商品を販売したいけれど、店舗を持つほどの商品数や資金はないという方もいると思います。
また、もっと全国各地のお店に自分の商品を見てもらいたい、良さを伝えたい、けれどどうしたらいいかわからないという人も多いでしょう。
そんな方のため、第三者に代わりに販売してもらう「委託販売」という方法があります。
この記事では委託販売とはどういう仕組みなのか、委託販売の方法や手数料、委託販売先の見つけ方などを紹介します。
自分で作ったアクセサリーを売りたいけど、アクセサリーショップを開かないとダメなのかな?制作に忙しくて販売する時間もあまりないんだよね。
そういう場合は「委託販売」というシステムがおすすめです。仕組みやメリット、デメリット、手数料などを解説しますね。
目次
委託販売とは?仕組みや卸売(買取)との違い
委託販売とは、自分の商品を自分で販売するのではなく、他の人に預かってもらい、その人のお店などで代理販売してもらう形式を指します。
商品が売れた場合、委託販売契約時に決めた販売手数料を差し引いた金額が支払われます。
たとえば、販売価格1,000円のネックレスを10個、販売価格の30%が手数料のお店に委託販売するとします。
そしてネックレスが6本売れた場合、売上として受け取れるのは1,000×70%×6本=4,200円ということです。
委託販売と似ている言葉に「卸売(買取販売)」というものがあります。
一般的に小売販売店(小売業者)はメーカーなどから商品を仕入れ値で買い、販売時との差額で利益を出しています。
このメーカーの部分を「個人である自分」に置き換えたものが卸売です。
上記のネックレスを買取販売してもらう場合、初めから1本700円で10本分、小売販売店に買い取ってもらうことになります。
委託販売と卸売との違いを表にすると以下になります。
【例】1,000円のネックレスを10本用意して実際は6本売れた場合
委託販売 | 卸売(買取販売) | |
販売手数料 | 売上の30% | – |
仕入れ値 | – | 1本700円(7,000円) |
自社(メーカー)の売上 | 4,200円 | 7,000円 |
販売するお店の売上 |
1,800円 |
販売金額×6 (1本1,000円で売った場合6,000円、利益は1,800円) |
入金タイミング | 販売後 | 商品の納品時 |
売れ残った商品 | 委託契約終了後に返送 | 販売店側が対応 |
お店が買い取って販売する卸売の場合、納品数=売上となるので、納品した分の売上が納品したタイミングで確定します。
一方、委託販売の場合は商品が売れたときにのみ売上として入金される仕組みです。
比較のため上記の表では委託と卸売で1本あたりの自分に入る売上を同じにしましたが、実際は委託よりも、買い取る卸売のほうが、安い仕入れ値を提示されることが多いでしょう。
なお、万が一商品が売れ残った場合、委託販売の場合は契約期間が終わると返却されますが、卸売の場合は所有者が小売販売店に移動しているので返却されることはありません。
また、値段の設定についても、委託販売はあくまで商品の所有者は製作した自分であるため販売価格を自分で決められますが、卸売の場合、商品の所有者は買い取った小売販売店になるため、値付けは販売店が決めるという点も両者の違いです。
委託販売の方法は2種類ある
委託販売の方法は、販売してもらう場所がどこかによって大きく2つに分かれます。
1つは実際の店舗においてもらう方法、もう1つはネットショップに委託で置かせてもらう方法です。
ちなみに、委託販売をお願いするお店によっては、1つの契約で実店舗とネットショップ両方に置いてもらえることもあります。
実店舗へ委託販売する
昔からあるのが、実際のお店にお願いして自分の商品を並べてもらい販売をお願いする方法です。
実店舗で委託販売を行ってくれるお店は、実はたくさんあります。
特にハンドメイドの商品は、さまざまな作家の作品を専門で取り扱うお店もあります。
また、アパレルショップやカフェ、美容院、本屋などの片隅で売られるケースも。
さらに道の駅や雑貨屋に並ぶ商品の一部が委託販売ということもよくあり、実は身近なお店で委託販売は多く行われているのです。
また、委託販売用スペースやギャラリー、レンタルボックスといった場所を設けているお店もあります。
この場合、そのお店の棚の一部をレンタルという形で使用料金を払い、自身の商品を置くことができます。
ただし、人気が高いお店の場合、審査や委託販売の順番待ちが発生することもあるでしょう。
ネットショップへ委託販売する
実はネットショップによる委託販売もあります。
ネットショップの委託販売の種類は、大きく分けて2つです。
1つは、委託販売を行うネットショップに商品を預け、そのお店が注文から発送まで行う方法です。
もう1つの方法は、商品の紹介ページのみ掲載してもらう方法です。
この場合、実際に商品を購入してもらう際、購入者にリンクから自身のネットショップへ飛んでもらうため、商品の発送も自分で行う必要があります。
この方法だと発送などの手間がかかる代わりに、委託手数料が低めに設定されているケースが多いです。
委託販売を行うメリット・デメリット
委託販売を行う前に、メリットとデメリットを知った上で利用したいですよね。
ここではメリットとデメリットを解説します。
メリット
委託販売のメリットを挙げてみましょう。
- ・ 販売機会が増える
- ・プロに販売をお願いでき、自身の販売の手間が省ける
- ・人気店で販売することで、自社商品の知名度がアップする
もし自身でも販売した上で他のお店に委託販売した場合、自分の商品を見てもらえる場所が増えます。
するとより多くの人の目に触れるので、買ってもらえる機会も増えることになるでしょう。
また、そのような委託販売を行うお店は、いわば販売のプロであることが多いです。
接客や陳列方法、集客などといった「ものを販売するにあたって必要なこと」を販売に慣れている人に任せられるのは、委託販売の大きな魅力でしょう。
とくに商品のに製作に集中したい個人クリエイターにとっては、販売の部分を代わりに行ってもらえるのは心強いですよね。
そして、人気のお店に商品が並ぶということは、自身の無名な商品でも販売当初から多くの人に注目してもらえるチャンスがあるということです。
つまり委託販売は、その商品を販売する上での広告という見方もできます。
委託販売先で人気が高くなり、その商品の知名度が上がったケースも多々あるでしょう。
デメリット
次に、委託販売のデメリットを見てみましょう。
- ・手数料がかかる
- ・自分で商品の説明ができない
デメリットはやはり他人にお願いすることによる手数料が挙げられます。
手数料を払うことによって、自分の手元に残る利益がどうしても少なくなることは、委託販売を行う際のネックになるでしょう。
また、売上手数料のほか、場所の利用代がかかる場合も。
これら1つ1つはそこまで大きな金額でなかったとしても、複数の場所や長期間の委託販売を行うと無視できない金額になることがあります。
さらに、自分自身でその商品の説明ができないのも、デメリットでしょう。
商品に込めた想いや魅力、取り扱い方などを伝えたり、反対にお客さまからの意見を直接聞いたりすることもできません。
もちろん自分の代わりに商品理解を深めてくれるお店もありますが、場合によっては意図しない説明をされて商品の魅力がお客さまに伝わらないこともあるでしょう。
委託販売の手数料はいくらくらいが相場?
ここまでで気になるのが、委託販売の手数料です。
結論からお伝えすると委託販売の手数料は、委託するお店によってまちまちです。
ですが一般的に、実店舗での委託販売のほうが手数料は高い傾向があります。
実店舗はテナントの賃料が発生してしまう分、手数料も高めの設定なのです。
また、先ほどお伝えしたように実店舗・ネットショップ問わず、知名度が高い店舗は委託販売を希望している人も多いため、販売手数料が高めに設定されています。
そのため、個人商店などの販売手数料は30~40%程度ですが、大手ショッピングモールや有名店での販売手数料は40~60%程度が相場といわれています。
また、この販売手数料とは別に実店舗販売はスペース料がかかる場合もあります。
ネットショップでの委託販売は、個人運営のショップで20~40%程度、楽天市場などの大手モールの場合は50%が販売手数料の相場といわれています。
なお、販売用リンクを貼ってもらい自分で発送するタイプのネットショップは、無料~掲載料として規定の金額を請求されるタイプがほとんどでしょう。
委託販売を始めるには?委託する店舗やネットショップを探す方法
「自分の商品を委託で販売してもらいたい」と思った場合、最初にやることは、委託する店舗やネットショップを探すことです。
では、実際に何をしたら委託販売をお願いできるお店を見つけられるのでしょうか。
その方法をお伝えします。
実店舗の場合
まず、自分が普段使うお店で委託販売を行っていないか、聞いてみましょう。
行きつけの美容院、カフェ、アクセサリーショップ、雑貨屋さんなどのお店の片隅で何かしらが販売されていたら、委託販売をお願いできるかもしれません。
また、今は委託販売を行っていないお店でも、常連さんの商品ならということで置かせてくれる場合もあります。まずは失礼のないように聞いてみましょう。
次に、同じように自分の商品を持つクリエイターさんや、お店のSNSをチェックすることをおすすめすます。
たとえば委託販売がよく行われているハンドメイド作品の場合、人気の作家さんは、すでに委託販売を行っているケースが多く、その委託販売先をSNSに書いてあることがあります。
そういったお店をいくつかピックアップして、お店に直接連絡することで委託販売をお願いできるかもしれません。
また、レンタルスペースなどを設けているお店などは、委託販売したい作家さんをインターネット上で募集していることもあります。
これらのお店に連絡することで、委託販売を始めることができるはずです。
ネットショップの場合
ネットショップでの委託販売も、基本的には自分で探す必要があります。
インターネットで検索したり、他のクリエイターさんが使っているネットショップをチェックしたりすることで、委託販売できる場所が見つかります。
ネットショップの場合、サイト上には「委託販売を受け付ける」とは書かれていないお店もあります。
ただし、そういうネットショップの場合でも、問い合わせれば受け付けてくれることもあるでしょう。
気に入ったネットショップがあったら、まずは問い合わせてみましょう。
自分の熱意と商品の良さをプレゼンできれば、委託販売をお願いできるかもしれません。
バイヤーさんに見つけてもらう方法も
全国には、特定の商品が集まる展示即売会が大小さまざまな規模で行われています。
有名なところでは、デザインフェスタやハンドメイドマルシェなどが挙げられるでしょう。
このような展示即売会においては、作家さんの商品を取り扱いたいバイヤーさんが来場していることがあり、商品を出品してバイヤーさんに声をかけてもらうことで委託販売が始まることもあります。
展示即売会会場で簡単な委託条件を聞き、後日メールなどでやり取りして納品するというパターンが一般的です。
その場で即決する必要はありませんので、安心できるバイヤーさんと取引しましょう。
委託販売する際の注意点
委託販売について理解が深まったところで、実際に委託販売を行う際の注意点をお伝えします。
実店舗の場合は実際に自分で行ってみる
まず、実店舗の場合は委託販売をお願いするお店に一度は足を運んでみることが大切です。
お店の立地、お店の雰囲気、お客さまの年齢や男女構成比、一日の来客数、営業時間や営業日、休日はいつかなど、お店のことを確認していくうちに「自分の商品とは合わないな」と思えてくる可能性もあります。
せっかく委託販売をお願いするので、自分の商品を求めるお客さまが集まるお店にお願いしたいですよね。
お店のサイトやSNSに外観や商品などの情報が掲載されていることも多いのですが、一度は足を運んでみて、自分が納得できるお店にお願いしましょう。
遠方でどうしても自分で行けないお店の場合も、グーグルマップなどを利用してそのお店の周囲の雰囲気を調べることは可能です。
SNSなどで集客をしているお店かどうかも確認する
今は多くの人がSNSで商品を探す時代です。
そのため、きちんとSNSなどで商品の情報発信をしてくれるお店にお願いすることで、自分の商品やお店の情報が埋もれにくくなります。
知名度の高いお店であっても、集客をしっかり行っているかを確認しましょう。
また、集客をお店任せにするのではなく自身でもSNSで商品情報を発信し、「購入の際はこちら」と委託先を紹介することも大切です。
手数料が見合っているかチェックする
委託販売で全部売れたとしても赤字になってしまっては、事業を続けることが困難です。
そのため、想定売上を元に原価や手数料をしっかり計算して、委託販売することに見合っているのか確認してから契約することをおすすめします。
また、委託販売の手数料も、初期更新料や月額料金、売上入金時の振込手数料など、お店によってかかる手数料の種類はさまざまです。
委託販売をお願いするお店では、どのような支払いシステムなのかもきちんとチェックしましょう。
まとめ
委託販売をお願いすることで、自分の商品をたくさんの人に見てもらえるチャンスが広がります。
ですが、委託をお願いするお店もカフェや雑貨店といった実店舗から、ネットショップまでさまざまあり、それぞれ手数料が異なるので確認が必要です。
自分の商品を委託販売してくれるお店は、意外と身近にあったり、知り合いのクリエイターさんから教えてもらえたり、インターネットで探したりすることで見つかるはずです。
委託販売にはメリットだけでなくデメリットもありますので、しっかり検討した上で販売契約を結びましょう。
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