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布ナプキンを被災地へ。ネットショップだからできた本当にやりたかったこと(touta.ユーゴさんインタビュー)

いつも画面越しに見ているネットショップのむこうには、想いのつまった“モノ”とそれを届ける“”たちがいます。このコーナーでは、知られざる商品開発ストーリーやお店の裏側に迫る現場レポートをお届けします。
今回ご紹介するショップ
まだ日本に浸透していない10年以上前から、布ナプキンの魅力を伝え続けてきた「touta.」のユーゴさん。布ナプキンについてとことん語っていただいた前編に続きまして、後編は、ユニークなライフスタイルについてです。お父さんの町工場を改造したアトリエ、「廃材循環プロジェクト」、復興支援ボランティアなど様々な活動についてお話ししていただきました。

クレーム対応から始まった!?一般家庭から廃材を回収するプロジェクト

ユーゴさんのアトリエは、お父様の町工場だったんですよね。とても可愛い外観ですね。

ツル系の植物が好きなんです。ミニ薔薇や野葡萄やジャスミンなどが生えているんですが、季節によって花や実がが成るのでとっても可愛いですよ。

内装も、パッチワークで作られたカーテンなどがとっても可愛いですね。


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touta.さんのパッチワークで作られた商品や布ナプキンは、いらなくなった廃材生地で作られてるんですよね。廃材生地を使われている理由を教えてください。

touta.を立ち上げる前にやっていたブランドの運営や、子育てを通じて、世の中にモノが沢山溢れていることに疑問を感じていたので、モノ作りを続けるのなら出来るだけ環境負荷が少ない素材を用いて、末長く愛用してもらえるモノを作っていきたいと思っていたんです。

そうして2003年にオーガニックコットンと廃材を用いたブラント「touta.」を立ち上げました。

当初は企業や業者を通じて回収していたんですが、2007年から「廃材循環プロジェクト」として、個人の方からも布を回収するようになりました。

どうして個人の方からも集めようと考えられたんですか?

当たり前なんですが、回収した生地はデザインを選べないので
一般的なブランドのように、ブランドイメージに合った色柄の生地を製作するモノづくりができないんです。

材料が廃材ですもんね。

そのため色柄にいては、おまかせという形をとらせていただいているのですが、どうしても 「イメージと違った」という声が出てきてしまうのです…。

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クリスマスシーズンに「ポップなかんじを希望します」と注文時にコメントがあったので、喜んでもらえるかなと思ってトナカイ柄を送ったら、「花柄がよかったです。がっかりしました。」というメールが来たり。

おおう…。

可愛いと思っていた柄が気に入られず、あまり好みでない柄が喜ばれたり、お客さんの趣向も十人十色なので全然わからなくて。

こちらとしては、手をかけて製作してますし、丸い形になってしまえば全て可愛いと思っているんですが・・・(笑)。

そこで、お客様からも生地を回収することにしたんです。
一般家庭からも集めてるんだからしょうがないということを理解していただければ、そうした苦情も少なくなくなるかなと。

え?? もしかして、クレーム対応のために個人の方から回収することに…?。

うーん。そのため・・・と言っても過言ではない・・・。

ですが、もちろんお客様のお家で眠っていた生地が布ナプキンとなって、また循環する。こうした繋がりを大切にしたいという思いもあります。

あるものを使おうよ。使い捨てサイクルへのアンチテーゼ。

廃材の方がコストがかからないからということではないのですか?

よく勘違いされるんですが、廃材を使った方がコストはかかるんです。

元々、自分のファッションブランドを持っていたので、オリジナルのテキスタイルで生地を作ることもできて、その方がクオリティのコントロールも効き、洗ったり選定したりする人件費がかからないので、むしろ安く作れるんです。
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touta.さんの布ナプキンが出来上がるまでには、とてもたくさんの工程がありましたね。(参照:布ナプキン作り方レポート

そうなんです。手間がとてもかかるんです。

でも、せっかく自分がデザインしたものが、次のシーズンが来たら在庫セールをして売り払うっていう「使い捨てのサイクル」が嫌だったんです。

もったいないじゃないですか。あるものを使おうよって思うんです。

たしかに、見せていただいた廃材の中には、可愛い布もたくさんありました。

そうですね。たまに面白い生地もありますが、実は個人の方から回収した生地は地味なものが多いんです。

手作りする方のハギレが多いからなのでしょうか、無地やボーターやチェック、水色系やダーク系の生地が多く、花柄を希望されるお客様が多いのに、花柄はなかなか集まらないんです。

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でも、色んな柄が集まって、その中からこの組み合わせなら可愛いかな、とか試行錯誤することも楽しいんですよ。

布ナプキンを知っていればパニックにならなかった。復興支援への想い。

ユーゴさんは復興支援活動もされていますね。

もともと布ナプキンを始めた頃に、途上国の女性ってどうしてるんだろうと気になりました。それで、途上国の女性のために活動しているJOICFP(ジョイセフ)に関わるようになって。

東日本大震災の時は、「布ナプキン協会」からJOICEFを通して、布ナプキンを助産院に送りました。

「布ナプキン協会」は、ユーゴさんが布ナプキンメーカーと共同で立ち上げられたんですね。

「布ナプキン協会」を立ち上げたきっかけの一つは、阪神淡路大震災でした。

震災当時、使い捨てナプキンの不足と、その処理が問題になりました。

使い捨てナプキンは「”紙”ナプキン」と呼ばれていますが、実際は石油製品ですので、避難所などで簡単に燃やすことができず、処理にとても困ったそうです。

それを聞いて、もし、布ナプキンのメーカー同士が繋がっていれば、まとまった数の布ナプキンを被災地に送ることもできると思ったんです。

それが3.11東日本大震災の1年前だったんです。まさかこんなに早く来るとは思わなかったです…。
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東日本大震災の直後には、被災地以外の場所でも買い占めなどにより使い捨てナプキンが店頭から無くなって、パニックになる人もいたそうです。

使い捨てナプキンがなくなったら、「どうしよう!」とパニックになる気持ちはわかります。

本来なら、その辺にある布をちょっと切ってあてるだけでも事が足りるのに、布ナプキンを使ったことがないと、使い捨てナプキンが無いというだけで慌ててしまうんですよね。
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普段は使い捨てナプキンを使っている女性でも、布ナプキンの知識を持っていることはとても大切ですね。

布一枚あればいいですからね。

本当にやりたいことをしたくて、ネットショップ1本に絞った。

近々、アフリカに行かれるとお聞きしましたが、ボランティア活動をされるのですか?

前出のJOICFP(ジョイセフ)がアフリカの妊婦さんのために「マタニティハウス」などを建設するプロジェクトがあるんです。

まずは支援というよりも、自分がこれまで培ってきた技術や経験を生かして生かして繋がっていけたらと思って、現地に一度行ってみることにしました。

こういうときに、思いたって動けるのはネットショップの良いところですよね。
毎日営業する実店舗を持っているとなかなかそうもいかなくて。

以前は実店舗を持っていたり、従業員の方もいらっしゃったんですよね。

当初はアシスタントが二人ぐらいだったのですが、いつのまにか事業が大きくなり、ネットショップに卸売り業、イベント出店など、最大で5人のスタッフを抱え、経営や管理に追われていました。

生産にも携われず、個人的な活動もできなくなっていたんです。
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そこで、一人でまわしていけるよう、経営と業務を最小範囲にしたんです。

生産は裁断機を購入し、販売はネットショップでだけに絞りました。
お取引先様にはご迷惑をおかけしましたが、今はネットショップ経由で購入していただける店舗さんだけに継続していただいています。

布ナプキンのことも、きちんと自分の言葉で伝えていきたいと思っていたので、現在は予約制でアトリエに店舗を併設しています。

あと気になっていたのが、女性一人で運営しているのに、機械が本格的ですよね。


町工場の娘ですから、やっぱり機械が好きなんです。
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今は、生産にも携われるし、お客様とも接することができるし、アフリカにも行けるし、やりたかったことができます。色々試しましたけど、この形がとても楽しいですね。

最後に、ユーゴさんにとってtouta.とは?


私の表現活動です。廃材循環プロジェクトも、アフリカへの支援も、すべてが私の表現活動で、touta.は私の一部ですね。

自然にあるものを受け入れる。布ナプキンが生理痛を和らげるわけ

touta.さんのに布ナプキンにまつわる気になることを質問してみました!こちらの記事もぜひご覧ください。

自然にあるものを受け入れる。布ナプキンが生理痛を和らげるわけ(touta.ユーゴさんインタビュー)
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