よむよむカラーミー
ECサイト開設・運営のヒントが見つかるWebメディア

鹿児島の生餃子専門メーカー『ぎょうざのビッグファイブ』の「ありのまま」を伝えるブランド戦略と食品ECを立ち上げた理由とは

いつも画面越しに見ているネットショップのむこうには、想いのつまった“モノ”とそれを届ける“”たちがいます。このコーナーでは、知られざる商品開発ストーリーやお店の裏側に迫る現場レポートをお届けします。
今回ご紹介するショップ
1991年創業の生餃子専門メーカー『ぎょうざのビッグファイブ』のネットショップ。「簡単・美味しく・元気に!!」をモットーに、黒豚をはじめとする鹿児島の特産品を使用した生餃子を販売しています。
今回はネットショップ運営と鹿児島のメーカーとしてのブランディングについて、取締役の川原 健司さんに伺いました。

お店も子どもも大きく育つように

『ぎょうざのビッグファイブ』という名前の由来は何ですか?

私は1男4女の5人兄妹なんですが、社長である母が5人を一人で育てるなか立ち上げたお店だったので、お店も子どもも大きく育つようにという願いが込められていると聞いています。

お母さまの愛情を感じますね。お母さまはなぜ「餃子を売ろう!」と思われたのでしょうか?

昨年の4月に創業30年を迎えたんですが、創業当初は『ピザファイブ』という名前でピザの製造・デリバリーをしていました。その空き時間に餃子を作って売り歩いていたら、いつの間にか餃子の方が売れて餃子専門のメーカーになっていきました。

川原 健司さん

もともと、父方の祖父が鹿児島の武町というところでお肉屋さんをしていて、お肉をカットしたときに出る端材で餃子を作っていたんです。母もそこで働いていて、餃子の作り方を教わり外に売り歩いていたそうです。ピザのデリバリーをしているときにも、同じように餃子を作って行商したという流れです。

そのころに比べると規模が大きくなりましたが、現在の主な販路はどこですか?

鹿児島県を中心に展開しているスーパーと業務用の卸、生協などのカタログにも掲載していただいています。ネットショップも柱の一つとして育ってきています。

ネットショップはお客さまと交流できるチャネル

すでに販路を確立されているなかで、自社ECを始めようと思ったのはなぜですか?

卸はお客さまとの間に小売のお店が入ったり、飲食店が入ったりします。商品開発や改良には鮮度の高いお客さまの声が必要ですので、直接お客さまの声を聞いたり、お客さまと交流できるチャネルをもっておきたいというのが最大の理由です。

昔から会社の前には冷凍生餃子の直売所を設けていて、電話・FAXによる受注も細々とはやっていたんですが、しっかり直販に取り組もうとネットショップを開設しました。

そのタイミングでカラーミーショップをお選びいただいたのはなぜですか?

制作やブランディングには外部の方のお力添えをいただいているんですが、いろいろなサービスを比べたときに、お客さまが使いやすく、機能が豊富で拡張性が高いということで、すぐにカラーミーショップに決めました。

ありがとうございます。オープン当初は注文が殺到したそうですね。

おそらく、全国ネットのテレビ番組に取り上げられたタイミングが重なったからだと思います。

注文は何件ぐらいきましたか?

おかげさまで、千件を超えるたくさんの注文をいただきました。

かなりの数ですが、カラーミーショップは問題なく繋がりましたか?

数分間、繋がりにくくはなりましたが、サーバーダウンもなく販売できました。

よかったです! 千件の受注となると普段のオペレーションでは対応しきれないこともあったかと思いますが、何か対策はされましたか?

冷凍なので放送前に若干の作りだめをして、ネットショップのアイテム数を絞りました。あとは、前もって「これぐらいのお時間がかかります」という旨をホームページに掲載しました。どうしても時間が過ぎそうなときは、心苦しいですがまたメールで連絡をして、待っていただくしかないのかなというところです。「待っていますので、いつでもお送りください」というありがたいお返事をいただくこともよくあります。

都度、事情を伝えることで、新たなコミュニケーションが生まれますよね。
他にも、ネットショップを始めたことで変化はありましたか?

これまで買えなかった方にも届けられるようになって、販路が広がりました。決済もお客さまとのやりとりもスムーズです。自社のオペレーションに関しても、受注して情報を取り込んで送り状を作るという一連の流れが効率よくできています。
デザインを含めた買いやすさと、こちら側の負荷軽減、時間短縮になりました。

鹿児島から、ありのままを発信したい

ブランディングは外部の方にもお力添えをいただいているとのお話でしたが、やはりブランド戦略には力を入れていますか?

ある意味、ブランディングしか考えていないとも言えます。商品だったり、うちが発信する情報だったり、提供するサービスだったりを通して、お客さまにいいイメージをもっていただくためにどうすればいいかというのは、一番大切にしています。

外部の方にもお願いしているのはなぜですか?

内部の人間だけではどうしても感じ方が違ってきたり、見えなくなったりするところがあります。定期的に外部の方とミーティングをすることで、いろいろな意見や多様な感じ方を取り入れることができます。

なるほど。 一緒にブランディングをしているのは鹿児島の事業者さんですか?

そうですね。鹿児島にいるというのはかなり大事な要素です。直接お会いして意思疎通ができますし、同じ鹿児島にいる人間として、鹿児島からものを発信する感覚がありますよね。首都圏の事業者さんだとバックボーンが違うので、うちのブランドに対して違ったスタンスで捉えてしまうこともあると思うんです。
うちはおしゃれにしようとか、格好よくしようというよりも、会社の成り立ちからくる鹿児島っぽさとか田舎っぽさという、ありのままを発信したいと思っています。そういう部分では、同じバックボーンでいろいろな物事を考えられる方が鹿児島にいるっていうのは、すごくありがたいですね。

ビッグファイブと言えばオレンジ色が印象的ですが、これも企業イメージを考えた色ですか?

そうですね。赤や黒で黒豚の高級感を表現するよりも、暖かい家庭のイメージに近い色ということで何となく昔からオレンジ色です。

さまざまな媒体やSNSを使って発信をしていらっしゃいますが、このあたりはどのように運営していますか?

自社の広報担当と外部のライターさんに協力いただいています。自分でも発信することはありますね。あまりテーマは決めていなくて、タイムリーな情報を発信しています。

お客さまと触れ合っていると、自然と課題が見えてくる

これからチャレンジしたいことはありますか?

鹿児島には隠れた素材がたくさん眠っているので、今年からコラボ餃子という企画を立ち上げたところです。もともと、OEMでお客さまのオリジナル餃子を作る卸の事業をしていたので、その実績を活かして鹿児島の素材を使ったオリジナルの餃子を業者さんと作らせていただいているんです。

2月〜3月は小田畜産さんと小田牛の生餃子を作らせていただきました。4月〜5月は鹿児島の長島町にある鶴長水産さんで養殖されたボンタンぶりを使ったボンタンぶりの生餃子を販売しています。
鹿児島の素材が元になるので、どんどん新しい餃子を生み出して鹿児島の生産者さんや業者さんに協力したいという思いがあります。

ぶりの餃子! 味がまったく想像できないです。

刺し身にも使える新鮮なぶりをフィレのまま冷凍して使うので、臭みがまったくありません。お肉類は調味料を含めて不使用ですので、お肉類が召し上がれない方もお魚が食べられるのであれば召し上がっていただけます。しょうがの風味が効いたさわやかな餃子です。

魚が苦手なお子さまにもぴったりですね。最後に、今後の目標をお聞かせください。

目標ですか…あんまり目標は立てないんですよ(笑)。お客さまと触れ合っていると、自然と課題が見えてくるんです。数字目標を立てて方針を決めるよりも、「こういったご要望があるからそれを実現しよう」と考えるほうが自分たちも楽しいですよね。

これからも、自分たちが楽しんで、お客さまのためにいろいろな企画を考えていこうと思います!