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お酒の楽しみ方を一握りの層で専有してしまうのはもったいない。日常的なやすらぎを30mlで届ける「ひとくちウイスキー」

いつも画面越しに見ているネットショップのむこうには、想いのつまった“モノ”とそれを届ける“”たちがいます。このコーナーでは、知られざる商品開発ストーリーやお店の裏側に迫る現場レポートをお届けします。
今回ご紹介するショップ
「日常的なやすらぎ」をコンセプトに、ウイスキーを30mlと100mlの小瓶で販売しているネットショップ。今回はショップオーナーの滝 駿介さんに、ネットショップでウイスキーを販売するためのこだわりやアイデアについて伺いました。

バーでお酒を飲める人はどんな人?

ひとくちウイスキーさまの事業内容について教えてください。

シンプルに言うと酒販店です。酒販では700mlや1Lのサイズをフルボトルと言いますが、フルボトルのお酒を30mlと100mlの小瓶に移し替えてネットショップで販売しています。

事業を始められたきっかけはどういったものだったのでしょうか?

もともと、ひとくちウイスキーという事業を立ち上げる前から、バーを開業したいという夢がありました。開業した暁にはバックバーにこういったお酒を並べたいなという物を先行的に持っていたので、それを使ってビジネスを始めてみようと思い立ったのが5年ほど前になります。

30mlと100mlに詰め替えて販売しようと思われたのはなぜですか?

当時は平日の夜中にバーテンダーとして働いていました。その経験のなかで「バーでお酒を飲める人はどんな人で、どれだけいるのだろう?」と考えたことがきっかけでした。

私が勤めていたのは赤坂や有楽町といったいわゆる都心の繁華街で、都心部で働いている仕事帰りの方がお客さまでした。夜中に出歩く機会がない方、例えば子育て世帯やお勤めをされていない方、今だとテレワークの方もバーにはなかなか行けません。
また、通勤に車を使われている方は、職場が都心部であろうとお酒を飲むことはないですし、当時の私のように勤務時間帯が夜中の方もいます。
さらに、バーというのは一般的な居酒屋に比べて値が張ります。レシートを見ると席料がかかっていますし、その点では高級飲食店に分類されると思います。そういったことを考えると、バーでお酒を楽しめる人って少なすぎるんですよね。

滝 駿介さん

確かに、お酒そのものは好きでも、バーに行く条件が揃っていない方というのは、思いのほかたくさんいらっしゃいますね。

そうですよね。それで、お酒の楽しみ方を一握りの層で専有してしまうのはもったいない、バーのようにお酒のおいしさを届けるネットショップがあってもいいんじゃないかと、ひとくちウイスキーを始めました。
今でも、ひとくちウイスキーのロゴには「SHOT BAR ONLINE」というスローガンが入っています。30mlというのはバーにおける一杯単位の量です。

味と香りを変質させてしまっては、やっている意味がない

数あるお酒のなかで、ウイスキーを専門にされたのはなぜですか?

比較的、取り扱いが簡単であるという事情からです。

移し替えて劣化してはいけないですもんね。

品質で言うと、飲料には腐るものと腐らないものがあります。糖質を含むものは非常にデリケートです。具体的にはワイン、ビール、日本酒、シャンパンなどですね。それらは長期保存ができませんし、常温保存もできません。ワインはワインセラーで温度管理されているイメージがありますよね。
一方で、蒸留酒(スピリッツ)と呼ばれるウイスキー、ジン、ラム、焼酎、テキーラのようなアルコール度数が高く糖質をほとんど含まないお酒は常温でも腐りません。もちろん、あるべき味をあるべき形で届ける努力はしていますが、そういう意味でウイスキーの品質を保つことはそれほど大変ではありません。

では、ウイスキーを移し替えている小瓶にもこだわりがあるのでしょうか?

お酒の品質を変化させないために、かなり探していろいろなものを比較して今に至ります。アルコール度数が高いものは容器を選びます。一例を挙げると、ペットボトルはアルコールで溶けてしまいます。
口に含んで味や香りを楽しむものですから、オリジナルの味と香りを少しでも変質させてしまっては、やっている意味がありません。都心部だけでなく、いろいろな地域の方にウイスキーを楽しんでいただきたいと言っている人間が、少しでも味に変質を起こすわけにはいかないので。

ひとくちウイスキーの小瓶は30ml、100mlいずれもガラス製で、蓋の内側もアルコールによって溶質しないものにしています。ゴムは簡単に臭い移りがしますし、ペットボトルは溶ける。高級なものを使っているわけではないのですが、サンプルを取り寄せてテストはかなり丁寧に行いました。

小瓶にはどのように詰め替えているのですか?

取り扱っているウイスキーの銘柄には、業務用の10Lボトルみたいなものはないので、よく見る700ml〜1Lのフルボトルを仕入れて手作業で移しています。

1日でどれぐらいの本数になりますか?

日にもよりますが、100〜150です。

かなりの数ですが、作業中に酔ってしまうことはないですか……?

酔ったりはしませんが、ちょっと外に出て詰替所に戻ったら、酒くさいと感じることはあります。二日酔いのときはきついかもしれませんね(笑)

ネットショップの意外な使われ方

現在、販売しているウイスキーは何種類ですか?

銘柄数で言えば、500〜600です。カテゴリーという意味で言うと、スコットランドのウイスキーがもっとも人気です。その他、アメリカ、カナダ、アイルランドなど、20か国ぐらいのウイスキーがあります。

かなり多いですね。

ひとくちウイスキーには試し飲み屋さんという側面もあります。飲食店の方が、自分のお店に置くお酒を決めるための試飲用として、私どものサービスを使ってくれている。そういったニーズに応えて、ちょっとコアであったり、メインストリームではない高級なウイスキーも置いています。

意外な使われ方ですね。では、コロナの影響もありましたか?

ありました。ウイスキービギナーさまが初めてご利用いただいたことで利用者数が倍増した一方で、高価格帯・希少品の売れ行きは落ち込みました。
高価格帯・希少品をお求めの方のなかには、特別なお金持ちの方もいらっしゃるでしょうが、お酒関係のお仕事をされている方が学習目的でお買い求めいただく場合もあると思います。
とりわけ不況の煽りを受けたであろう飲食店従業員さんは、高価格帯に目が向かなかったのだろうと予想しています。
お手に取っていただいた方のステイホームの時間が豊かなものであるといいなと思います。

ちなみに、フルボトルサイズを販売していないのはなぜですか?

大手のオンラインモールに勝てる気がしないからです。どうせ小瓶詰め替え販売を特色とするなら、その専門店の方がキャッチーかつ鋭利でよりよいと考えました。

なるほど。お客さまはどういった地域の方が多いですか?

いわゆるバーがありそうな繁華街、都心部からのご注文もありますし、遠方の方もいらっしゃいます。この辺りが多い、少ないというのはあまりないですね。
最近、非常に嬉しかったのは、ホテルに滞在される際に何月何日にチェックインするから届けてほしいというご注文です。旅行のお供に私どものサービスを使ってくださるのはありがたいですね。

ラベルや販売方法のアイデア

貼られているラベルもすてきです。母の日やクリスマスなどのイベントには、ギフト用のデザインが登場しますよね。

ありがとうございます。ラベルは外部のイラストレーターさんにお願いしています。

滝さんがイメージを考えているんですか?

基本的には信用してお任せしていますが、そのときどきでイメージを伝えることもあります。
母の日なら母親の年齢層の方に渡すものだというのは念頭にありますが、そもそも「母の日らしいウイスキー」というのはありません。母の日は世界中にあるものの、さすがにウイスキーを贈る日ではないんですね。ですので、いわゆるウイスキーらしくないデザインというのが、お願いする上で1つのテーマになっているかもしれません。

確かにウイスキーらしくないけど、コレクションしたくなるような華やかなデザインです。

私が作ったものではないので、手前味噌にならないから素直に頷きます(笑)。
私もいいなと思って、今年は実母にあげました。

すてきなお話です!
「#なぞときモルト」という商品もおもしろいですよね。このアイデアはどこからきたものですか?

「#なぞときモルト」はブラインドテイスティングが一人でできる商品ですね。
ネットショップはバーのようにお客さまと会話して提案することができません。バーならではのリアルの距離感の素晴らしさというのは確実にあって、その素晴らしさはネットショップでは太刀打ちできないと思っています。
では、バーテンダーにはできない、ネットショップにあったらいいなと思うものはなに?という軸でアイデアを出しています。

リピーター獲得の工夫

カラーミーショップをお選びいただいた理由を教えてください。

いくつかのサービスを比較して、コスト面で使いやすそうだったからと記憶しています。

ネットショップのデザインと運用は滝さんがされているんですか?

デザインと写真は外部の方にお願いして、文章はすべて私が書いています。

読み応えのある記事が充実していますよね。
Twitterもテイスティングのレビュー動画など、ウイスキー専門店ならではの発信をされていると感じました。Twitterの発信で工夫していることはありますか?

Twitterではショップ最新情報のほか、ウイスキーの情報を欲しがるのはコアなファン、その人たちに向けて敢えてビギナー向けではない内容を発信しています。
また、実際にお酒を詰め替えた際に700mlの大瓶と30ml、100mlの小瓶との写真を撮って掲載しています。
高級品や希少品をお手頃価格で販売していると、かえってニセモノではなかろうかと心配をいただくことがありますので、公明性を伝えたい狙いがあります。
お客さまの声はTwitterを通じてもらうことが多く励みになります。

発信がショップのファン作りに繋がっていると感じますが、リピーターの方は多いですか?
また、リピーター獲得のために工夫されていることはありますか?

リピーターの方は多いです。
「お次の一杯はいかがしましょう?」といった新入荷情報を案内するほか、人気商品である「ビギナーセット」という5種類飲み比べをお買い求めの方には、これが好きなら次はこれ、あれが好きなら次はあれ、といった案内図を「ウイスキーフローチャート」として同梱しています。
実際に酒販店に足を運んでも何百あるウイスキーボトルを前に何を選んでよいか分からず困ってしまうことがあると思います。今回見つけたお気に入りを踏まえて、次のお気に入りを見つける助けができたら親切だろうと考えています。

今後の展望について

これからのひとくちウイスキーさまが目指すところについて教えてください。

バーや飲み屋さんとネットショプは敵対関係になりうると思われるかもしれませんが、開業したばかりのころに買ってくれたお客さまは、もともとバーなどでウイスキーにはまっていた方でした。バーの代替として選んでもらえていたのかなと思います。
反対に、初めてバーに行くときって、怖くて入りづらいイメージがあって緊張される方もいらっしゃると思います。そのときに、ひとくちウイスキーのビギナーセットで「ジョニーウォーカー」という名前をひとつ覚えておくだけでも、バーが怖くなくなるんですよね。
これからは、バーに通う入り口にもなりたいし、バーの代わりにもなりたいし、そこからまたバーに行くという循環が生まれるといいなと思っています。そして、新幹線や飛行機のお供としても「日常的なやすらぎ」を提供できると嬉しいですね。

最後に、滝さんがいちばんお好きなウイスキーを教えてください。

「シーバスリーガル18年」です。人の力にカッコよさを感じるからです。

人の力ですか?

ちょっと専門的な話になりますが、お手頃でポピュラーなウイスキーは複数の工場でつくられた原酒を集めてブレンドし、瓶詰めします。一方、単一の工場でつくられた原酒のみを瓶詰めしたものや、単一の樽の原酒のみを瓶詰めしたものは、より個性的であることから通好みとされ、高級傾向にあります。
シーバスリーガルは前者のブレンドタイプにあたります。熟成を終えたなら、そのまま飲んでも十分に美味しい原酒を材料に、改めて職人が調味するのです。
ウイスキーはすべて職人の力と自然の力が合わさりできるものですが、単一の樽のウイスキーがより自然寄りだとしたら、ブレンドタイプのシーバスリーガルはより人寄りといえます。
工場見学が趣味であちらへこちらへと足を運んでいますが、やはり職人というのはカッコいいお仕事であると思うのです。

なるほど……!「おすすめセット」にも入っているシーバスリーガル18年、ぜひ試してみようと思います。ウイスキーがますますおいしくなるお話をありがとうございました。

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