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この春ついにEC進出!「クリスピー・クリーム・ドーナツ」顧客の心を満たす大胆なポリシーとは

いつも画面越しに見ているネットショップのむこうには、想いのつまった“モノ”とそれを届ける“”たちがいます。このコーナーでは、知られざる商品開発ストーリーやお店の裏側に迫る現場レポートをお届けします。
今回ご紹介するショップ
世界33ヶ国に約1,400店舗を展開するアメリカ発のドーナツストア。2006年に国内1号店をオープンし、日本で根付いていたドーナツの既成概念に一石を投じる存在として、大きな話題となりました。今回は、日本初上陸から約15年間の軌跡や、ブランディングにおけるポリシー、そしてこの春開店したネットショップの反響などについて伺います。

マーケティング部 ブランドマネジメント PR担当 関舞奈さんにお話を伺います

お問い合わせから約1カ月でネットショップ開店

5月にネットショップをオープンされて、お客さまの反響はいかがですか。

TwitterやInstagramで告知をさせていただいた際の反響がとても大きく、投稿した直後から多くの方にご注文をいただきました。

以前から通販の要望は多かったのでしょうか?

「ネット通販をしてほしい」などの具体的な要望というよりは、特にSNSで「近くにお店がないので行けません」や「地元にオープンしてほしい」といった声が非常に多かったんですよね。

EC進出の話自体は数年前から社内でも持ち上がっていましたが、私たちの扱うドーナツは、基本的に当日中のお召し上がりを推奨しているので、どうしても配送面がネックになってしまいます。なので、ラスクのような日持ちする商品を開発しつつ、海外店舗のようにオリジナルグッズを揃えたショップを始めてみたいねと。具体的な話としてはなかなか進んでいませんでしたが、中長期的な目標の一つとして計画していたところでした。

そこから急ピッチで開店へと至ったのは、やはりコロナの影響が?

そうですね。やはり実店舗を休業せざるを得ない状況の中で、私たちの商品をどうすればお届けできるのかと考えたとき、新しい販路としてECが最適ではないかということで、急きょテスト的に始めることになりました。

実店舗の新商品やキャンペーン情報は、近くにお店がないと「今度行ってみよう」といった感じでタイムラグが発生してしまいますよね。今回ネットショップを始めてみて、告知を見たらそのまま注文していただける、ネットならではの利便性を強く感じました。

今回の開店に際し、カラーミーショップを選んだ理由を教えてください。

開店にあたっては、とにかくすぐに始められること導入費用の安さを重視していました。普段お付き合いのある制作会社さんにヒアリングをしてみて、初期費用がグッと抑えられるカラーミーショップを推薦していただきました。
モール出店も検討はしましたが、どうしても決められた枠組みの中でのデザインになってしまう印象でした。なので「クリスピー」らしいデザインにできて、カスタマイズの自由度が高いカラーミーショップで始めてみようかと。

ありがとうございます。初めてカラーミーショップにお問い合わせをいただいてから約1カ月でのオープン、とても速くて驚きました。社内の反応はいかがでしたか?

いろいろと決めなければならないことが多かったので、タスクをすべて洗い出して一つ一つ決裁をとっていくという流れで進めていきましたが、この状況下なので、EC運営へのチャレンジに関して社内の賛同を得られていたのは非常に大きかったなと思います。

ネットショップを始めてから、社内の動きや空気に変化はありましたか?

私たちは店舗ビジネスをやっている会社ですので、コロナ禍で今後どうなってしまうんだろう…といった不安は誰しもあったと思います。そんな中で販売チャネルを新しく増やせたことにより、会社全体に向けて「環境に適応していく」というメッセージを届けることができたかなと感じています。

…意外な発見としては、うちの社員もけっこう利用していることですね(笑)。
今までは家族や友人が地方に住んでいると、自分たちの商品を食べてもらうことが難しかったので、ネットショップができて以来、全国発送できるラスクをギフトなどに利用している社員が多いようです。

スタッフの皆さんも自社の商品が大好きなんですね!

お腹と心の両面を満たす「クリスピーらしさ」

自宅用とギフト用、今はどちらの需要が高いですか?

オープン当初はご自宅用に購入される方が多かったです。父の日ギフトなどの告知を行ったこともあり、最近は少しずつギフトとしてもご利用いただけるようになってきましたね。

クリスピーのドーナツは見た目もかわいくて、独特の高揚感がありますよね。

そうですね。ただドーナツを食べてお腹を満たすだけでなく、誰かに贈ったりみんなでシェアすることで、心も満たせるようなブランドにしていきたいとは常々考えています。

あえて平置き型の箱で販売しているのも、そのための仕掛けの一つです。
人が集まってきてドーナツの箱を開けた瞬間、「わーっ!」と歓声が上がるようなシーンをイメージして、デコレーションがよく見えるように平置きにしています。縦置きもコンパクトですし、持ち運びや配送も経済的なんですけどね。

日本では珍しい平置き型のパッケージ

日本初上陸から約15年。連日大行列のブームが落ち着き、一時は「低迷」と呼ばれることもあったと伺っています。再びの人気を目がけて行った施策について教えてください。

以前は新規出店による成長を基軸としていましたが、ブームが落ち着いた時期は既存店舗の強化に力を入れました。何か特別な施策をというよりは地道な取り組みの連続でしたね。

それまでは新規のお客さまをどう引き込むかというコミュニケーションが中心だったんですけど、万人受けを狙っていくよりは、すでにファンでいてくださっている皆さんの熱量を上げる方向にシフトしていきました。

日本人好みの商品を開発したりもしたそうですね。

そうなんです。ドーナツが甘すぎるというご意見に沿ってただ甘さ控えめにするだけなら簡単な話ですが、マスに寄せすぎてもファンの方を裏切ることに繋がってしまうので、そのあたりのバランスにも気を配りながら商品開発を続けています。

世界中どこの店舗でも楽しめるクリスピー・クリームならではの味は残しつつ、その時々の市場トレンドや、日本のお客さまの味覚に合った商品を展開することを重視していますね。

今日に至るまで、「ここだけはブレさせたくない」というポイントはありましたか。

すごく曖昧な概念なんですが、わたしたちが「クリスピーらしさ」と呼んでいるものだけはブレないようにしたいなと。

クリスピーらしさ。

いくつか要素がありまして、一つは《人を喜ばせる》こと。ドーナツを通して皆さんに笑顔になってもらう、少しでもハッピーな気持ちになってもらうというのは一番大切にしているところですね。商品作りや店舗サービスにおける重要な軸になっていると思います。

あとはアメリカンでポップな《ビジュアル》、そして《大胆さ》ですね。たとえば新店舗がオープンしたときって、どこのお店でも「おひとついかがですか」って商品サンプルを配りますよね。あれ、クリスピーでは新規エリアに出店する際、12個入りの箱をまるごとプレゼントしちゃうんですよ。

えっ!

わたしも入社当初はびっくりしました(笑)。
なぜそうするかというと、ドーナツは1個だけもらっても自分だけで食べて終わりなんですよね。一箱ももらえば必ず「みんな見て! 今もらっちゃったから食べよう」とシェアしたくなるじゃないですか。先にお話した《人を喜ばせる》にも通じますが、ドーナツをシェアする時間をより楽しんでもらうために、こういったサプライズ企画をさせていただいてます。

すごいサプライズですね…!

今でも毎回ドキドキしちゃいます(笑)。

ネットショップで目指す未来の形

今後、ECの展開として目標にしていることはありますか?

まだまだ手探りの状況ですが、商品ラインナップの充実は行っていきたいなと思っています。食品はもちろんグッズも含めて、ネットショップを訪れたお客さまに楽しんでいただける品揃えを展開していければと。

今ネットショップで販売されているオリジナルグッズは、世界共通の商品なんですか?

いえ、実は日本で開発しています。日本国内でしか買えない限定商品なんですよ。

貴重ですね!

今後もさらにグッズを増やせるよう、いろいろ提案はしていきたいですね。

最後に、これからネットショップを始められる方にメッセージをお願いします。

ネットショップ開店のハードルは、そこまで高すぎるものではありません。お客さまとの新たな接点を持つという意味でも、積極的に導入するのがいいと思います!

今日はありがとうございました!