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補助金を受けてネットショップを15年ぶりにリニューアル! 『京都縮織 山城』さまインタビュー

いつも画面越しに見ているネットショップのむこうには、想いのつまった“モノ”とそれを届ける“”たちがいます。このコーナーでは、知られざる商品開発ストーリーやお店の裏側に迫る現場レポートをお届けします。
今回ご紹介するショップ
創業70余年、京都ちぢみ織専門ブランド『京都縮織 山城』のネットショップ。ステテコをはじめとする京都ちぢみを使ったオリジナル商品を開発・販売しています。
今回は代表取締役の稗 真平さんに、中小企業デジタル化推進事業補助金を受けてのリニューアルについて伺いました。

株式会社山城について

株式会社山城について教えてください。

山城は創業70余年の歴史ある縫製会社です。初代社長が布帛品縫製の依頼を受ける縫工所として創業し、刺繍やカッターシャツ、レザーウェアなどを縫製していました。

代表取締役の稗 真平さん

1956年、高級品だった楊柳生地の肌着が一般にも普及し始めたことから、同素材に特化した下着の縫製業に業態を変更しました。これが、現在の山城の定番商品であるステテコやインナーへと繋がります。

その後、高度経済成長とステテコなどの普及に伴い、綿クレープ肌着の受注は徐々に増加しました。しかし、時代の流れと共にステテコの需要が減ったため、私の代に自社ブランドを立ち上げて、独自開発した楊柳生地である「京ちぢみ」を使ったTシャツの発売を始めました。お客さまの声から商品企画を進めて、今では多くの商品を取り扱っています。

独自開発した「京ちぢみ」とはどのような素材ですか?

もともと、ステテコの生地として愛用されていたものです。綿や麻を使って横糸に強い撚り(ねじり)をかけることで、伸縮性が生まれます。軽くて薄く、独特の凹凸構造で肌との接触面積が少ないため、快適な着心地を実現した素材です。

ステテコの生地と言われてピンときました。自社ブランドを立ち上げて、Tシャツを販売されたのはなぜですか?

時代の流れのなかでステテコの需要が減少し、このままではこの技術もなくなってしまうのではと思ったんです。現在は肌に直接触れるインナーや下着はもちろん、ちぢみ生地の特性を生かしたカットソーやボトムスも作っています。

15年前に始めたネットショップ

ネットショップを始めたのはいつですか?

約15年前です。最初は商品登録の方法も分からないところから一人で運営し、カラーミーショップに何度も問い合わせをして、教えてもらいながらやってきました。売上もほとんどなく、手探りで試行錯誤を繰り返していました。

そこからどのようにして売上を伸ばしたんですか?

フリーページなどカラーミーショップのあらゆる機能を駆使して、ショップを少しずつ充実させていきました。また、効果的な広告の運用をしたり、百貨店での催事を通じて、実際に生地のよさや着心地のよさを体感していただくことで徐々に売上が伸びていきました。

カラーミーショップをお選びいただいた理由を教えてください。

当時はネットショップの作成に莫大な費用と専門知識が必要でした。そんなときにカラーミーショップを見つけて、低コストで導入することができました。カラーミーショップがなかったら、私たちのような中小企業はネットショップにチャレンジもできていなかったと思います。

補助金を受けてネットショップをリニューアル

今回、ネットショップをリニューアルしたのはなぜですか?

コンテンツを増やし過ぎたというのが一番のきっかけです。お客さまからの質問にお答えしたり、私たちからも生地の特性やこだわりを伝えたいという思いが溢れて、どんどんページが増えて分かりにくくなっていました。

リニューアル前のトップページ

また、Instagramの更新をスタッフに任せることでフォロワーが増えたのはよかったんですが、Instagramからネットショップに辿り着いてからの離脱率が高いことに気がつきました。リピーターは多いけど、新規が取れていなかったんです。それで、もしかしてネットショップが見づらいのではないかと思いました。
よりシンプルでお買い物しやすいサイトにするために「ネットショップを整理して、購買層を10歳若返らせる」ということに狙いを定めて、具体的な数字や目標を明確にしました。

15年間運営してきたサイトのリニューアルは、かなり手が掛かることだと思います。リニューアルを決定づけた出来事はありましたか?

一人で始めて大きな予算をかけて来なかったサイトなので、リニューアル費用の捻出には頭を悩ませていました。そんなとき、京都市が創設した「中小企業デジタル化推進事業」という補助金を知って、これを活用しようと思ったんです。

なるほど。補助金の申請にはどのくらいかかりましたか?

申請書に2日、公的機関の書類を揃えるのに3日ほどかかりました。書類は補助金交付申請書、事業計画書、事業収支予算書、事前着手届、専門家からの意見書、補助対象経費の価格が分かるもの、法人登記事項証明書です。
その他に、山城が夢を叶えるためには何が足りなくて何があれば実現可能か、補助金を受けた場合にどのような効果や成長があるかを書面で提出しました。

正直、手続きに関する書類の準備は大変でしたが、書類を作る段階で自分の頭のなかが整理できたのはとてもよかったです。補助金を受けられることで思い切ったリニューアルにも踏み切ることができましたし、今まで以上に生地へのこだわりや日本古来の生地を守るという責任感が生まれました。

リニューアルを後押ししてくれた補助金ですが、中小企業デジタル化推進事業のことはどこでお知りになったのでしょうか?

うちのような小規模企業が拡充するためには、補助金や助成金が欠かせません。うまく活用して社会に貢献したい、そんな思いから補助金・助成金の情報は日々、細かく収集しています。知り合いの経営者との雑談から知ることもありますし、各行政のホームページもチェックするようにしています。
今回の前にも、コロナ対策として店舗で導入したアルコール消毒やチラシ、広告などの費用を補助してくれる制度に申請しました。このときに、補助金を大切に使うことで自社の成長と社会貢献に繋がることや補助金という仕組みへのありがたさを実感したことで、今回の申請にもチャレンジできました。補助を受けることで責任感も生まれますし、素晴らしい制度だと感じています。

制作会社はどのようにして決めましたか?

知り合いや紹介を通じて、さまざまな会社と面談をしました。分かりやすくシンプルにするためのリニューアルでしたので、どんどん増やしたページのうち何が必要で何が不要かを判断できるアナリティクスの解析に長けていること、リニューアルの経験値が高いという点で『株式会社これから』さんに決めました。担当営業の方の熱意が気に入ったというのも大きいです。

実は、ネットショップ作成サービスについても、この機会にカラーミーショップから別のサービスに変えることも考えました。大きなリニューアルですから、本当にさまざまな角度から悩みましたね。

おっと! 他サービスへのお引越しも考えられたとのことですが、カラーミーショップに留まっていただいた理由は何ですか?

越境ECも目指していますし、送料などの細かな設定ができるという情報もあって、外資系のサービスに乗り換えようかと悩んだんです。しかし、長く使ってきて使い勝手がよくわかっていたことと、困ったときのサポートがいつも丁寧だったのでカラーミーショップのままで行くことにしました。
欲しい機能についても、調べてみるとカラーミーショップのアプリストアに揃っていることを知りました。
制作会社のこれからさんもカラーミーショップでの制作に長けていて、安心感も大きかったです。

越境ECに関しては、カラーミーショップと一緒に成長していきたいなと思っています。

ありがとうございます。これからさんとはどのように話し合いを進めましたか?

スタッフも交えたオンライン会議が中心ですね。こちらのこだわりや、やりたいことはもちろん、これからさんが分析した数字をベースに現状の問題点を洗い出してもらうことで、合理的に話し合いができました。
また、細かな連絡ややり取りにはチャットワークを使っています。リアルタイムで相談できて、スタッフ同士にも信頼関係が生まれたように感じます。

リニューアルで新たに挑戦したことはありますか?

独特の個性がある日本古来の生地を使っているので、生地ごとの特性を分かりやすく伝えるためのコンテンツを増やしました。それに伴って、プロのカメラマンに生地アップの写真撮影を依頼しました。

また、商品紹介だけでなく、スタイリストさんに来ていただき、お手持ちの服に合わせていただけるような着用シーンの提案も入れました。これまでの経験からさまざまな需要があることは知っていたので、具体的な着用イメージを見せることで伝わりやすくなったと思います。

明確な目的があってサイトを訪れる方も多くいらっしゃるので、迷子にならないように入り口部分にも着用シーンを入れています。情報を整理したことが新たな商品開発のきっかけにもなり、現在は新商品を開発中です。

とても見やすくなりましたよね。逆に苦労されたことはありますか?

一つは、スタッフ間での意識共有でしょうか。現在のスタッフはパートさんの3名体制で、なかなか全員で集まる機会がありませんでした。ブランドに対するイメージが共有できなかったり、自分の考えをうまく伝えられないこともあったので、リニューアルをきっかけに全員が集まって話す機会を設けました。
現在はコミュニケーションが増えて、みんなの考えや問題点が明らかになりました。反対に、スタッフがブランドのことを想像以上に考えてくれていて感動したりと、今まで気づかなかったことが知れるようになりました。

もう一つは、必要なページと不要なページが分からなかったことです。よかれと思って15年の間に積み上げてきたページがたくさんあり、整理しようと思ったら取捨に悩んでしまったんです。
そこで、これからさんにアナリティクスの解析をしてもらって、数字をベースに選定することになりました。これはとてもよいプロセスで、データを元に判断することの大切さを実感しました。

今後の展望について

リニューアル後の売上目標はありますか?

売上の200%アップを目指しています。そのために、Google アナリティクスの解析から写真の撮り方まで、これまで培ってきた運営ノウハウを活かすつもりです。
また、リニューアルでカテゴリーが選びやすくなったのに伴って、社内のオペレーションも分かりやすくシンプルにすることが大切だと感じるようになりました。社内体制を整えるために、スタッフにもミスなくスムーズに配送するための仕組み作りを考えてもらっています。

ネットショップの今後の展望があれば教えてください。

リニューアルをきっかけに問題点の洗い出しができ、シンプルで買いやすいサイトになりました。今後は今までの経験を生かしながら、新規顧客の獲得に踏み出したいです。例えば、LINEやInstagramなどのSNSで日本古来の生地のよさを伝えてファンを増やしたり、ファクトリーブランドとしての製品へのこだわりを守ったり。
また、越境ECにも挑戦するために、次なる準備も進めていきます。やりたいことは山積みです。

リニューアル後の広告やキャンペーンは考えていますか?

そうですね。新しくなったサイトを既存のお客さまにもご覧いただきたいですし、これを機に興味をもっていただけるよう、プレゼントキャンペーンなどをスタッフと考案しています。それに合わせて必要な広告も出す予定です。

リニューアルを考えている方に伝えたいことはありますか?

ネットショップといえば自社でカートシステムを作るのが通例だった時代に、デザイナーさんに勧められて導入したカラーミーショップ。運営開始から15年経った今も色褪せない機能と、時代に応じたアップデートには感服します。今からネットショップを始めたい!という方から、年商何十億を売り上げるショップにまで対応できるカラーミーショップはすごいですよ。

ネットショップ運営は、大変な開店準備作業の後が本当のスタートラインです。気軽にネットショップを始められる時代ですが、そのぶんお客さまの目が肥えているのも事実。
マニュアル本を手に取ると、「新規のお客さまをどうやって獲得するか?」「売上単価はどうしたら上がるか?」 といったことに走りがちですが、年商何十億を売り上げるショップも最初は1人のお客さまから始まったはずです。その最初を大切にしたからこそ、今がある。いつも最初の1人を思い出し、「ファンになっていただいたお客さまに、お買い物を楽しんでいただくには?」「 商品をもっと好きになってもらうには? 」と考えて、アップデートしていくことがネットショップ運営には大切です。

お客さまを第一に考えたショップ作りが、自ずと売上につながっていくということですね。

私自身、リニューアルを通して初心を忘れないことの大切さを感じました。デザインは新しくなっても、お客さまへの想いは変わらないですし、今まで以上にお客さま想いのネットショップを目指そうと思います。

これからが楽しみですね!

リニューアルを担当した制作会社これからさんにお話を伺いました

リニューアル時に提案したことを教えてください。

山城さまのネットショップは長年運用されていたこともあり、整理が必要な状況でした。業務改善からサイト改善まで、ヒアリングやアナリティクス解析を用いて細かい部分まで把握させていただいた結果、多くの伸びしろを発見でき、今後のEC戦略なども交えてご提案させていただきました。

リニューアルで大切にしていることを教えてください。

現状の顧客を逃がさないように心がけながら、新規顧客獲得が可能な構成を考えています。山城さんがこれまで培ってきた運用知見も多くありましたので、そこに最新のEC戦略を充てさせていただくことで、よりインパクトを残すリニューアルになるよう心掛けました。歴史あるサイトのよさをなくさないようにと、自社でもディレクターと打ち合わせを重ねました。

リニューアルに向けて動き出してからはいかがでしたか?

山城さんの現場スタッフのみなさまとのコミュニケーションを密に取り、オペレーション負荷に関しても話し合いながら進めることができたので、とてもスムーズでした。
また、スタッフのみなさまもお忙しいなか、体調をお気遣いいただいたりなど温かい気持ちで作業を進めることができたので、大変助けられました。

リニューアルを相談する

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