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コンテンツSEOで勝ち抜くには?月岡流コンテンツ作成術について聞いてみた。

Webマーケティングの主な手法の一つであるSEOの中でも、近年重要度が高まっているのが「コンテンツSEO」。ネットショップオーナーさんが実践するとしたら、どうやって進めたらいいのでしょうか。そもそも「コンテンツSEO」とはどんなものなのでしょう?

今回は、株式会社Faber Companyの月岡さんに、コンテンツSEOがどういったものなのか、SEOを意識したコンテンツの作り方などについて詳しくお話を伺いました。

株式会社Faber Company(ファベルカンパニー)執行役員 月岡 克博 さん
2005年、新卒でSFAベンダーに入社。コンサルタントとしてプリセールスやSFA導入プロジェクトを複数担当。2009年、CRMベンダーに入社し、セールスに転身。2014年、株式会社Faber Companyに入社後、営業部長として売上拡大に貢献。2016年にIMC部門を新設し、MIERUCAを中心としたマーケティングおよび広報領域を統括。2020年からはMIERUCAのプロダクトオーナーも兼務。2021年10月執行役員に就任。イベント・セミナーなど登壇実績多数。
Twitter : @tsukky09
ミエルカ マーケティング ジャーナル

月岡さんについて教えてください

月岡さんの経歴をおしえてください。

もともと経営に近い仕事に就きたいと志望していまして、金融かコンサルかで迷った末に、2005年に新卒でSFA(Sales Force Automation)のベンダー、いわゆる営業支援システムツールを販売する会社に入社しました。希望どおりのコンサルタント職で約4年間、営業に同行して多種多様な業種のクライアントのもとへ伺い、課題解決策の提案から、導入支援まで幅広い実務を経験しました。

次に入ったのは、メールマーケティングを主軸としたCRM(Customer Relationship Management)ツールのベンダーで、こちらでは営業の経験を積みました。キャリアチェンジした理由は、営業として未知の領域に飛び込んで腕試ししてみたかったからです。在籍期間約5年のうち最後の1年はマネージャーを任され、東日本エリアのクラウドチームを率いていました。

2014年にSEOコンサルを主軸としていたFaber Company(ファベルカンパニー)に入社して、今年で8年目になります。現在は2016年に新設したマーケティングチームの統括と、SEOツール「MIERUCA(ミエルカ)」のプロダクトオーナーを兼任しつつ、外部開催のイベント・セミナーなどに登壇しています。コンテンツとしてFaber Companyの最新のSEOの考え方、コンテンツマーケティングの考え方も発信していますので、ぜひ参考にしてください。

キャリアを振り返ってまとめると、1社目では商談発生から受注に至るまでの営業・商談管理領域を経験し、2社目では商談が発生する前のリード(見込み客)と、既存顧客のリテンションなどの領域を経験したんですね。

今の会社のメイン事業はWeb集客支援なので、これまで経験を総括すると、集客から見込み客のフォロー、リードナーチャリング、商談獲得から受注まで、既存顧客リテンションと、BtoB領域のほぼ全ての領域を担当してきました。現職ではカスタマーサクセスやプロダクト開発もやっています。こうした経験を通じてお客様の支援の幅は広げられているかなと自負しています。

コンテンツSEOって何ですか?

さっそくですがコンテンツSEOについて教えてください!

コンテンツSEOとは、良質なコンテンツを発信して、Yahoo! やGoogleなどの検索エンジンからの集客を狙う手法です。ネットショップを前提にお話すると、検索ユーザーに自社商品やサービスを知ってもらいたいときは、商品ページやカテゴリページを強くすることが王道とされています。

ただ、商品ページには商品に関係ない派生する話題を入れにくいので、商品情報以外のワードで検索したユーザーを取りこぼすこともあります。そこで、ネットショップにブログなどのコンテンツを設けて、課題や悩みを抱えているユーザーが検索しそうなキーワードを盛り込んで記事を作り、訪問、認知してもらうという手法が注目されるようになりました。

要するに、SEOを意識したコンテンツを通じて検索ユーザーにリーチするための集客手段、と理解していただければと思います。

SEOで勝つとか負けるとか聞きますが、どこで誰と勝負してるんでしょうか?

検索エンジンの検索結果は順位づけされていて、1ページ目に表示されるのは、広告枠を除いて上位10サイトだけです。PCより画面が小さいスマートフォンともなると、1位でも検索結果は広告の下に表示されるので、2スクロール以降に出てくることもあります。

Googleの場合、検索順位1位のクリック率を100とすると、2位でその半分の50、3位はさらにその半分の25と、Webサイトを閲覧してもらえる確率は下がっていきます。もちろん検索キーワードによってクリック率は違いますが、検索順位が低いサイトはほとんど見てもらえないとも言えます。

検索上位に表示されなければ自分たちのサイトになかなか訪れてもらえず、売上にもつながりません。ということで、検索順位上位を取るために事業者さん同士で競い合っているんですね。つまり、SEOの戦いで「勝った」「負けた」というのは、検索上位を取れたか否かを指しています。


Googleでの検索結果1位をクリックする以外のユーザーはどこに行くんでしょうか?広告?

広告をクリックしたり、検索順位2位以降のサイトを見たり、検索しただけでなにもせずに帰る人たちもいます。ゼロクリックサーチと呼ばれるものです。

広告について付け加えると、たしかに広告は上部に表示されるのでクリックされやすいですが、そこが広告枠だと気づいている人もいて、なんとなく広告じゃないサイトのほうがいいなと避ける人が一定数いるように感じています。集客を広告だけに頼るのは、危険かもしれませんね。

この先もコンテンツSEOって大事なのでしょうか?

これからのSEO合戦はどのような戦いになっていくと予想されますか?

Googleは、ユーザーが直接訪れたサイトではない、第三者ドメインが発行するサードパーティークッキー(Cookie)の「サポートを終了する」と明言しています。個人情報保護やクッキー規制の流れで、自社保有のコンテンツ、オウンドコンテンツの重要度は確実に増していきます。SEOだけではなく、SNSやその他のチャネルも組み合わせるなど、Webマーケティングの総合格闘技みたいな取組が必要になっていくでしょう

そのなかでもコンテンツSEOが大事だと思うのは、ストック型のコンテンツだからです。SNSはフロー型コンテンツなので、今日ツイートした内容を1年後に遡ってまた見てもらえるかといえば、あまり見てもらえないと思うんですよね。

それに対してSEOを意識したオウンドコンテンツは、資産として蓄積されていくというメリットがあります。悩みや課題のあるところに検索ニーズは一定存在し続けるので、ユーザーにとって価値ある良質な記事が自社サイトにストックされていれば、そうしたユーザーの意図に応え、安定したアクセス数を見込むことができます。

自社コンテンツに訪れてもらえれば、自社ドメイン発行のファーストパーティークッキーデータを獲得できるので、「このコンテンツを見ているユーザーにはこういう商品をレコメンドしよう」と、自社サイト内でパーソナライズした施策を打てるようになります。

せっかく訪問してもらってもネットショップに商品ページしかなければ、買うか・買わないかの二者択一になり、「買わない」と判断して離脱されれば次につながりません。一方、日ごろから「私の悩みを解決するコンテンツを発信しているサイトだ」と認知されていれば、いつかのタイミングで、「ここで買おうかな」と思ってもらえる可能性が残されます。

また、初めて訪れたときは購入に至らなかったユーザーも、コンテンツを気に入って定期的に訪れるようになれば、いつか買ってもらえるかもしれません。また、そのコンテンツを友人知人にシェアしてくれれば、認知はどんどん広がっていくわけです。

私たちはこうした考え方を「オーディエンスビルディング」と呼んでいます。ブランドを購入するわけではないけれど、発信するコンテンツが好きでいつも見ている、みたいなライトなファンといえばいいでしょうか。そうした “オーディエンス”を増やし、エンゲージメントを高めていけば、将来的な売上につながるのではないかなと思います。

ネットショップオーナーがコンテンツSEOを始めるためには、なにを準備する必要がありますか?

コンテンツSEOを始める前に、備えておくべきことはありますか?

一番大事なのは、書くためのリソースを確保することですね。文章を書くのはすごく大変なことなので、あらかじめ書くための時間を設けておかないと日々の業務に追われてどんどん後回しになってしまいます。途中でやめてしまう事業者さんもいますが、集客の機会を失わないように、継続的に続けられるような体制を整えてください。

コンテンツの置き場所は?ワードプレス?ショップの中?

検索エンジン側も進化していて、「どこにあるか」よりも「コンテンツ自体の品質」のほうが重視されるので、コンテンツの置き場所はどこでもいいですよ。利用しているECプラットフォームにフリーページを作る機能があるなら、まずはそれを活用するのも手です。

更新のしやすさも大事なので、ネットショップ運営と紐付いているところで運用できたほうがラクですよね。成果が出てきて、もっときちんとコンテンツ化したいとなってから、別途WordpressなどのCMSで構築するという順番でもよいかと。

またはカラーミーショップさんのように、どこにでもカゴを置ける「どこでもカラーミー」のような機能がある場合は、最初からWordpressでコンテンツを作って、そのなかにカートを入れるという方法も考えられますね。

コンテンツのおすすめ更新頻度はありますか?

SEO的な効果を見込んでという観点からいうと、どのくらい更新すればいいという指標はありません。

とはいえ、3年前のコンテンツと今日アップしたコンテンツがあるとして、どちらが読みたいかといったら後者のケースが多いのではないでしょうか。コンテンツの質を維持するためにも、最新情報やトレンドを押さえて定期的に更新・改善などのテコ入れが必要です。

私たちの会社でも、過去記事のリライトは頻繁におこなっています。最新情報のアップデートが多い領域ですし、それに応じて検索ユーザーのニーズも変化していきます。なにもしなければ流入数は少しずつ下がってしまいます。コンテンツ資産を守るためにもメンテナンスは欠かせませんね。

コンテンツってどう作るの?テーマや企画の立て方について教えてください

これから始めるなら、まずどんなコンテンツを作ればいいですか?

コンバージョンに近いコンテンツから作ることをおすすめします。ネットショップオーナーさんもリスティング広告などを実施されていると思いますが、広告でコンバージョンしたキーワードやクリックされているキーワードをテーマにするとか、コンバージョンキーワードから派生するキーワードから記事を発想するのも一案です。

ユーザーの検索から発想するのが大事です。たとえば、「日焼け止め ランキング」「日焼け止め 下地 順番」など、2語目、3語目に出てくるサジェストキーワードは、ユーザーが実際に検索した可能性の高いキーワードです。このサジェストキーワードを検索意図ごとにまとめてコンテンツ化していく方法をよくお伝えしています。


それから、新しい商品を販売するときなどはとくに、「なぜそれが生まれたのか」「なぜそれを売っているのか」といった、作り手・売り手の想いやストーリーを伝えるコンテンツを優先的に作るべきです。

最近の消費者は、「ソーシャルグッド(地球環境や地域などの社会によい影響を与える活動や商品)」かどうかを重視する傾向もあり、またブランドへの共感も大事です。SEOを意識したコンテンツでも、ブランドの想いや考えを反映していけば他社との差別化にもつながります。逆に、ブランドストーリーなどがなければ、たくさんユーザーが訪れても素通りされてしまうんじゃないでしょうか。

もうひとつ、買ってくれた人の声やお問い合わせいただいた内容をもとにコンテンツを作る方法もあります。一般的に、「よくある質問」に対する回答は1ページのFAQページにまとめる傾向があると思います。それだと質問ひとずつに対応したURLが存在しないので検索ユーザーが辿り着きにくいんですね。

疎かにしてしまうこともありますが、サポートセンターなどに寄せられたお悩みや問合せ内容などからFAQページを作っていくことも重要ですね。

Instagramだと9投稿はまずしましょうといったおすすめの投稿数などがありますがコンテンツは何記事くらいたまってから公開したほうがいいという目安はありますか?

目安はとくにないので、記事ができたらどんどん公開していってください。ただし、ある程度のボリュームがないと全体的なパフォーマンスが上がりにくいかもしれません。100記事あるサイトとまだ1記事しかないサイトで、どちらがそのテーマについて詳しいかといったら明らかに前者ですよね。

そういう意味でも、コンテンツを作るなら途中でやめず、継続的に記事を作ってストックしていくリソースを確保することが大事です。

文章が得意な人、不得意な人がいらっしゃるとおもいますが、コンテンツは誰が作るべきですか?

ユーザーさんのことをよく知っていて、思いやりのある人がいいですね。コンテンツを読んでどういう気持ちになってほしいのか、その先でどんなアクションを起こしてほしいかをきちんと想像できる人、読み手のことを想って書ける人、構成できる人が成果を出せる傾向があるように思います。

それから、ネットショップにはもっと「人気(ひとけ)」があってもいいと感じます。フリー素材の人しかでてこないネットショップで安心して買い物できるでしょうか?運営者やスタッフが顔を見せて「私が選んでいます」「私が作っています」と笑顔で紹介してくれていたほうが、ユーザーからの信頼を得やすいですよね。コンテンツも同じです。

作って終わりじゃない!重要なコンテンツの届け方

コンテンツ作成後にやっておいたほうがいいことはありますか?

コンテンツを宣伝して届ける努力をしてください。ショップの会員さんなどに「新しいコンテンツができました」とメルマガを送ったり、商品送付時にブログやコンテンツのURLを掲載したチラシや冊子を同梱したり、既存ユーザーが定期的にアクセスしてくれるように導線を張るべきですね。SNSを運用されているなら、SNSでも発信したほうがいいです。

また、各メディアや取引先企業、所属している協会・団体などがもしあるのであれば、「こういう記事を作ったのでぜひ紹介してください」と営業をかけて、被リンクを獲得することも大切です。メールでお願いするだけでも意外と反応してくれるところはありますよ。

ただ掲載をお願いする場合は、相手にもメリットが必要です。それぞれの会社に対して、「この記事を載せるとこんなメリットがありますよ」と提示することは忘れずにおこなってください。

コンテンツの成果はなにで見たらいいんでしょうか?

そのコンテンツが売上にどう貢献しているかに尽きますが、直接的なコンバージョンを生まなかったとしても、中間のKPIをいくつか設定することは可能です。とはいえ、個人的にはあまり難しく考えずに、自分の狙ったキーワードで何位まで上がったかをゲーム感覚で楽しむところからスタートでもいいんじゃないでしょうか。

キーワードによっては月間検索ボリューム数がかなり小さいものもあって、コンテンツを作ってもPVを稼げないこともあります。だとしても、そのキーワードで悩んでいる人が10人訪れて1人コンバージョンするなら悪くありませんよね。むしろ10,000PVあってもコンバージョンが0のコンテンツよりも効果的です。なので「このキーワードでコンテンツを作れば興味を持ってもらえるはず」と思うなら、たとえ月間検索数が10でも50でも臆することなく作ればいいんです。


競合ショップが強い、多いみたいな場合も、キーワードが1語だと難しいかもしれませんが、2語、3語と増やしていけば戦える余地はいくらでもあるはずです。コンバージョンに近いキーワードを洗い出すなどして、勝負できそうなキーワードを探してみてください。

コンテンツSEOの戦いに勝ち抜くコツやポイントがあればぜひ教えてください!

もはや小手先のテクニックでどうにかなる世界ではないので、想いを伝えることのほうが大切かもしれません。競合は大手ばかりで、かつ同じようなコンテンツがあふれている場合は、無名のネットショップがコンテンツを作っても誰にも届かないことも考えられます。

他社と同じことを書いても仕方が無いので、オリジナル商品の開発に力を入れてそれを紹介したり、商品に対する熱い想いを綴ったりしてオリジナリティを出すように心がけてみてください。

また、コンテンツとしてのオリジナリティは、文章の編集方針でも打ち出せます。似たようなテーマでも、他社コンテンツは難しい単語が並んでいてユーザーが理解しにくそうであれば「わかりやすく伝えること」を重要視する。それも一種のオリジナリティかなと。

ほかにも、ニッチな悩みにフォーカスしたコンテンツを作り、「うちの商品がおすすめですよ」と紹介するという方法もあります。ユーザーからめったにされない質問や相談のなかには、まだ顕在化していないニーズが隠れているかもしれません。今までそんなこと考えもしなかったけど、たしかにそれが解決できたら嬉しいだろうな、ということをコンテンツ化するってイメージでしょうか。

今日からできるコンテンツSEOと月岡さんからのアドバイス

今日からはじめられることを教えてください。

なにもないところからいきなり文章を書き始めるのは難しいので、書くためのテクニックをひとつ紹介します。皆さん、「自分たちの商品を買うユーザーさんが悩んでいること=キーワード」を把握していると思いますが、先ほどもお話したように、まずはそれに紐付く2語目、3語目のキーワードがなにかをチェックします。

自社に合いそうなキーワードを見つけたら、実際に検索して、検索結果にどんなコンテンツがあるかを確認します。構成を見て、自分だったらどんなコンテンツを書こうかなと考えてみてください。

キーワードは、無料のキーワード分析ツールを利用するか、Google広告でリスティング広告などを運用しているならキーワードプランナーというツールがあるので、それを活用して第2、第3のキーワードを発見する方法もあります。


なるほど!二語目、三語目をチェックするのは商品開発にも役立ちそうですね。最後にこの記事をお読みいただいた方に、アドバイスをお願いします。

自社サイトにストックされるコンテンツ記事は、SEO流入を稼ぐ記事としてだけでなく、動画やホワイトペーパーなどカタチを変えたり、各SNSやメルマガでお届けしたり、商品同梱チラシに記載したり、様々なところに展開可能です。

使い方が広がれば広がるほどコンテンツの価値はどんどん高まり、コンテンツにかけたお金もリソースも回収できる確率が高まります。コンテンツ作りは大変です。だからこそ他社との差別化にもつながります。

ぜひ自社ネットショップにマーケティング資産となるコンテンツを増やすことに、リソースを使ってほしいです。

月岡さんありがとうございました。