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片方だけではもったいない。ハンドメイドマーケットとネットショップを併用する『オーダーメイドジュエリー工房リパッティ』のショップ運営術

いつも画面越しに見ているネットショップのむこうには、想いのつまった“モノ”とそれを届ける“”たちがいます。このコーナーでは、知られざる商品開発ストーリーやお店の裏側に迫る現場レポートをお届けします。
今回ご紹介するショップ
宮城県仙台市に実店舗を構える『オーダーメイドジュエリー工房リパッティ』。「minne」を始めとする複数のハンドメイドマーケットへの出品と、カラーミーショップを使ったネットショップ運営をされています。今回は代表の草刈 美智子さんに、minneとカラーミーショップを併用するメリットやショップ運営のコツについて伺いました。

できるだけチャネルを広げたかった

まずは、ハンドメイド販売を始めたきっかけを教えてください。

私は宮城県塩竈市出身で、大学から東京に出ました。
東京で子育てをしているときに、東日本大震災があって地元が甚大な被害を受けたんです。その状況を見て、自分にできることはないかと模索し始めたのがきっかけです。

草刈 美智子さん

当時は料理がとても好きだったので、オリジナルレシピを毎日ブログに投稿しようと決めました。それが軌道に乗って、一日に数千件のアクセスが来るようになったんです。そこで、レシピ以外にも読者さんに何かできることはないかなと、自分で作ったハンドメイドを公開するようになりました。

お料理が先だったんですね。

そうなんです。レシピから始まって、ハンドメイドについても書くようになって、それを買ってくださる方がいて。
ですので、ハンドメイドマーケットへの出品もスムーズに始めることができました。国内のハンドメイドマーケットには、ほぼ出品しています。

minne店

さらに、カラーミーショップも併用されているのはなぜですか?

写真と文章をコピーすればいろいろなサイトに出せるので、できるだけチャネルを広げたかったというのが一つです。
minneはイベント会場にブースを出しているイメージで、さまざまな作品・作家さんに出会えるという演出がされています。カラーミーショップは自分のお店を好きなようにできるイメージで、母体の哲学がそれぞれ違いますよね。双方のいいとこ取りをしています。

minneとカラーミーショップのいいところについて、詳しく教えていただけますか?

minneは特集等に掲載されたら知名度がグンと上がって、いろいろな作家にチャンスをくれます。カラーミーショップはクーポンやメルマガを発行することで、リピーターの醸成ができます。片方だけではもったいないと感じますね。

minneで出会って、カラーミーショップでリピーターになっていただくイメージでしょうか?

その逆もあります。キャンペーンをしていて一番安いところから買うという方もいらっしゃいますし、アプリがあるところで買うという方もいます。

販売チャネルを多くもっていると、購入者が買いやすいところを自分で選べるんですね。
現在はminne、creema、iichiに出品されていますが、カラーミーショップの顧客層と違いはありますか?

ジュエリーアクセサリーの視点になりますが、minneは賑わい感が強いです。エキセントリックな作品も見てもらえますし、文化的許容範囲が一番広いと感じます。カラフルで元気で楽しそうで、とにかく使って楽しみたいという比較的お若い層かもしれないですね。

また、creemaは少し大人っぽいものが選ばれる印象があり、iichiは芸術・伝統的なものが好まれるように感じます。

カラーミーショップは、とにかく当方を好きでいてくださる方が会員登録してくれていると捉えて「本店」と呼んでいます。

なるほど、属性が異なるのですね。本店の機能でよく使うものはありますか?

カラーミーショップは過去の取引を参照できるのがいいですね。ハンドメイドマーケットは一定期間で削除されてしまいますので、お客さまとより深い関係性を築けるのは本店の強みです。

クーポンやメルマガ発行機能も使っています。作家さんはイベント出店があったり、物があったりなかったりと、それぞれに事情があると思いますので、自分たちの売りたいタイミングで販促をフルコントロールできるというのは助かります。

在庫のオペレーションのしやすさも本店が便利です。現在のように資源高や為替相場の影響で全作品を値上げするとなったとき、一つ一つ変更しないといけないハンドメイドマーケットは大変です。カラーミーショップなら商品データをCSVファイルでダウンロードして編集すれば、一括で上書き更新ができます。2つを使い分けることで、何かあったときのリスク分散にもなりますよね。

複数のチャネルで販売をする在庫管理のコツ

複数のチャネルで販売をすると、在庫管理も大変ではないですか?

大変ではありますが、ちょっとしたコツで対応しています。
10個分の材料があった場合、小ロットの作家さんは10個作って在庫表示を「10」にして販売しようと考えると思います。
しかし、うちのように複数のチャネルで販売していると、完成品をたくさん作ってから売っていてはペースが遅くなってしまいますし、一晩でバズって合計10個を超える注文が入るようなことが起きたら、過剰受注でお客さまに謝らなければいけません。

そうならないために、在庫表示を「1」にしておくんです。1個受注があったら在庫「0」で売れなくなる。次の作品を確実に作れるタイミングがきたら在庫表示を「1」に戻します。
私たちは4つのECサイトと実店舗の合わせて5箇所で販売をしていますので、1個ずつ置いているとしたら、残りは5個。残りが5個を切ったら、作品のタイトルに☆マークを付けます。☆マークが付いている作品は補充しないルールにすることで、過剰受注をすることなく在庫がなくなっていく仕組みです。

タイトルに☆マークを付けて在庫を管理

このように、1個ずつ注文を受けて出すようにすることで、何店舗増えても大丈夫です。

確かに、すべてのチャネルの在庫が1個ならパニックにならないですね。

そうなんです。大きな改善策ではないですが、ハンドメイド作家さんでminneとカラーミーショップに出したいという方には必要な仕組みかなと思います。

毎日新作を出してニュースを細かく作る

minneで売れるようになったきっかけってありますか?

これといったきっかけはあまりないんです。毎日1個のペースで新作を出していて、大変ですが、めげずにやっていることが売上に繋がっているんじゃないかと思います。

毎日新作を出そうと思われたのはなぜですか?

料理レシピのサービスに投稿していたときの経験からです。アクセス数や影響力が分析できるようになっていて、毎日レシピを投稿することが効果的だと知っていました。
実店舗と違ってネットショップは通行人がいないので、「あ、また新しいのが出たんだ」と足を止めてもらうために新作を出してニュースを細かく作っています。今日獲得したアクセス数を明日に繋げる、それを止めなければ常に見てもらえると思って、地道にやっています。

あとは、ハンドメイドマーケットで「秋だから黄色かオレンジの新作を特集しよう」となったときに、毎日いろんな色の作品を出して新作の一番最後に上がっていれば、運営の方の目に止まってピックアップしてもらえるかもしれないですよね。そんなふうに勝手に想像して頑張っています(笑)。

その想像、当たっていると思います(笑)。

新作を毎日作って、4つのECサイトに掲載するのは手間がかかりませんか?

1サイト3分でやれば、15分ほどでできます。15分で違う属性のお客さまにリーチできます。

たった15分なら、やらない手はないですね。リパッティさんはminneもカラーミーショップも口コミと丁寧な返信が非常に印象的ですが、口コミの収集で工夫をされていることはありますか?

口コミのマーケティングは何もしていないです。ジュエリーはプレゼント需要がとても多いので、プレゼントの相談に細やかに対応することが口コミに繋がっているとしたら、ありがたいですね。
当方はオーダーメイドと銘打っているので、サイトに載せている既製品であってもアジャスターをつけたり、長さを変えたり、他の作品の金具と交換したりと、かなり細かく相談にのります。
そういったところで、いいお買い物体験になるといいなとは思っています。

お買い物体験と言えば、リパッティさんは梱包も評判ですよね。minneの作家活動アドバイザーの和田も「簡潔だけど簡素ではなく、ブランドの雰囲気を活かしつつ必要な情報が詰まっていて、とても工夫を重ねられたと感じる」と言っていました。

光栄です。和田さんの大ファンなんです。
梱包は注文を受けるメンバーが、お客さまの気持ちを汲んでやってくれています。うちの梱包はきれいすぎて、私にはできないんですよ。自分で結ぶとその域に追いつけなくて。

梱包が素敵だと、プレゼントをあげる方ももらう方も嬉しいですね。

開けるときが一番、お客さまが盛り上がるときだと思うので。そのときに、うちらしさが表れていると嬉しいですね。

「ネットショップの見え方」は作品の一つ

まだネットショップを開設されていない作家さんに向けて、サービス選びのコツや注意点、アドバイスなどあればお聞かせいただけますか?

ハンドメイドを販売する私たちにとって、「ネットショップの見え方」は作品の一つだと思います。どんな印象を演出したいか、どんな作品を売っていきたいか、そんな可能性が広げられるサービスを選んで欲しいです。

カラーミーショップを使っているネットショップは、一社ずつ明確に特色が出せていて、受ける印象が全然違うんですよね。これは各社が素晴らしいということのみならず、カラーミーショップの受け皿が広いということだと思います。
他のネットショップ作成サービスを使ったサイトも見ていますが、やっぱり印象に残る本格的なサイトはカラーミーショップが多いです。

お褒めいただき、ありがとうございます。
最後に、リパッティさんの今後の展望について教えてください。

実店舗は直接のやりとりができるので、修理やリメイクなど「ちょっとここ直して」というノリでお立ち寄りいただけたら嬉しいですね。リサイクルの時代ですので、お譲りのジュエリーや昔のジュエリーなど、どんどんお持ち込みいただければと思います。

オンラインの方は実現しつつある夢ですが、やはり越境ECです。日本ならではの細やかさ、気配り、感性によって作られる繊細な天然石ジュエリーは、台湾や香港からもご注文があります。SNSではボーダレスに情報を発信できますので、今の環境を活かして全世界にジュエリーを発信したいです。

また、オーダーメイドジュエリー工房を会社名にしたからには、あらゆるオーダーにお応えしたく、さまざまな技術を模索中です。彫金や造形の高度な技術のみならず、コロナ禍はヘアゴム、ヘアピン、バレッタ、ヘアカフなど天然石を用いたヘアアクセサリーも好評で、70作品以上のラインナップが順調に増えています。

今後は、貴金属とダイヤモンドを通貨のように販売するジュエリーショップのイメージから、「新しい作品がいつもある」、「自分好みに変えられる」、「やりとりをして作っていける」、「見たことのない作品がある」、「季節性がある」そんなイメージの工房作りをしていきたいです。

これからがますます楽しみです。本日はありがとうございました!

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