「ありそうでなかった文具」を生み出し、根強いファンを抱える東京の文具ブランド・つくし文具店。
自社ECサイトと全国のセレクトショップへの卸を通じて、暮らしと仕事の双方になじむオリジナル文具を届けています。
今回は、同店ブランドマネージャーの吉川 友紀子さんに、EC移行の経緯と今後の挑戦についてお話を伺いました。
家業の文具店が原点となったブランドの歩み
つくし文具店の成り立ちについて教えてください。
現在の店主である萩原修のお母さんが、自宅の片隅で始めた文具店がルーツです。
お母さんが高齢になり、文具店を取り巻く時代が移り変わったこともあって一度は閉店しましたが、その15年後に萩原が同じ屋号のまま現在のスタイルで再開しました。
当初はデザイナーの方々が手がけた商品を仕入れて販売するところからのスタートで、その後少しずつオリジナル商品が増えていき、現在に至ります。
現在はどういった体制で運営されていますか。
萩原と私を含めスタッフ5名ですね。商品開発はDRILL DESIGNというデザインユニットの方々にお願いしています。
販路は自社ECサイトと、全国約40店舗への卸が中心です。
商品づくりのこだわりについてもお聞かせください。
私たちは、店名をもじって 「つながる くらしと しごと」という考え方をコンセプトに据えて、暮らしでも仕事でも使える、そこにあって違和感のない日常の道具を作ることにこだわっています。
DRILL DESIGNさんには、「文具とはどうあるべきか」というところから一緒に考えてもらっています。
文具ファンの間で支持されているのは、丁寧な思考と創意工夫があってこそなんですね。
そうですね。当店の商品はユーザーの皆さんが口コミで広めてくれることが多いので、非常にありがたいです。
最近ちょっとしたイベントを開いた際も、大学生のお客さまが「中学生のときから使っています」とペンケースを新調しに来てくださったりして。
そういった出会いをとても嬉しく感じています。
14年間使ったサービスを乗り換えた理由
カラーミーショップに移行される前は、別のカートサービスをお使いだったのでしょうか。
はい。2011年から長く使っていたサービスがあり、2025年まで14年間お世話になっていました。
移行を検討し始めたきっかけは何でしたか。
要因として一番大きかったのは、メールの不達が起こりやすかったことです。
送信したはずのメールが迷惑メールとして処理されたり、エラーで戻ってきてしまうことがすごく多くて。
長く運営してきたぶん配信リストの件数も多いため、1回のメルマガ配信だけで100~200件単位がエラーになってしまうこともあり、根本的にシステムを見直す必要性を感じていました。
それから、移行前のサイトはPC向けのレイアウトだったことも大きな課題点でした。
スマホで表示すると文字が小さく、ECサイトの導線もわかりづらい。
そのせいかECサイトの存在に気付かれず、「商品はどこで買えますか?」なんてお問い合わせをいただくことも多かったんです。
当時のサイトは実店舗の情報サイトとしての側面が強かったので、ECサイトの導線をより明確にして、「ここで買える」ことが伝わる設計にしたいという思いもありましたね。
カラーミーショップを選んだのはどういった経緯からでしょうか。
Afterhours(アフターアワーズ)の横田さんというWebデザイナーの方に、サイトリニューアルを相談したのがきっかけです。
ご家族が洋菓子の販売にカラーミーショップを利用していることもあり、デザインカスタマイズや操作性もよくご存知で、「わからないことがあればいつでも聞いて」と言ってくださって。
移行前に抱えていた課題は解決されましたか。
以前と比べてHTMLメールが送りやすくなり、不達やエラーは大幅に減りました。
トップページにECサイトへの導線もわかりやすく設けたので、スマホでの表示やお買い物のしやすさという点でも、かなり改善されたと思います。
つくし文具店さんのECサイトを見てみると、お店の写真や商品画像がイラストで描かれていますね。これはどういった理由からでしょうか。
サイト移行はしたものの、それまでの雰囲気も保ちたかったので、以前と同じイラストを使用しています。
写真だと「生々しさ」が出てしまったり、お店の外観を写真に撮ると周辺の景色も映り込んで、いらない情報が入ってきてしまうんですよね。
だったらトップページはイラストにして、お店だけをスッキリ際立たせるほうがいいなと。
それに合わせて商品ページにもイラストを使用し、全体的なバランスをとって今のスタイルになりました。
商品画像をイラストで見せているECサイトは意外と少ないですし、あえて写真を出しすぎないのもおもしろいんじゃないかと考えています。
お店の個性がしっかり表れていますね。
ブランド価値を守るために、モールの価格競争を避ける
これまでにECモールへの出店を検討したことはありますか。
基本的には出店しないことにしています。ECモールでは、セールイベントが実質的な値引き販売になってしまうことが多いので。
当店の商品は価格もブランドの一部だと考えているので、そこは守りたいという思いがあります。
モールに出店しないことは、ブランド管理の面でもメリットが大きいんですね。
はい。一部の大手モールには、つくし文具店と直接お取引していない業者さんが正規ではない価格で販売しているケースも見られます。
だからこそ私たちが自社ECを軸にすることで、「公式で売っているものが正規品・正規価格」だということが皆さんに伝わるようにしたいという意図もありますね。
お客さまへのPRや、認知面の施策についてもお聞かせください。
以前、SNSのハッシュタグで当店の商品がちょっとした広まりを見せたり、文具系のインフルエンサーさんに動画で取り上げていただいたりといったことがありました。
そういった反応を目にするたびに、自分たちからも発信を強化しなければと思いますし、特にInstagramはこれまで以上に活用していきたいと考えています。
ユーザーの皆さんのリアルな使用シーンを取材させてもらったりとか、そういうコンテンツもいずれ増やしていきたいですね。
今後、ECを通じて挑戦してみたいことはありますか。
生産背景やものづくりのストーリーをコンテンツとして伝えていくことです。
イラストを使ったECサイトは比較的スッキリした見せ方なので、SNSも活用して雰囲気をうまく使い分けながら、工場での生産現場などリアルな魅力もお届けしていけたらと思っています。
最後に、つくし文具店として今後目指すものを聞かせてください。
店主の萩原は、「ないものを作りたい」という思いをずっと大切にしています。
当店のロングセラー商品「つくしペンケース」は、ノートのように開ける平型の形状で、これまでになかったプロダクトとして発売当初から人気を博してきました。
そんなふうに、今まで見たことのない文具の形を提案できたらということを常に考えています。
「文具店」とは名乗っていますが、市場に合わせて商品展開を広げるのではなく、小規模なブランドだからこそ実現できる新しい道具のあり方を、これからも模索していきたいです。
ショッププロフィール
