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謎の餃子屋「按田餃子」餃子に包みきれなかった想いを店主さんに聞いてきました

いつも画面越しに見ているネットショップのむこうには、想いのつまった“モノ”とそれを届ける“”たちがいます。このコーナーでは、知られざる商品開発ストーリーやお店の裏側に迫る現場レポートをお届けします。
今回ご紹介するショップ
キャッチコピーは「助けたい、包みたい。」代々木上原にある「按田餃子(あんだぎょうざ)」。一度食べたら忘れられない水餃子のほかコブラやキクラゲをつかったユニークなメニューがならぶ、雑誌やSNSで話題のお店です。今回は、何度も訪れたくなる不思議な魅力のつまったお店の実態に迫りました。

代々木上原に、美人を増やしたい

按田餃子はいつできたんですか?

2012年です。今年で5年目に突入しました。

オープン前、餃子を包みながらのインタビュー。

オープン前、餃子を包みながらのインタビュー。

「貯金がなくなったら解散しよう」と言ってたくらいなので、驚きです。

じゃあ予想よりも伸びたというか。なぜここまで続けられたんでしょう。

SNSが大きいかな。
感度の高い方が多くいらっしゃって口コミが広まって。
この人がおいしいって言うならまちがいない!」ってかんじで。

お話を伺ったのは店主の按田優子さん。

お話を伺ったのは店主の按田優子さん。

わたしたちは何も発信はしていないので、本当にお客さんたちのおかげです。

WEBサイトを拝見したんですが、按田さんの本業は「保存食研究家」なんですね。

そうです。漬物や乾物とか。
冷蔵保存しないで平気なもの・土地の気候にあった食品なんかを研究してます。
研究のために海外へ行くこともあります。

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海外!

南米へ食品加工しに行ったり、フランスでポップアップレストランを起ちあげたり。

なるほど、餃子屋の店主というのは、按田さんの「もうひとつの顔」なんですね。

そうなんです。

お店の切り盛りは、按田さんひとりで?

店主はもうひとり、鈴木陽介という写真家がいます。

ん…? 写真家?

はい。

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なぜ写真家である鈴木さんと按田さんが餃子屋をやることに…?

きっかけは鈴木のアイデアですね。
以前から、写真の仕事のほかに「代々木上原で女子のための水餃子屋をやりたい!」って妄想していたみたいで。

妄想なのにかなり具体的ですね。なぜ餃子だったんでしょう。

おいしくて女性の健康と美容にいいものということで餃子が思い浮かんだようです。

水餃子というのも珍しいですね。

水餃子なら店内がベトベトにならないし、茹で時間などオペレーションもラクですし。

ちゅるんともっちもちの水餃子。

ちゅるりともっちもちの水餃子。

なるほど。

自分で厨房に立つこともないので「人にまかせて経営するにはどうしたらよいか?」まで考えていたみたい。

では「代々木上原で女子のための」というのは…?

鈴木の活動拠点であるこの町(代々木上原)に美人を増やしたい!という想いからですね。

鈴木さんが、町に美人を増やしたくて思いついた、と。(笑)

植木がバサバサな街よりきれいに整った街に住みたい。
…そんな気持ちだそうです。本人曰く。(笑)

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えーっと、それでおふたりが出会うきっかけは?

彼がそんなことを妄想しているとき、たまたま仕事で出会ったんです。
わたしの著書「冷蔵庫いらずのレシピ」という本のなかで、水餃子のレシピを撮影してもらって、それで意気投合して。

お店のメニューは、ふたりで決めてるんですか?

ほとんどわたしに任せてくれています。大雑把なアイデアをもらうことはありますけど。
「スプーン1本で食べられる熱くない料理がほしい!」みたいに。

メニューは按田さんが、写真などは鈴木さんが担当されているんですね。

そうですね。そこらへんはお互いあまり干渉しないというか。

わたしも、彼がつくる季節ごとに変わるショップカードについて特に何も言わないですし。

季節ごとに変わるショップカード。

季節ごとに写真が変わるショップカード。

ショップカード、集めると何か起こるんですか?

何かいいことがあるみたいです。
正直まだ決めてないんだけど。(笑)

写真家と保存食研究家による餃子屋…ますます謎が深まった気がします。

 

一方的に助けたい、包みたいと思っています

あんだ餃子のZINE

按田餃子のZINE

按田餃子のキャッチコピーは「助けたい包みたい按田餃子でございます」?

はい。

いったい何を「助けたい、包みたい」んでしょう。

按田餃子は女子はもちろんちょっと風変わりな人でも入りやすい場所にしたくて。
餃子を食べて元気になってもらいたくて。

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いろんな意味で按田餃子がみんなを「助けたい」と思っています。

「みんな」なんですね。

そうです。鈴木からは「女子がひとりでも気軽に入れるようなお店にしたい」って言われていたんですけど。
カップルで来たときにどちらかしか満足しない料理って、嫌じゃないですか。

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嫌ですね。

ですよね。
だから、男性にも女性にも気のきいたお店にしたいなと思ってます。

実際にお店はどういった方が来られますか?

男女の比率は、半分半分。
たぶん健康を気づかう男性が入りやすい飲食店って意外に少ないんですよね。

初めて訪れたのに、なぜかとっても落ち着く店内。

初めて訪れたのに、なぜかとっても落ち着く店内。

というと?

ちょっと女子っぽいかんじというか。
オーガニックっぽい雰囲気のお店が多いというか。

あー、わかります。

そういうところって、男性だと入るの照れくさいですよね。
そんな理由もあって40代前後の男性の方が常連さんに多いです。

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では「包みたい」に込めた想いは?

餃子を包む」とかけてるんですけど、何かに包まれるのって、しあわせじゃないですか。

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おいしいニオイとか、やさしい雰囲気とか。そういったものに包まれてしあわせになってもらいたいという気持ちを込めています。

なるほど。助けられたい、包まれたい人が集まるわけだ。

うん、おいしい!!

おいしくて、思わず笑顔になっちゃいます。

 

按田餃子の調味料は相棒のような存在でありたい

1日だいたい何個の餃子を包むんですか?

んーと、1,000個くらい。

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1,000個も!

餃子屋さんにしては、たいした量じゃないんだろうけど。
これくらいつくれば今のところ品切れすることはないです。

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包む作業は、あっというまにできちゃうんですね。

包む作業だけなら、あっというまです。
でも餡っていうか…調味料から全部手づくりしてるから、それも含めるとすごく時間がかかってるんですよ。

調味料から?

市販のものは一切使ってないので、調合からやってるんです。自家製調味料は、販売もしてます。

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おすすめの使い方などありますか?

「こういうものに使ってほしい!」っていうのは特にないです。
料理の味付けには銘銘の好みがあるから、最低ラインを確保する手段として使ってもらえたらなと。

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いつもの料理に自由に使ってもらって、その人にとって何かがラクになったり便利になってくれたらいいなと思っています。

調味料ひとつとっても「助けたい、包みたい」精神ですね。

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あえて言葉にしてないけど、素材のこだわり満載です

料理のこだわりを教えてください。

特にメニューとかには書いてないんですけど、日本各地から集めた食材をかなり使っています。

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各地の食材?

たとえば魚醤や海藻類も料理の種類によって産地を変えていたり。

すごいこだわりっぷり!

そう。お茶ひとつとっても、徳島県の発酵茶だったり。
全国のユニークな食品を、実はいろいろ使ってるんですよ。

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でもそういったことをサイトやメニューでは発信しないのですね。

それはつくり手の試行錯誤の話だから。

「あえて売りにしていない」ということですか。

そう。わたし「これはオーガニックです!」とか「国産ナントカを使って…」とか、あまり言いたくないんですよね。それは、お店の武器ではないというか。

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でも、そういうこと謳っているお店も多いですよね。

ですね。でも、そういうのをあえて言わない。
それを言っちゃうのって、たとえばミュージシャンが「このギターだから出せる音です」って言ってるのと一緒かなと。

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按田餃子を楽しんでもらえれば、それはどんな楽しみ方だっていいから。
そのためのつくり手の努力は、わざわざ言う必要がないっていうかね。

かっこいいポリシーです。

 

餃子の次は、アイスクリームサンドイッチ

これからやってみたいこと、何かありますか?

ありますねー。アイスクリームサンドイッチのお店をやりたいです。

これまた…全然方向性がちがいます。

そう、全然ちがうの。でもやりたいなーって。

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それは、按田さんおひとりで?

ううん。鈴木さんと。
手づくりの焼きたてクッキーとトロピカルフルーツのアイスクリームをとびきりおいしいサンドイッチにして、サッと持って帰ってもらうお店をやったら流行るんじゃないか?って話してたの。

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なんで思いついたんですか?

もともとはお菓子屋さんをやりたかったんですよ。

それが今は餃子屋!

そうそう。(笑)
南米でいろんなアイスクリーム屋さんを見ているうちに「これを日本に持ってきたら絶対に流行るだろうな」って。

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按田餃子は健康的なイメージだけど、アイスのお店は思いっきり甘くて健康によくなさそうな見た目のものでもいいかも。(笑)

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全く違う方向のアイデアが出てきて驚きました。5年目以降の展開がますます楽しみです。

そんな按田餃子さんのおいしい料理の数々を紹介するレポートはこちら

4種の水餃子にぷるぷるラゲーライス「按田餃子」の気になるメニューを食べてみました(東京)
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