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静岡から世界へ発信! WEBデザイナー と 織物職人の”信頼”で作り上げた オリジナルカメラグッズ「静岡日和」

いつも画面越しに見ているネットショップのむこうには、想いのつまった“モノ”とそれを届ける“”たちがいます。このコーナーでは、知られざる商品開発ストーリーやお店の裏側に迫る現場レポートをお届けします。
今回ご紹介するショップ
カメラグッズ専門店「静岡日和」のショップオーナー中川拓郎さん。モノづくりに挑戦したいとデザイン制作会社をから独立して作ったのは、地元静岡県で作られた布を使ったカメラグッズ。畑違いの繊維業界へ飛び込み、職人に何度も会いに行き、糸からとことんこだわった製品を作り上げ、さらにローカルブランドならではの地元メディアとSNSを使ったPR戦略で静岡発の人気店に。シンプルで可愛い商品の裏側には中川さんの並々ならぬパワーと覚悟が込められておりました。

地元の人も知らない特産物「織物」を使ったカメラグッズ

まずは、自己紹介とショップを開いた経緯について教えてください。

「静岡日和」というカメラグッズのネットショップを運営しております中川拓郎です。
デザイン制作会社でデザイナーの仕事をしていたのですが、30歳くらいから独立を考えていました。子供もいるのでかなり悩みましたが、一度きりの人生だからやってみようと35歳で決意しました。

カメラ用品を商材に選んだのはなぜですか?

独立するにあたって、せっかく自分で何かモノを作り出す力があるのだから、立体的なモノをカタチにするような、大袈裟に言ってしまえば、自分の企画したものがどれだけ人の心を捉えられるのかっていう挑戦をしたいと思ったんです。
その中で、地元の人にもあまり知られていないのですが、静岡県磐田市西部地域は織物の産地で、それを使って何かできないものか、と考えたのが始まりです。

洋服やバッグを作ってもなかなか売れないでしょうから、「ニッチな商材」という点と「自分が興味のあるもの」という点で、カメラ用品が浮かび、その中でもカメラ用のバッグとストラップに焦点を絞り制作を始めました。

静岡ではカバンが縫えない!?職人さんに信頼されるまで

ご自分で作ってらっしゃるんですか?

うちでデザインと企画をして、プロの縫製の業者業者さんに製造を依頼しています。そして、できた物をうちが仕入れるという関係です。さらにその製品を他のお店においてもらう、卸業もしています。

最初のプロダクト(商品開発)はどのように作ったのですか。

生地については基本的には、地元の方が織ったものを扱っているんですが、最初は縫製先なども検討がつかなかったので、手当たり次第工場に電話をしたり、インターネットで調べて、「こういうもの作れますか?」と問い合わせをしていました。

最初は静岡県内で探していたんですが、よくよく調べてみるとカバンっていうものにも「産地」があるんですね。静岡県はカバンの産地ではなかったんです。シャツなどの平たいものなら出来るんですけど、立体物を作る技術のある職人さんが少なくて。それが分かって、今は関東・関西のできるところにお願いをしているんですが、そこに辿り着くまで一年以上かかり「頭のなかに構想はあるのに、できない」っていうのが続きました。
そのあと、商品の完成型をボール紙で作って「これ、作れます?」と職人さんに持っていきました。今考えるとえらく遠回りだったかもしれないんですけどね。

職人さんとのやりとりはスムーズにいきましたか?

要望を伝えても、職人さんや業者さんはそれに答えたからと言って仕事を沢山貰えるかどうかは分からないですから、答えが返ってくるまでにすごく時間がかかりました。これまでいた、デザインやITの業界とは全く違う伝統の中で、最初はコミュニケーションをとるのも難しかったです。

工場にもお邪魔しましたが、ITという感じは一切なかったですね。

やりとりがメールではなく、基本的に電話とFAXなのが大きく違いますね。そして、職人さんはちゃんとお金を払ってもらえるのかと見極めるという意味で、人間性をかなり見ています。ですから、積極的に顔を合わせて担当の方とお話をして、人間関係を作るのに時間をかけました。

カメラ女子の時代が来る!ナチュラル系素材をいち早く取り入れたデザイン

カメラのケースは黒や皮のイメージが強いのですが、静岡日和さんの商品は違いますね。

今まで一眼レフカメラは男性のマーケットで、それに付随してアクセサリー関係も男性向けのものが多かったんですが、女性のシェアも伸びていたので、女性向けのものも手掛けていこうと思いました。

カメラ用ラッピングクロス

かわいい感じで制作する会社さんはあるんですが、うちのように「麻」「リネン」「ベッチン」「ハンプ」といったシンプルな生地で無地のものを多く出しているところは少ないですね。流行り廃りがないものを作りたいと思っていて、そこを独自のカタチとして全面に出していこうと思っています。

女性のお客さんが多いのですか?

現状は七割が女性ですね。でも男性のお客さんもいらっしゃいますよ。今後は、男性向けの色揃えやアイテムを増やしていけたらいいなと思っています。

家を買う資金をつぎ込んで…プレッシャーと戦う日々

最初に出来た時は感動しましたか。

いや、感動よりも不安でしたね。お客さんに気に入ってもらえるか、需要があるのかととても不安でした。最初に作った200セットが手元に届いて検品して、それを眺めながら「これ、本当に売れるのかなぁ」という不安が本当に大きかったですね。

そうとうなプレッシャーですよね。

そりゃもう。家族もいますからね。すごい重圧でした。自宅の六畳の部屋で山積みになって「大丈夫かなぁ~」と思っていました。

お子さんもいらっしゃったんですよね。すごいですね。

それがあるから頑張れるというのもありますよね。でも、家を買うために貯めていたお金を商品開発とかに使ってしまいました。

すごいですね!

ローカルブランド力!地元メディアとSNSで広げたPR戦略

オープンした後の売れ行きはいかがでしたか?

オープンした日に3個売れたんです。リネンのモデルでした。

初日から!

半年くらい前からHPでアピールはしていたんですよね。それで、ネットショップを立ち上げて始動したら注文が入ったんです。あとは、FacebookなどのSNSで集客をしました。

今は販売は順調ですか?

おかげさまで、静岡発のお店ということで、地元のメディアに取り上げていただいたりで、たくさんのお客様にご購入いただいております。

日本のカメラは世界基準。静岡から世界へ!

海外販売もされていますね。

元々、英語のサイトも作っていたんです。そうしたら、海外の方からも問い合わせがあって、インドやタイの方から「卸をやってくれ」と頼まれました。

一眼のカメラは、NikonとCanonが世界的なシェアもとっているので、日本のカメラが世界基準だということができます。ですから、一眼カメラのグッズは、海外でも売れるのではないかと始めてみました。英語でのSEOやプロモーションは難しいですが、SNSを絡めて運用していくことになんとなく手応えを感じ始めています。

最後に一言をお願いいたします!

素材の確かなシンプルで長くご愛用いただける商品をお届けしています。是非、商品をご覧ください。