気になるツイートについて聞いてみました
あらためまして「カラーミーショップ大賞」地域賞の受賞おめでとうございます。
ありがとうございます。
Twitterを見て気になったのですが…いつ受賞を確信されていたんですか?審査期間中に授賞式用のスーツをオーダーされていたので。
ああ!ノミネート500店に入った時点で受賞を確信しました。(笑) これはチャンスだと思って、Twitterでも強気に宣言していたんです。
まだ、受賞できるか分かりませんが…
9月11日の受賞式に出席するため、今週中にブラックスーツを新調します!#カラーミーショップ大賞2018 pic.twitter.com/CFj3f36oCD— 猪飼 英樹(Hideki Ikai) (@ikai_hideki) 2018年7月22日
授賞式用のスーツをオーダーしに来ました(゚∀゚)#Insolito pic.twitter.com/2b1eMWfkFC
— 猪飼 英樹(Hideki Ikai) (@ikai_hideki) 2018年7月24日
猪飼さんがスーツをオーダーされたこと、社内でも話題になっていました。強気すぎます。
スタッフのみなさんに見られているのも薄々勘づいていました。(笑) 4万5000店の中からみつけていただいたのはラッキーなことで、もっとがんばっていかないといけないなと思いました。
アイドル的な自己プロデュース
それにしても、すごい品数ですね。
全国に50以上弓具店はありますが、おそらく弓の数は日本一です。
日本一!
うちの商品はほとんど卸なんですけど、全国のメーカーさんと交流を盛んにしているのが強みなんです。そのおかげでこの品数が実現できています。
品数もそうですけど、Twitterのフォロワー数も気になってました。
2つのアカウントあわせて2万です。
すごい!Twitterをはじめて何年経ちますか?
5年前に会社の公式アカウントをはじめました。でも、なんだか人間味がないし、会社相手だと気軽にコミュニケーションしづらいんじゃないか?と思って、それで顔と名前をだして個人アカウントもはじめて。そしたら両方とも、どんどんフォロワーが増えていったんです。
それまでTwitterをやったことは?
ないです。いきなり見よう見まねでやって、くだらないネタも言うじゃないですか。そうすると「何言ってんねん!」みたいなレスが飛んできて、炎上して、2回くらいアカウント消して……(笑) 今はもう使い方も心得て、そういうこともないですけど。
どんなフォロワーさんが多いんですか?
フォロワーさんは、ほぼ弓道業界の人たちです。
なぜ、猪飼さんのアカウントをフォローするんでしょう?
ちょっと変な話、個人アカウントを持っている他の弓具店はなかったので、アイドル的な立ち位置で自己プロデュースしたのが上手くいったのかもしれません。(笑)
「アイドル的な立ち位置」ですか。
そう。全国各地の大会をまわって「大阪の弓具店=猪飼弓具店」とアピールしてきたんですけど、そういう活動をTwitterでも展開しているんです。
たしかに、Twitterで猪飼さんを検索してみると「弓道をしている人で知らない人はいない猪飼さん!」「あの猪飼さんにお会いしました!」などの声が。
そうなんですよ。新潟から高校生が18きっぷで乗り継いで会いにくれたこともありましたし、「福岡なう」みたいなツイートしたらフォロワーさんと会うことになって、道端で3分くらい話して写真撮って帰っていく…みたいなこともありました。めちゃくちゃうれしいですよ。
芸能人みたいですね…!
世の中に売れない商品はない
Twitter上で、どんな工夫をされているか詳しく教えてください。
まず、一見するとふつうのツイートでも、かなりタイミングを気にしています。あえて間隔をあけることもあるんですけど、2、3日ツイートをあけたときは死亡説が出ました。(笑) あとは個人のアカウントをブログ的な発信だけでなく、新商品の告知によく使います。
会社の公式アカウントだけでなく、個人アカウントでも。
公式アカウントで発表する前に、個人のアカウントで新商品を予告しておくことで、期待を高めています。
お正月に配るボールペンを作りました(゚∀゚) pic.twitter.com/BOUPKprNlJ
— 猪飼 英樹(Hideki Ikai) (@ikai_hideki) 2018年10月4日
ほかにもTwitterを始めるタイミングで『極(きわみ)』というオリジナル鉉(つる)をつくったんですけど、パッケージにわたしの写真を使っています。実際に販売してみたらフォロワーも増えましたし、この商品が今でも一番売れていますね。
ここまで自分を露出するのは勇気がいりますよね。
最初は嫌だったんですけど、野菜なんかでも最近は生産者さんの顔や名前を出してい売っているものをわかりやすくしていますし、これからの時代はプロモーション材料として自分自身をガンガン使わないと売れない!と思って挑戦しました。
ちなみに、弓具以外にも販売の経験がありますか?
いえ。学生時代に居酒屋やアパレルチェーン店でバイトしてたくらいです(笑) でも、そのときから「どうやったら物が売れるのか?」を感覚でわかっていました。世の中に売れない商品はないな、と。
世の中に売れない商品はない。
はい。よっぽど商品が悪かったらダメですけど、そこそこの商品であれば、あとは売りかたの問題だと思うんです。なんでもそう。商品がふつうであれば、あとは売りかたしかないんです。ネットショップに商品をぽんっと置いただけじゃ、やっぱり売れなくて、アクションをこっちから仕掛けなくちゃいけない。だからこうやってSNSを使って、商品と自分を売るんです。
モールではなく独自店舗を選んだ理由
ネットショップは、いつ始めたんですか?
創業自体は60年になるんですけど、わたしが代表になったのは、4年前。それと同時にネットショップをはじめました。
インターネットはもともと得意で?
正直、苦手です。(笑)
最初から売上は好調でしたか。
いやいや。この業界は学生さんが多いので、部活の始まる春は売上があっても、冬になると下がってきて。そこで売れない冬の時期にセールをしたり福袋をつくったり売上をあげるようにして、最初の月はあまり売れなかったのが、今では最初の月の6、7倍の売上があります。
弓具のネットショップは猪飼さんのほかにもありますか。
あります。モール出店されてるところもありますね。うちはどちらかというと後発で、前例を見て「これからは通販だな!」と確信したほうです。
モール出店は考えなかったんですか。
だって、ネットショップ始めたとき既に、みんなが猪飼弓具店を知っていたんです。みんなが知っているのであれば、わざわざ手数料の高いモールに出店する必要もないじゃないですか。
認知はすでにあったから集客に強いモールは選択肢から外れたんですね。
はい。もちろん「みんなが猪飼弓具店を知っている」っていう状態は、わたしだけの力じゃなくて、祖父の代から全国をまわってアピールしてきてくれたからあるものです。わたしはインターネットを使って、それにスパイスを加えた程度です。
ネットショップ運営で気をつけていることは?
商品の説明書きを常にアップデートしています。使った人の声をどんどん説明に取り入れる。
声はどうやって集めていますか?
これもやっぱりTwitterですね。エゴサーチしたら良いことも悪いことも全部でてきますし、それをメーカーさんにも伝えて商品を改善してもらうこともあります。声をもとに、サイトをちょっとずつ、だけど毎日書きかえているんです。それが意外と、みんなできないことなのかもしれません。
地道な作業ですもんね…。
そうですね。ふつうだったら、制作会社にデザインしてもらったら、更新もあまりせずほったらかしにしたり、ブログも1カ月以上更新がないこともあると思うんです。わたし、そういうのが嫌いなんですよ。なので忙しくても、サイトもSNSもガンガン更新する。ネットショップで、お客さんの心をつかむには、絶対に「動き」が必要と信じているんです。
枠内で「戦う」から枠を「広げる」活動へ
今後やってみたいことは?
とにかく弓道を広めたい。この業界ってキャパが決まっているんですよ。弓道する人しか買わない。狭い枠のなかでの奪い合いなんですよね。そんな狭い枠のなかで戦い続けてもしんどくなるので、枠を広げていかなくちゃいけない。 その活動の一環として、9月10日を「弓道の日」に定めたりしました。
弓道の日、つくったんですか。
はい、わたしが申請しました。この日をきっかけに弓道に興味を持ってくれた人もいるんですけど、これからは全国あちこちで大会が開かれたらいいなと思ってます。
昔から弓道を広めていきたいという思いがあったんですか?
正直なかったです。最初は仕事としてやりはじめて跡を継いで。でも、この業界を見渡して「これじゃいかんな」と気付かされたんです。もちろん売上のこともあるんですけど、世の中の人のために何かしなくちゃいけないなと。それで弓道を広める活動をはじめました。
弓道のことを少し話すと、うんちくがいっぱいありましてですね。「敵に手の内を明かす」っていうじゃないですか。これは弓をもつ手、このかたちを「手の内」というんですけど、ここからきていて。敵に手の内を見せると技量がバレるんです。
あとは「ソリがあわない」「そんなハズがない」「かけがいのない」も。
かけがいのない、もですか!
手につけるグローブのことを「かけ」というんですけど、1回つかったら一生モノっていわれる替えのないものなんです。
弓道からきていたなんて、知らなかったです!
そういう小さな驚きって大事なんですよ。モテる人の条件と同じで、ギャップが大事。こういった話を知って「へー!」と驚いてもらったりすることが、おもしろい化学反応を生み出すんです。SNSの活用も業界をまたいだメディアPRも化学反応のひとつだと思ってます。
業界をまたいだメディアPRですか。
だから「カラーミーショップ大賞」は来年も絶対に入賞したい。あの舞台にもう一度立って、弓道のことを伝えたい。そしたらきっとEC業界の人たちが「なんの会社?」って注目してくれるじゃないですか。自分と全く違う業界でファンを増やせることが、一番ありがたい機会なんですよ。これからは、もっといろいろなメディアに取り上げてもらえるように、精進していきます!
今日はおもしろいお話を、ありがとうございました!