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爆発させてつくるパン豆って? 愛媛・ひなのやさんの製造所を見学しました

いつも画面越しに見ているネットショップのむこうには、想いのつまった“モノ”とそれを届ける“”たちがいます。このコーナーでは、知られざる商品開発ストーリーやお店の裏側に迫る現場レポートをお届けします。
今回ご紹介するショップ
愛媛県西条市にある「パン豆 ひなのや」さん。県内はもちろん全国の雑貨店などへパン豆の卸しを展開する人気のお店です。こちらの記事ではパン豆の製造工程をお届けします。

パン豆ってどんなお菓子?

壬生川駅からタクシーで15分


丹原町にある本店兼製造所にやってきました

ひなのやを営む株式会社 りんね
代表取締役・玉井 大蔵さんにお話を伺います

さっそくですがパン豆について教えてください!

そうですね〜。紙芝居でいきましょうか。

紙芝居…?

県外で実演販売をやっているんですがお菓子の完成に時間がかかるので、その間紙芝居を使って説明してるんですよ。

なるほど。

「パン豆」っていうのは、いわゆる「ポン菓子」といわれるお米をふくらませた菓子のことです。

地方によって呼び名が変わるんですけど「パン豆」というのは愛媛のこのあたりの呼び方。関東だと「ばくだん」、中国だと「爆米花(パオミィファ)」と呼ばれています。

爆発に関係した言葉が多いですね?

ポン菓子のつくりかたが関係していまして。

どんなふうにつくるんですか。

ポン菓子機をつかって、お米をふくらませます。
そのときにものすごい音を立ててお米が爆発するんで、爆発に関係した呼び方が多いんです。

なるほど。

ちなみにこれがポン菓子機です。

正式名称は「穀類膨張機」っていいます。

ずいぶんイカつい名前ですね。

1900年代にドイツあたりで生まれた機械なんですけど、そのあと第一次世界大戦後にいらなくなった大砲を転用してたくさんつくられたそうです。

海外で生まれた機械なんですね。

日本では1947年ころ北九州市のメーカーさんで初めてつくられました。今もおそらく日本で唯一のメーカーさんです。昔はこの機械を使って町のあちこちでポン菓子が売られていたんですよ。

今日は実際にポン菓子をつくる過程をお見せしますね。

おねがいします!

ポン菓子のつくりかた

まず余熱した釜のなかにお米を入れます。

ここにお米をいれます

それからモーターで釜をぐるぐる回転させながら、直火で熱していきます。

ドラム型の釜がぐるぐると回ります

あとは10分待つだけです。
このあと釜のフタをあけるとお米がふくらんで出てきます。

工程はずいぶんシンプルなんですね!

そうですね。ただ、うちの場合はふくらませた米にいろいろなフレーバーをつけて販売しています。

フレーバーは何種類くらいあるんですか?

伊予柑・抹茶・チョコ…季節限定もいれると10種類以上ありますね。

待っている間いろいろ聞いてみました

ここはもともと民家だったんですか?

僕のひいおばあさんの家でした。奥にフレーバーをつける部屋と袋詰めをする部屋があります。

入り口の扉も最初は木の引き戸だったんですよ。でも途中でガラス戸につけかえてもらいました。

入り口の扉、なぜ変えたんですか?

いや、これがいろいろありまして…

おじいちゃんが扉を叩きにやってきた

そもそも「こんなところへポン菓子を買いに来る人は絶対いない」と思い込んでいて製造所としてこの家を改築したんです。ここで販売するつもりはありませんでした。

たしかに、一見するとお店には見えません

製造所をはじめるとき、隣近所のおじいちゃんおばあちゃんたちへ「ここでお米ふくらますけん」とあいさつにまわったんですね。

ほうほう。

いざ製造をはじめてみたら、いきなりドンドンッ! 扉を叩かれるのがはじまったんです。扉を開けたら「ここでポン菓子売ってるんやろ?」っておじいちゃんが立ってるんですよ。(笑)

きっと病院の待合室なんかのおしゃべりで「ポン菓子屋ができたけん」って噂話が広まっていったんでしょうね。1人2人、とうとう扉が開いていないことを怒る人まで現れて「こりゃいかん!」と慌ててガラス戸につけかえて、週に3日だけ販売をはじめることにしました。

製造所の入り口でポン菓子を販売しています

それじゃあ、ここでの販売は計画的ではなく…?

いつのまにか販売することになっていました。(笑) 今では近所の方がたくさん来られます。

このまえなんか近くのハンバーガー店のドライブスルーでマイクの向こうのおばちゃんに「ひなのやさんの季節限定フレーバー、今なんですか?」って聞かれてさすがに「注文してるのこっちなんやけど!」って笑っちゃいました。

すっかり近所の有名人ですね。(笑)

そんなこんなで10分が経ちました

ではそろそろドカンと言わせます。

おねがいします。

ハンマーで叩いて釜のフタをあけます。そうすると網のなかにふくらんだお米が飛び出てきます。一瞬です。

はい、じゃあいきまーす。

いち…
にの…
さん!

ドカンッッッッ!!!

っっっ〜〜〜〜!!!!!

 

…鼓膜破れてませんか? (笑)

想像以上の爆音でした。

これができたてのポン菓子です。

ちょっと焦がしてしまいました。

1回でどれくらいできるんですか?

1回で1升分つくれますから、うちの商品でいうと20〜30袋分ですね。

ちなみにこの1台で、全国に出荷する分を…?

はい。よく驚かれます。(笑)
しかも3年前の秋冬は僕がひとりで米をふくらませていました。朝3時に起きてお米をふくらませて21時に眠る毎日で…。

玉井さんは昔からポン菓子をつくられていたんですか?

いえいえ。もとは東京のメーカーで営業をやっておりました。

そうだったんですか! 今のお仕事をはじめられた経緯、詳しく教えてください。

サラリーマンから、ポン菓子屋へ。愛媛から全国へ

こちらのインタビューでは、玉井さんが「パン豆 ひなのや」をはじめた経緯と目指していることについて詳しくお話を聞きました。ぜひお読みください!