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幅広い顧客層に向けた「Amazon Pay」の導入が大きなターニングポイントに! 5周年を迎えるONTOMO Shopの軌跡

いつも画面越しに見ているネットショップのむこうには、想いのつまった“モノ”とそれを届ける“”たちがいます。このコーナーでは、知られざる商品開発ストーリーやお店の裏側に迫る現場レポートをお届けします。
今回ご紹介するショップ
2021年に創立80周年を迎える音楽之友社が運営するオーディオと音楽の限定品・セレクト品のネットショップ。カラーミーショップ大賞2020では「Amazon Pay賞」を受賞しました。
今回は、幅広い顧客層に合わせたショップ運営やアニバーサリーイヤーを迎えての思いについて、Web企画編集室の鳥羽 隆行さんに伺いました。

ネットショップの「勝ちパターン」を掴んだ瞬間

まずは、出版社である音楽之友社がネットショップを始めたきっかけについて教えてください。

「これからの時代を見据えていち早く導入し……」なんて言えると格好いいんですけど、実情はまったく違うところから始まりました。
おっしゃる通り弊社は音楽の専門出版社ですので、多くの書籍や雑誌を販売しています。書籍や雑誌というのは数千〜数万単位で作って全国の流通に乗せるのですが、ほんの少しでも汚れやヨレがあるとかなりの数が返品されてくるんです。その中で、手を動かして作る喜びも提供したいと企画したスピーカーのキットをオーディオ専門誌「stereo」の付録で出したのですが、付録つきの雑誌は厚みがあるぶん、戻ってくると倉庫スペースを取ってしまって、キャパシティを超えそうになってしまいました。

Web企画編集室の鳥羽 隆行さんと記念すべき付録第1号

それが社内で大問題になりまして、もうスピーカーは捨てるか?という話も出たんですが、廃品回収を頼むにしてもかなりの費用がかかりますし、一流企業とコラボレーションした確かな逸品を捨てるなんてもったいないじゃないですか。それで、ネットショップで売ってみたらどうだろうということになったんです。

そんな経緯があったんですね。

はい。とはいえ、ネット通販のノウハウなんてないので、たまたま運営していた情報ポータルサイトのシステムを無理やり応用したんです。カートシステムはなく、決済は代引きと銀行振込という不親切なもので、発送も月に1回だけ。大きな会議室に集まって自分たちで出荷作業をしました。
そんな状況ですから、お客さまからの問い合わせやクレームも多くて。さすがにこれじゃだめだということで、2016年に本格的なネットショップの運営に乗り出しました。

その際にカラーミーショップをお選びいただいたのはなぜですか?

GMOさんのグループ会社が運営しているという安心感、決済システムの充実や、サイト構築の自由度の高さも魅力でした。なかでも決め手となったのは、ONTOMO Shopの特徴であるダウンロードコンテンツを扱えるという点です。うちはmp3やMIDIデータも扱っていたので、この点は譲れませんでした。

デジタルコンテンツをダウンロード販売できるカートシステムって意外と少ないですよね。

そうなんです。おかげさまで、ダウンロードコンテンツ販売は物販と並んでONTOMO Shopの二大柱になっています。ダウンロードコンテンツは初期投資がそれなりにかかりますけど、在庫を持たなくていいので倉庫の問題も発送の必要もなく、送料もかかりません。毎年利益を出せているものも多い商材です。

オープンと同時に売上ってすぐに立ちましたか?

自社の雑誌に広告を出せるので認知向上は図れたんですけど、オープン時の売上は微々たるものでしたね。最初はひとつの部署の中のいち事業ということで、廊下からの隙間風が吹く場所で山積みのダンボールに囲まれてのスタートでした。じわりじわりと売上を伸ばしていくなかで二つのターニングポイントがありまして、一つはAmazon Payを導入したこと。もう一つは2019年にヒット商品を出せたことだと思います。

真空管アンプ・キット「LXV-OT7 mkII」

ラックスマンというオーディオメーカーとコラボした真空管アンプ・キット「LXV-OT7 mkII」という商品で、もともとは雑誌の付録として大好評だったものを、さらに改良したオンラインショップ限定販売の商品です。

「真空管アンプ」という名前は聞いたことがありますが、実際に見たのは初めてです。
ヒットの要因はどこにあるんですか?

これは、200台限定で、値段は36,000円なんですね。

高価なものなんですね!

でも、「ラックスマン」の「真空管アンプ」ということを考えると、決して高くはないんです。ラックスマンのアンプを普通に買おうとすると何十万、高いものだと100万とか200万とかしちゃうんです。
音も本当にほれぼれするようなクオリティで、「これなら何百万もかけているオーディオファンにも納得してもらえるのでは?」と思うような品質なんです。「真空管アンプに興味はあるけど敷居が高そう……」と遠慮していたユーザーのなかには、これをきっかけに興味をもってくれた人も多かったようです。

それはすごいですね!

注文の入り方もすごかったです。0:00に予約を開始して朝の8時ごろには売り切れてしまいました。深夜に発売開始したことを考えると、昼間ならもっとすごい勢いで売れていたかもしれません。36,000円の商品が8時間ちょいで200台完売するなんて、今まではありえないことでした。アプリの通知も壊れたのか!というくらい、その夜はスマホが鳴りっぱなしでした。
ただ、逆に売れすぎてしまって、電話やメールで問い合わせが殺到しました。まさかそれほどに売れるとも思ってもいませんでしたから、増産することで対応しました。

とはいえ、その商品の大ヒットはネットショップに勢いがつくきっかけになりましたし、自分たちにとっての「勝ちパターン」を掴んだ瞬間でもありました。ネットショップのスタッフの自信にもつながりました。
それからはやっと事業として独り立ちできたかなという感じがします。

倉庫の問題から始めたネットショップでしたが、大きく成長されましたよね。

まさに、ピンチはチャンスでしたね。5年間の売上推移を見ると、順調に右肩上がりで成長しています。
あのとき言われるままに捨てていたら、今ごろ付録つきの雑誌はなかったかもしれないですし、自分もここにはいなかったでしょうね(笑)。

未来に希望を渡せたAmazon Pay賞

カラーミーショップ大賞2020では、Amazon Payを導入して多くのお客さまにかんたんで便利な購入体験を提供したショップに贈られる「Amazon Pay賞」を受賞されました。
受賞を聞いたときはどんなお気持ちでしたか?

ノミネートされただけでも嬉しかったのに、まさか受賞するとは思ってもいなかったので、授賞式は思いっきり楽しませていただきました。なんてったって、4万店舗からベスト42に選出されたわけですから、0.1%の確率と考えるとすごいことですよね。

SNSやネットショップでも積極的に受賞を報告されていましたよね。

おそらく、他社さんと比べても相当「受賞しました」アピールはしていると思います。いつも利用していただいているお客さまと一緒に喜びたかったというのもありますし、こういった賞をもらったことで新規のお客さまにも安心してご利用いただけると思ったからです。

周りの方からの反響はありましたか?

2020年はコロナウイルスの流行などであまりいいニュースがなかったので、受賞のニュースが飛び込んできて嬉しいと言ってくれた方がいました。そういったところで、少し未来に希望を渡せたのかなと思っています。
また、意外なところでは取引先からも反響がありました。ONTOMO Shopで取り扱いしているキャラクターグッズ「柴犬ラク®」の作者であるクラリネット奏者の吉田悠人さんが、お祝いイラストを描いてくれたんです!

かわいい! これは嬉しいですね。

おめかししている姿とか、なんともいえない短い手足とか、柴犬好きにはたまらない要素満載ですよね。

一番利用されている決済はAmazon Pay

未来の希望にも繋がったというAmazon Payですが、なぜ導入しようと思われたのでしょうか?

Amazonという名前の安心感もさることながら、面倒な個人情報のカート入力を省けるというのはお客さまにとって大きなメリットになりますので、売上を伸ばす施策として導入しました。

実は昨年、コロナウイルスの影響で予定していたイベントが中止になり、チケットの販売から数か月後に相当数の払戻し作業が発生しました。
その際、Amazon Payで決済されたお客さまは管理画面の受注をキャンセルするだけで自動的に返金処理がされて非常に助かったんです。クレジットカード決済の場合は別途キャンセル手続きの申請をしないといけなくて大変で……。そういった部分では、事業者側にとってもメリットが大きい決済サービスだと思いますね。

イベント中止のお話が出ましたが、コロナウイルスの影響は他にもありましたか?

緊急事態宣言のときは、雑誌を発行しても本屋さんや楽器店さんが軒並み営業できなくて、お客さまが雑誌を入手できないということがありました。そのような影響が大きかったものの、巣ごもり需要でおうち時間に音楽を楽しみたいという方がオーディオ商品を買ってくれたこともあり、ネットショップはコロナ禍でも売上が好調でした。
でも、これは配送業者さんが本当に大変な中で頑張ってくれたおかげであって、物流が止まっていたら大打撃を受けていたところでした。配送業者さんには心から感謝しています。

現在、一番利用されている決済方法は何ですか?

以前は圧倒的にクレジットカード決済が多かったのですが、先月初めてAmazon Payがクレジットカード決済を超えました。導入以来、右肩上がりで増えています。

それだけ使いやすい決済方法ということですよね。ネットショップのお客さまはどういった層が多いんでしょうか?

ONTOMO Shopは出版している7つの雑誌の読者をメインターゲットにしていますが、雑誌がいろいろなジャンルに分かれているために顧客層はバラバラです。
ONTOMO Shopのメインの商材はオーディオ機器になりますので、流入顧客が一番多い雑誌はオーディオ専門誌のstereoです。

なるほど。オーディオを買われる方はどのくらいの年齢層ですか?

年齢層は高めで、50代〜80代が一番多いです。

意外です。ネットショップのご利用が少ない年代なのかなと思っていました。

インターネットが使えないということで、電話で注文してくださる方もいらっしゃるんですけど、頑張ってネットショップで注文してくれる方もいらっしゃいます。

顧客層がバラバラなショップだからこそ、Amazon Payの導入が効果的なのかもしれませんね。

口コミに勝る広告はない。ウェブ広告代わりのSNS

SNSはInstagramとFacebook、Twitterで使い分けなどされていますか?

それぞれのユーザーにささるような投稿を意識しています。Twitterはお客さまと直接やり取りができるので、リプライをしたりいいねをつけたり積極的にするんですけど、Instagramは商品の写真を見栄えよく、という感じです。Facebookは年齢層が少し高めだと思っているので、あまり更新頻度は上げず長めでしっかりした情報の発信を心がけています。
Facebookに投稿した商品写真が海外を中心にバズったこともあるんですが、それを見て口コミに勝る広告はないんじゃないかと思いました。無料でできる販促という見方もできますから、最近はウェブ広告代わりとしてもSNSを強化しています。

最近はSNSに注力されるショップさんが増えましたよね。

カラミーショップ大賞2020で大賞を受賞したクアトロガッツさんを見ていると、やっぱりもっとSNSにも注力しなきゃ、と思いますよね。

アニバーサリーイヤーを迎えて

最後に、今後の展望や目標にしていることはありますか?

今年2021年は、音楽之友社創立80年です。会社の創業年である1941年といえば、まさに戦時中でした。そんな大変な時代ではあるけれども、音楽や芸術の灯は消してはならぬという創業者の強い信念のもと音楽出版社を立ち上げて、今に至ります。
コロナの影響で今また大変な時代にあると思いますが、音楽はこれからも消えることはないし、消えてもいけないと思っています。だから、みなさんが豊かな生活を楽しむことができるよう、よりよい音楽を、音楽再生機器を、音楽教育のリソースを届けてゆくのが使命だと思っています。

さらに、今年はONTOMO Shopにとっても5年目のアニバーサリーイヤーです。まだまだサイトとしては黎明期で、まだまだ伸びしろがあると思っています。まずは1億円の売上を目指しています。いずれは、音楽商材販売といえばONTOMO Shop! と言ってもらえるくらいの存在になっていきたいですね。

ありがとうございます。これからのネットショップの展開を楽しみにしています!

■ ONTOMO Shop 鳥羽氏 出演「Amazon Pay」■

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