ECサイト開設・運営のヒントが見つかるWebメディア

よむよむカラーミー

ECサイト開設・運営のヒントが見つかるWebメディア

【セミナーレポート】「使うAI」から「任せるAI」へ!EC担当者のための生成AI活用・業務効率化

カラーミーショップは、「事業規模の大小に関わらず、すべての事業者がAIをEC運営の相棒として使える環境をつくりたい」という思いから、AI活用環境の整備に取り組んでいます。

2026年3月には、国内ECカート構築サービスとして初めてMCPサーバーの提供を開始(※)。同年4月には、カラーミーショップの管理画面にてAIエージェントの提供も開始しました。

一方で、「実際にどう使えばいいのか」「業務改善にどうつながるのか」といった声も寄せられています。
こうした背景を踏まえ、EC担当者が現場でAIを“使える状態”になることを目的に、4月30日に「EC担当者のためのAI活用入門」セミナーを開催しました。

直前のご案内にもかかわらず、約60名が参加。
当日は、GMOペパボ EC事業部長の寺井秀明が登壇し、EC運営者が今すぐ実践できるAI活用の考え方と具体的な手順について解説しました。

本記事では、当日お話しした内容の中から、AIを「単なるツール」で終わらせず、自律的に動く「同僚(エージェント)」として迎え入れるための具体的なステップや事例を、ダイジェストでご紹介します。

(※)国内提供の総合・汎用ASPカート7社比較(2026年3月5日時点、当社調べ)


AIを使っているのに、業務が楽にならない理由とは?

セミナーの冒頭では、カラーミーショップを利用するEC事業者へのアンケート結果を共有しました。
アンケートでは、EC事業者のAI利用率は71%に達しており、AI活用への関心が高まっていることがわかりました。

商品説明文の作成などで「作業時間の短縮」を実感している声がある一方で、「AIを活用してEC事業の売上に貢献できた」と回答した人はわずか1%にとどまっています。

さらに、本当に減らしたい業務として挙がったのは、問い合わせ対応や商品登録など、日々のEC運営に直結する作業でした。

「毎日のようにAIを触っているのに、作業量が減らない」という声もありました。
AIを使うことと、業務全体が楽になることの間には、まだまだギャップがあることが見えてきます。

寺井はこの原因について、「業務のごく一部しかAIに渡せていないから」だと解説します。

例えば、問い合わせの返信文をAIに作らせても、顧客情報の確認やメールの送信といった前後の作業を人が行っている状態では、業務全体の効率化にはつながりにくいのです。

解決の鍵:業務を「分解」し、AIを「同僚」として扱う

AIによる業務効率化を進めるためには、「AIは使うもの」という発想から、「AIは任せるもの」という発想へ切り替えることが重要です。

一つの業務は、細かな「作業の集合体」でできています。
例えば、「問い合わせ対応」という業務は、以下のような5つの作業に分解できます。

  • 1.メールの開封・内容確認
  • 2.顧客の特定(アドレスや名前から)
  • 3.購入履歴や配送状況の確認
  • 4.対応方針の決定
  • 5.返信文の作成・送信

AIに仕事を任せるための第一歩は、自身が行っている業務を細かく分解し、「ここは人がやるべきか、AIに任せられるか」を判断することです。

その上でAIを、都度指示を出す「ツール」としてではなく、共に事業を営む「同僚(エージェント)」として位置づけることが、これからのAI活用では大切になります。

プロンプトは「お願い」ではなく「業務設計」

AIに業務を任せる上で、まず見直しやすいのが「指示(プロンプト)の設計」です。

チャットベースのAIを利用する際、単に「クレームメールが来たので返信文を考えて」と指示するだけでは、当たり障りのない文章になってしまうことがあります。

一方で、以下のように「役割」「目的」「ショップのルール・ポリシー」を明確に定義してAIに渡すことで、出力の質は大きく変わります。

例えば、以下のように設定します。

  • 役割: あなたはECサイトの優秀なカスタマーサポートです。
  • ルール: 受注生産のため納期に1週間かかること、返品ポリシーなどの事実を遵守する。
  • 目的: 顧客の不満に寄り添いつつ、ショップのポリシーに沿った丁寧な対応を行う。

※実際には、より細かなポリシーや判断基準を定義した上で運用します。本記事では一部を例として簡略化して記載しています。

AI活用で重要なのは、「お願い」をするのではなく、「どう動いてほしいか」を設計することが重要です。

「AIエージェント」が自律的に動く!?MCP接続とは?

セミナーの後半では、AIを本当の意味で「同僚」にするための技術として、MCP(Model Context Protocol)についてもお話ししました。

これまでのAIは、ECサイトの受注データや顧客データとはつながっていなかったため、作業する人が必要な情報を確認し、コピー&ペーストしてAIに渡す必要がありました。

しかし、MCPを利用してAIとシステムのデータを接続すると、AI自身が必要な情報を取りに行けるようになります。

カラーミーショップでは、「カラーミーショップ AIコネクター」を提供しており、Claudeなどの生成AIとネットショップのデータを連携させることが可能です。
これにより、以下の①~③ようなAIエージェントとしての活用が見えてきます。

①問い合わせ対応:
AIが受信メールを読み、顧客の購入履歴を照合し、最適なギフト商品を提案する返信文を作成する。

商品情報の更新:
「特定の商品の原産地表記を一括で書き換えて」と指示するだけで、AIが対象商品を確認し、商品情報を更新する。

③経営・施策の壁打ち:
「今四半期、売上を伸ばすための施策は?」と問いかけると、AIが実際の売上データや在庫状況をもとに、具体的なアクションを提案する。

さらに、AIにECサイトのテンプレート(HTML/CSS)のコーディングを任せ、デザインを改修するといった活用も可能になりつつあります。

AIの情報セキュリティ:新入社員を迎えるように扱う

自社データをAIと連携させる「エージェント化」を進めるにあたり、多くのEC事業者が不安に感じるのが、情報漏洩やセキュリティです。

「お客さまの個人情報や、ショップの売上データがAIの学習に使われてしまうのではないか」と懸念し、利用をためらうケースも少なくありません。

寺井はこの点について、AIだからと特別視しすぎず、新しい従業員を雇い、EC担当に任命するときと同じように考えることをおすすめしました。

具体的には、以下の3つの観点で整理できます。

1. 学習利用の「オフ設定」でリスクをコントロールする

生成AIは、入力されたデータをAI自身の学習に利用する可能性があります。

ただし、ChatGPTやClaude、Geminiといった主要なAIツールには、「データを学習に利用させない」ための設定が用意されています。

社内ポリシーとしてデータを学習に使わせたくない場合は、まずこの設定をオフにすることが、取り組みやすい第一歩です。

2. 「必要な情報だけを渡す」ことから始める

人間であれAIであれ、実務を任せるには一定の情報開示が必要です。
まずは、公開されている商品データのみを連携し、AIの挙動や活用方法に慣れていく。
そのうえで、各EC事業者さまの運営方針や情報管理ポリシーに沿って、必要に応じて受注データなどへ連携範囲を段階的に広げていきます。

こうした進め方であれば、安心感を持ちながらAI活用を進めやすくなります。
AIにすべてを委ねるのではなく、最終的な判断や運用方針を担うのは、EC運営責任者自身です。
AIはあくまで業務を支援するパートナーとして活用していくことが大切だと考えています。

3. 組織内でルールを決めておく

最終的には、個人情報やショップの機密情報、売上データなどをどう扱うかについて、会社としての基準を持つことが重要です。

これはAI特有の問題ではなく、外部への業務委託やEC運営に携わるスタッフを増やしていく場合も同様です。

そのルールやガイドラインを組織内で定めておくことで、現場の担当者も安心してAIエージェントを活用しやすくなります。

明日からできる!AIに業務を任せる2つのステップ

最後に、明日からすぐに実践できる具体的なアクションプランが提示されました。

  1. 業務の分解とプロンプト設計
    効率化したい業務を一つ選び、細かい作業(5つ程度)に分解します。
    その上で、AIに任せたい部分について、前提条件やルールを盛り込んだプロンプトを設計してみましょう。
  2. MCP接続を試し、業務を任せる
    「カラーミーショップ AIコネクター」などを活用し、自社のデータとAIを接続できる環境を整えます。
    そして、ステップ1で整理した業務を、データとつながったAIエージェントに任せてみましょう。

「AIはツールから、共に働く同僚へ」。
EC運営の業務を分解し、AIに「任せる」という視点を持つことで、皆さまの事業の生産性は飛躍的に向上するはずです。

さらに詳しい情報やAI活用のテクニックについては、カラーミーショップのオウンドメディア「よむよむカラーミー」にて随時発信しています。
また、今後は実際のAIを活用事例紹介に関してもセミナー等を通じてご紹介してまいりますので、カラーミーショップのサービスサイトのお知らせまたは、カラーミーショップの公式Xからチェックしてください。

まずは日々の業務を小さく分解し、「どこをAIに任せられるか」を考えるところから始めてみてはいかがでしょうか。