誰かの人生を、たくさんの宝物で彩りたい。鹿児島の小さなお店「イロドリ」の幸せな目標
目次
趣味と子育てのブログから始まったネットショップ
さっそくですが、摩季さんがネットショップを始められたきっかけを教えてください。
長年ブログを書いていたんですよ。最初は飼っていた犬のこと、子どもができてからは子育てのことを中心に。そしたら、写真に映り込んだうつわについて「どこで買えるの?」と聞かれることが増えてきて、それに答えてるうちに「自分でも売ってみようかな」って思いはじめたのがきっかけです。
あの…「ダカフェ日記」ってブログ、知ってますか?
ダカフェ日記! うちのスタッフにもファンが多いです。
そうそう。わたし、あれがかっこいいなと思ってブログを始めたんですよ。顔や実名を出して写真ブログを書きはじめた先駆者みたいな存在でしたよね。
ダカフェ日記には「これよかばい」っていう小さなコーナーがあるんですけど、わたしもあんなふうに商品を紹介したくなって。それでブログ内でアフィリエイトを始めたら、ちょっとしたネットショップに変わっていき、最終的に今のイロドリができあがった感じです。
そのころはまだ別のお仕事をされていたんですよね?
はい、当時は看護師をしていました。
最初のネットショップは、福岡に住む友達と2人で始めたんですよ。在庫も福岡・鹿児島に分けて運営してたんですけど、さすがにその体制だと厳しくなってきて。
そうこうしているうちに看護師の給料より稼げる月もでてきたんですよね。「ネットショップ一本に絞ったほうがいいんじゃない?」という助言もあって、友達とはお互い独立というかたちで店を畳み、わたしのほうは新たにイロドリを立ち上げました。それが3年ぐらい前かな。
なるほど。看護師を続ける限りは固定のお給料をもらえる安心感もあったと思いますが、独立開業に不安はありませんでしたか。
いやー、心配でしたよ。
同じ職場で出会った主人がそのころ作業療法士として働いていたので、まだ安心材料はありましたけど。…なので彼から「イロドリを一緒にやりたい」って言われたときは、本当にびっくりしましたね。
夫婦それぞれの得意分野を活かした運営スタイル
宗一郎さんは、それまでのお仕事を完全にやめてしまったんですか。
実家のみかん畑があったこの場所に家を建てて、昨年夏に家族で引っ越してきたときから僕もイロドリに加わりました。
自分もイロドリの仕事をしようと決意されたのはなぜですか?
でも介護の仕事だとひとところで働かざるをえないし、ギリギリの人員の中では有給をとるのさえ難しいんです。「1日に何名体制でやらなきゃいけない」って決まりもあるし。
介護の現場は大変そうですよね…! 肉体的にも精神的にも。
ご夫婦そろってイロドリをやることについて、周囲の方の反応はいかがでしたか。
でも、昨年「カラーミーショップ大賞」で賞をいただけたことで、ちょっとは安心してくれました。そういう賞をもらえるぐらいのお店なんだねって。
よかった…! お二人は普段どんなふうに役割分担されてるんですか。
目利きって一種の才能なのかもしれないですね。
世界観をつくる摩季さんと、裏側の細かい部分を担う宗一郎さん。きれいに得意分野が分かれているんですね!
面白おかしく、ハッピーに世界を切り取りたい
ところで摩季さんのブログ、すごく独特な文体でおもしろいですよね。
日常の切り取り方がいつもハッピーで、読んでいるわたしまで楽しくなります。
以前のブログでも、子育ての「つらい」「大変だ」よりも なるべく前向きなことを書いてました。
うちの長女は寝ない子だったので、助産師さんにも「この子は大変だね」とか言われてたんですけどね。そんな大変さも面白おかしく切り取りたいし、あとあと振り返るのも楽しかったりして。
イロドリさんの注文確定メールにもそういう良さがにじみ出ていますよね。いい意味で事務的すぎないというか。
好きなサイトとか、影響を受けたネットショップはありますか?
『マイ・インターン』、たしか通販サイトの女性オーナーが主人公でしたよね。
「作家さんのものだから」ではなく「いいものだから」扱っている
ここからの景色、とってもいいですね。
ネット環境は店長さんにとって死活問題ですもんね…!
この新しいおうちで実店舗を始めようと決めたとき、こだわったポイントはありましたか?
それでも、かなり遠方からお客さんが来られることもありますよね。
うちは商品を預けてくださる作家さんたちにかなり恵まれてて。当初お声掛けしたときは1年かけて6枚売っていたような作家さんも、今では出して2~3分で完売しちゃうまでになってるんですよ。
そういう作家さんを一から発掘できるのが、本当にすごいです…!
誰かにとっての宝物が見つかるお店へ
これからのイロドリ、どんなお店にしていきたいですか?
海外での買い付けにも興味はありますか?
田舎にいると、ものを選び取る感覚が自然と鈍ってしまうというか…そこにあるものの中で選ぶ癖がついてしまうので、新しく刺激的なものを探す力が弱まってくるんですよ。
売上規模の目標はありますか? 今の何倍ぐらいにしていきたいとか。
かわいい! これからのイロドリさん、ますます個性的で魅力たっぷりのお店になりそうですね。
本当に叶えたい目標は他にあるということですか?
もともと介護の業界にいた宗一郎さんがそう考えるようになったのは、何がきっかけだったんでしょうか。
そういう世界から来た僕たちだから、誰かにとって「これがわたしの宝物」って言えるものをうちで見つけてもらえたら、それが一番幸せなんじゃないかと思ってて。
人間はどうせいつか死んでしまうし、その人が生きてたことだっていずれ忘れられてしまうけど、僕たちの提供したもので誰かの生活が彩られて、人生が最高に楽しくなってくれたら嬉しいですね。
ずっと現場にいた方だからこその熱い思いですね。…摩季さん、急に背筋が伸びましたけど。
ネットにハマってると、かならず猫背になりますよね(笑)
これからのお二人の躍進を楽しみにしています。今日は素敵なお話をありがとうございました!
おまけ:
摩季さんが今回のインタビュー取材の裏側をブログ記事にしてくださいました!
こちらからお読みいただけます。