もともとは実店舗の雑貨店だった
最初に、どういった経緯で事業を始めたのか教えてください。
僕はもともとチェーンの雑貨店に勤めていたのですが、今から26年前(1995年)に独立して雑貨店を開いたことが始まりです。
その後、今の妻と知り合い、彼女はミシンが得意だったので女の子向けの洋服をリメイクするなど手伝ってくれるようになりました。当初は若い女の子向けの雑貨店だったんです。
何をきっかけに犬用の服屋さんへとなっていったのでしょうか?
いろいろと工夫はしていたんですが、経営が厳しくて。
それで雑貨店を開いて数年後のあるとき、女の子用の店だったので、店先にフレンチブルドックが寝そべってるのっていいよねという話になって、実際に1匹迎えることにしました。
その数年後に2匹目のフレンチブルドッグもお迎えして。
当時は珍しい犬だったので、ファッション誌によくモデルさんとフレンチブルドックが写っていて、「この犬かわいいよね、いつかお迎えしたいね」と妻とずっと話はしてはいたんですよね。
初めは看板犬としてフレンチブルドッグを飼われたんですね。
店先に常に犬がいるようになったことで、犬の散歩中の人から「ここ犬服屋さん?」ってお店を覗かれるようになりました。
趣味で作ったものでしたが、うちの犬に服を着せていたので、余計に聞かれたのでしょう。
その後も同じように尋ねられたので、需要があるのではと思い犬服を始めてみたところ、あっという間に口コミで広がっていき、犬服目当てのお客さまが一気に増えたんです。
おかげで売上も、犬服を始めてからすごく上がりました。
すると店内の商品の比率もだんだんと犬用が半分くらいになっていき、比例するように人間のお客さまが入ってこなくなりましたね(笑)。
そうして自然とゆっくり犬服屋へとシフトチェンジしていき、今のフレンチブルドッグ服専門のネットショップにつながっています。
実店舗を閉めてネットショップ1本に
では犬服の製作を始めたころは、まだフレンチブルドックに特化してなかったということでしょうか?
そうです。初めは、さまざまな犬種のワンちゃんがお店に来ていました。
そのときはもう毎日が受注会みたいな感じで、柴犬やダックスなどいろいろな犬が来てサイズを測っていましたね。
飼い主さんが採寸の間にお茶ができるよう、資格を取ってドッグカフェをやっていた時期もあります。
でも実は犬服を作り始めた頃から、フレンチブルドック服の専門店にしたいという想いはずっとあったんです。
専門店にした方が目立つだろうなと思いましたし、他の犬と違ってちょっと特殊な体型をしているのでニッチなニーズがあると踏み、今のようなフレンチブルドッグ服専門店に絞っていきました。
その後、実店舗を閉じてネットショップ1本にされますが、きっかけを教えてください。
実店舗を閉めたのは今から12~3年前くらいですが、きっかけは単純にネットショップの方が忙しくなりすぎて、お店を開けている暇がなくなってしまったからです。
当時は店舗を借りていたのに平日はシャッターを閉めて、中でネットショップの出荷に向けて作業していました。でもそれだと家賃が無駄だったので思い切って実店舗やめて、ネットショップだけにしたんです。
実店舗をやめた翌年に会社の社屋を建てたのですが、建物が建てられるぐらいネットショップが好調でしたね。
そうだったんですね。そもそもネットショップは、いつから運営されていたのですか?
犬服を始める前の雑貨店の頃からです。注文は入ってこなくても、やらないよりはいいかなということで、実店舗と並行しながらずっとやってはいました。
初めは無料でネットの掲示板が利用できるサービスを使っていて、その後ネットショップが作れる買い切りのソフトを買って来て自分で作って運用していましたね。
ネットショップで犬服の販売を始めると、犬同士のオフ会などで口コミが広がったらしく、他県の人からも注文が入ってくるようになり、どんどん忙しくなりました。
ご自身で作られたネットショップでずっと運営されていて、2019年にカラーミーショップへお引越しされた理由は何だったのでしょうか?
話すと少し長くなるのですが…一言でいうと立て直そうと思ったからです。
というのもネットショップ1本に絞って数年後、子供ができたので僕が仕事をセーブして育児に注力したところ、やっぱりその分、売上は落ちますよね。
加えて、育児をしている間にSNSやネットサービスが一気に発達して、個人が簡単に発信できたり、誰でも商売を始められたり、時代が一気に変わったなと実感したんです。
それで、これまで通りのお店でやっていたら発信力がなさ過ぎるので、ちゃんと立て直さないと思いネットショップのサービスをいくつか探して、カラーミーショップさんにしました。
カラーミーショップをお選びいただいた理由を教えていただけますか?
まず一番は支払い方法です。カラーミーショップはクレジットの決済方法を選べましたが、他のサービスは確か指定されたクレジット決済を導入しないといけなかったんです。
同じくらい決め手になったのが、デザインです。簡単にデザインの良いネットショップができそうだなと感じて決めました。
初めはオンラインで管理画面を触ることに戸惑いましたが、すぐに慣れて今は使い勝手で困ってるところもないですし、使いやすいと思います。
お褒めの言葉、ありがとうございます。
フレンチブルドッグ服はご夫婦ですべて内製
犬服は奥さまとお2人で作られていると伺いました。
はい。僕がデザインをして妻が縫製を担当しています。服へのプリントも自分達でやっているので、すべて内製です。
妻はもともとミシンなど縫い物が好きでしたが、僕は昔からデザインをやっていたわけではなくて。でもイラストが好きでたまに描いていたので、犬服を始めるときに本格的に描き始めることにしました。
犬服を始めたおかげで、妻が得意なことと僕が得意なことがバチっと合ったという感じがします。
商品へのこだわりや、コンセプトを教えてください。
フレンチブルドックの特殊な体型に合わせて、その中でサイズ展開していることです。
フレンチブルドッグの中でも足が長い子、首が長い子などいろんな体型の子がいますし、同じ体重でも体型は違ってきます。
妻は実店舗の頃に1匹1匹採寸した経験が体に染み付いているので、ネットショップになっても、お客さまとメールなどでやり取りすればそのフレンチブルドッグに合ったサイズの服が作れます。
そのことが、こだわりであり強みですね。
購入されるのは新規とリピーター、どちらの方が多いのでしょうか。
カラーミーさんに引っ越す前はリピーターの方が多かったのですが、今は入れ替わりというか、ちょうど新規の方が増えてきている状況ですね。
犬には寿命があり、フレンチブルドッグも長く生きて15年くらいなのでお客さまからも、ときどきお亡くなりの報告をいただきます。
それですぐに次のワンちゃんをという方もいますし、別れが辛いのでもう飼いたくないという方もいます。後者の場合は残念ですが、お客さまではなくなってしまいますよね。
ちょうど今、そういったタイミングが重なって新規のお客さまが増えている状況です。
寿命があるので、悲しいですがいつかはお別れのときが来てしまいますよね。
実は僕が今飼っているフレンチブルドッグも2匹とも2代目なんです。以前も白と茶色の子を2匹飼っていたのですが、どうしても寿命で。
僕も2匹とも亡くしてしまった後は、やはり「じゃあすぐ次の子を」って迎えられませんでしたね。
でも僕が商品の写真を撮っているので、犬服をマネキンに着せた商品写真ではお客さまにも伝わりづらいですし、思い切って2代目のこの子たちを迎えました。
やはり可愛いですし、2代目の2匹を迎えられてよかったなと今は感じています。
お別れの辛さや商売をされる上での葛藤を乗り越えられて、今のインマイライフさまがあるんですね。
悲しいこともありますが、お客さまからの声をいただけるなど、励みになることももちろんあります。「うちの子に似合ってます」ではなくて、「ピッタリでした」といわれると特に嬉しいですね。
カラーミーショップ大賞2020で特別賞を受賞
カラーミーショップ大賞2020で特別賞(新人賞)を受賞されましたが、お聞きになったときはどうでしたか?
実は正直にいうと、誰かが棄権されて繰り上がりでなったのかなって思ったんですよね(笑)。
先ほどお話ししたように、お店を立て直そうと決めてネットショップを引っ越して、まだまだこれから上っていこうとしていた途中の段階で受賞の話をいただいたので、嬉しさよりも驚きが先でした。
そうだったのですね。それでも受賞されて何か変わったことなどはありますか?
やっぱり、注文は増えたとは思いますね。受賞により、フレンチブルドックを飼われてない方たちにも知られたことで、間接的に影響はあったんだろうなって。
最初は驚きましたが、いいきっかけになったので本当に感謝しています。
今後の展望について
先ほど、「まだまだこれから」というお話がありましが、今後の展開や目標を教えていただけますか?
お店を大きく広げたいというよりか、今できてない細かいことがたくさんあるので、それをやっていきたいと思っています。
例えば、犬がモデルの商品画像はいい写真が撮れてますけど、平置きの商品画像はまだまだですし。やったらプラスに変わるのにやれていない部分を突き詰めていく、というのが当面の目標ですね。
ありがとうございます。ネットショップを始めたいけれどまだ踏み出せていない方にアドバイスをいただけますか?
新しく始める方がいるっていうのは、ライバルが増えることなんで、簡単に始めたらどうぞとはいえないんですけど(笑)。
でも、自分の中でこれが好きだとか得意なんだ、っていうものがあるんだったら、ぜひ始めることをおすすめします。
なんとなく始めるならやめた方がいいと思うんですけど、人には負けないジャンルのものがあるなら、ネットショップを始めてみてください。逆をいえば、そういう1本何か芯がないのであれば、まだやめておいた方がいいかもしれませんね。
今日は貴重なお話、ありがとうございました!