一度見たら忘れられない! 小さなエビ工場が挑戦した「エビづくし」のリブランディング秘話
今回は、同社代表の武藤 北斗さんに、創業の経緯からECサイト開設の舞台裏、そして2025年11月のサイトリニューアルについてお話を伺いました。
国際協力から始まったエビ輸入・卸事業
まずは会社について教えてください。
当社は30年ほど前に僕の父が立ち上げた会社で、創業以来パプアニューギニアのエビだけをずっと取り扱っています。
商品は殻付きエビ・むきエビ・エビフライの3つだけ。かなり特化型の会社なんです。
創業のきっかけは、どういった経緯だったのでしょうか。
父は青年海外協力隊の活動を経てJICAに所属していたのですが、そこへパプアニューギニア政府から「現地で獲れた天然エビを日本で販売できないか」という話が来たことが始まりです。
現地のエビ漁師さんも当社も、現在はそれぞれ独立してパプアニューギニア政府とは無関係に運営していますが、もともとはそういった経緯からスタートしています。

お父さまが国際協力の活動に入られたのはどういったきっかけだったんですか。
かつて築地市場で働いていた頃、生産者と販売者の格差に疑問を感じていたようです。
南の国で漁をしている人たちが一生懸命働いても、その価値が十分に返ってこない。
そんな構造に疑問を抱き、市場をやめて青年海外協力隊に入ったと聞いています。
その後、武藤さんも家業に入られたんですね。
はい。僕も大学卒業後は築地市場で働いていましたが、いろんな経緯があって両親と一緒に商売していくことになりました。
もともと継ぐつもりはなかったんですけどね。
創業当初から現在のような形で運営されていたんですか。
最初は違いましたね。コンテナ船で届いたエビを冷凍庫に入れてそのまま市場へ卸すのがメインでした。
ですが創業からしばらく経つと、養殖エビが少しずつ市場に出回るようになってきて。
養殖エビの価格が下がると、なぜか天然エビの価格まで連動して下がっていくんですよ。
このままのスタイルで商売を続ければ、現地で漁をしている方々が食べていけなくなってしまう。それに危機感を覚え、自分たちでエビを解凍・加工して販売する業態に切り替えていきました。
これが現在のむきエビやエビフライの製造にもつながっています。

EC限定商品で、卸先との棲み分けを図る
そんな中、オンライン販売を始めたのはどういったきっかけからでしょうか。
当初は大手ECモールに出店していたのですが、非常に葛藤していたというのが本音です。
自分たちでオンライン販売をすると、卸で長年お世話になってきた小売店やスーパーさんと競合してしまう。それは卸先の皆さんに対する裏切りなんじゃないか?という思いが拭えませんでした。
どのように折り合いをつけたんでしょうか。
うちのエビの取扱店は大阪・東京など一部の地域に偏っていたので、卸先の皆さんには「地方にお住まいでなかなか買えない方にも届けたい」とお伝えし、理解してもらいました。
とはいえ、自社ECサイトで取引先より安く売ることはしたくなかったので、今でも自社のみのセールはしていませんし、EC限定の商品を作るなど棲み分けを意識した取り組みを行っています。
でも実際始めてみると、「みんなオンライン販売をそこまで気にしてないんだな」とも感じましたけどね。
送料に関しても、うちの送料無料ラインは比較的高めに設定しています。
最寄りの取扱店で買えるお客さまだって、お店へ足を運ぶのには交通費や燃料費をかけているわけですから、ECでしっかり送料をいただくことは決して悪いことではないと思っています。
なるほど。EC限定の商品とはどういったものですか。
天然エビってサイズや品種が一定ではないんです。
小売店さんに卸せるほどの数量ではないけれど、品質のよいものが少しだけ届くこともあって。
そういうものを自社ECで販売できれば収益も安定するし、取引先の方々にもご納得いただけるだろうと思い、EC限定商品として取り扱っています。

noteとECの連携で、発信が売上につながった
その後、ECモールから自社ECへ移行したのはなぜでしょうか。
広告にコストを投じてお客さまを呼び込むECモールの運営方式が、自分たちには合わないと感じたからです。
退店後は無料カートサービスを利用していた時期もありますが、ショップだけでなく管理画面にまで広告が表示されることに抵抗感がありました。
それでカラーミーショップに引越しをされたんですね。
はい。信頼している取引先のECサイトが使っていたサービスだったことがきっかけで選びました。
カラーミーショップは名前も通っていますし、「カラーミーショップ大賞」の受賞店舗を見て、うちもこういうECサイトを作れるかもしれない というイメージが湧いたことも、サービス選びの決め手になりましたね。
サイトは現在も武藤さんが一人で運営されているんですか。
社内でPCを触れるのが僕くらいなので、ページの更新から商品写真のアップまで全部自分でやっています。
受注確認と発送まわりの業務はスタッフに任せられるようになりましたが、ECサイト自体は今もほぼ僕一人で回している状態です。
武藤さんはnoteでの発信も続けていらっしゃいますよね。始めたきっかけは何だったんでしょうか。
取引先のわざわざさんが書いたnoteの記事がすごくバズっていて、あれに憧れて始めたんです。
最初は全然バズらなかったんですけどね(苦笑)。
noteにはカラーミーショップとの連携機能があって、記事やクリエイターページの中に商品ページへのリンクを表示できるんです。
記事を読んだ方がショップを訪れてエビを買ってくれるようになったことで、売上につながっている実感が湧き、「もう少し続けてみよう」という気持ちになれました。
発信が少しずつ売上にもつながっているんですね。

自分一人で戦わず、プロの知識を積極的に借りる
昨年、ECサイトをリニューアルされたそうですね。
はい、2025年11月にリニューアルしました。
それまでずっと自分一人でサイトを作ってきましたが、数年前から限界を感じていたんです。
「素人が無理やりプロを真似して失敗してる典型的なサイトだ」と自分でもよく分かっていたので、このままじゃ伸びないな、と。
そんなとき、大阪の制作会社の方と知り合う機会に恵まれたので、ロゴや商品パッケージ、ECサイトのデザインまで、ブランディングをまるごと依頼することにしました。
ブランドのコンセプトはどうやって決まっていったんですか。
僕としては中途半端にしたくなかったので、すべて任せっきりではなく、1年半ほどかけてミーティングを何度も重ねながら一緒に作っていきました。
最初に決めたのは「オーガニック系の食品によくある、きれいなイメージの海産物パッケージにはしたくない」ということです。
そういうデザインだと、世の中にたくさんある商品のひとつになってしまいますからね。
打ち合わせを重ねる中で、僕がエビについて語っているのを見たデザイナーの方が「プロというよりオタクですよね」と言い始めて。そこから「エビオタクがやっている会社」というコンセプトが固まっていったんです。
きれいなイメージよりも、「エビ大好きな人」がやっていることをアピールしたほうがいいんじゃないか、と。
特徴的な「頭にエビが乗っている」ロゴもそこから生まれたんですか。
「エビのことばかり考えていたら頭がエビになってしまった」っていうアイデアをデザイナーさんが持ってきてくれたんです(笑)。
想像もしなかったアイデアなので驚きましたが、じゃあそれでやってみようとなりました。


公開後の反響はいかがでしょうか。
特に女性に好評ですね。「一度見たら忘れない」とよく言ってもらえるので嬉しいです。
リニューアルのタイミングで、ECサイトと会社のサイトも一体化しました。
サイトが別々だとお客さまが混乱してしまうし、辿り着けない方もいるので、ECサイトがそのまま会社の顔を担う形にしたかったんです。これはとても評判がよかったです。
ですが、実のところサイトリニューアルはまだまだ途中なんですよ。
商品説明文をもっとブラッシュアップしたいですし、過去の会社サイトが検索結果の上のほうに出てきてしまうのも悩みどころです。
長く続けてきたブログが残っているので、できれば消したくないのですが、体験としてお客さまを混乱させてしまうのもよくないので、今そこを調整しているところです。
リニューアルを経て、サイト運営に対する考え方に変化はありましたか。
一番変わったのは「全部自分でやろうとしない」ということですね。
経営者がよく陥りがちなのが「自分がやれば安い」っていう考え方なんですよ。
「自分でやれば外注しないぶん安いじゃん」ってつい考えがちだけど、実際は経営者が作業する時間も安くはありません。
だからこの考え方は本当はあまりよくないのかもしれないな、と。
社内にできる人もやりたい人も不在なら、外部のプロに頼って、プロに言われたことを自分たちでしっかり頑張る という役割分担で回していくほうがいいと気付きました。
テクニカルな領域を今から一人で勉強するよりも、外注でプロの知識を積極的に借りていくほうが、たとえお金がかかったとしてもはるかに意味があると感じています。
最後に、今後の目標を教えてください。
ECサイトについては、売上を今の2倍にすることが目標です。
今は来訪者の数に対して購入率が低いことが課題なので、カゴ落ち対策など改善すべきポイントを制作会社の方と話し合っているところです。
検索上位を狙うためのサイト作りにも力を入れていきたいですね。
会社としては、僕たちは商品作りに強い自信を持っているので、今後もそれを維持していきたい。
添加物を使わず、手作業にこだわるといった自分たちのポリシーをしっかり保ったまま、事業を長く継続していきたいから、あまり必要以上に会社を大きくしたいとは考えていません。
自分たちがおいしいと思えるものを作り続けることが、僕の一番やりたいことですね。
今日はすてきなお話をありがとうございました!
