職業やライフスタイル、どんな価値観をもっているのか。できれば“顔が思い浮かぶくらい”具体的な人物像に落とし込んでみてください。
同時に、市場全体や競合の分析も大切です。
同じジャンルにどんなブランドがあり、どんな強み・弱みを持っているのか。自社の商品がどんな立ち位置にあるのかを整理することで、「勝てる場所」が見えてきます。
ここでの目的は、「うちのブランドが、どう見られたいのか」を外からの視点で捉えること。その軸ができれば、施策もぶれにくくなります。
STEP2:ブランドアイデンティティを定める
次に、「ブランドとしてどんな価値を届けるか」を言語化していきます。
たとえば、「素材にこだわった長く着られる服を届けたい」とか、「毎日がちょっと楽しくなる雑貨を提案したい」といったように、ブランドの存在意義をひと言で語れるようにしてみましょう。
言葉にすることで、チーム全体の認識も揃いやすくなります。
この段階では、ブランド名やロゴ、カラー、世界観なども少しずつ具体化していくと良い流れになります。
ロゴに関しては「ネットショップのロゴの作り方」の記事をぜひ参考にしてください。
まだ完全に固めなくてもかまいませんが、伝えたい印象や価値観はここでしっかり土台をつくっておきましょう。
STEP3:ビジュアルとトーンを統一する
ブランドの印象は、見た目の一貫性から伝わるものも大きいです。
ECサイトのデザイン、商品画像のトーン、SNSでの言葉遣い、メールの文章……
これらに統一感があると、ブランドの世界観はぐっと強まります。
たとえば、シンプルで洗練された雰囲気を大切にしたいなら、撮影の構図や余白、使うフォントまで意識して調整してみてください。
また、運用をチームで行っている場合は、ブランドの言葉づかいやビジュアルルールを簡単にまとめたガイドラインをつくっておくのもおすすめです。
細かな積み重ねが、信頼感のあるブランドづくりにつながっていきます。
STEP4:世界観をECサイトとSNSに反映する
ブランドの設計ができたら、いよいよそれを発信に落とし込んでいきます。
まずはECサイト。トップページや商品ページ、ブランド紹介ページなどに、ブランドのストーリーやこだわりを反映させましょう。
写真やコピーのトーンが一致しているだけでも、伝わる印象は変わってきます。
そしてSNS。こちらはより日常的にブランドの空気感を伝える場になります。
制作の裏側やスタッフの声、日々のちょっとした気づきなどを発信することで、ブランドを“人”として感じてもらえるようになります。
サイトとSNS。発信の軸は同じにしながら、それぞれの特性に合わせて見せ方を工夫していくことがポイントです。
STEP5:社内・外部と連携しながら改善する
ブランディングは、一度作って終わりではありません。
運用を続ける中で、ユーザーの反応や市場の変化を見ながら調整していくことが必要です。
むしろ、そこからが本番といえるかもしれません。
また、ブランドの一貫性を保つためには、社内での認識の共有が欠かせません。
デザイナーやカスタマーサポート、物流など、ブランドに関わるあらゆる人と方向性を揃えておくと、細部の体験まで“らしさ”が行き届きます。
場合によっては、外部のカメラマンやライターなどパートナーとの連携も必要になってくるはずです。
その際にも、最初に決めたブランドの軸があれば、ブレずに伝えていくことができます。
ブランディングに失敗しないための注意点とポイント

ブランディングに取り組むとき、やるべきことに目が向きがちですが、実は“やらないほうがいいこと”を知っておくのも同じくらい重要です。
ここでは、ECサイトのブランディングでよくあるつまずきやすいポイントを紹介します。
事前に知っておくだけでも、失敗のリスクをぐっと下げられます。
短期的な成果を求めすぎるとブランドが崩れる
SNSでバズる施策や、一時的な大幅値引きキャンペーンは、確かに即効性があります。
ただし、それがブランドの価値観と合っていない場合、一時的な売上は作れても信頼を損ねることにもつながります。
たとえば、高品質を軸にしているブランドが頻繁にセールを打てば、「実はそんなに価値がないのでは」と受け取られてしまうことも。
ブランドの方向性に沿ったかたちで認知を広げること。焦らず、積み重ねていく姿勢が結果として大きな信頼につながります。
SNS・サイト・店舗で伝える内容がズレていないか確認を
オンラインとオフライン、複数のチャネルで展開している場合、よく起きるのが「言っていることがチャネルごとにバラバラ」という問題です。
SNSではトレンドに乗った投稿をしているのに、ECサイトにはその空気感が反映されていない。あるいは、実店舗での接客とEC上の表現にギャップがある。こうしたズレは、ユーザー体験に違和感を与えてしまいます。
すべてを完璧にそろえる必要はありませんが、「ブランドとして一貫した印象になっているか?」を定期的に見直す習慣は持っておきたいところです。
“見た目だけ”のブランディングで終わらせない
ビジュアルを整えるだけでは、ブランディングとは言えません。
ロゴやデザインにこだわるのも大切ですが、本質は“体験そのもの”にあります。
商品そのものの品質、購入時のわかりやすさ、発送時の丁寧さ、アフターフォローの気配り。
そのすべてが積み重なって、「またここで買いたい」という気持ちにつながります。
見た目だけでなく、体験の中身を整えること。顧客にとって「気持ちのいい買い物だった」と思ってもらえるように、目に見えない部分にも意識を向けていきましょう。
ブランディングとSNS・SEOはどう連携させる?

SNSやSEO、すでに運用しているものの「これって本当にブランディングになってるのかな?」と不安になることもあるかもしれません。
実は、SNSやSEOもブランディングの“表現手段のひとつ”。発信する内容やトーンがブランドの軸と揃っていれば、そのままブランディングにつながっていきます。
ここでは、ブランド視点でSNSとSEOを活用するポイントを整理してみましょう。
SNSで世界観を伝えるための投稿設計
SNSは、顧客ともっとも近い距離で接するチャネルのひとつです。
だからこそ、単なる商品紹介で終わらせるのはもったいないところ。
ブランドとしての価値観や“人”の温度感を伝えることができれば、共感や信頼にもつながります。
たとえば、商品の裏側や制作風景、スタッフのコーディネート紹介などを定期的に投稿していくと、ブランドの考え方や空気感が少しずつ伝わっていきます。
ポイントは、「発信の目的が一貫しているか」。
売上のためだけでなく、「このブランドが何を大切にしているのか」が伝わる投稿を意識することで、フォロワーとの関係も深まっていきます。
SEOに効くブランド視点のコンテンツ例
SEOとブランディング、実は相性がいい組み合わせです。
検索で訪れたユーザーにとって、「役立つ情報を届けてくれるサイト」だと感じてもらえれば、そのままブランドの信頼にもつながります。
たとえば、「ビジネスカジュアルの選び方」「洗濯してもへたらない素材とは」といったお悩み解決型の記事は、検索ニーズを満たしつつ、自社のこだわりや専門性を伝える良い機会になります。
また、ブランドストーリーや開発の裏話といった読み物コンテンツも、回遊率や滞在時間を高めるうえで効果的です。
検索結果から流入した読者に「このブランド、なんかいいな」と思ってもらえたら、SEOもブランディングも、どちらの役割も果たせたといえるでしょう。
サイト・SNS間の導線やトーンを統一するには?
意外と見落としがちなのが、チャネルごとの“つながり方”です。
SNSではナチュラルな口調なのに、ECサイトに飛ぶといきなり堅い文体になる。
あるいは、SNSで紹介していた新商品が、サイト内で見つけにくい。こうした細かな違和感は、ユーザー体験にストレスを与えてしまいます。
SNSからサイトに来た人が、そのままスムーズに商品を見つけ、納得して購入できる。
その流れを意識して導線を整えるだけで、ブランド全体の印象はぐっと良くなります。
投稿ごとに「どこにどう飛ばすか」を考えたり、プロフィール欄に最新ページを設定したり。少しの工夫で、サイトとSNSのつながりはより強くなっていきます。
ECサイトのブランディング成功事例5選

ECサイトブランディングの事例として、カラーミーショップ大賞2025で受賞歴のあるショップの中から、特にブランディングに優れた5店舗を厳選してご紹介します。
限られた予算でも、世界観やコンセプトを丁寧に届けることで、顧客との信頼関係を築いている実例ばかりです。
【事例1】KEY MEMORY

神奈川県・鎌倉を拠点に展開するアパレルブランド「KEY MEMORY(キーメモリー)」は、“鎌倉の特別な時間”をコンセプトに、ユニセックスのリラックスウェアを取り扱うネットショップです。
海辺の街の空気感や、何気ない日常のなかにある心地よさを、商品や発信を通じて丁寧に届けています。
商品ページでは、サイズや素材の説明にとどまらず、着用シーンが想像できるショート動画やスタッフのリアルなコメントを掲載。
レビューも豊富で、商品の使い心地だけでなく「暮らしに合う」「贈り物にも喜ばれた」といった体験ベースの感想が多いのも特徴です。
また、Instagramではスタッフ自身が登場し、ライブ配信や日常の投稿を通じてブランドの“中の人”が自然と伝わる構成に。世界観だけでなく、そこに関わる人の温度も合わせて感じられることが、ファンにとっての信頼感につながっています。
丁寧につくられた服と、その背景にあるストーリーを言葉と映像で届ける。感性と機能のバランスを整えながら、ブランド体験そのものを一貫してデザインしている好例といえるでしょう。
インタビュー記事もぜひご覧ください。
【事例2】UZUiRO

愛知県西尾市にアトリエ兼ショップを構える「UZUiRO(ウズイロ)」は、草木染めを始めとした天然素材の洋服を手仕事で仕立てるアパレルブランド。
ナチュラルな風合いと肌ざわりにこだわった商品づくりに加え、ブランドの姿勢そのものを発信している点が印象的なネットショップです。
Instagramやブログでは、製作過程や撮影の裏側、日々の何気ない出来事までスタッフが自ら発信。商品の背景だけでなく、作り手の価値観やチームの雰囲気がにじみ出る構成になっています。
また、レビューキャンペーンやフォロワー参加型の投稿企画など、ユーザーとの双方向のやり取りも活発。SNSでのコメント返信やDM対応もとても丁寧で、ユーザーの声に耳を傾けながらブランドを育てている姿勢が伝わってきます。
ブランドの軸が「人」にあることで、販売という行為を超えて、共感や応援の気持ちが集まってくる。その結果、リピーターやファンコミュニティが自然と形成されているのが、UZUiROならではの魅力です。
【事例3】家事問屋

新潟県・燕三条に拠点を構える「家事問屋」は、金物の町ならではの技術を活かして、「ありきたり、なのに使いやすい」暮らしの道具を提案する生活雑貨ブランドです。
ブランディングの巧みさは、その“機能美”を言葉やビジュアルで過不足なく伝えている点にあります。
商品ページでは、寸法や素材のスペックだけでなく、動画や実使用シーンの写真も豊富で、使い手が想像しやすい丁寧な設計になっています。
さらにサイト内のコンテンツでは、新製品の裏話や改良の理由など、“ものづくりの背景”をまっすぐな言葉で伝えており、ブランドの誠実さが自然とにじみ出ています。
それを、伝わる形で丁寧に発信し続けている点で、家事問屋は“プロダクトの魅力を伝えるブランディング”の優れた成功例といえるでしょう。
インタビュー記事もぜひご覧ください。
【事例4】 Savon de Siesta

北海道・札幌を拠点に展開する「Savon de Siesta(サボン デ シエスタ)」は、敏感肌向けの手づくり石けんやスキンケア製品を手がけるブランドです。自然素材と北海道らしさを活かした商品づくりに定評があり、長年にわたり多くのファンを惹きつけています。
ブランド発信も丁寧で、スタッフによる製造風景や暮らしの気づきをInstagramやブログで紹介。作り手の声が感じられることで、商品への信頼感が自然と生まれています。
派手な演出に頼らず、やさしさと世界観で顧客の共感を集めるSavon de Siestaは、感性を軸にしたブランディングの好例といえるでしょう。
インタビュー記事もぜひご覧ください。
【事例5】ヤマとカワ珈琲店

長野県に実店舗を構える「ヤマとカワ珈琲店」は、定番ブレンドから個性豊かなコーヒーまで幅広く展開し、豆選びから焙煎・発送までを一貫して自社で行っています。
ショップ全体に共通しているのは、“丁寧で静かな熱量”が伝わってくる発信スタイル。商品ページには、豆の特徴や焙煎の意図、淹れ方の提案などが過不足なく綴られ、はじめての人でも気後れせずに選べる設計です。
また、Instagramやブログ・インタビューコンテンツでは、日々の焙煎の記録やお客様との会話、店の周囲の風景なども紹介。情報過多ではなく、“空気感”を届けるような発信が、ブランドの信頼と落ち着いた世界観を支えています。
高品質なコーヒーに対する誠実な姿勢を、過度に装うことなく伝える。そんな控えめで芯のあるブランディングが、日々の一杯を大切にするお客様の共感を集めている好例といえるでしょう。
予算が少なくてもできる!小さく始めるECブランディング

ブランディングという言葉には、どこか「大手企業の話」といった印象を持たれがちです。
しかし実際は、数万円もかけずに始められることも多く、むしろ小規模ECだからこそ個性が伝わりやすい面もあります。
ここでは、予算が限られている事業者でも取り組める“最初の一歩”を紹介します。
1. サイトの言葉遣いを統一する
まずできるのが、「誰に」「どんなトーンで」話しかけるかを明確にし、それに沿った表現にそろえること。
たとえば、丁寧で信頼感のある雰囲気を出したいなら「〜いたします」「〜をご確認ください」を基本にしつつ、柔らかく親しみを加える工夫を。
逆に、フレンドリーなカジュアルブランドなら「〜だよ」「〜してみてね」でも成立します。
全ページの言葉をチェックし、ブランドとしての一貫性を整えるだけでも、印象はぐっと引き締まります。
2. パッケージや同梱物に“ひとこと”を添える
ブランドの印象は、商品を手に取った瞬間にも作られます。
梱包はシンプルでも、手書きのメッセージカードや感謝のひとことがあるだけで、「人の気配」が伝わります。
お店のロゴシールやオリジナル封筒も、数百円単位で作成できる範囲。そこに気持ちを込めれば、記憶に残る体験になります。
同梱物の作り方やメリットの詳細は「ネットショップの同梱チラシは必要?同梱メリットや作り方」の記事が参考になりますのでチェックしてみてくださいね。
3. SNSのプロフィール・投稿に“らしさ”を込める
SNS運用での差別化も、実は「自分たちらしい言葉選び」から始まります。
たとえば、投稿の文末に毎回決まった語尾をつけたり、スタッフの名前を添えて発信するだけでも、繰り返すうちに「このお店っぽいな」と印象付けられます。
また、アイコンやプロフィール文もブランドの世界観を伝える重要な窓口。
「誰の、どんな悩みをどう解決するか」がひと目で伝わる内容にしておくと、ファンの定着につながります。
4. お客様の声を“レビュー以上”に活用する
レビューや感想は、単なる評価の集まりではなく、ブランドの共感ストーリーそのもの。
印象的なコメントをピックアップしてSNSで紹介したり、「愛用者の声」として商品ページに掲載することで、共感の輪を広げられます。
さらにショップ独自のハッシュタグを設けると、ユーザー投稿も集めやすくなり、自然なブランディングの一環に。
5. 商品に“小さな物語”をつける
どんな商品にも、「なぜこれをつくったのか」「どんな人に届けたいのか」という背景があります。
その物語を、一言でも添えることで、単なるモノから「想いのある商品」に変わります。
たとえば「〇〇さんの声から生まれました」「雨の日にちょっと機嫌が良くなるように」という一文だけでも、共感の接点になります。
派手な演出や高額な広告がなくても、“らしさ”を言葉や体験に落とし込むだけで、ブランドは伝わり始めます。
まずは今日、サイトの言い回しを一箇所変えるところからでも構いません。
小さな一歩が、ブランドの芽を育てていきます。
まとめ
ブランディングというと、大きな投資や特別なセンスが必要なものに思われがちですが、実際は「自分たちらしさを、伝わるかたちに整えること」から始まります。
今回は、まずブランディングの必要性と、ECサイトにおける3つのメリット(差別化・信頼感・価格競争の回避)や、ブランディングを実践するための5つのステップ、さらに実際にブランドづくりに成功しているECショップの事例もご紹介しました。
ブランディングは、一夜にして完成するものではありません。
けれど、日々の表現や対応、発信に少しずつ“らしさ”を込めていけば、ブランドは自然と育っていきます。
まずは、自分たちが届けたい価値や、理想の顧客像をあらためて言葉にしてみましょう。
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