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売上アップの鍵は”言葉”にあり!セールスコピーと文章術について大橋さんに聞いてみた。

コピーライティングは、ネットショップオーナーさんにとって必要不可欠なスキルです。書き方で売上が大きく変わることもあり、決して軽視することはできません。

そこで今回は、「商品説明を上手に書きたい!」「上手に商品説明をしたい」という声にお応えして、セールスコピーライターの大橋一慶さんに、コピーを書くときのコツや文章術についてお話を伺いました。

とくに、書くことに慣れていなくて苦戦しているというオーナーさんは必読です。

iSchool株式会社みんなのコピー 代表 大橋一慶さん
2002年ネット広告のベンチャー企業に入社。大手ADSLプロバイダーをはじめ多くのWEBプロモーションを成功させる。独立後はセールスコピーライターとして1,000件以上の広告に携わり、総計100億円以上の売上に貢献。「売りにくい商品を売ること」が得意で、業界問わず驚異的なレスポンスをたたき出す。オンラインサロン「ポチらせる文書術実践ラボ」運営のほか、外部講演・研修講師活動、新聞・雑誌等への寄稿など幅広く活躍中。
書籍『ポチらせる文書術』『セールスコピー大全』(共にぱる出版)
Twitter:@minnano_copy

大橋さんについて教えてください

大橋さんの自己紹介をおねがいします!

「セールスコピーライター」を生業としています。セールスコピーライターは、販売文章(商品やサービスを売るための文章)を書く仕事で、個人事業主から始めて今年で16年目になります。創業当初は、世間にはほとんど知られていない職種でしたが、近年は認知度が上がって同業者の数が増えてきたように感じています。

私はセールスコピー術を人に教える仕事もしていて、講演会や研修の講師、オンラインサロンの運営、執筆活動など幅広く取り組んでいます。セールスコピーの世界では、ある時期まで「売れればどんな文章でもいい」という風潮があり、煽るような文章で人を引きつける手法が目立っていました。

ただ、そのやり方では不都合が生じることもあるんですよね。それで、ずいぶん前に方向転換しまして、商品を本当に求めている人は誰なのかを徹底的にリサーチしたうえで、訴求力のある文章で商品価値を伝えるというやり方を確立しました。

この実践で培った手法を少しでも多くの人に広めるために、講師活動などに力を注いでいるという状況です。これまで、コピーを書いたり教えたりと約1,000案件以上に携わり、合計100億円以上の売上に貢献してきました。今後もセールスコピーで事業を成功に導くお手伝いをしていきたいと思っています。

大橋さんの書籍『ポチらせる文章術』や『セールスコピー大全』のファンもたくさんいらっしゃるとおもいますが、書籍を出版されたきっかけを教えてください。

ぱる出版の編集の方が「みんなのコピー」という私のブログを読んで、声をかけてくれたことがきっかけです。ちょうど先方も私もコピーライティングの本を出したいと考えていたタイミングで、想いも同じだったんですね。

既存の本は難解なものが多いし、海外の事例が中心で日本では応用しにくい。初心者向けにわかりやすい本を作りましょうという方向で意見が固まり、満を持して完成したのが『ポチらせる文章術』です。

私と「いろはちゃん」というキャラクターが登場する会話形式の本で、イラストも多用しているので、誰もがとっつきやすいのではないかなと思います。

ちなみに、このキャラクターは2冊目の著書『セールスコピー大全』にも登場しています。1冊目で好評だったいろはちゃんに加えて、新キャラクターのいろはくんも登場して、より賑やかな作りになっているので、機会があればぜひチェックしてみてくださいね。

ネットショップ運営におけるコピーライティングの重要性とは?

ズバリ、文章を変えると売り上げは変わるのでしょうか?

売上への貢献度を考えると、文章の重要性はおそらく2割くらいです。やはり一番重要なのは商品力で、その商品が売れる商品かどうかという部分が8割を占めると思います。

セールスコピーは、いい商品があって、それを求める人が目の前にいるという状況が揃ってはじめて効果を発揮します。「商品がまったく売れません」という相談をよく受けますが、詳細を確認すると文章以前の問題というケースが多いんですよ。

とはいえ、欠点があることはわかっているけれど売らなければならない、ということもありますよね。そういう場合は、商品の価値をとことん掘り下げて、そのうちのひとつの価値でもいいから本当に求めている人を探し出して、的確に訴求していきましょうとお伝えしています。


文章の影響力は2割とのことですが、ものすごくいい商品があって、さらに売上を伸ばしたいときに文章を変えたら、どのくらいの効果を見込めるものですか?

キャッチコピーひとつで、売上が2倍、3倍に増えることもあります。キャッチコピーだけでなく、申し込みボタンの手前に「何人が買っていますよ」という情報を置いたり、複数商品のひとつに「おすすめ」と入れたりするだけで、爆発的に売れることもあります。

なのに、セールスコピーは軽視されがちなんですよね。キャンペーンを実施する際、大半の人が「これだけ安くてお得なんだから売れるだろう」と過信しますが、お客さんはシビアなので、「限定何名ですよ」「何日までしかやりませんよ」とハッキリ伝えないと反応してくれません。

価格についても20%OFFと書くだけではダメです。そもそもお客さんは定価を覚えていないので、「定価1万円の商品が20%OFFで8,000円です」のように詳しく書かないと、お得さを認識してもらえないこともあります。

セールスコピーを書くにあたり、自分は商品について100%知っているので、相手も8割くらいは知っているだろうと思い込んで書く人が多いですが、お客さんの理解度はせいぜい0.5%くらいです。その差を加味したうえで書くようにすれば、成果に大きな違いが出てくると思いますよ。

コピーの種類とそれぞれの役割

コピーにはいくつか種類がありますが、詳しくおしえていただけますか

パターンはいろいろありますが、基本的にLPなどは「キャッチコピー」「リードコピー」「ボディコピー」「クロージングコピー」で構成されています。

キャッチコピーは読み手が最初に目にする部分で、読み手の注意を一瞬で引きつけるために存在しています。広告には、読まれない、読まれたとしても信じてもらえない、行動してくれない(買ってくれない)という3原則があります。このうちの1番目がもっとも重要で、「読まれない」を突破するためにキャッチコピーがあります。

次に来るのがリードコピーです。キャッチコピーで注意を引かれたお客さんは、まだそれほど本文を読む気にはなっていないんですね。そこで、リードコピーにキャッチコピーを補足する情報を入れて、読み手に「広告全体におもしろいことが書かれていそうだな」と思わせる必要があります。つまり、本文を読む気満々にさせる役割があるのがリードコピーです。

次はボディコピーですが、いろいろな形式があるので、共通する大事なポイントに絞ってお話します。
ボディコピーを書くコツは、読み手が求めている情報はすべて書き切りましょうということに尽きます。長いLPの場合、もちろん全文を読んでくれる人もいますが、ほとんどの人が飛ばし読みします。気になる情報だけを拾い読みして、自分が買いたい気持ちの理由づけをするんです。なので、必要な情報がきちんと届くように、ボディコピーに余すことなく盛り込むことが重要です。

最後がクロージングコピーです。前述したように、今すぐ申し込むべき条件や背中を押す一言などを必ず書き入れます。かつ申し込みフォームを使うのであれば、お客さんが離脱することのないように、わかりやすい仕様にすべきです。

以上が、コピーの種類とおおまかな考え方ですね。媒体が違ってもコピーの考え方は大体一緒です。ネットショップの商品ページを書くときにも応用できます。

商品ページのボディコピーにはどんなことを書けば刺さりますか?

「ベネフィットファースト」が重要で、先にベネフィットを伝えてから商品の特長を語るとよいと思います。「あなたはこうなれますよ、こういった嬉しい経験ができますよ。なぜならこういった商品特性があるからです」といった感じで、ベネフィットを明言したうえでその理由を語れば、読み手に与える印象が違ってきます。

ただ、ベネフィットを語るときは、自慢話にならないように気をつけることが大切です。私たちはこれができるよ、私たちの商品はこんなにスゴイよ、こんなこともあんなこともできるんだ、どうだすごい価値があるだろ?といわれても、声の大きい自慢話をしているだけなので、魅力は伝わりません。

また商品のスペックや特徴だけを語るのもよくありません。スペックをつらつらと書かれても、結局自分に向いている商品なのかどうかはわからないですよね。

一例ですが、自宅用のプリンターを探しているときに、「在宅ワークに最適!持っておいて損のない一台です」「なぜならこういった機能があるからです」と書かれてあれば、スペックがただ羅列されているよりも興味がわきますよね。購買意欲もかきたてられると思います。

大橋さん直伝!セールスコピーを書くための流れとポイント

セールコピーなどの文章を作っていくとき、どういった手順がおすすめでしょうか?

セールスコピーを書くときは、リサーチ、訴求ポイントの決定、コピーライティングの順に進めていきます。

まずは自社商品、競合他社、マーケットのリサーチから始めます。自社商品のリサーチでは強みだけでなく弱みを知ることも大事です。弱みを知るためには当然、競合のことをしっかり調べなければなりません。また市場調査では、どんなお客さんが見込み客になり得るか、視野を広げて見ていくことも必要です。

リサーチ後は、自分たちの商品がどのターゲットにどんなベネフィットを与えれば効果的かを考えて、訴求ポイントをしっかりと決めます。ここまで準備してはじめて、コピーライティングの段階に入っていくわけですね。

コピーライティングでは、キャッチコピー作りから始めるのが基本です。広告の反応の8割以上がキャッチコピーで決まるので、一番重要なところに力を注ぎなさいという意味ですね。キャッチコピーを作るのが苦手なら、仮のキャッチコピーを置いて、ボディコピーを書き終えてから再びキャッチコピーについて考える、というやり方でもいいと思います。

それから、広告はテストありきだということも忘れてはいけません。最初からひとつに絞るのではなく、いくつかパターンを用意して試しながら改善していく必要があります。本気で結果を出したいなら、キャッチコピーごとにコンバージョン率を確認するなど、指標を的確に読み取ることも大切です。

よく「広告は科学」といわれますが、結果こそが一番の先生ですよ。

テストができないときは、どうしたらいいですか?

その場合は、決め打ちでいくしかないですね。このときやってはいけないのが、社内の複数人で打ち合わせてコピーを決めることです

商品についてよく知っている人が集まって議論しても、結局その人たちにしかわからない価値のものができあがってしまいます。それだけでなく、細かい事情をよく知らない上司の、「これを入れろ」「あれを入れろ」という意見を取り入れてしまった場合も、いいコピーはできません。

なので、テストできないときは、商品のことをよく知っていて、一番コピーが得意な方お一人に任せることをおすすめします。私もおじさんですが、おじさんの口出しは全部無視したほうがいいですよ。笑

余談ですが、社内でレビューを募るときは、聞き方にもコツがあります。コピー案を1個だけ見せて「どう思う?」と聞くのはNGです。必ず2パターン用意して「どっちがいいと思う?」といずれかを選んでもらい、「こっちをいいと思った理由は?」「もう一方を選ばなかった理由を教えて」と聞くようにしてください。

日本人はやさしいので「どう思う?」と聞かれると「いいと思う」と答えがちですが、選択肢を2つ用意しておくことで、罪悪感を持たずに片方を褒めて片方をけなせます。デザインや企画書などでも同じで、この方法で聞けば忌憚のない意見をもらいやすくなりますよ。

文章が苦手な人でも取り組める文章の作り方と、上達できる方法

上手に文章を書けない人や書くのが苦手という人は、どうしたら上手になれますか?

文章を書けない人は、書こうと身構えるから書けないんです。作品を作ろうとする人もいますが、極論をいうとネットショップでは売上を作ることが第一目的で、書くことが最優先事項ではないですよね。お客さんに求められるにはどうすればいいかを考えることに力を注ぐべきです。

なので、文章を書くのが苦手な人は無理に書く必要はなくて、自分でしゃべった内容を文章化することをおすすめしています。セールスコピーの目的は「広告を優秀な営業マンにすること」なので、営業トークが投影されていればOKです。

やり方は、レコーダーに向かって商品のPRポイントを話し、録音したものを文章にするだけ。話す順番は、『セールスコピー大全』にある構成をベースにしてもいいと思います。文章化したものを詳しい人にチェックしてもらえば、より完成度を高められます。

ただこれは、セールスコピーだから使える方法なんですよね。最近はネットショップをオールドメディア化する方が増えていて、商品の魅力を語った記事の中に、「どこでもカラーミー」のようなカートを設置する人もいます。こういった形式にする場合は、ある程度の文章力が必要です。

では文章を書くのが苦手な人でも、文章力、語彙力を身につけられますか?

習得するまでの個人差が激しいですが、文章力は練習すればついてきます。

今は自分のメディアを持てる時代なので、TwitterなどのSNSやブログなどを活用して書く回数を増やすといいと思います。書いて、発信して、反応を見ることを繰り返す。とくにTwitterはやりやすいかもしれないですね。

語彙力については、そうかんたんに身につくものではないので、ふだんから類語検索をしたり、「類語連想辞典」というサイトをチェックしたりするといいですよ。日々使っているうちに、自分の中に蓄積されていくと思います。

ネットショップの商品説明ってどれくらいの文字数や長さがベスト?

0からつくるのではなく、すでに運営しているネットショップを見直す場合、どこから手をつけたらいいですか?

悩みのレベルによって対策方法が変わってきます。

まったく反応がないようなら、商品自体を見直す必要があると思います。それができないときは、訴求の部分、ターゲットとセールスの切り口を根本から見直してください。

そこそこ反応がある場合は、最初に目につくキャッチコピーを見直してテコ入れします。まあまあ売れている場合は、訴求ポイントもキャッチコピーも問題ないので、ボディコピーの細部を見直してみてくださいね。

商品説明をする際に、文字数は何文字がベストという目安はありますか?

文字数についての決まりはありません。ポータルサイトなどで「タイトルは何文字」などと決まっている場合は当然重視しますが、16年間セールスコピーの仕事に携わってきて、DMやLPなどの文字数を気にしたことはありません。

ちなみに、一般的に人が瞬時に認識できる文字数は13文字といわれていますが、商品の価値を伝えるのに30文字必要なところ、13文字にこだわって文字数を削るのはナンセンスです。考え抜いた末に必要だと思ったのであれば、30文字のままで使ったほうが絶対にいいですよ。

想いが強くて文章がつい長くなってしまうというショップオーナーさんもいらっしゃるのですが、長くなっても大丈夫ですか?

「熱すぎるがゆえに長文を書いてしまったけれど、反応がよくてかなり売れています」、という場合はそのままでOKです。

売れていないなら、自慢話になっている可能性があります。ターゲットが共感できるような、パーパスとかミッションとかビジョンがあって想いを語るならいいですが、こだわりの強い経営者ほど知らず知らずのうちに切り口がずれて自慢話が入ってくるので、気をつけたいですね。

逆に文字数が少なくても、想いを出し切っているのであれば問題ないです。


この記事を読んだ方がコピーライティングを磨くために今すぐとりくめることはありますか?

私が16年間毎日欠かさずやっているのが、1日300通くらい届く企業のメルマガをチェックすることです。

朝起きたらまずメールボックスを立ち上げて、パッと目についたものを『合格フォルダ』に入れるんです。メルマガを読むのではなくてタイトル(件名)を見て、目に留まらなかったものは全部消去します。この『合格フォルダ』は、コピーの表現に困ったときに開いて参考にしています。

私の場合はメルマガですが、メルマガに限らず、気になるコピーに出会ったら撮影したり、競合の商品ページの構成がいいなと思ったらスクショしたりと、ぜひ自分のやりやすい方法でストックしていくといいです。

三日坊主では意味がないので、必ずルーティン化してください。ストックしたコピーはそのまま真似るのではなく、表現のアイデアをもらうスタンスで、自分なりにアレンジして使うことが大切です。

自分に刺さったのはどの部分か、今このタイミングでなぜこの表現に注目したのかを探るクセをつければ、少しずつ表現力が身についていくと思います。

生活のなかで文章を目にしている機会はおおいですもんね。私も今日からやってみようとおもいます!大橋さん本日はありがとうございました。