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価格で勝負はしない。競合の多い型番商品で勝ち抜く鍵は「徹底的な顧客目線」にあり!

いつも画面越しに見ているネットショップのむこうには、想いのつまった“モノ”とそれを届ける“”たちがいます。このコーナーでは、知られざる商品開発ストーリーやお店の裏側に迫る現場レポートをお届けします。
今回ご紹介するショップ
静岡県浜松市にある模型専門ショップ『G PARTS』は、多くのプラモデル愛好家やプロモデラーに愛されるカリスマショップです。今回はオーナーの戎家(えびすや) 伸さんに、編集部随一のプラモデル好きスタッフがお話を伺いました。

価格でも広告でも勝負しないと決めた

今日は毎日チェックしているG PARTSさんにお話を伺うことができて光栄です。
早速ですが、モデラーさんたちのブログを見ていると、G PARTSさんへのリンクをよく見かけるのですが、同じ商品は他のショップでも売っているわけですよね?

そうですね。うちの商品はほとんどが仕入れ商品です。オリジナル商品は写真撮影用の背景紙くらいしかありません。

それでも数ある競合の中から選ばれる理由って何でしょうか?
例えば、他のショップの価格をチェックすることはありますか?

まったく見ないですね。値段を気にし始めると、商品を見てもらいたいのに、そっちにばかり自分の意識がいってしまうので。そもそも、模型商品自体がそれほど利益率の高いものではないんですね。値段を下げることで、ますます利益は上がらなくなります。ですので、G PARTSの商品はほとんど定価なんです。

戎家 伸さん

その方針はオープン当初からですか?

はい。カラーミーショップを選んだのは、他に比べて非常にランニングコストが安かった使える機能が豊富だった自由度が高かったからなんです。
実は、前職でECをサポートする仕事をしていたのですが、そのほとんどが大手ショッピングモールに出店しているお店だったんですよ。

そうだったんですね。

大手ショッピングモールはランニングコストが高く、まるで広告のために仕事をしているような状況を見てきていたんですね。だから、カラーミーショップに決めました。今までやってこれたのは、やはりカラーミーショップのランニングコストの低さが大きいのではないかなと思います。

無料のネットショップ作成サービスが出てきたときに、乗り換えを検討されたことはありますか?

知識としては知ってはいますが、サービスを変えるとやり方が変わって自分に負担がかかるのもそうですし、お客さまにも負担をかけることになると思うんです。

確かに、ユーザー登録をやり直していただくことになりますよね。

ですので、サービスを比較して変えることよりも、現状のままで自分の情報発信力を上げたり、お店の立ち位置を考えたりする方が大事だと思っています。僕はカラーミーショップが大好きなんですよ(笑)。

お客さま目線を徹底すると、商売のヒントが見えてくる

ショップ開設は2008年ですよね。最初から順調でしたか?

そうですね。最初は売ろう、売ろうとするのではなく、お客さまのために何ができるかを考えることから始めたんですよ。例えば、メーカーさんに「お客さまにプレゼントできるようなものを安くいただけませんか?」とお願いしたりして。
おまけをつけたり、ブログで紹介してくださいとメールに一言書いたりするのを継続していることが、次に繋がっているんじゃないかと思います。やっぱり、継続が一番大変ですからね。

続けるって難しいけど大切なことですよね。

次々と新商品が出るなかで、どれが当たるかなんて最初はわからないじゃないですか。商品をお客さまに出して反応を見て、次は違ったアプローチを試すといったように、方針を立てるにしても続けることで見えてくるものは多いと思います。

なるほど。 初受注のことは、覚えていらっしゃいますか?

はい。ヤスリでしたね。「まだこのくらいしか商品を置いていません」という状況で、わざわざ訪れて懇意にしていただいたお客さまは思い出深いですね。

ショップを長く続ける秘訣って何でしょうか?

売れないときに自分を責めるのではなくて、お客さまの目線になってみることですね。例えば、在庫が1つしかない商品は売れ残りじゃないかと思うお客さまもいるわけです。それを「再入荷しました」という表示にしたら、売れ出したことがありました。

「再入荷しているということは、よく売れているに違いない。この商品は信頼ができる」ということになるんですね。

そうです。だから、売れない商品を売れないままに放っておくのではなく、それをどうするのか、自分で決めるしかないんです。

100点を取るために、できること

型番商品はイメージと同じものが届いて当たり前なので、体験として満足度を上げにくいと思うのですが、何か工夫されていることはありますか?

自分自身、通販が大好きでよく利用するので、そのときにいいなと思ったところは取り入れるようにしています。箱に貼るテープの端をはがしやすいように、ちょっと折っておいたりとかですね。
商品が入っているのは当たり前で、100点ではないんですよ。100点を取ろうと思ったら、期待値を超える何かが必要です。まず、納品書は絶対、一番上には置きません。

なぜですか?

箱を開けた瞬間に、現実を突きつけられますから。そうならないように、必ず商品を出した最後に、納品書が出てくるようにしています。

ショップ運営に行き詰まったときは、自分が消費者として利用しているショップを参考にしてみるというのは一つの手ですね。

Twitterを使ったコミュニケーションで、動きのある店を作っていく

Twitterを利用したPRは重視されていますか?

そうですね。Twitterはタイミングよく、いろんなものを紹介できるので。

創作意欲をかき立てられるような写真も、駆使されていますよね。

ツールであれば、実際に使いながら“こういうシーンで使ったらこういうふうに完成にもっていける”といったことがわかるように、こだわった写真を撮るようにしています。

毎日更新するのは大変じゃないですか?

私の場合、ショップ運営が昔の八百屋さんや個人商店のような感覚なんですよね。ライブ感というか、お店が動いてる感じをできるだけ演出したいなと思っていて。

最初はブログで入荷情報などを発信していたのですが、記事を書き続けるのはさすがに大変で…。 Twitterとはボリュームが全然違いますからね。

そうですよね。

ブログのように詳細な情報が書けないぶん、Twitterではお客さまとおしゃべりしたり、インパクトのある宣伝文句で商品の魅力を伝えたりしています。ブログは一週間に一回くらい、できるだけ一点を細かく掘り下げた記事を書くようにしています。

ブログには愛好家が見ても“なるほど”と思うような情報を書いて、Twitterは写真が第一というように、更新しやすい工夫をされているんですね。

はい。Twitterは情報が流れるし、一瞬しか見られないことの方が多いので、写真による見た目のインパクトやキャッチーな言葉が大事だと思います。

自然体でブレない自分をお店の中で表現していきたい

これから、ネットショップはどうしていきたいですか?

最終的にこういう風にしたいというのがあっても、すぐに大きくリニューアルするのではなく、お客さまと対話をしながら少しずつやっていきたいんです。まずは、今のお客さまに対して、興味の幅を広げていただけるようなアプローチをしてみたいですね。今まで粘土ばかりやっていたお客さまがプラモデルもやってみようかなと思っていただける感じで。

少しずつというのがポイントですね。

現状で満足することも、しようと思えばできるんですけど、今の状態がずっと続くとは限らない。お客さまが変わっていくことも当然あるわけです。それを考えた上で、次の一手というのを考え続けたいですね。

最後に、戎家さんにとってネットショップとは何でしょう?

自分自身そのものだと思います。だから私の場合、本当に自分がブレないように、日々の生活や仕事をコントロールしていますね。私はいろんなことをさらけ出してしまうタイプなので、Twitterでも仕事のことだけではなく、プライベートのことも言ってしまう。ダメな自分も、お店の一部じゃないかと思うんですよね。

そんなにプラモデルが上手に作れるわけじゃないけど、必死で汗水流しながらやっている姿をお客さまに見てもらうのも、自分らしいお客さまとの距離感だと思っています。自分の今のままの状態をショップの中で表現していけたらいいですね。

これからの発信も楽しみにしています。ありがとうございました!