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作り手と買い手の距離を縮めるために。職人醤油が100mlにこだわる理由

いつも画面越しに見ているネットショップのむこうには、想いのつまった“モノ”とそれを届ける“”たちがいます。このコーナーでは、知られざる商品開発ストーリーやお店の裏側に迫る現場レポートをお届けします。
今回ご紹介するショップ
日本全国の蔵から独自にセレクトした醤油をすべて100mlの小瓶で販売している「職人醤油」。400以上の醤油蔵を訪問した圧巻のラインナップで「カラーミーショップ大賞2019」では優秀賞を受賞されました。今回は、蔵元さんとの関係や100mlにこだわる斬新な販売手法についてお話を伺います。

インタビューを動画で見たい方はこちら

職人醤油のなりたち

代表の高橋 万太郎さんにお話を伺います

職人醤油について教えていただけますか?

職人醤油は醤油のセレクトショップです。醤油作りはしておらず、全国各地の蔵元さんが作ったお醤油を揃えています。100mlサイズの小さな醤油だけを販売しているのが特徴です。現在は、全国約50の醤油蔵の100アイテムほどの醤油を取り扱っています。

事業を始めるにあたって400軒の醤油蔵を訪ねたそうですが、なぜ醤油だったんでしょうか?

よく「実家が醤油屋なのか」と聞かれるんですけど、実はまったく違います。もともと僕はメーカーで営業職をしていて、そこを辞めて創業するかたちでこの世界に飛び込みました。
辞めた当初は何をするかまったく決めてなかったんです。ただ、日本の伝統産業だとか地場産業に関する何かをしたいということだけは決めていたので、全国各地を貧乏旅行のようなことをして巡り、いろいろな方に話を伺いました。
みなさん共通して言われていたのが、「いいものを作っている自信はあるけど、売れないよね」ということでした。「大手企業のものや輸入したものには価格勝負で勝てない、宣伝やマーケティングで勝てない」と。どの業種の方も言われていたので、この辺りで何か僕にできることがあるのかもしれないと思いました。

そこから醤油に行き着いたんですね。

消費者の立場で見たときに、選んで買っていないものってなんだろう?という視点でリストアップした中に醤油がありました。醤油を勉強しようと思ってもまったく知り合いがいなかったので、当時住んでいたところから一番近い醤油屋さんをネットで調べて、飛び込みで行ったというのが最初です。

すごいですね。テレビの観すぎかもしれないんですけど、酒蔵や醤油蔵には突然行ったら門前払いを受けるようなイメージがありました。

あ、それは全然、あります。全然あるんですけど、それが一番効率良かったりもするんです。
始めは電話をかけてアポイントを取ろうとしたんですけど、先方からすると君は何者だっていう話なんです。インターネットで何かやってみたいと説明したところで、「うちはインターネット間に合ってるよ」で切られてしまう。
これは、なかなか約束を取り付けられないぞ…ならば直接行こう!と突撃し始めました。

そこで折れずに突撃できる行動力がすごいです。

もう13、4年前、20代の半ばだったので「行けばなんとかなる!」でひたすら回ることができました。いろいろ見せていただいて「もっと勉強したいんですけど、どうしたらいいですか?」「じゃあ〇〇醤油さんに行くといいよ」と、紹介していただいたちょっと遠くの醤油屋さんまで足を伸ばしました。
今は違うと思いますが、ホームページがきれいに作り込まれている醤油屋さんはイマイチということがたまにありました。
反対に、ホームページがないとか手作り感満載の醤油屋さんはすごく良かったり。なぜかって考えたときに、きちんと地元のお客さまが付いている醤油屋さんって、インターネットで拡販をする必要がないんです。だから、ホームページに手をかけない。
逆に、ある程度の規模感があって売上がちょっと落ちてるぞってところはネットで売っていくためにホームページにお金をかける。当時はホームページのクオリティと醤油のクオリティはイコールじゃないなっていう感覚がありました。

なるほど。すでに固定のお客さまがたくさんついているところは、改めて営業せずとも売れていきますもんね。

そうなんですよね。なので、インターネットで良い醤油屋さんを探すのが難しくて、実際に行って現地の醤油屋さんに紹介してもらったところに突撃するというのが、遠回りに見えて効率的でした。

門前払いのイメージでしたが、打ち解けるとみなさんお優しいんですね。

そうですね。職人肌の方が多いので、表立って商売の話をしたがる人って少ないんです。仲良くなると「兄ちゃん、どうやったら売れるんだい?」って聞かれるんですけど(笑)
みなさん、しっかり物作りをされているので、物が売れないと技術の継承ができないってわかってるんです。心の中ではきちんと考えてるんですけど、なかなかそれを表に出さない。仲良くなって本音で話してもらえるようになると、こちらもなおのこと楽しいですし嬉しいです。

それは、高橋さんの柔らかいお人柄によるものが大きいように感じます。

いやいや、やはり若かったというのがすごく大きいです。そもそも訪れる人が少ない中で、若者が行くと珍しがってもらえました。何軒も醤油屋さんを回ると、これは大豆を蒸す機械だなとか、小麦を炒る機械だなとかなんとなくわかってくるので、「あ、これ大豆を蒸すNK缶ですよね」なんて言うとびっくりされて、また話が弾みました。その繰り返しが良かったんだと思います。

人気商品「大好物醤油」へのこだわり

職人醤油さんで販売している「大好物醤油」について、販売を始めた経緯を教えてください。

大好物醤油は、こうせざるを得なかったというのが一番大きいです。一般的に醤油は国産原料であるとか、昔ながらの木桶仕込みであるとか、原材料がオーガニックだとかがセールスポイントになるんですけど、うちの商品ってほとんどがそれに該当しちゃうんです。なので、この醤油はこう使うのがおすすめですよとか、この料理に合いますよっていう切り口でそれぞれの違いを提案する必要がありました。

原料や作り方よりも、使い方をもっと知りたいっていう人もいますよね。

そうなんです。実店舗に来てずらっと並んだ醤油を見ると、みなさん「刺し身に合うのはどれ?」って同じ質問をされるんです。醤油屋さんたちの方も「何にでも合うけど、ここぞってときは刺し身がおすすめ」とおっしゃって。どの醤油も同じ説明ではつまらないだろうということで、スタッフと一緒に料理に合う、合わないを深堀りしていきました。

大好物醤油は、お醤油のイメージを覆すかわいらしいパッケージも印象的です。

製法を聞いてもよくわからないという方でも、「大好物」という基準で新しい醤油に出会っていただきたくて。実は、イラストのパッケージを引き抜くとレギュラーパッケージが登場して「あ、こういう醤油なんだ」とわかるようになっています。

レギュラーパッケージを残されていることにこだわりはありますか?

嬉しい質問をありがとうございます。作り手と使い手の距離がもっと縮まるように、という思いを込めて、こうしています。
職人醤油では最初、大きいサイズの醤油も取り扱っていました。100mlサイズを気に入ってくれたお客さまが大きいサイズを欲しくなったときもうちから買えるようにしていたんですが、途中から止めてしまいました。各地の醤油屋さんとお話をしているうちに、うちが大きいサイズを扱うのは違うなという感覚がすごくあったんです。
具体的にいうと、醤油って大豆と小麦が主原料なんですが、小麦を使わず大豆だけの醤油を作っている小さい醤油屋さんがあるんです。「グルテンフリー」って言いますよね、小麦のグルテンを含んでいない商品はヨーロッパからも需要があって、そこは輸出もしてるんです。僕が「すごいですね!」って言うと、「だけど、ちょっと虚しくもなるんだ」っていうお話をされて。「ヨーロッパに輸出はしているけども、僕の作業はドラム缶に醤油を詰めてるだけ。間に日本の商社が入って、商社が持って行ってくれる。向こうでボトリングをして向こうのラベルで売っているんだよ」とおっしゃっていて。
昔の醤油屋さんって地元の人に売るので、感想がすごく入ってきたはずなんです。おいしかったっていうのもイマイチだったっていうのも、いろんな意見が入ってきて、それを踏まえた試行錯誤があったと思うんです。

確かに、海外でパッケージを変えて販売となると、誰が買ってくれているのかわからないですよね。

さっきの話は極端な例ですけど、スーパーに卸すと誰が使っているのかわからないっていうこともあります。そのようなことを考えると、もっと作っている人と使う人の距離が縮まるべきだと思う自分がいて、大きいサイズの販売を止めました。

そうだったんですね。

ラベルに関しても、大きいサイズのラベルをそのまま縮小して100mlにも使ってもらっています。気に入った人が大きいサイズを取り寄せたときに、馴染みのある醤油が届いたことを感じてほしいので。そういう感覚を大切にしたくて、大好物醤油に関してもこういう形にしています。

元のラベルを残して新しい形で提案するというのは、お醤油の蔵元さんからしても嬉しいと思います。大好物醤油のパッケージを見たとき、最初はオリジナル醤油を作られたのかと思いました。

オリジナルは作りたくないんです。僕はあくまでも良い作り手の方と仲良くなって、その方たちにスポットライトを当てるのが役目だと思っています。当たる人が増えると自分にも返ってくるということをすごく感じているので、作り手にはならず自分ができることに集中したいと思っています。

ネットショップについて

ネットショップを始めた経緯をお伺いしてもよろしいでしょうか。

カラーミーさんとのお付き合いはもう13年とか14年になります。最初は売り先がまったくないところに100mlサイズの醤油が2,000本ほど届いたので、3日くらい家に籠もって見様見真似でホームページを作りました。作ったはいいけど売れるはずもなく、客観的にサイトを見てみたら明らかに格好良くなかったんです。
しかも、当時は8種類の醤油しか置いてなかったので、ダサい上に商品アイテム8本というサイトでした。サイトのクオリティをぐっと上げるか、お金をかけて宣伝するかって考えたんですが、このままでは宣伝しても売れないと気づきました。サイトのクオリティは低くても、ラインナップを50種類くらいまで増やせばなんとか誤魔化せるかもと、他の地域の醤油屋さんを回り始めました。そうやって少しづつラインナップを増やしていったら、あるときからちょこちょこ売れ始めた感じです。

そうだったんですね。なぜカラーミーショップをお選びいただいたんでしょうか。

月額のコストが安かったのと、売上に対する料金がかからなかったので。当時はサラリーマン時代の蓄えからスタートしていて、出ていくお金は極力少なくしたかったんです。それからずっと一筋ですね。

ありがとうございます。一筋って嬉しいですね。

現状の課題、今後の展望

現状のネットショップにおいての課題などはありますか?

挙げればきりがないんですけど、コロナの現状を含め、ネットショップとリアル店舗の立ち位置が少し変わってきているのを感じます。うちの商品の場合は価格を安くして売るというものではないので、この醤油を使うとこんなおいしさがあるんだよっていう体験を提案していかなければいけないと思っています。
あとは、オンラインのイベントや映像で醤油蔵を知ってもらいたいです。そうすることで、今度はリアルの価値っていうのが高くなっていくと思うので、実際に醤油屋さんに遊びに行ってくれる一般の方が出てくるような動きをしていきたいです。そう考えると、今までのようにただ商品の紹介をして説明をして、というところとは違ったアプローチを加えていかなきゃいけないと感じているところです。なので、映像ももっと取り入れていきたいです。

そうですよね。コロナの影響で実店舗は閉めなければならなくなったと思うんですが、ネットショップにおいても影響はありましたか?

やはりネットの方が伸びたというのはあると思います。とはいえ、実店舗を閉じたぶんのプラスにはなっていない歯がゆさもあるので、もっと工夫しなきゃならないところはたくさんあると感じます。

職人醤油さんの今後の展望や目指す未来、それに向けてネットショップに期待するところをお伺いしてもいいですか?

さっき申し上げたように、インターネットの立ち位置がすごく大事になる気がしています。今までは、リアルの店舗やイベントに行く、行かないの境界線がすごく大きかった。その境目に、今後はインターネットが入り込むだろうなと感じています。
この世界情勢の中で、オンラインでライブ中継を見るとかお話をすることにみなさん慣れて、当たり前になってきています。そうすると、リアルイベントに行くハードルもちょっと下がるし、逆に行ったときのプレミアム感はより上がるんじゃないでしょうか。醤油蔵もインターネットが間に入ることで行きやすくなるし、行ったことがすごく貴重な体験になる、そういう位置づけにしていきたいです。よりインターネットも大事だし、そのぶんよりリアルも大事になってくるっていう感覚でいます。

今回、オンラインでの取材だからこそ、今のタイミングで高橋さんとお話ができたのかなと思いますし、実際にお会いできる日が来たら感動が押し寄せますよね。
お醤油ってどの家にもある身近な存在なのに、私たちが醤油蔵を訪ねるのはすごくハードルが高くて、作っている場所を見たことがないという人がすごく多いと思うんです。そこが動画で見れて、職人さんではなく高橋さんが間に入って発信してくださることで、私たちもより見やすいのかなと感じました。

ありがとうございます。実はこの時期、Zoomを使って醤油屋さんの蔵見学をやっていたんです。今、15軒くらいさせていただきました。醬油屋さんにZoomで蔵見学をしたいというお話をすると「いいけど、どうやるんだ?」と言ってくださるので、Zoomを入れてもらって、蔵の中は電波が入るか確認していただいて、カメラの切り替え方をレクチャーして。実際にやると、けっこうすんなり慣れていただけます。一度ハードルが下がると、みなさん気軽にやってくれるので、こういうことはどんどんしていきたいと感じています。

職人さんだけではできなかったことが、高橋さんと出会うことでできていますね。販売者・ショップ運営の方って、ユーザーさんを喜ばせることは考えると思うんですが、高橋さんは製造者のことも喜ばせる、三方良しの発想を実現されていて素晴らしいです。

すごく褒めていただいたんですけど、作り手さんにしていることって自分に返ってくると感じているんです。醤油屋さんは僕にとって商売相手というよりも仲間みたいな、同じ側を向いているスタンスでいられることが自分にとってもメリットなんです。うちの100mLの醤油が売れるほど醤油屋さんにとってもプラスになるようにしたいと思っています。
そうすると、僕が行ったときも遊びに来た感覚で「ご飯食べに行こう!」みたいに受け入れてくださる。初めて行く醤油屋さんには電話でアポイントを取ってくださる。昔かたぎの世界なので、僕が初めて飛び込んで行ったときの職人さんのガードってすごく固いんですけど、その人が信頼している人から一言「今から人が行くから」って電話が入るだけで、100%ウェルカムに変わるんです。こうも違うんだというのをすごく感じますし、こんなふうに自分にすごくプラスになって返ってるくんです。奉仕の精神とはまったく違う感じでしていて、自分にとっても嬉しいことです。

【おまけ】高橋さんのおすすめ醤油は?

最後にお聞きしたいんですが、高橋さんのおすすめする「これ、ぜったいに食べといたほうがいい!」というお醤油を1つ選ぶとしたらどれですか?

うーん、それは本当に難しくて、醤油は食べ物との「相性」なんです。
例えば卵かけご飯だと、普通の卵とちょっと上質の卵で相性のいい醤油って違うんです。とっておきの卵があるときって、卵そのものを味わいたいじゃないですか。そこに濃い醤油をかけると、ソースをかけたような感じで全部そっちにもっていかれちゃうんです。上質のお肉を塩だけで食べたいときがあるように、卵かけご飯も卵を味わいたいときは、旨味を抑えて塩味が強い薄口醤油が合うと思います。逆に、安めの卵には濃い醤油をかけて醤油と卵のバランスで食べるのがおすすめです。
うちは醤油を6種類に分類しているので、6種類全部が入っている「基本の醤油」を使ってみていただきたいです。これで卵かけご飯を食べ比べていただくと、びっくりするくらい違います。

100mlというサイズは食べ比べにぴったりですね。人それぞれ好みの味は違うと思うんですけど、自分の好きな味の醤油に出会いやすくてプレゼントにもいいですね。

プレゼントに使っていただくことも多いです。ギフトボックスも用意しているので、ぜひお試しください。

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