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コロナ禍で速やかなネットショップ開設に成功した「仁和寺ショップ」。1年間の運営で見えたものとは?

いつも画面越しに見ているネットショップのむこうには、想いのつまった“モノ”とそれを届ける“”たちがいます。このコーナーでは、知られざる商品開発ストーリーやお店の裏側に迫る現場レポートをお届けします。
今回ご紹介するショップ
京都市右京区に位置する真言宗御室派の総本山仁和寺のネットショップ 。仁和寺の売店で取り扱っている御朱印帳やお香、五大明王や観音堂の限定グッズを販売しています。
今回は拝観課の金崎 義真さんと倉信 隆憬さんに、コロナ禍でのネットショップ開設や今後の目指すところについてお伺いしました。

緊急事態宣言で拝観者数は95%減

仁和寺は歴史ある寺院であり、世界遺産に登録されている観光名所でもありますが、コロナの影響はどうでしたか?

金崎さん:拝観者数は観光行政と直結していますので、コロナ前に比べると65%ほど減少しています。

昨年は4月〜5月に緊急事態宣言が発出されましたよね。桜の名所としての影響も大きかったのでは?

金崎さん:そのころは約95%減でしたね。

金崎 義真さん(右)

かなり深刻な状況だったんですね。そういった事情を踏まえてのネットショップ開設だったのでしょうか?

金崎さん:そうですね。お参りしたくても足を運べない方に届けるという目的もありますし、仁和寺は拝観収入でインフラをキープしていますから、拝観者数が減ると修繕費が出なくなるんですね。境内は24万坪と非常に広く建物もたくさんあるので、1年、2年は持ち堪えられたとしても、これが続くと維持ができません。そのための費用を賄う目的もありました。数年前から内部でも「ネットショップをやったらいいんじゃないか」という声は出ていたんです。
しかし、ネットショップだけで拝観収入分の売上を出すには、物品単価を考えると相当な労務費と物流が必要になります。

ですから、仁和寺のホームページやInstagramのアカウントにリーチしているユーザー層に対してどれだけ物が売れるのか、それを数値化するために、コロナを機にスモールスタートで動き始めました。まずは、現状を把握したかったというのが本音です。

未来を見据えての一歩だったんですね。

現状把握で見えたユーザー層

以前から通販のご要望はありましたか?

金崎さん:ありました。個別で対応して、現金書留でお支払いいただいて。
そういったことから、今の仁和寺には現金書留を希望されるようなユーザーしかいないと考えていました。

実際にネットショップを運営してみてどうでしたか?

金崎さん:売店で一番人気のオリジナル商品「仁和香」がネットショップでも一番人気です。売店で買えない代わりにオンラインで買う方がいらっしゃるのだとがわかりました。
1年間の販売数もコロナ前とそこまで変わっておらず、やってよかったなというのが率直な感想です。数字を上げることだけが目的ではないので。

欲しい方に届けることができたんですね。予想通り購入者層は高めでしたか?

金崎さん:50代から70代の方が多い印象です。

なるほど。
数あるサービスのなかから、カラーミーショップをお選びいただいた理由は何だったのでしょうか?

倉信さん:職員のなかにネットショップの知識に長けたものがいたので、いくつか候補を挙げてもらい、一番ローコストで始められて仁和寺のシステム的にも使いやすいものを選びました。

倉信 隆憬さん(左)

あとは、レイアウトがきれいで商品がとにかく見やすかったということです。初期費用が無料のものは、どうしてもその辺りのクオリティが下がってしまいます。うちは念珠などの高額な商品も扱っていますので、商品の世界観や纏う雰囲気が表現できたカラーミーショップを選びました。

ありがとうございます。ネットショップの構築はどなたが担当されたんですか?

金崎さん:ネットショップの運営経験があるスタッフがいて、デザインや写真を担当してくれました。

クオリティが高いので、写真はプロに頼まれたのかと思っていました!

金崎さん:スタッフに恵まれております(笑)。

高額な商品も扱っているとのことですが、発送作業で気をつけていることはありますか?

金崎さん:在庫管理のスタッフが丁寧に梱包して、お手紙やメッセージを添えて発送していますね。お線香を20個、50個と買われる方もいらっしゃいますので、そういった方にはノベルティを付けたり、拝観券を付けたりといった心配りもしています。

お手紙を添えるのは大変ですが、とても喜ばれると聞きますね。購入者の方からお喜びの声が届くこともあるのでしょうか?

金崎さん:なかには担当スタッフにお手紙をくださる方、プレゼントを送ってくださる方もいてありがたいです。

すてきな交流です。現在の商品数はどのくらいですか?

倉信さん:30〜40です。

ちなみに、お守りを取り扱っていないのはなぜですか?

金崎さん:お守りは直接足を運んで、という方が多いです。
基本的には参拝していただくのが前提ではありますが、どうしても子どもに持たせたいというようなリクエストがあれば、古来の方法で送っています。

古来の方法といえば、以前は支払いが現金書留でしたが、ネットショップで一番使われている決済方法は何ですか?

倉信さん:クレジットカードです。

カード決済の導入で、双方が便利になったということですね!

今後の展望について

今後、ネットショップをどのように展開していきたいですか?

金崎さん:僕個人の考えですが、今は50代〜60代のユーザーが中心ですので、若いユーザーのアクセス数を増やす手段として、10代〜30代に届くオリジナル商品を作りたいですね。

仁和寺では次世代の文化支援として、高校生以下の修学旅行生の拝観料を無料にしました。まずは、修学旅行のお小遣いで買える仁和寺らしいものが作れたらと思います。そして、修学旅行生たちが大人になったときに買える20代〜30代向けの商品を作りたいと考えています。20代〜30代のなかでもどのような層をターゲットにするかを設定することで、自ずと作るものが見えてくるのかなと思っています。
何かを作って若い層にリーチする、それがネットショップとも連動しているというのは、非常に可能性を秘めていると感じます。

ありがとうございます。ちなみに、どのような商品を予定されていますか?

金崎さん:現在、OMURO88整備事業計画に伴う「御室ムスメ」プロジェクトを進行していますので、キャラクターグッズが展開できればと考えています。

ネットショップの立ち上げには早い段階で成功したのですが、次のステップで二の足を踏んでいるところもありますので、もう少し頑張りたいですね。

オリジナル商品の完成を楽しみにしています!

あとがき

コロナを機にネットショップ開設をした仁和寺さま。参拝できない方に向けて、お寺や神社が続々とネットショップを開設している今、非常に参考になるお話を伺うことができました。
ネットショップは小さくはじめて大きく育てるのがコツ。カラーミーショップがその一助となれば幸いです。

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