目次
「あのときほど永沢くんに想いを馳せたことはないですね。」
ポップアップストアは、初めてですか。
そうなんです。実店舗はもっていないので。
いつも倉庫に眠っていてかわいそうだから、こうやって雑貨を外に出してあげられるのは嬉しいです。
お店を始めてどれくらいになります?
1年半になります。
それまでは、どんなお仕事をされていたんですか?
広告制作会社に勤めていました。
どういった経緯で雑貨店を始めたんですか。
もともとわたしがデンマークへ留学していまして。
そのとき触れた北欧の雑貨をはじめまだ日本で知られていないプロダクトの魅力をお届けするために、お店を開きました。
日本で知られていない魅力、どんなものがありますか。
たとえばうちのお店では「キャンドルのある暮らし」を積極的に提案するために、日本では珍しいキャンドルホルダーなど取り扱っています。
キャンドルと聞くと、火事や火傷など懸念して使うのを躊躇してしまいます…。
その気持ち、よくわかります。
わたしもその経験があるんです。
キッチンで油の処理中に小さな爆発を起こす失態をして以来、それはもう…火に怯えながら生きてきたので。
トラウマになってしまいそうですね…。
あのときほど永沢くん(ちびまる子ちゃん)に想いを馳せたことはないですね。
(笑)
だけどデンマークの暮らしのなかでキャンドルの灯りを見るうちに、そのぬくもりが大好きになりました!以来ずっと灯りに癒される日々を送っていますし、日本のみなさんにも「キャンドルのある暮らし」を体験していただきたいなと考えるようになりました。
夏はどんなふうにキャンドルを使ったらよいでしょう?
アウトドアやベランダなど外で過ごすときに、この虫除けキャンドルを使っていただきたいです!
オリジナルのキャンドルですか。
そうです。虫がニガテなので、かわいくて持ち歩ける虫除けキャンドルが欲しいなと思って作ったもので、この夏のいちおしです!
虫除けキャンドルなら暮らしに取り入れやすいですね。さっそく購入しちゃいます。
ただただ本当に自分が好きなものを。
お店にあるものは、北欧の雑貨だけでしょうか。
デンマーク、リトアニア、イスラエル…10カ国以上ありますね。
10カ国も。
最近、新しく日本人作家さんのアイテムも取り扱い始めました。このマグカップなんですけど。
すてきなマグカップ! 北欧の方の作品かと思いました。
色づかいとかパターンとか、初めて見たときわたしも「北欧の作家さんかな?」と思ったんですが「Studio Oyama」というスウェーデン在住の日本人・Masayoshi Oyaさんのブランドなんです。
どうやってみつけたんですか?
Instagramで発見しました。
一目惚れして、すぐにメールを送ったんですが、そのとき北欧のデザインアワードで注目されて依頼が殺到しまったようで、なかなかやりとりが進まず。けっきょく最初に連絡してから半年くらい経って、ようやく販売することができました。
このマグカップ、日本ではFORSLAG DESIGNさん以外でも販売されているんですか?
うちの他は1店舗だけですね。
ものすごくレア度の高いアイテムですね。
そうなんです。
Oyaさんも卸先のお店を選んでくれているみたいで。今回、うちのお店が器をとりあつかうのが初めてということで、ていねいに紹介してくれることに期待を込めてくださって。
なるほど。吉金さんは、どんな基準で雑貨をセレクトされているんですか。
ただただ本当に自分の好きなもの・好きな作家さんであることを重視しています。テイストでいうと、ユニセックスで媚びない、廃れのないデザイン。個人的に北欧に愛着があるのでそのテイストは含まれているかもしれないけど、最終的にまとまって「なんとなくFORSLAG DESIGNっぽいね」となるよう品ぞろえを心がけています。
作家さんに売れ行きを報告するし、売れなければ正直に相談もする。
作家さんから直接仕入れているものが多いんですか。
そうですね。
たとえば、このバッグは、もともとわたしが大好きで個人的に輸入してたブランドのものなんです。
お店を始めるにあたって卸しをしてくれないか尋ねてみたのですが、そのときはまだ卸しをやっていなくて。でも半年経ったとき、ちょうど彼らが卸しを始めて「あなたのネットショップを見たけど、ぜひ商品を卸したい。一緒にやりましょう。」と言ってくださったんです。
ネットショップを気に入ってくださったんですね。
そうなんです! うちのお店って、日本でよく見るような分かりやすくて買いやすさ重視のネットショップではないんですね。
ファッション性というか、空気感をとても大切にされていますよね。
はい、どちらかというとギャラリーぽいかもしれないですね。でもこのサイトのデザインが、海外の方にはすごく良い印象を持ってもらえるみたいで。「あなたのお店だから」ということで取引を決めてくれたり、褒めてくださることは多いです。
大好きなものを作ってる人たちにそう言っていただけるのはうれしいことですね!
そう、それがすごく嬉しいんです。だから、なんとか日本に彼らの作品を広めたいという想いが強いです。
もちろんお客さんとのやりとりも大好きなんですが、わたしは作家さんとのコミュニケーションをとても大切にしています。やりがいのひとつです。
ただものを売るんじゃなくて、他のお店よりも密に関係性を築いていきたいと考えています。だから、作家さんには売れ行きも報告するし、売れなければ正直に相談もしますね。
どんな回答が返ってきますか?
初めて日本に卸す方が多いので「こうしてみたらどうかな?」と実験的なアイデアをくれたり、現地ならではの写真を送ってくれたりします。ときにはうちのお店のために別注品を用意してくれることもあります。
深いつながりがあるからこそ、他では手に入らないようなすてきなアイテムを提案できるんですね。
みんながまだ見たことないものを、知ってほしい。広めたい。
日本では知られていない、すてきなものばかりです…!
ありがとうございます。
うちのお店で扱っているものは、どれも日本の需要の「どまんなか」ではないと思っています。
お店を始める前は不安だったのですが、実際に始めてみて「すてきですね」と言ってくださる人、買ってくださる人、何度も訪れてくれる人がいるのも分かりました。わたしの提案するスタイルに共感してくれる人がいるんだ!って、感動しています。
知らなかっただけで、そのきっかけを吉金さんが届けてくれているからこそだと思います。これから何か挑戦したいことはありますか?
そうですね…どちらかというと集客を無視して自分の好きなことをしているので、ゆくゆくは「買っていただくこと」をもっと意識したいなとは思います。
でも、だからといってメジャーなものを並べればいいとは思っていません。今はやっぱり、みんながまだ見たことないものを知ってほしいですし、なるべく新しい物を仕入れることを大切にしていきたいです。
では、今のスタイルをしばらくは続けていく、ということでしょうか。
はい。ふつうのお店に並んでるものを私が仕入れても何もならないな、というか。まだしばらくは、自分の”好き”を貫きたい!って思います。
今回のようなポップアップストアは、今後も展開したいですか?
やりたいですね。
年に2回くらい、次はクリスマス前とかにできたらぜひ!
好きなものを集めるのはもちろん楽しいんですけど、それを広めたい、使ってもらって幸せになってもらいたい!という気持ちがわたしの原動力です。そのきっかけづくりとしても、ネットショップやイベントをがんばっていきたいです。
2年後、3年後、今後のFORSLAG DESIGNさんが楽しみです。今日はありがとうございました!