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誰かの人生を、たくさんの宝物で彩りたい。鹿児島の小さなお店「イロドリ」の幸せな目標

いつも画面越しに見ているネットショップのむこうには、想いのつまった“モノ”とそれを届ける“”たちがいます。このコーナーでは、知られざる商品開発ストーリーやお店の裏側に迫る現場レポートをお届けします。
今回ご紹介するショップ
鹿児島県で、作家さんのうつわや生活雑貨などを販売。幾度もデザインリニューアルを重ね独自の世界観を追求していく姿勢や、商品説明や写真のクオリティなどが評価され「カラーミーショップ大賞2018」ではベストデザイン賞を受賞しました。今回はネットショップ開業のきっかけや昨年オープンした実店舗の話、そして今後の展望についてお話を伺います。

鹿児島市内から車で1時間半、東シナ海を望む阿久根市にやってきました

みかん畑が広がる山道をぐんぐん登って……

山の上に建つイロドリさんの店舗兼自宅に到着!

趣味と子育てのブログから始まったネットショップ

オーナーの迫口 摩季さん、ご主人の宗一郎さん

さっそくですが、摩季さんがネットショップを始められたきっかけを教えてください。

長年ブログを書いていたんですよ。最初は飼っていた犬のこと、子どもができてからは子育てのことを中心に。そしたら、写真に映り込んだうつわについて「どこで買えるの?」と聞かれることが増えてきて、それに答えてるうちに「自分でも売ってみようかな」って思いはじめたのがきっかけです。

あの…「ダカフェ日記」ってブログ、知ってますか?

ダカフェ日記! うちのスタッフにもファンが多いです。

そうそう。わたし、あれがかっこいいなと思ってブログを始めたんですよ。顔や実名を出して写真ブログを書きはじめた先駆者みたいな存在でしたよね。

森 友治さんによる人気ブログ「ダカフェ日記

ダカフェ日記には「これよかばい」っていう小さなコーナーがあるんですけど、わたしもあんなふうに商品を紹介したくなって。それでブログ内でアフィリエイトを始めたら、ちょっとしたネットショップに変わっていき、最終的に今のイロドリができあがった感じです。

そのころはまだ別のお仕事をされていたんですよね?

はい、当時は看護師をしていました。
最初のネットショップは、福岡に住む友達と2人で始めたんですよ。在庫も福岡・鹿児島に分けて運営してたんですけど、さすがにその体制だと厳しくなってきて。

そうこうしているうちに看護師の給料より稼げる月もでてきたんですよね。「ネットショップ一本に絞ったほうがいいんじゃない?」という助言もあって、友達とはお互い独立というかたちで店を畳み、わたしのほうは新たにイロドリを立ち上げました。それが3年ぐらい前かな。

なるほど。看護師を続ける限りは固定のお給料をもらえる安心感もあったと思いますが、独立開業に不安はありませんでしたか。

いやー、心配でしたよ。
同じ職場で出会った主人がそのころ作業療法士として働いていたので、まだ安心材料はありましたけど。…なので彼から「イロドリを一緒にやりたい」って言われたときは、本当にびっくりしましたね。



 

夫婦それぞれの得意分野を活かした運営スタイル

宗一郎さんは、それまでのお仕事を完全にやめてしまったんですか。

摩季さん
やめちゃったよね。
宗一郎さん
やめちゃいましたねえ(笑)
実家のみかん畑があったこの場所に家を建てて、昨年夏に家族で引っ越してきたときから僕もイロドリに加わりました。

自分もイロドリの仕事をしようと決意されたのはなぜですか?

宗一郎さん
僕は、もっといろんな場所に出かけてみたかったんですよね。
でも介護の仕事だとひとところで働かざるをえないし、ギリギリの人員の中では有給をとるのさえ難しいんです。「1日に何名体制でやらなきゃいけない」って決まりもあるし。

介護の現場は大変そうですよね…! 肉体的にも精神的にも。

宗一郎さん
うん。今はネット環境さえあればどこでも仕事ができて、家族といつも一緒にいられるので、こっちのほうが楽しいですね。

ご夫婦そろってイロドリをやることについて、周囲の方の反応はいかがでしたか。

摩季さん
やっぱり向こうの両親はかなり心配してたみたいですよ。
でも、昨年「カラーミーショップ大賞」で賞をいただけたことで、ちょっとは安心してくれました。そういう賞をもらえるぐらいのお店なんだねって。

カラーミーショップ大賞授賞式にて
(写真右はサイトデザインを手がけた朝倉 由美さん)

よかった…! お二人は普段どんなふうに役割分担されてるんですか。

摩季さん
わたしがほとんどの商品を見繕って、作家さんに連絡をとって発注したりしています。
宗一郎さん
彼女はネットサーフィンが仕事みたいな感じです(笑)ネットでいいものを見つけたらそれがどんな人の作品なのか調べたり、好きなお皿や服なんかを朝から晩まで一日中見てる。それで作家さんから届いた商品を包んだり、在庫や発注数を管理するのが僕の仕事。
摩季さん
わたしはそういう管理とか、忘れがちなので(笑)

ご自宅でも多くの作家さんの作品を愛用しているのだそう

宗一郎さん
妻が見立てた商品は、いつもあっという間に売れていきます。最近僕も気に入った商品を仕入れることはありますが、売れ行きは比較的スローペース。なので、うちに不良在庫がほとんどないのは妻の見立てのおかげなんですよ。

目利きって一種の才能なのかもしれないですね。

摩季さん
ふふふ、褒めるねえ。
宗一郎さん
僕は目利きをするよりも業務を仕組み化するほうが好きなので、そこに力を入れていこうと思ってます。

世界観をつくる摩季さんと、裏側の細かい部分を担う宗一郎さん。きれいに得意分野が分かれているんですね!


面白おかしく、ハッピーに世界を切り取りたい

ところで摩季さんのブログ、すごく独特な文体でおもしろいですよね。

摩季さん
あははは! ブログはお酒が入った状態で書くときもあるので、誤字脱字が多くて(笑)

日常の切り取り方がいつもハッピーで、読んでいるわたしまで楽しくなります。

摩季さん
わたし自身、できるだけ楽しいときに、楽しい気分で書くようにしています。やっぱりハッピーなサイトのほうが好きなので。

摩季さんのブログ「おでかけカメラとおうち図鑑

以前のブログでも、子育ての「つらい」「大変だ」よりも なるべく前向きなことを書いてました。
うちの長女は寝ない子だったので、助産師さんにも「この子は大変だね」とか言われてたんですけどね。そんな大変さも面白おかしく切り取りたいし、あとあと振り返るのも楽しかったりして。

イロドリさんの注文確定メールにもそういう良さがにじみ出ていますよね。いい意味で事務的すぎないというか。

注文確定メールの一部

摩季さん
こういうの、わたしは誤字脱字も気にしないんで、いつも夫に添削してもらってます。
宗一郎さん
僕もそんなに気にしないんで、目は通すけどあんまり直ってなかったりします(笑)

好きなサイトとか、影響を受けたネットショップはありますか?

摩季さん
インターネット大好きなので、毎日いろんなサイトを見てますねえ。
なかでも「日用日」さんや「scope」さんのような生活雑貨のネットショップは大好きです! 全体的にハッピーな雰囲気がにじみ出ていて、ちょっと笑えるところもあって。
宗一郎さん
サイトじゃないけど、映画『マイ・インターン』も好きだよね。もう何回観たことか。

『マイ・インターン』、たしか通販サイトの女性オーナーが主人公でしたよね。

摩季さん
そうなんです。あの作品、嫌なキャラクターが1人も出てこないんですよ! あれこそすごく幸せな映画で… わたしもアン・ハサウェイみたいになりたいです(笑)


 

「作家さんのものだから」ではなく「いいものだから」扱っている


日当たりばつぐんのテラスにも案内してくださいました

ここからの景色、とってもいいですね。

摩季さん
じつは引っ越してきたとき、200メートル向こうの家までしか光回線が届いてなくて!
宗一郎さん
しばらくの間、iPhoneのテザリング機能だけでネットショップを運営してたんですよ。引っ越しから2カ月後にようやく光の開通工事が始まったときは、本当にホッとしたね。
摩季さん
そのへんの道をトラックが走るたびに「光の工事ですか?」って聞きに行きました(笑)

ネット環境は店長さんにとって死活問題ですもんね…!
この新しいおうちで実店舗を始めようと決めたとき、こだわったポイントはありましたか?

摩季さん
店舗スペースは、展示ができるだけでなく在庫管理や商品の発送もしやすいように設計しました。引っ越し前から企画展を開催していたので、お客さんに直接手にとって見てもらえるように、ネットショップとの業務バランスを考えて週3日お店を開けることにしました。

宗一郎さん
ここから見える家のほとんどは70代以上の世帯、いわゆる限界集落なんです。鹿児島や熊本の主要都市からも遠いので、ここを訪れるお客さんはあまり多くありません。なので実店舗の集客については課題が山積みです。
摩季さん
まだまだ、今は試行錯誤の段階ですね。

それでも、かなり遠方からお客さんが来られることもありますよね。

摩季さん
ありがたいことに、飛行機とかで遠くから来られる方はいらっしゃいますね。
うちは商品を預けてくださる作家さんたちにかなり恵まれてて。当初お声掛けしたときは1年かけて6枚売っていたような作家さんも、今では出して2~3分で完売しちゃうまでになってるんですよ。

そういう作家さんを一から発掘できるのが、本当にすごいです…!

宗一郎さん
世間は今「作家ブーム」なのかもしれませんが、イロドリの場合は作家さんのものだから扱いたいわけじゃなくて、いいと思って扱ったものが作家さんのものだったというだけ。だから僕たちのお店は流行りに影響されません!と、作家さんにはいつもお伝えしています。


誰かにとっての宝物が見つかるお店へ

これからのイロドリ、どんなお店にしていきたいですか?

摩季さん
今はうつわが多いですけど、ゆくゆくはインテリア雑貨とかにも手を伸ばしてみようかなって。お部屋のスイッチのような小さいアイテムもすごくフェチなので(笑)うつわに限らず自分がほしいと思ったもの、生活を彩るものをもっと幅広く扱ってみたいですね。

海外での買い付けにも興味はありますか?

摩季さん
行きたいですねえ。海外の人の友達もほしいし。
宗一郎さん
海外もそうだし、東京にもちょくちょく足を運びたいんですよ。
田舎にいると、ものを選び取る感覚が自然と鈍ってしまうというか…そこにあるものの中で選ぶ癖がついてしまうので、新しく刺激的なものを探す力が弱まってくるんですよ。
摩季さん
ここではなかなかそういう出会いがないし、あっても気付かなくなっちゃうよね。今はネットがあればどこでも仕事はできるし、子どもたちも連れていけたらいいなと思います。

売上規模の目標はありますか? 今の何倍ぐらいにしていきたいとか。

宗一郎さん
ありがたいことに、2017年からの1年間で売上は2倍になりました。ここまでは安定的に伸ばせているので、今年は月の売上を2.5倍まで増やすのが目標ですね。でも、うちで扱っている商品はほとんどハンドメイド品なので、この目標では商品も作り手も足りなくなってしまいます。需要に対して供給がなかなか追いつかず…。

摩季さん
なのでこれからは在庫確保のためにも、世間とは違ったオリジナルの商品を増やしていく予定です。工場で量産されたものでも、作家さんが手がけてくれたみたいに素敵なものを作りたくて、最近は長崎の窯元さんとお花のかたちのプレートを開発しました。

かわいい! これからのイロドリさん、ますます個性的で魅力たっぷりのお店になりそうですね。

宗一郎さん
売上の目標は一応作っていますけど…それは僕たちがいろんな場所に行って、いろんないいものを見て、それを提供するために必要な金額というだけなんですよ。

本当に叶えたい目標は他にあるということですか?

宗一郎さん
そうですね。ネットショップを見た1000人のうち1人でもいいから、誰かが心から好きだと思えるものを提供できればいいなと思って僕たちはイロドリをやっているので。

もともと介護の業界にいた宗一郎さんがそう考えるようになったのは、何がきっかけだったんでしょうか。

宗一郎さん
介護の業界は「個人」をとても大切にするんですよね。高齢者の方が認知症になってしまうのを見据えた上で、今この人は何が好きなのかをきちんと把握してあげる。そこで心に残ったのは「彼はどこから洗う人なのか把握しろ」という言葉です。頭からか、身体からか。左右どちらから洗うのか。細かい部分まで相手の好みを知っておいて、いざとなったら好きなものや宝物に囲まれた環境で幸せに過ごさせてあげようよ、っていうことなんですけど。

そういう世界から来た僕たちだから、誰かにとって「これがわたしの宝物」って言えるものをうちで見つけてもらえたら、それが一番幸せなんじゃないかと思ってて。
人間はどうせいつか死んでしまうし、その人が生きてたことだっていずれ忘れられてしまうけど、僕たちの提供したもので誰かの生活が彩られて、人生が最高に楽しくなってくれたら嬉しいですね。

ずっと現場にいた方だからこその熱い思いですね。…摩季さん、急に背筋が伸びましたけど。

シャキッ!

摩季さん
なんか真剣な気持ちになっちゃった。
宗一郎さん
猫背やもんね、いつも(笑)

ネットにハマってると、かならず猫背になりますよね(笑)
これからのお二人の躍進を楽しみにしています。今日は素敵なお話をありがとうございました!

おまけ:
摩季さんが今回のインタビュー取材の裏側をブログ記事にしてくださいました!
こちらからお読みいただけます。