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ネットショップのSEOって何をしたらいいの?ショップオーナーが取り組むべきSEOについておおきさんに聞いてみた。

ネットショップの運営では「SEOが重要!」といわれますが、なぜSEO(検索エンジンの最適化)が必要で、どんなことをしたら効果が出るのでしょうか?今回は、Twitterでも人気のSEOコンサルタントおおきさんに、ネットショップオーナーさんが取り組むべきSEOについて伺いました。

SEO/デジタルマーケティング おおきさん
日系、外資系企業で勤務後独立。SEOコンサルタントとして幅広いクライアントに、多彩なマーケティング手法を取り入れた提案をおこなっている。別事業でコスメやアパレル商材を扱うネットショップも運営。
Twitter:@ossan_mini

おおきさんについてお伺いしてもよいですか?(自己紹介)

おおきさんのお仕事について教えてください。

SEOを中心としたデジタルマーケティングのコンサルティング業と、2年前くらいからコスメやファッションアイテムを国内向けに販売するネットショップ運営をおこなっています。物販のほうはメーカーではなく小売りで、今年か来年には実店舗を出したいなと考えています。

SEOは贅沢品?おおきさんが考えるSEOへの取り組み方

ネットショップを運営する上で「SEOをやったほうがいい」と理解している人は増えてきてはいますが、まだまだ少なく、「SEOという言葉を最近知った」という人も多いと思います。そもそもSEOとはどういったものなんですか?

SEOをざっくり言うと、検索エンジンを通じた集客、売上を立てるための施策のことで、「検索エンジン最適化」とも呼ばれます。ここではユーザーが検索したときに自社サイトをヒットさせ、なにかを見たり買ったりしてもらうためのプロセスを整えることがSEO対策だとご理解下さい。

近年のSEOはやることが多岐にわたるため、本格的に取り組むには人かお金か時間に余裕が必要です。なので完全に「贅沢品」だと思っています。どちらかというと、今は本格的に取り組める体力のある大手企業に有利な状態にあるといえるかもしれません。

SEOは贅沢品…!そうなるともし自社でSEOをやりたいと考えていたら、避けたほうがよいのでしょうか?

いえ、最低限のSEOを行うことは必要です。

どのくらいのSEOに取り組むのかだと思います。先ほども少し触れましたが、今のSEOはコンテンツ作成やPR施策など、影響を与える要因が多岐にわたり総合格闘技化しています。自社のネットショップのリソースと比較して、本格的に取り組むべきか、他に売り上げにつながる施策を優先すべきかを考えましょう。

ネットショップの売上につながることが一番大事なので、かけた労力や時間に売上が比例しなければ非常にもったいないですよね。

「本当に売り上げにつながるのか」という考え方はとても大事ですよね。ちなみに、最低限のSEOというのはどういったものなのでしょうか。

ネットショップが行うべき代表的なSEOの例で言うと、商品名やブランド名、自社サイト名をページのtitleタグにキーワードとして設定するなどが一般的です。また、自社のショップ名で検索した時に一番上にちゃんと表示されるようにするなどが挙げられます。

ただし、世の中でSEO対策されている商品、SEO対策されがちな商品は除きます。ハイブランド商品のように、世間的に広く知られていて、取り扱う競合他社が多い商品は、独自にSEO対策をおこなっても効果が出にくいでしょう。

一方、ちょっと知られているくらいで、ほかでは販売されていない商品や、競合他社が5社ほどしかいないという場合は、検索結果の1ページ目に入る可能性が高くなります。

そういったSEOを行っても効果をだすのが難しそう、または逆に効果を出せそうな商品や分野を知りたいときは、どう調べたらいいですか?

基本的には、Googleの検索窓でブランド名や会社名、「バッグ」や「サプリメント」といった商品カテゴリ名などで検索して、ヒットする競合が多ければ多いほどSEOは難しいという判断になります。Googleの検索結果上部に商品画像が表示されたことがあると思いますが、顕著な例を挙げると、この「Googleショッピング広告」枠にたくさん画像が表示されるキーワードは、SEOキーワードとしてすでに多くのお金が動いています。

逆に、画像が表示されず、検索競合プレイヤーがヒットしないキーワードなら、SEOの素人でも検索上位を獲得しやすいです。その場合、メーカーなどオリジナル商品を持つ立場であれば、独自性の高い商品名をつけることも検索上位表示につながりやすくなります。

大切なのは商品ページの充実化!まずネットショップオーナーが取り組むべきSEOとは

先ほどは最低限行ったほうがよいSEOについてお聞きしましたが、ほかにもショップオーナーさんはどんな取り組みをすればよいでしょうか?自社商品を持っているショップさんとセレクトショップさんでは、SEOのやり方の違いなどもあればお聞きしたいです。

実はどの形態のショップさんでも、SEOとしてやることはほとんど変わりません。

先ほどもお話したようにSEOでもっとも重要な要因の1つが、titleタグ(タイトルタグ)の設定です。個々の商品販売ページのtitleタグには、ブランド名や商品名、カテゴリ名を確実に入れるようにしてください。

それから、最近はとくに商品画像や動画が大事な位置を占めています。商品そのものはもちろん、衣料品なら実際に着用したり細部にフォーカスしてみたりと見せ方を工夫して、ビジュアル要素を充実させることをおすすめします。

もうひとつ欠かせないのは、商品の詳細情報をしっかり書くことです。商品特性や素材などのスペックは基本として、スタッフが使ってみた感想やブランドの背景にあるヒストリーなども用意してください。思い入れの強い商品なら、伝えたいことがたくさん浮かんできますよね。

多くのショップさんはこれらに対応できていないので、きちんとやるだけで優位に立てることもあります。

全商品に対応する余力がない場合は、仕入れ戦略と絡めつつ、よく売れる5~10くらいの主力商品を徹底的に深掘りすることから始めてもよいと思います。フォーカスする商品についてはなるべく大ロットで発注して、コストダウンを図りつつ、品切れで販売チャンスを逃すということのないように備えてください。

ビジュアル面について、1商品につき1ページ用意するとしたら、画像は最低でも何枚くらいあるといいですか?

商品画像は多ければ多いほどいいです。ノートパソコンなら、デスクに置いた画像や、開けたときと閉じたときの画像、膝に乗せている画像、ペットボトルや財布などを横に並べた画像など、ユーザーが日常で使っているシーンや使用感をなるべく想起しやすいように、いろんな画像を用意してください。これを真っ当にやると、画像枚数はすぐに10枚、20枚に達します。ただ、同じような画像を複数枚載せても意味がないので、ユーザーが気になりそうなポイントに絞り込む必要があります。

最近は動画が人気ですが、やはり商品ページ内での動画へのニーズは高いのでしょうか。

動画は、商品にもよりますが、載せていると視聴回数が結構多いのでニーズは高いと思います。コスメなら使い方とかテクスチャー感とかが伝わりやすいですし、食器ならなにも乗せていない状態から料理を盛り付けるまでの流れを見せることもできます。動画は視覚的に伝えられる情報量が多いので、確実に喜ばれていますね。

商品ページ以外にも何か取り組んだ方がいい施策はありますか?

「特定商取引法に基づく表記」に準じて、運営者情報を明示することも大事です。特商法に関する部分で手を抜くとSEO観点では間接的によくない影響が生じる可能性があります。また会社や店舗など拠点がある場合、Googleマップにも会社や店舗の所在地を掲載したり、電話番号を明記するなど、必要な情報はもれなく正確に記載してください。プラットフォーム側のフォーマットであまり載せられない場合は、アバウトページなどを充実させるのもいいですね。

加えて、ネットショップオーナーさんの経歴や会社の沿革、商品開発秘話などを載せることも有効です。「過去の経験を活かして今このお店をやっています」というようなエピソードを読んで、心を動かされるユーザーは多いと思います。

あと、もうひとつおすすめなのが、取引のある業者さんとの相互リンクをお勧めします。ショップ同士も大事ですが、仕入れ先のメーカーや卸売会社、製造を発注している工場などとも相互にリンクを張ったほうがいいです。

理由は、検索エンジンは陸の孤島のようになっているWebサイトを嫌う傾向にあり、どこともつながりのないサイトはスパムじゃないかと警戒されるからです。評価もなかなか上げてもらえなくなるので、取引のある企業とはオンライン上でもつながって、事業実態のある健全なサイトであることを示す必要があります。

リンクの設置場所は、サイドバーやフッターなどでもOK。それと、せっかく相互リンクを設置するなら、「こちらの工場から仕入れさせていただいています」といった紹介ページを作るのもいいですね。ショップの信頼性も上がりますし。

SEOにコストをかけられない場合、ほかの対策で補えるとしたらどんな方法がありますか?

SEOにおいて商品ページを充実させることは最低限必要なことですが、1ページを作り込むにも人とお金と時間を要します。古着屋さんのように1点モノのユーズド商品を扱うショップが、1点のために膨大なコストをかけられるかというと、現実はなかなか難しいでしょう。

そういった意味でもSEOは贅沢品なので、個人的にはSEOをやる前にSNSの運用を始めたほうがいいと思っています。とくにライブ配信はおすすめです。クライアントさまに対しても「通信環境が整ってきた今はライブ配信の時代。SEOはあとからでもできるので、先にそっちを覚えたほうがいいですよ」とアドバイスしています。

SEOよりもSNSを優先するメリットはなんですか?

インターネット上で何か物が売れる流れの1つの例として、「SNSで商品について浅く知る」⇒「より興味を持った一握りの人がサイトに訪れる」⇒「商品情報を確認して理解を深める」⇒「よし、これは私がほしいものだと判断して買う」という物があります。お店や商品の存在を知るきっかけはSNSであることが多いので、SNSの運用から始めるのが得策ですし、SNSで収益を作ってからSEOに移ったほうが順番としてもきれいです。

よく例えるんですけど、SNSが身近な商店街だとすると、SEOは表参道や丸の内で出店するようなもの。家賃は高く、出店したとしても大手メーカーやブランドがひしめきあっているなかで経営するのはなかなか厳しい。だったら先に商店街で収益を作るべきですよね。

それと、最初の売上が立つまでにコストがかかるのは圧倒的にSEOでかけた工数に対するリターンも得にくいケースが多いため、本格的にSEOに取り組むのは駆け出しのネットショップさんにはおすすめできません。その点SNSは、それほどコストをかけずに運用できて効果も出やすいので取り組みやすいといえます。

また、SNSは直感的に使いやすいのもおすすめできるポイントです。お店の日々の様子や、その日にだけ入荷したおもしろい商品の写真・動画を投稿したり、実店舗がなくても、倉庫に届いた在庫の山を撮影して「新商品入荷しました」とお知らせしたり。先行プレイヤー(競合)のやっていることをできる範囲で真似しつつ、実況中継の場として使えばいいので、運用の難易度もそんなに高くはありません。

一方で、SEOは機械的かつ論理的な情報の構築が必要になることがほとんどです。競合の真似をするにしても幅広い知識を要するので、現実的にはプロの目が入らないと難しいでしょう。

SNSで収益を得て、さあSEOをやろうとなった場合、費用はどれくらい見ておけばいいですか?

個人的にはSEOは月に約100万円がスタートラインです。このくらいの費用を捻出できるようになったら、SEOの専門家に相談するか、個々の商品ページを作り込んでくれる人に外注するか、いずれかの方法でSEOに取り組み始めてもよいかもしれません。

おおきさんおすすめ!SEO以外でネットショップオーナーにぜひやってほしいのは「ショート動画」

SEOのお話を中心にお伺いしてきましたが、SEO以外にネットショップオーナーが取り組むべきおすすめ施策はありますか?

先ほどライブ配信がおすすめといいましたが、最低限やっておいたほうがいいのはショート動画の投稿です。ショート動画は一目で商品特性などがわかりやすいんですよね。

TikTokは踊っている動画ばかりの印象があるかもしれませんが、商品の使い方を15秒程度で説明している動画も多く、そこから商品が売れるケースが増大しています。Instagramでも、近年はリール機能が使えるようになったり、発見タブにショート動画も表示されるようになったりしていることから、ショート動画推しなのは明白です。なので、ビジュアルにインパクトのあるショート動画を投稿できるように、日ごろから自分の商品の「撮れ高」を意識して、撮り慣れておくとよいと思います。

「撮れ高」の1つの指標としては、例えば「その商品の使い方が分かる動画」と考えると良いかと思います。お皿なら盛りつけの事例をたくさん撮る、包丁ならきれいに切るだけのシーンを繰り返し撮影するなどして、より魅力的に撮れたものを投稿してもよいかもしれません。ユーザーに評価される動画のクオリティーは、競合の投稿動画を見ていればある程度は自然にわかってくるので参考にしてみてください。

なぜショート動画やライブ配信といった「動画」が効果的なのでしょうか?

一説によれば、動画はテキスト(文字)の5000倍の情報量があり、態度変容、いわゆるユーザーの心の変化が起こりやすいといわれています。テキストでは、購入に結びつくまでに長い時間がかかりますが、情報量のある動画では、モノを買うまでの距離が縮まりやすく、一瞬で買おうと思う気持ちに到達することがよくあります。

また、Googleが提唱している「パルス型消費行動」という概念を知っていますか?スマホ世代では、空き時間にスマホを見ていて急に買いたい気持ちが高まり、偶然に知った商品をためらわずに即購入するという行動を起こしやすいといわれています。見ているものが動画であれば、さらに購買行動が促進されそうだと想像できますよね。

私が運営しているオンラインショップやコンサルの現場でも、InstagramやTikTokのユーザーがコンテンツを流し見していて商品を知り、ほしいと思ったらすぐに買うという行動が多いなと感じています。それらはショート動画起点で起こることは多いですが、画像ではあまり起こらない。そのくらい動画の効果は大きいです。

つけ加えていうと、Instagramでは、広告などで商品を知った瞬間にいきなり買うという行動変容が起こりやすいプラットフォームであることを公言しています。Instagramを見ているユーザーは、できればそこから出たくないんですよね。ほしい商品や行きたいお店があればその場で買ったり予約したりして、再び別の投稿を見続けたいという人が多いです。ネットショップのオーナーさんは、ショート動画を投稿するだけでなく、Instagramで購入や予約ができるようInstagramショッピングの導入や自社LPへの導線などもInstagram上に作っておいたほうが売上につながりやすくなると思います。

なるほど、動画というと何を配信したらいいのかわからないと敬遠したり後回しにしてしまいがちですが、商品をつかっている様子を短い時間で公開することから始めてみるのもよいですね。

そうですね。今のInstagramやTikTokは、10年ほど前にインターネット上でもてはやされていたSEOのように、参入が比較的簡単で、まだ競争がそこまで激しくない領域が多く残されている状態にあります。おそらくあと数年すれば、これらプラットフォーム内での集客手段も贅沢品になってくるので、やるなら今ですよということもお伝えしたいですね。

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