医薬品をネットショップで販売するには?薬局EC開設の条件や資格と開業手順も紹介!
2014年の薬事法改正により一般用医薬品のネット販売が解禁になって以来、市販薬のEC市場は拡大しています。
ただし医薬品は、店舗販売業の許可や薬剤師・登録販売者の配置など、ほかの商材にはない条件をクリアする必要があります。
さらに2026年5月には医薬品販売制度の改正も施行されるなど、最新の法律の理解も欠かせません。
そこでこの記事では、医薬品のネット販売に必要な許可から開設手順、改正のポイントまで詳しく解説します。
目次
医薬品はネット販売できる?まず押さえたい2つのポイント

医薬品のネット販売は可能です。
ですが他の商材と比べて販売のルールが厳しく、必ず守るべき2つのポイントがあります。
簡単にご紹介します。
ポイント①実店舗と専門家の配置が必要
医薬品をネット販売するには、以下を準備する必要があります。
- ・「店舗販売業」の許可を受けた実店舗
- ・医薬品販売の専門家である薬剤師または登録販売者
たとえばアパレルのネットショップなら、実店舗を持たずにネットだけで販売することも可能です。
ですが医薬品の場合、ネット販売を行うには必ず実店舗が必要になります。
すでに薬局やドラッグストアを運営している事業者が、ネット販売も合わせて行うイメージです。
また、医薬品を販売するために、薬剤師や登録販売者といった専門家も必要になります。
医薬品をネットショップで販売する資格や条件などについては、この後詳しく説明します。
ポイント②販売できる医薬品の種類が限られている
現在ネットで販売できるのは、薬局やドラッグストアで気軽に購入できる「一般用医薬品」が中心です。
一方、医師の処方せんが必要な「医療用医薬品」や、副作用のリスクが高い「要指導医薬品」は、原則としてネット販売ができません。
ただし2026年5月の制度改正により、「要指導医薬品」の一部もオンラインで販売できるようになります。
ネット販売できる医薬品の種類についても、この後詳しく解説します。
もし、医薬品のネットショップ開設についてすぐに知りたい方は、「医薬品のネットショップ開設手順」からご覧ください。
医薬品をネット販売するために必要な許可・資格

医薬品のネット販売を始めるには、いくつかの条件や許可・資格が必要です。
ここでは、必ず押さえておきたい3つのポイントを改めてご紹介します。
店舗販売業の許可(実店舗・専門家の配置が必須)
医薬品をネットで販売するには、まず「店舗販売業」の許可を得た実店舗を持つ必要があります。
許可の申請先は店舗の所在地を管轄する都道府県や保健所です。
店舗販売業の許可を取るには、主に以下の要件を満たさなければなりません。
- ・店舗の構造設備が厚生労働省令の基準に適合していること
- ・専門家である薬剤師または登録販売者を店舗管理者として配置すること
- ・実店舗が週30時間以上開店していること
薬剤師または登録販売者の配置については、扱う医薬品の種類によって必要な資格が異なります。
具体的には登録販売者の場合、薬剤師よりも扱える種類が限られています。
なお、この許可は6年ごとに更新が必要です。
無許可で医薬品を販売すると薬機法違反となり罰則の対象になるため、必ず事前に許可の申請や更新を行いましょう。
特定販売の届出
店舗販売業の許可を取得したら、次に医薬品をインターネットや電話などで販売する方法である「特定販売」の届出を行います。
店舗販売業の許可と同様、管轄の保健所や都道府県に届出を提出しましょう。
なお特定販売では、以下のルールが定められています。
- ・ネット販売できるのは、実店舗に貯蔵・陳列している医薬品に限られる
- ・ネット販売に加えて、対面や電話での相談体制も整備すること
つまり、倉庫などに保管しているだけの在庫をネットで売ることはできず、あくまで実店舗で取り扱っている商品をネットでも販売する、という形になります。
薬剤師または登録販売者による情報提供義務
医薬品をネットで販売する際も、専門家である薬剤師や登録販売者が購入者に対して情報提供を行う義務があります。
薬剤師・登録販売者のどちらが情報提供を行うのか、伝達義務の程度は、医薬品の区分(第1類〜第3類)によって以下のように異なります。
| 区分 | 情報提供する人 | 義務の程度 |
|---|---|---|
| 第1類医薬品 | 薬剤師 | 義務 |
| 第2類医薬品 | 薬剤師または登録販売者 | 原則は努力義務 |
| 第3類医薬品 | 薬剤師または登録販売者 | 規定なし(相談があれば対応) |
なお、第1類・第2類・第3類といった医薬品の種類の違いについては、この後の「ネット販売できる医薬品・できない医薬品」の章で詳しく解説します。
ネット販売できる医薬品・できない医薬品

ここまで「第1類医薬品」「要指導医薬品」といった区分が出てきましたが、具体的にどのような違いがあるのか気になった方も多いのではないでしょうか。
ここでは、医薬品の分類とネット販売の可否をまとめて整理します。
医薬品の分類(医療用/要指導/一般用)
医薬品と一言で言っても、大きく以下の3つに分類されます。
- ・医療用医薬品:医師の処方せんが必要な薬。ネット販売や市販は不可
- ・要指導医薬品:副作用のリスクが高く、薬剤師による対面販売が原則。原則ネット販売不可
- ・一般用医薬品(第1類〜第3類):薬局やドラッグストアで処方せんなしで購入できる薬。ネット販売可能
このように、医師の処方せんが必要な医療用医薬品は、ネット販売はもちろん気軽にドラッグストアや薬局で購入できません。
一般用医薬品は基本的にネット販売が可能です。
なお要指導医薬品については原則ネット販売不可ですが、2026年5月の制度改正により一部オンラインでも販売可能になります。
ネット販売できる一般用医薬品(第1〜3類)の違い
ネット販売が可能な一般用医薬品は、副作用などのリスクの程度によって第1類・第2類・第3類の3つに分かれています。
| 区分 | 副作用のリスク | 対応する専門家 | 代表的な商品例 |
|---|---|---|---|
| 第1類医薬品 | 特にリスクが高い | 薬剤師のみ | H2ブロッカーを含む胃薬、一部の毛髪用薬など |
| 第2類医薬品 | ややリスクがある | 薬剤師または登録販売者 | かぜ薬、解熱鎮痛薬、胃腸薬など |
| 第3類医薬品 | リスクが比較的低い | 薬剤師または登録販売者 | ビタミン剤、整腸薬など |
3種類すべてネット販売が可能ですが、先ほども紹介したように、種類によって情報提供を行う専門家や義務の程度が異なります。
特に第1類医薬品を扱う場合は薬剤師の配置が必須となるため、どの種類の医薬品を取り扱うかは販売体制も考慮して判断しましょう。
海外医薬品の輸入販売は別途許可が必要
海外の医薬品を輸入してネットで販売する場合は、上記のような許可とは別に、薬機法上の輸入・製造販売に関する許可や承認等が必要になる場合があります。
なお、個人使用の目的で輸入(個人輸入)した医薬品を他者に販売・譲渡することは薬機法で固く禁止されています。
海外の医薬品は日本の基準で承認されていないものも多く、品質や安全性が確認できないため、輸入販売を検討する際は、厚生労働省の医薬品輸入販売に関するサイトなどを確認し、事前に管轄の窓口へ相談しましょう。
【2026年5月以降施行】医薬品販売制度の改正ポイント

2026年5月1日に改正薬機法が施行され、医薬品の販売制度が大きく変わります。
ネット販売に関わる事業者にも影響があるため、主な改正ポイントを押さえておきましょう。
指定濫用防止医薬品の販売ルール強化
近年、市販薬を大量に服用するオーバードーズが若年層を中心に社会問題になっています。
この対策として、今回の改正では濫用のおそれがある一部の成分を含む医薬品が「指定濫用防止医薬品」として新たに区分され、販売ルールが大幅に強化されました。
従来は努力義務だったルールが法的義務となり、違反すると行政処分の対象になります。
主な変更点は以下の通りです。
- ・18歳未満への販売は小容量1箱のみに制限
- ・購入者への確認や情報提供が義務化(他店での購入の有無、購入理由など)
これらのルールはネット販売でも同様に適用されるため、対象成分を含む商品を取り扱う場合は販売体制の見直しが必要になるでしょう。
要指導医薬品の販売方法見直し(オンライン服薬指導の活用)
これまで要指導医薬品は、薬剤師が対面で情報提供や指導を行うことが必須で、ネット販売はできませんでした。
ですが今回の改正では、薬剤師の判断でオンライン服薬指導を行ったうえであれば、ネットで販売が可能になります。
ただし、すべての要指導医薬品が対象になるわけではありません。
例えば緊急避妊薬など、対面での確認が特に重要とされる特定要指導医薬品は、引き続き対面販売のみとなります。
要指導医薬品を取り扱う予定の事業者にとっては、販売チャンスが広がる改正といえるでしょう。
改正に向けて事業者が準備すべきこと
今回の改正を踏まえて、ネット販売を行う事業者は以下の点を確認しておきましょう。
- ・自社で取り扱う商品に指定濫用防止医薬品の対象成分が含まれていないか確認する
- ・対象商品がある場合、購入者への確認・情報提供の手順や販売数量の制限に対応できる体制を整える
- ・要指導医薬品のオンライン販売を検討する場合、オンライン服薬指導の体制を準備する
改正の詳細は厚生労働省から順次公表されるため、最新情報をこまめにチェックすることをおすすめします。
なお、ここで紹介した2026年5月の医薬品の販売制度の変更内容について、厚生労働省の
「医薬品を安全に使うために」をご確認ください。
医薬品のネット販売を始める方法

医薬品をネットで販売するためのサイトを作る方法は、大きく分けて2つあります。
それぞれの特徴を見ていきましょう。
ECモールに出店する
楽天市場やAmazonなどのECモールに出店して販売する方法です。
ECモール自体に知名度があるため集客しやすい一方、さまざまなショップが出店しているため価格で比較されるなど価格競争に巻き込まれやすい面もあります。
特に医薬品の場合は、自社オリジナルの医薬品の開発など商品に独自性が出せないので、他の商材よりも価格面で比較されやすいといえます。
また、モール独自の手数料がかかるため、利益率も考慮して検討することが大切です。
もしECモールで医薬品を販売する場合、各モールで通常の出店審査に加えて、店舗販売業の許可証や届出書の書類提出などが求められるでしょう。
他の商材に比べて出店までに時間がかかると考えられます。
自社ECサイトを構築する
ECモールの一店舗ではなく、独立した自社ECを作る方法です。
集客を自身で行う必要はありますが、自社だけのネットショップなのでECモールのような価格競争に巻き込まれにくく、デザインや機能を自由にカスタマイズして、「自社らしいサイト」が作りやすいのが魅力です。
医薬品のネット販売では、購入者への情報提供や相談対応など、専門的なやり取りが求められます。
自社ECであれば、そうした対応の流れを自社に合った形で設計できるでしょう。
EC構築サービスのカラーミーショップならデザインテンプレートが用意されているので初心者の方でも、手軽にネットショップを始められます。
また、月額数千円から利用でき、スムーズな決済が可能なAmazon Payや会員機能なども料金内で使えるなど、ショップの売上を支える機能が備わっています。
さらに日本語の電話サポートにも対応しているので、初めてネットショップを開設する方でも安心でしょう。
無料お試しも行っているため、気になる方はぜひチェックしてみて下さい。
医薬品のネットショップ開設手順

ここからは、すでに薬局やドラッグストアなどの実店舗を運営している方が、新たにネット販売を始める場合の手順をご紹介します。
主な流れは以下の通りです。
- 取り扱う医薬品の種類を決める
- 店舗販売業許可を取得する
- 特定販売の届出を行う
- 販売方法を決める
- 販売サイトを作成する
- 集客を行う
まず、どの区分の医薬品を販売するかを決めましょう。
第1類医薬品を扱うには薬剤師の配置が必須となるため、販売体制も考慮して検討する必要があります。
取り扱う医薬品が決まったら先ほど紹介したように、管轄の都道府県や保健所に店舗販売業の許可を申請します。
許可を取得したら、同様に「特定販売の届出」を提出しましょう。
次に、ECモールか自社ECサイトを構築するかなど、販売方法を決めます。
カラーミーショップなどのEC構築サービスを使えば、価格競争に巻き込まれない自社ECを手軽に作成できるでしょう。
>>カラーミーショップを試してみる(30日間無料)
販売方法が決まったら、サイトを作成していきます。
サイトが完成したらいよいよ開業して販売開始となりますが、サイトを開設しただけでは訪問者は増えないため、集客にも取り組みましょう。
SEO対策やWeb広告、SNS運用など、複数の手法を組み合わせるのが効果的です。
なお、ネットショップ開業について詳しくはこちらの「個人でネットショップ開業!」の記事でさらに詳しい手順を紹介していますので、ご覧ください。
新たに事業を開始する場合は開業届の提出も忘れずに
たとえば、これから実店舗を構えて新たに医薬品のネット販売を始めるという方は、店舗販売業の許可や特定販売の届出とは別に、税務署への「開業届」の提出も必要です。
開業届は、事業を開始してから1か月以内に管轄の税務署に提出することとされています。
ネットショップの開業届については「ネットショップに開業届は必須?」の記事で詳しく紹介していますので、あわせてご覧ください。
医薬品のネットショップ販売の注意点

医薬品のネット販売ではさまざまな条件がありますが、他にも気を付けるべき点がいくつかあります。
ここでは、主な注意点をご紹介します。
サイトに必須の情報を掲載する
医薬品をネット販売するサイトには、薬機法で定められた情報の掲載が義務付けられています。
主な項目としては以下のようなものがあります。
- ・店舗の正式名称、所在地、許可番号
- ・勤務する薬剤師・登録販売者の氏名
- ・実店舗の外観や陳列状況がわかる写真 など
これらの情報は、購入者が「このサイトはきちんと許可を受けた店舗が運営している」と確認するためのものです。
掲載漏れがあると行政指導の対象になることもあるため、サイト公開前にしっかりチェックしましょう。
掲載が必要な項目の一覧は、政府広報オンラインの「医薬品のネット販売を安心して利用するために」で確認できます。
薬機法による広告規制を把握する
医薬品の広告には、薬機法による厳しい規制があります。
効能や効果を実際以上に誇張した「誇大広告」や、事実と異なる内容の「虚偽広告」は禁止されており、違反すると課徴金や刑事罰の対象になることもあります。
この規制は広告(バナー)だけではなく、商品ページの説明文やSNSでの発信なども含まれるため、「これくらいなら大丈夫」と自己判断せず、表現には十分注意しましょう。
医薬品の広告規制について詳しくは厚生労働省のこちらのページで詳しく紹介していますので、事前に確認しておきましょう。
サイト運営で注意が必要な表示・販売方法がある
医薬品のネット販売では、ECサイトで当たり前に行われていることが禁止されているケースがあります。
主に以下の3点は特に注意が必要です。
- ・購入者による口コミやレビューの掲載は禁止
- ・購入履歴にもとづいて他の医薬品をおすすめする「レコメンド」も禁止
- ・オークション形式での販売は禁止
一般的なECサイトでは「レビュー機能」や「レコメンド機能」は売上アップのための定番施策です。
ですが、医薬品の場合は体質や症状が人によって異なるため、他人の口コミや購入データに基づいた購入を促すことが健康被害につながるおそれがあり、禁止されています。
サイトを構築する際は、これらの機能が医薬品の商品ページに適用されないよう設定しておきましょう。
厚労省サイトへの掲載を確認する
特定販売の届出を行うと、店舗名やサイトのURLなどが厚生労働省の「一般用医薬品の販売サイト一覧」に掲載されます。
この一覧は、消費者が「このサイトは正規の届出を行った販売サイトかどうか」を確認するためのものです。
掲載されていることで購入者の安心感につながるため、届出後に自社サイトが一覧に反映されているか確認しておきましょう。
プラットフォームごとの利用規約を確認する
医薬品の販売ルールは薬機法で定められていますが、ECモールやプラットフォームごとに独自の利用規約やガイドラインが設けられている場合もあります。
たとえば、取り扱える医薬品の区分が制限されていたり、出店時に追加の審査書類を求められたりと、プラットフォームによって対応が異なります。
薬機法を守っていても、利用規約に違反すると出品停止やアカウント停止になるおそれがあるため、出店前に必ず各プラットフォームの規約を確認しておきましょう。
まとめ
医薬品のネット販売は、実店舗の許可取得や専門家の配置など、他の商材にはない準備が必要です。
さらに2026年5月の制度改正により販売ルールも変わるため、最新情報の確認も欠かせません。
ただし、必要な手続きをしっかりクリアすれば、ネットを通じて全国の顧客に医薬品を届けられるようになります。
ネットショップを始める際、自社らしいサイトを構築してネット販売を始めたい方は、月額数千円から利用でき、機能やサポートも充実しているカラーミーショップをぜひご検討ください。
はい、可能です。ですが、販売できる種類が限られていたり実店舗でも販売が必須だったりと、医薬品を販売する上での条件があります。詳しくはこちらの章で解説しています。